【ファンタジーSS】古の力と四人の戦士

1: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:27:30.02 ID:mp+YKvgk0

昔々、まだ精霊が人間と共にあった時代。

大陸は、四つの国に分かれていました。

火の国、水の国、風の国、土の国からなる四つの国。

この四つの国には、どんな宝石よりも光り輝く美しい石が。

それは、精霊の石と呼ばれていました。

この石は、精霊から人間へ友情の証として渡された物。

精霊の石は、人間に様々な恵みを与えました。

2: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:29:36.04 ID:mp+YKvgk0

精霊の石のお陰で、人間の暮らしはみるみるうちに豊かに。

人間は毎朝精霊の石に手を合わせ、感謝しました。

そして年に一度、精霊への感謝を込めて、国を挙げてお祭りをしました。

ですが、生活が豊かになっていくにつれ、人間達は、感謝の心を忘れてしまったのです。

そしていつの間にか、年に一度のお祭りも、なくなってしまいました。

人間の愚かさに精霊達は悲しみ、心を閉ざしてしまいます。

すると、たちまち精霊の石から光が失われ、空は真っ暗闇に包まれてしまいました。

人間は何とか許してもらおうと精霊にお願いしましたが、許してはもらえませんでした。

3: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:30:23.45 ID:mp+YKvgk0

精霊達は、ほんの少しの間、人間達におしおきしようと考えていたのです。

4: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:32:18.63 ID:mp+YKvgk0

しかし、そのほんの少しが、さらなる悲しみを生んでしまいます。

なんと、罪を擦り付け合い、これまで仲の良かった四つの国が戦争を始めてしまったのです。

精霊達はなんとか戦争を止めようと、精霊の石に光を戻し、空から暗闇を払いました。

しかし何ということでしょう。戦争は終わるどころか、より激しさを増していったのです。

人間は、精霊の石の力を使った兵器まで作ってしまいます。

精霊達は、何度も何度も戦争を止めるように訴えかけましたが、人間は聞いてくれません。

ーーこのままでは人間が滅びてしまう。

5: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:33:30.39 ID:mp+YKvgk0

その時、火、水、風、土。

それぞれの国から一人、勇気ある若者が立ち上がりました。

精霊達は、この四人に特別な力を与えました。

一人は火を、一人は水を、一人は風を、一人は土を操る力。

精霊達は、この四人に、戦争を終わらせてくれるように頼んだのです。

四人の若者は力を合わせ、戦争を終わらせる為に

ーーー戦いました。

6: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:34:43.47 ID:mp+YKvgk0

ですが、いくら戦っても、兵器を壊しても、戦争は終わりません。

人間は、何かに取り憑かれたように戦争を続けるのです。

四人の若者は、精霊にたずねました。

ーーなぜ人々は怒ったままなのか、と。

精霊達は、原因をつきとめる為に、国中を飛び回りました。

8: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:35:55.11 ID:mp+YKvgk0

精霊達は、四つの国の王様をそそのかす悪者を見つけ出しました。

その悪者は、自分を暗闇の妖精だと言いました。

とても強い力を持つ、邪悪な妖精です。

四人の若者達は、精霊と協力して、暗闇の妖精に挑みました。

しかし、いくら頑張っても、暗闇の妖精に太刀打ちできません。

ーーこのままでは負けてしまう。

ーー明るい未来をつくる若者達が、しんでしまう。

9: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:37:57.53 ID:mp+YKvgk0

それを避ける為に、精霊達は、四人の若者達に自分達の力。

その全てを与えます。

自分達の、いのちとひきかえに…

全ての力を託された若者達は、その力を使い、暗闇の妖精を打ち倒しました。

すると、人々から怒りの心は消え去り、戦争は徐々に収まっていきました。

各国をめぐり、残る混乱を鎮めた四人の若者達は、それぞれの国に戻り、復興を始めました。

後にこの四人は、火の王様、水の王様、風の王様、土の王様。

と、呼ばれるようになりました。

10: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:39:13.51 ID:mp+YKvgk0

四人の王様は手を取り合い、人々の為に、国の為に、生涯掛けて尽くしました。

なにより、自分達に力を与え、人間に恵みを与え、いのちをかけて救ってくれた精霊達を想い。

この悲しい出来事を忘れないように

やさしい精霊達を忘れないように

人々に、何度も何度もこの物語を聞かせました。

12: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:51:36.79 ID:mp+YKvgk0

ー火の国・灯火の里ー

「またその話し? もう一万回くらい聞いたよ」

爺様「何度でも話す。忘れて貰っては困るからの」

「ははっ、大丈夫だって。忘れたくても、忘れられそうにないから」

爺様「カルよ、信じるか?」

カル「えっ、精霊とか暗闇の妖精を?」

爺様「そうじゃ、儂が語った事を信じるか」

カル「……正直、信じられない」

カル「だって精霊も、精霊の石なんて物も、存在しないし」

13: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:53:07.86 ID:mp+YKvgk0

爺様「まあそうじゃろうな。無い物を信じろと言っても無理がある」

カル「でも嘘じゃない。と思う」

爺様「ほう。何故、そう思うんじゃ」

カル「えーっと、爺ちゃんの目は、何て言うか……嘘を言ってないから」

爺様「ははっ、そうかそうか。まあ今はそれでよい。今日の稽古はこれで終いにしよう」

カル「なあ爺ちゃん。もしかして何かあった?」

爺様「いんや? 別に何も無いぞ。それより儂、今日は肉が食べたい気分」

14: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:53:48.52 ID:mp+YKvgk0

カル「全く……分かったよ。じゃあ、今から山に行ってくる」

爺様「気を付けて行くんじゃぞ」

カル「大丈夫だって、すぐ帰って来る。俺も腹減ってるし」

ガラッ…パタン

爺様「カルも十七か。時が経つのは、本当に早いもんじゃ」

15: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 01:57:53.43 ID:mp+YKvgk0

ーー灯火山

カル「……ごめんなさい。ありがとう」

獲物には手を合わせて謝る。その後は、感謝する。

これは爺ちゃんに教わった。

狩りの仕方、山の歩き方、武術剣術、さっきの昔話も、全部。

爺ちゃんは灯火の里の長で、道場の師範。

随分昔に、里を賊から救ったらしい。

色んな国を旅してたらしいけど、村の人達に武術指南を頼まれて、何だかんだあって今に至る。

16: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:00:20.38 ID:mp+YKvgk0

今じゃ灯火の里は、武術剣術の里なんて呼ばれてる。

爺ちゃんに会う為に武芸者が来たりするんだ。

最近は飽きたとか面倒だとか言って、兄弟弟子達に任せてるけど……

武芸者、武芸者か。

そういえば今日来たっけ、強そうな人だったな。

わざわざこんな里に来るくらいだから、余程強くなりたいんだろうな。

それとも、戦うのが好きなのか。

確かに武術剣術の稽古は楽しいけど、戦うのは、好きになれそうにない。

17: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:01:46.37 ID:mp+YKvgk0

カル「あっ、そういえば今年で十七か……」

爺ちゃんには、感謝してもしきれない。

早くに両親を亡くした俺を引き取って、今まで育ててくれた。

いや『くれた』じゃない。

今も育ててくれてるし、色々教えてくれる。皆が言うけど、凄く強くて、優しい人なんだ。

いつか、恩返ししたいな。

そんでもって、爺ちゃんみたいな、優しくて強い人になりたい。

カル「とりあえず、出来る事からしないと……ん?」

ポツッ…ポツッ……ポツポツポツッ

カル「うわっ、雨だ。さっきまであんなに天気良かったのに」

18: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:04:21.49 ID:mp+YKvgk0

ーー灯火の里

カル「あぁー、すっごい疲れた」

あれから急に雨が強くなるから、随分時間が掛かっちゃったよ。

爺ちゃん、先にご飯食べてたりしてないよな。案外子供っぽいし、心配だ。

カル「まっ、その時は仕方無いか。よっこいせ」

……あれ。何だろ、随分静かだな。山に行く時は皆居たのに。

雨が降ってきたから、家に入ったのか? いや、そうだとしても、何か里の様子が変だ。

妙な、寒気がする。

19: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:06:44.47 ID:mp+YKvgk0

ザァァァァッ

カル「何だろ、この感じ。ん? 何だろ」

それを見つけた瞬間。何とも言えない、凄く嫌な感じがした。

近寄ってみると、どうやらそれは、黒い氷。のような物で出来てる。

そしてその氷柱の中には、人が氷漬けにされていた。

その近くにあった氷柱にも、そのすぐ側の氷柱にも。里の皆が、氷漬けにされていた。

くそっ、何が何だか分からない。一体何が起きたんだ。

カル「何だよ、何だよこれ。人が凍るなんて」

20: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:07:51.83 ID:mp+YKvgk0

『ぜあぁぁっ!!』

21: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:09:02.35 ID:mp+YKvgk0

カル「っ、爺ちゃん!?」

今の声、何かと戦ってる?

そいつが皆を凍らせた?

駄目だ、考えても全然分からない。

とにかく、急いで家に向かわないと!!

22: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:10:13.08 ID:mp+YKvgk0

※※※※

爺様「ぬぅ……」

武芸者「なる程、確かに素晴らしい。これが、精霊の力」

爺様「それは精霊の力などでは無い。今からでも間に合う、その黒水晶の首飾りを壊すんじゃ」

武芸者「ふん、何を言い出すかと思えば……」

武芸者「こんな力を、人を超える力を、そう簡単に手放すはずが無いだろう」

爺様「馬鹿者めが……その力は、お主を滅ぼすぞ」

23: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:11:52.31 ID:mp+YKvgk0

武芸者「脅しのつもりか、下らん」

爺様「……ならば、仕方無し」

応えてくれるか、否か。

応えてくれたとして、この老いた体が保つかどうか分からん。

長引けば、里の皆をも巻き込んでしまうじゃろう。

何としても、一撃で終わらせなければ。

まだ伝えねばらなん事があると言うのに、目覚めが早過ぎる。

24: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:13:21.22 ID:mp+YKvgk0

武芸者「な、何だその炎は!! まさか貴様も!?」

爺様「答える義理は無い」

炎よ、応えてくれたか。

奴を葬れるだけでいい。力を、貸してくれ。

武芸者「くっ、老いぼれがぁ!!」

爺様「ぜあぁぁっ!!」

25: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:14:37.06 ID:mp+YKvgk0

※※※※

ザァァァァッ…

爺様「ぐっ、流石に……きっついのぉ」

カル「爺ちゃん、大丈夫!? さっきの炎は!? 誰が」

爺様「カル……まずは落ち着け。話しはそれからじゃ」

カル「わ、分かった!!」

爺様「安心せい、儂は大丈夫じゃ。里はどうなっとる?」

カル「そ、それが、皆が黒い氷の中に閉じ込められてて、何が何だか」

26: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:17:18.16 ID:mp+YKvgk0

爺様「……そうか」

カル「爺ちゃん?」

『死ねぇ!!』

爺様「何っ、まだ生きとったのか!! くっ、拙い!!」

カル「えっ…」

いきなり得体の知れない化け物が現れたと思ったら

雨は氷の槍に変わって、次の瞬間、その全てが、降り注いだ。

俺を庇った爺ちゃんに、全て……

27: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:19:25.47 ID:mp+YKvgk0

カル「爺ちゃん? 爺ちゃん!!」

爺様「ごふっ、怪我は……無いか?」

カル「俺は大丈夫。でも、爺ちゃんが!!」

氷の槍の所為で、血だらけだ。

それに爺ちゃんの体が、燃えてる。のか?

爺様「儂は、もう保たん。よいか、今から話す事を……ぐぬっ」

カル「爺ちゃん、体が!!」

28: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:21:07.74 ID:mp+YKvgk0

爺様「聞くんじゃ。よいか、奴は暗闇の妖精の力。その一片を使っておる」

カル「暗闇の妖精? 昔話しの?」

爺様「奴を倒す術が一つだけある。じゃがこの通り、儂にはもう戦う力が無い」

爺様「何も伝えられんで済まん。理解出来んじゃろうが」

カル「分かった。俺が、戦う」

爺様「!!」

29: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 02:22:40.65 ID:mp+YKvgk0

カル「あいつを倒さなきゃダメだって事は、俺にも分かる。だから、戦うよ」

爺様「(!! 知らん内に、こんな顔をするように……)」

爺様「仲間を捜せ、黒水晶を壊せ、心を、曇らせてはならんぞ」

カル「えっ」

爺様「時間じゃ、カル」

炎が、俺を包んだ。

熱いはずなのに、不思議と熱くない。

優しくて、強い炎。

33: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 12:29:19.57 ID:toV8CGDU0

※※※

ザァァァァッ

カル「爺ちゃん……」

武芸者「別れは済んだか?」

カル「……何故、こんな事を?」

武芸者「誰よりも強くなる為、それだけだ」

カル「人の姿を失っても手に入れたかったのが、その力なのか?」

武芸者「それだけの価値がある。究極の強さ、力とは、人を超えた先にあると知った」

カル「そんなのは、強さじゃない」

34: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 12:32:05.56 ID:toV8CGDU0

武芸者「だが事実、貴様の祖父を殺した。俺が勝った!!」

武芸者「貴様も俺に殺される。祖父と、同じようにな!!」

ピシッ…パキパキッ

カル「(氷の槍……来るっ)」

武芸者「死ねぇ!!」

ドガガガガッ

カル「ぐっ!!」ガクッ

35: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 12:37:14.89 ID:toV8CGDU0

武芸者「口先だけか、つまらん」

カル「(何とか致命傷は避けれた……)」

カル「(でも、このままじゃ殺される。どうにか、しないと)」

武芸者「てっきり貴様も、祖父のように炎を使うのかと思ったが、違ったようだな」

カル「(炎? さっきのあれは、爺ちゃんが出した炎だったのか?)」

武芸者「これで終わりだ」

ピシッ…パキパキッ

カル「(俺にも炎が使えるのか? でも人間が炎を出すなんて……)」

36: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 12:38:43.23 ID:toV8CGDU0

カル「(駄目だ、分からない。今出来る事を、やるしかないっ)」ダッ

武芸者「何っ!?」

カル「うおぉぉっ!!」ググッ

バキッ…

武芸者「……そんな拳が効くと思ったか? 愚かだな」

カル「(だよなぁ。でも、分かった)」

武芸者「何を笑っている。この距離では躱せんぞ」ガシッ

37: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 12:43:00.54 ID:toV8CGDU0

カル「(今、ほんの少しだけ拳に炎が宿った。理屈は全然分からないけど、倒すぞって思ったら炎が出た)」

武芸者「串刺しにしてやる」

ピシッ…パキパキッ

カル「(こんな危険な奴を、野放しには出来ない!!)」

ゴオォォォッ…

カル「えっ!?」

武芸者「氷が!! き、貴様ッ!! 隠していたのか!!」

カル「(そんなつもり全く無いけど、この炎なら、倒せる!!)」

カル「おりゃあああ!!!」グッ

41: >>1 2014/03/12(水) 20:42:05.18 ID:nU/TFUtC0

武芸者「ぐっ」ガクン

カル「(効いてる!! 拳が氷の鎧を突き抜けた。よしっ、このまま畳み掛ければ、畳み掛ければ……)」

武芸者「甘いッ!!」ヒュッ

グサグサッ

カル「がっ!! ぐっうぅ…」ドサッ

武芸者「馬鹿が。情けや躊躇いなど、殺してくれと言っているようなものだ」

カル「(躊躇うに決まってる。誰かを殺すなんて、俺には……)」

42: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:44:01.34 ID:nU/TFUtC0

武芸者「俺は躊躇いは無く、お前を殺せる」グイッ

カル「(俺には、こんな風に戦えない。こんな風には……)」

武芸者「ふん、腑抜けが。死ぬがいい」

死ぬ? 死んだらどうなる。俺が死んだら、誰がコイツを倒す?

此処で終わらせないと、沢山の人が、コイツに殺される……

カル「嫌だ!!」ゴォッ

ドガッ

武芸者「……往生際の悪い。殺す覚悟も無い小僧に、何が出来る」

43: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:45:45.96 ID:nU/TFUtC0

決めなきゃ駄目だ。

倒さなきゃ駄目なんだ。

話して分かる相手じゃない。戦うしか方法は無い。

殺すなんて嫌だ。

殺されるのだって嫌だ。

皆を助ける為とか、救う為とか言ったって……

結局、殺す事に変わりない。

ーー爺ちゃんなら、どうするんだろう。

爺ちゃんなら逃げるか? 迷うか?

44: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:47:23.84 ID:nU/TFUtC0

カル「……逃げない。辛くたって、逃げずに戦うはずだ!!」ググッ

武芸者「立ち上がったところで何が、なっ!?」

カル「……炎が」

さっき出た炎よりも、ずっと凄いのが分かる。

何だか、炎が懐いてるような不思議な感じ。

ちょっとは、認めてくれたのか?

……力を持つって、強いって、大変なんだな。

やっぱり、爺ちゃんは凄いな。

カル「もう、大丈夫」ザッ

45: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:49:03.35 ID:nU/TFUtC0

武芸者「(な、何だあの炎は!? 祖父とは比べ物にならん)」

武芸者「(声が、出せん……圧し潰されるようだ)」

カル「行くぞ」ダッ

武芸者「ぬっ、ぐうぅ……動、けぇ!!」ググッ

パキパキッ…

氷の槍!! さっきより数が多い。

駄目だ。止まったら負ける。走れ!!

炎を、脚に集中するんだ。

46: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:50:07.07 ID:nU/TFUtC0

武芸者「喰らえぇ!!!」

ドガガガガッ

構うな。

纏った炎が、全て掻き消してくれる。

このまま、跳べっ!!

カル「おりゃあああっ!!」ダンッ

武芸者「馬鹿なっ!?」

ドッ!! ゴォォォォ……

47: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:52:42.76 ID:nU/TFUtC0

武芸者「ぬっ、ぐうぅ……」ヨロッ

爺ちゃんに言われた通り、鎧胸部にあった黒水晶を蹴り砕いた。

確実に効いてる。けど、まだ足りないのか?

ビシッ…ビシッビシッビシッ

武芸者「ぬっ、ぐがあぁぁぁッ!!」

ガシャ…ガシャガシャ……

カル「体が、崩れた? うっ…」ガクッ

踏ん張れ。

倒れるのは、里の皆を助けた後だ。

きっとこの炎なら、あの黒い氷も溶かせる。

48: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 20:54:17.13 ID:nU/TFUtC0

次回「旅立ち」

49: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:38:51.10 ID:nU/TFUtC0

※※※

ーー爺様の屋敷・朝

カル「んー、ん? うわぁっ!!」ビクッ

婆様「なんじゃ、失礼な奴じゃな」

カル「なんだババ様か、びっくりしたぁ」

婆様「どうじゃ、まだ体は痛むか?」

カル「まだあちこち痛いけど、大丈夫。じゃない!!」

婆様「うっさいのぉ。なんじゃ急に大声出しおって」

カル「里の皆は? 他の皆は大丈夫!?」

50: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:40:47.55 ID:nU/TFUtC0

婆様「大丈夫じゃ、安心せい」

カル「そっか、良かった」

婆様「皆、お主に感謝しとるよ。ほれ、見てみぃ」バサッ

カル「これ、花飾り?」

婆様「何か出来る事は無いかと、皆が祈りを込めて作った物じゃ」

カル「こんなに沢山……そっか。うん、凄く嬉しいよ。後でお礼言わないと」

婆様「そうしてやれ、何せ三日間寝っぱなしじゃったからの」

51: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:42:19.15 ID:nU/TFUtC0

カル「えっ、俺そんなに寝てたの!?」

婆様「うむ、まるで死んだように寝とった」

カル「そっか……」

婆様「………」

あんなに戦ったの、初めてだしな。

とにかく、皆が無事で良かった。

氷を溶かした後の記憶が無いから、心配だったんだよな。

52: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:44:09.62 ID:nU/TFUtC0

婆様「カルよ……爺様は、やはり亡くなられたのか」

カル「……うん。氷の怪物から、俺を庇って」

婆様「そうか、薄々分かってはいたが、そうか…寂しくなるの」

カル「あのっ、ババ様」

婆様「ん、なんじゃ?」

カル「俺、旅に出る。爺ちゃんが死に際に言ったんだ」

婆様「また急な話しじゃな。なんと言われた? 話してみよ」

53: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:45:27.18 ID:nU/TFUtC0

カル「仲間を探せ、黒水晶を壊せ。あの力は、暗闇の妖精の一欠片」

婆様「ふーむ、暗闇の妖精か。随分と古い話しじゃな」

婆様「今回の件は、それが関係しとるんか?」

カル「詳しくは分からない。でもきっと関係ある」

婆様「仲間とは、里を襲った者の仲間か?」

カル「うーん、多分違うと思う。俺の仲間を探せ。って事じゃないかな」

54: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:46:24.49 ID:nU/TFUtC0

婆様「ふーむ、わしゃ何とも言えんが。その為に旅に出ると?」

カル「うん。他にも色々知らなきゃ駄目だと思うし」

婆様「田舎者の一人旅は危険じゃぞ、お供はいらんのか?」

カル「大丈夫。だってさ、あの時の怪物って一欠片に過ぎないわけだろ?」

カル「だから、出来るだけ多くの人に里の守りを固めて欲しいんだ」

婆様「(男は変わるものよのぉ。あの一日で、どれだけの経験をしたのやら)」

婆様「うーむ……」

55: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:47:12.45 ID:nU/TFUtC0

婆様「皆の者、カルはこう申しとるが、どうじゃ?」

56: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:48:51.00 ID:nU/TFUtC0

ガラッ

『カル様、皆を救っていただき、誠にありがとうございます』

『あの一大事、此処だけには留まらぬかもしれんわけか』

『傷を負いながらも我々を救うべく奔走するお姿、一生忘れません』

『里は我々にお任せを』

カル「はっ、えっ!? 皆いつから居たの!?」

婆様「ずっと居ったよ。三日三晩、な」

皆、疲れてるはずなのに、ずっと居てくれたんだ。

お祈りまでしてくれて、本当にありがとう。

57: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 23:49:32.22 ID:nU/TFUtC0

つづく

59: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 01:58:48.65 ID:vuux6/zt0

※※※

俺は、里の皆が凍っている間に起きた事を全て話した。

炎を使えるようになった事とか、色々。

その後、爺ちゃんの葬儀が始まった。

里の皆が泣いてたけど、俺は泣けなかった。

思えばあの時、爺ちゃんが消えて炎になって俺を包んだ。

あの炎が、俺に炎の力を与えたんだと思う。

爺ちゃんは、俺の中で生きてるんじゃないか? そう思った。

ーーそう思いたい。

60: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 02:00:08.95 ID:vuux6/zt0

葬儀を終えた後、ババ様が

「今日は疲れたじゃろ。無理せず休んだ方がええ」

「急いてはいかん」

「準備はきちんとせんといかんぞ? 渡さにゃならん物もあるでな」

って言うから、明日出発する事にした。

里から出た事なんてほとんど無いから、ちょっとだけ不安だ。

爺ちゃんも旅してたって言うから、本当は楽しみでもある。

61: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 02:01:54.12 ID:vuux6/zt0

※※※※

ーー翌朝

カル「渡したい物って、これ?」

婆様「灯火の里一番の着物じゃ、動き易いし目立つぞぉ。じゃから、これ着てけ」

カル「白地に赤の刺繍って、派手過ぎじゃないかな」

婆様「何を言う。都の人間は、そんくらい派手なもん着とるらしいぞ?」

カル「そうなの? まあ、着物の方が着慣れてるし、落ち着くけどさ」

婆様「ええから、早よう着てみぃ」

カル「分かった。ちょっと着替えてくる」

62: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 02:04:11.87 ID:vuux6/zt0

ガラッ…パタン

カル「(はぁ。あんなぐいぐい来られたら、着ないわけにはいかないよな)」

パサッ…ギュッ

こ、これは……派手過ぎる。

あぁなる程、柄が炎なんだ。

高そうな着物だなぁ。いや絶対高い。

家一軒建てれたりするんじゃないか?

生地の肌触りが違うし、着心地も良い。お金、出さなくていいのかな……

高価な物だからか、身が引き締まるな。

63: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 02:05:19.18 ID:vuux6/zt0

ガラッ…

カル「どうかな?」

婆様「ほぉ、男っぷりが上がったの。それ着てりゃあ、おなごがほいほい寄ってくるわ」

カル「ははっ、まさか。婆様、そろそろ行くよ。墓参りも済ませたし」

婆様「そうか……ん? そりゃ爺様の剣かえ?」

カル「うん。炎の使い方、まだ分かんないし」

婆様「そうかそうか。どれ、ちょっと腰に差してみ」

カル「よいしょっと。これで大丈夫?」

64: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 02:07:07.85 ID:vuux6/zt0

婆様「ほほっ、この村来た時の爺様にそっくりじゃ」

カル「ははっ、ありがとう。嬉しいよ」

婆様「カル……気を付けて、行くんじゃぞ」

カル「婆様、そんな顔しないでよ。俺なら大丈夫だから」

婆様「(爺様にも、この姿見せてやりたかった……逞しくなったの)」

婆様「さっさと終わらせて、早よう帰って来い。皆で、お前の帰りを待っとるよ」

カル「色々ありがとう!! じゃあ、行って来ます!!」

65: >>1 2014/03/13(木) 02:09:25.45 ID:vuux6/zt0

次回「田舎者」

68: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 13:52:00.83 ID:s7PDFtbl0

※※※※

カル「あの、そろそろ解放してくれないかな?」

女盗賊「うっさい間抜け。今から荷を開けるから黙ってて」チャキ

カル「……はい、分かりました」

さっきまで気分良く白月(馬)を走らせてたのに、今や縄で縛られて変な所に…

洞窟の中みたいだけど。この人の隠れ家、みたいなものなのかな。

旅の一番最初に出逢ったのがこんな人だなんて、何て幸先悪い。

白月、大丈夫かな。

69: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 13:53:45.91 ID:s7PDFtbl0

女盗賊「金目の物は無いわけ!?」

カル「お金ならあるけど、少ししか無いよ?」

女盗賊「じゃあ荷は!? この食糧だけじゃないわよね!?」

カル「今調べただろ? 荷はそれだけだよ」

女盗賊「じ、じゃあ、お宝的な物は!?」

カル「だからそんなの無いって。あの、そろそろ縄解いてくれない?」

女盗賊「畜生、ハズレかよぉ…」

カル「(全然聞いてない)」

70: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 13:55:22.30 ID:s7PDFtbl0

女盗賊「こんなんじゃ、もうどうしようも……」ボソッ

カル「え? 何か困ってるの? 俺で良かったら相談乗るけど」

女盗賊「うっさい間抜け!!」ヒュッ

カル「痛っ、ちょっ、石投げないで!!」

女盗賊「高そうな着物を着て、白馬になんて乗ってるから期待したのに!!」

カル「えぇ…そんな事言われたって」

女盗賊「うあー、もうっ!!」ダンッダンッ

71: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 14:09:45.27 ID:s7PDFtbl0

カル「大人っぽいのに、駄々をこねる子供みたいだな……」

女盗賊「あ? 何か言ったか?」

カル「いえっ、何も言ってません。それより馬は?」

女盗賊「馬なら外に置いてるよ。あの馬は金になりそうだし」

カル「…………」

まあ、白月が無事で良かった。

と言うか、間抜けなのか、俺。

道でうずくまってる人がいた。

だから馬を降りて「大丈夫ですか?」って声を掛けたんだ。

そしたら、いきなり変な匂いする袋を投げつけられて。

目が覚めたら、これだ。

72: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 14:11:57.86 ID:s7PDFtbl0

……まあ確かに、騙された俺が間抜けなだけかもしれないけどさ。

人を見た目で判断しちゃ駄目だよ。うん。

でも、何でこんな事するんだろ?

女盗賊「他に、他に何か方法は……」イライラ

カル「怒っても良いこと無いよ? 少し落ち着い」

女盗賊「 うっさい!! 」

きっと事情があるんだろうけど…

この調子じゃ、話してくれなそうに無いな。

76: >>1 2014/03/13(木) 19:47:57.65 ID:tRfvCdjr0

※※※

カル「落ち着いた?」

女盗賊「……あんたさぁ、何でそんなに冷静でいられるわけ?」

カル「いや、何でかな?」

女盗賊「知るかバカ。あぁ、殺されるぅ…とか思わないわけ」

カル「だって殺さないでしょ?」

女盗賊「…………」

カル「殺すつもりだったら、あの時殺されてただろうし」

77: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:49:33.20 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「騙されたのに平気な顔して、変な奴」

カル「そうかな? 困ってる人がいたら助けるだろ?」

女盗賊「オマケにお人好し。で、田舎者」

カル「田舎者? 俺が?」

女盗賊「あんた以外に誰がいるわけ?」

カル「おっかしいな。都じゃ皆こんな格好してるって、ババ様が言ってたのに」

女盗賊「今時っつーか、今も昔も、そんな派手な格好してる奴いねーよ」

78: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:51:35.12 ID:tRfvCdjr0

カル「そ、そうなの?」

女盗賊「そういう間違った認識が、如何にも田舎者っぽい」

カル「(ババ様……まあ、俺は気に入ってるし、いいけどさ)」

女盗賊「もういいよ」

カル「え?」

女盗賊「縄、もう解けたんでしょ? もう、行っていいよ」

79: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:53:09.26 ID:tRfvCdjr0

カル「気付いてたんだ」

女盗賊「当然でしょ。ほらっ、さっさと行きなよ」

カル「……あのさ」

女盗賊「なに?」

カル「こうして出逢ったのも何かの縁だし、話してくれないかな」

女盗賊「………」

カル「俺には、どうしても君が悪い人には見えないんだ」

80: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:55:05.65 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「聞いてどうするわけ?」

カル「うーん。それは、聞いてから考えるよ、うん」

女盗賊「ぷっ、あははっ、なにそれ。はぁ全く、本当に変な奴」

うん。やっぱり女の人は笑ってる顔が一番いい。

女盗賊「あたし、恩返ししたいんだ」

カル「恩返し?」

女盗賊「そ、恩返し。昔……って言っても、最近なんだけどさ」

81: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:57:52.24 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「ちょっとしたヘマした所を、お人好しのバカ神父に助けられたんだ」

カル「そ、そうなんだ」

女盗賊「その神父は教会で孤児達と一緒に暮らして、面倒見てるんだ」

カル「へぇ、格好いい人だね」

女盗賊「ああ、あたしとは全然違う。真面目で、真っ当な人間だよ」

女盗賊「でもそんな真面目に生きてる奴が、病で倒れちまったんだ」

カル「………」

82: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 19:59:12.88 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「治療には、かなり金が掛かる」

カル「じゃあ君は、その為にお金を?」

女盗賊「まっ、そういうこと」

カル「(嘘吐いてるようには、見えないな)」

女盗賊「……こんな事したって、あいつは喜ばないんだろうけど」

カル「治療には幾ら掛かる?」

女盗賊「んー、百万くらいじゃねーかな。腹を開くって言ってたし」

83: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 20:01:32.82 ID:tRfvCdjr0

カル「そっか……」

女盗賊「これで話しはお終い。ほらっ、もう行きなって」

カル「そのくらいなら、何とか出来る」

女盗賊「はぁ!? あんたにそんな金無いだろ、何バカなこと言ってんだ」

カル「いや、大丈夫だよ。取り敢えず、神父さんがいる町に案内してくれないかな」

女盗賊「その話し、嘘じゃねえだろうな? 何か企んでるんじゃ」

カル「……それはこっちの台詞だよ」

86: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:05:31.46 ID:tRfvCdjr0

※※※※

ーー篝火の町

ガヤガヤ…

女盗賊「あんたの馬、やっぱり速いわ。まさか馬売る気?」

愛馬を売るなんて信じられない。

みたいな顔で俺を見てるけどさ、白月、売ろうとしてたよね。

カル「違う違う。売るのはこれだよ」

女盗賊「その派手な着物? 確かに高そうだけど」

カル「まあ、鑑定して貰えば分かるよ。呉服屋はどこにある?」

女盗賊「……あのさ、今更だけど本当にいいわけ?」

87: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:07:04.72 ID:tRfvCdjr0

カル「いいって、何が?」

女盗賊「何がって、知らない奴にここまでするなんてさ……」

カル「大丈夫。俺は、したい事をしてるだけだから」

女盗賊「まさか、あたしの体が目当て?」

カル「えっ、何で?」

女盗賊「こんなに良くしてやったんだから、体で払え。ゲヘヘ…的な」

カル「ははっ、ないない。絶対無い」

女盗賊「………」イラッ

88: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:08:24.31 ID:tRfvCdjr0

カル「大体、人を眠らせて、縄で縛る女の人なんて誰が」

女盗賊「あ?」

カル「いやほら……人には、その、好みがあるから」

女盗賊「ああ」

カル「縛られて喜ぶ奇特な人も、いると思うし……」

女盗賊「………」

カル「呉服屋、行きましょうか」

女盗賊「さっさと付いて来い、変態」スタスタ

カル「なんで!?」

89: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:09:57.15 ID:tRfvCdjr0

※※※※

ーー篝火呉服店

店主「こ、これは凄いッ!! お客さんッ!! これを何処でッ!?」

カル「灯火の里です」

店主「やはりそうでしたかッ!!」

女盗賊「(声、デカっ)」

店主「いやはやッ!! まさかッ!! これ程の品に出会える日が来るとはッッ!!」

カル「あの、少々汚れてしまいましたが、幾らで売れます?」

店主「売って下さるんですかッ!? これならッ!! 一千万出しますよッ!!」

90: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:11:43.21 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「いっ、一千万!? そんなにすんの!?」

店主「もっと大きな呉服屋ならばッ!! 数倍の値段を提示されても買うでしょうなあッ!!」

店主「それだけのおッ!! 価値がありますよッ!! ええッ!!」

カル「じゃあ、お願いします」

店主「喜んでッ!! 替えの着物は、こちらで用意しますのでッ!!」

カル「分かりました」

店主「少々ッ!! お待ち下さいッ!!」

女盗賊「あ、あんた、本当にいいわけ? 大事な物なんじゃ」

カル「ババ様には申し訳無いけど、聞いたからには放っておけないし」

91: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/13(木) 22:16:38.24 ID:tRfvCdjr0

女盗賊「もっかい聞くけどさ、どうして?」

カル「んー、尊敬してる人が、そういう人だからかな」

女盗賊「(尊敬する人、か)」

カル「その人ならこうするだろうし。着物一つで人が助かるなら、安いもんだよ」

カル「それにほら、何て言うか……あれだよ」

カル「一つの物は二つに分けて、大きい方を相手にあげなさい。ってやつだよ」

女盗賊「それとこれとは、話しが違うっつーの。そんなんじゃ、詐欺師に騙されるよ、あんた」

カル「大丈夫。それに、君は騙してないだろ?」ニコッ

女盗賊「(こんなバカなお人好し、あいつの他にもいたんだ……)」

店主「準備、出来ましたぁッッ!! 此方へどうぞッ!!」

カル「あ、はい」

92: >>1 2014/03/13(木) 22:19:22.21 ID:tRfvCdjr0

次回「治癒」

93: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:11:45.48 ID:mCu1KgJi0

※※※※

ーー篝火教会

カラーン…カラーン……

女盗賊「着いたぞ。此処だ」

カル「…………」

女盗賊「どうした?」

女盗賊「その着物の所為か、浪人が懺悔しに行くみたいに見えるぞ」

カル「あ、いや。思ったより立派だったから。って言うか懺悔って……」

女盗賊「まあ外見はな。内装はボロいけど」

カル「……そうなんだ。で、神父さんはどこに?」

女盗賊「さっき昼の鐘が鳴ったから、今はチビ達と一緒に、聖堂で飯食ってるはずだ」

94: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:14:07.04 ID:mCu1KgJi0

カル「あの、今更だけどさ」

女盗賊「なんだ?」

カル「いきなり知らない人が来てさ」

女盗賊「ん? おうっ」

カル「いきなりお金渡されたらさ」

女盗賊「…………」

カル「受け取って、くれるかな」

女盗賊「行こうか」スタスタ

カル「(かなり不安だけど、やれるだけやってみよう)」

95: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:16:03.85 ID:mCu1KgJi0

※※※※

神父「お気持ちは嬉しいですが、そんな大金、受け取れません」

女盗賊「そんな事言わないで受け取れって、盗んだ金じゃないし!!」

神父「そういう問題ではありません」

カル「(そりゃそうだよな……)」

女盗賊「こんなバカみたいに良い奴、二度と現れないぞ!!」

カル「(酷い言われようだ。確かに馬鹿かもしれないけど)」

女盗賊「それに、チビ達はあんたがいなけりゃ生きてけない」

96: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:18:27.33 ID:mCu1KgJi0

神父「…………」

女盗賊「だから、頼む。受け取ってくれよ……」グスッ

神父「……すいません。それでも受け取れません」

神父「既に後任の者は決まっております。子供達には、上手く伝えるつもりです」

女盗賊「っ!! バカッ!! もう勝手にしろ!!」ダッ

神父「…っ、すいません。貴方も、お引き取り下さい」ガタッ

チリン…

カル「ちょっと待って下さい」

97: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:20:01.21 ID:mCu1KgJi0

神父「まだ何か?」

カル「神父さん、その首飾りはどこで?」

神父「これですか? これは、子供達が露天商から頂いた物らしいです」

神父「子供達から初めての贈り物なので、身に付けているんですよ」

カル「……あの、倒れたのは最近ですよね?」

神父「ええ、そうですが」

カル「具合が悪くなったのって、それを貰った時からなんじゃないですか」

98: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 01:25:36.59 ID:mCu1KgJi0

神父「!! 確かに時期は合致しますが、ただの偶然です」

カル「偶然じゃ無いかもしれません」

神父「何を根拠にそんな事を、失礼ではありませんか?」

カル「怒るのも分かります。ごめんなさい……」

カル「確かに根拠は無いです。でも倒れた原因が、その首飾りかもしれないんです」

神父「(……何だ。この青年から、何か不思議な温かさを感じる。心なしか、体が軽い)」

カル「神父さん、少しだけ俺の話しを聞いてくれませんか」

神父「分かりました。では此方へ。お話しは、私の部屋で聞きましょう」

102: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:01:01.81 ID:RdN9bzOs0

※※※※

ーー神父の部屋

神父「黒水晶に氷の怪物、暗闇の妖精。ですか……」

カル「それに、あの時と同じような感覚がしたんです」

神父「あの時?」

カル「はい。氷の怪物と対峙した時の、嫌な感じです」

神父「この首飾りから、ですか」チリン

カル「……はい」

神父「ですが私に、そんな力は使えませんよ?」

カル「そう、そこなんですよ!!」

103: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:02:00.78 ID:RdN9bzOs0

神父「えっ、何がです?」

カル「嫌な感じは確かにするんですけど、神父さんはアイツとは違う」

神父「は、はぁ」

カル「神父さん、悪い人じゃないし」

神父「(ふっ、素直な青年だ。あの子が頼ったのも分かる気がする)」

カル「あの、何か変わったな。って事ありませんか?」

神父「変化。ですか」

104: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:03:32.46 ID:RdN9bzOs0

カル「何でもいいんです、何か以前と違うとか」

神父「……思い当たる事なら、あります」

カル「それはどんな?」

神父「この事は、他言無用でお願いします」

カル「はい。約束します」

神父「子供達を見ていると、湧き上がってくるのです」

カル「湧き上がる?」

105: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:04:29.26 ID:RdN9bzOs0

神父「ええ。何と言えば良いのか、憎しみや怒りのような。黒いものです」

カル「(黒いもの……)」

神父「後任者を立てたのは、病が原因などでは無いのです」

カル「え?」

神父「その感情が日に日に強くなり、それが、子供達に向けらている」

神父「私が守るべき子供達なのに!! それなのに、私は……」グッ

カル「(神父さん……)」

106: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:06:03.59 ID:RdN9bzOs0

神父「体が悪いのもありますが、私には、それが怖ろしくて……」

カル「だから、後任者を決めた」

神父「ええそうです。ですから、私にはもう神父など」

カル「大丈夫です。神父さんなら、絶対大丈夫です」

神父「何故、そう言えるんです?」

カル「これは俺の想像なんですけど……」

カル「神父さんが良い人だから、苦しんでるんじゃないかって思うんです」

107: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:08:37.99 ID:RdN9bzOs0

カル「その黒水晶は強い力を与える物。だけど、神父さんはそんな力を望んでない」

カル「神父さんの心が拒否してるんです。だから悪影響しか及ぼさない」

神父「ふふっ、貴方は純粋な人ですね」

カル「女盗賊さんには馬鹿って言われましたけどね……」

神父「ですが、同時に本当は聡い方でもある。一体、何を考えているんです?」

カル「その首飾り、少しの間預からせてくれませんか?」

108: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 13:10:48.00 ID:RdN9bzOs0

神父「……分かりました。いいでしょう」スッ

カル「後、空いてる部屋貸して貰えますか!?」

神父「え、ええ、どうぞ」

カル「じゃあ、待ってて下さい!! 絶対、壊したりしませんから!!」

ガチャ バタンッ

神父「(本当に、不思議な青年だ。人を惹き付ける何かを持っている)」

神父「清らかな心を、持っているのだろうな」

110: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 14:50:55.60 ID:RdN9bzOs0

※※※※

篝火教会・空き部屋

カル「…………」

この黒水晶が人の思いに応える物で、持ち主に力を与えるとしたら。

どんな『思い』に応える?

力への欲求。

ーー憎しみや怒りのような、黒いものです。

カル「そういえば黒かったな、あの氷。暗闇の妖精、力の一欠片……」

そういう感情を力にするのか?

あの時戦った氷の怪物。

ババ様の話しによれば、あれは里に来た武芸者で間違い無い。

111: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 14:51:26.17 ID:RdN9bzOs0

ーーそれだけの価値がある。

ーー究極の強さ、力とは、人を超えた先にあると知った。

あの武芸者は、力を求めていた。

人じゃ無くなっても、後悔してる様子は一切無かった。

じゃあ単純に、力を求める者に力を与える物なのか。

でも結果的には、人を壊す。

力を求めない人にも、害を為す。

112: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 14:52:36.65 ID:RdN9bzOs0

カル「誰がこんな物をばらまいてるんだ。何が目的で……」

教会の子供達に聞いたら、露天商にタダで貰った。と言っていた。

どんな人物かと聞いたら、皆バラバラの答え。

俺と同い歳くらいの男、可愛いお姉ちゃん、おばさん、お爺ちゃん。

こんな風に、皆が別々の人物を口にした。

カル「……まっ、今は置いておこう」

113: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 14:58:15.21 ID:RdN9bzOs0

今すべきは、この黒水晶の首飾りを、壊さずに何とかすること。

爺ちゃんには壊せって言われた。

けど神父さんにとって大事な物だし、絶対に壊したくない。

カル「この中に入ってる何か。それだけを壊せばいい……」

俺が触っても大丈夫だった。多少、気分悪いけど。

って事は、そこまで敏感な物じゃない。

この黒水晶の首飾りは、力を与えるか、人体に害を為す。

危険を察知したり、知性みたいな物は無い。

カル「問題は、どうやって壊すか。だよな」

114: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 15:00:07.30 ID:RdN9bzOs0

ちょっと調べてみよう。

うん。黒水晶の中は、まあ当然黒い。

……んっ!? 今、なんか動いたぞ。何て言うか、真っ黒い蛭みたいだ。

この中で生きてる。のか?

じゃあこの黒い蛭が、武芸者に力を与えてたモノ。

そして、神父さんを苦しめてるモノなのか。

カル「だとしたら、この黒い蛭さえ退治出来れば……ただの首飾りに戻るはず」

115: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 15:01:41.40 ID:RdN9bzOs0

外部からじゃ無理だ。壊れる。

だったら、内側からやるしかない。

……やれるか?

カル「いや、やってやる。絶対に成功させる」

まずは、手のひらに炎を呼び出す。

呼び出し方なんて分からないけど、とにかく呼び出す。

カル「…………」グッ

116: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 15:05:12.69 ID:RdN9bzOs0

ーー助けたいんだ。

力って、戦う為だけにあるわけじゃない筈だ。

誰かを守る為にだって、力は必要なんだ。

だから、頼む。力を貸してくれ。

カル「……!! よっしゃ、出た!!」

これを何度か繰り返して、火力を調整。強弱のコツを掴む。

掌にしか出してないのに、滅茶苦茶疲れるな。でも、出来た。

後は、この黒水晶の首飾りを持って……

カル「黒水晶の内側に、炎を!!」

117: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 15:06:56.03 ID:RdN9bzOs0

次回「消失」

119: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:13:49.16 ID:RdN9bzOs0

※※※※

篝火教会・神父の部屋

コンコンッ

神父「はい」

カル『俺です。入っていいですか?』

神父「ええ、どうぞ」

ガチャ…バタン

神父「早かったですね。何か分かりましたか?」

カル「色々分かりました。首飾り、ありがとうございます」スッ

神父「あの、これは?」

カル「すいません……」

120: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:15:18.94 ID:RdN9bzOs0

神父「綺麗な赤ですね。一体何が?」

カル「黒水晶の中には、黒い蛭のような奴がいました」

神父「黒い、蛭……」

カル「それを内部から燃やしたんです」

神父「そんな事、どうやって?」

カル「言ってませんでしたっけ。俺、炎を使えるんですよ」

神父「聞いていませんよ……」

カル「ははっ、すいません。とにかく、炎で蛭を燃やしたら」

神父「黒水晶の色が、赤に変わったと?」

121: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:16:53.45 ID:RdN9bzOs0

カル「はい。俺もびっくりしました」

神父「(暗闇の妖精、炎使い……まさか!!)」

カル「もう嫌な感覚はしないし、身に付けても大丈夫だと思います」

神父「……そうですか」

カル「あの、やっぱり駄目でした? 色変わっちゃったし」

神父「いえいえ、そんな事はありません。ありがとうございます」チャラ

カル「おぉ、ちょっと派手になっちゃいましたけど、似合ってますよ」

122: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:17:49.57 ID:RdN9bzOs0

神父「そうですか? ありがとうございます」

ヂリッ…カッ!!

カル「首飾りが光った!? なにが!?」

神父「うっ…」ドタッ

カル「神父さん!! 大丈夫ですか!?」

神父「え、ええ。一瞬、くらっときただけです」

カル「……やっぱり、お金は受け取ってくれませんか?」

123: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:19:30.14 ID:RdN9bzOs0

神父「それは、出来ません。それに」

カル「ど、どうしました?」

神父「どうやら、病は失せたようですから」

カル「えっ?」

神父「嘘ではありませんよ?」

カル「そんな、病気が急に治るわけ」

神父「炎を司る者」

124: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:25:55.95 ID:RdN9bzOs0

カル「は、はい?」

神父「汝、その身に浄火を宿し闇を照らし、穢れを焼き尽くすであろう」

カル「あの、それは?」

神父「暗闇の妖精と戦った四人の戦士の物語。その一文です」

カル「へぇ、何か格好いいですね」

神父「ふふっ、これは貴方の事ですよ」

カル「へ? 俺が、炎を司る者?」

125: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:27:17.80 ID:RdN9bzOs0

神父「ええ、私にはそう思えてなりません」

神父「事実、私の中の穢れ。この場合は病ですね。それが消えた」

カル「そんな凄い炎なら、神父さんまで燃えちゃうんじゃ?」

神父「ええ、私自身が穢れ。そう判断されれば、消し炭になっていたでしょうね」

カル「……あの、体は本当に大丈夫なんですか?」

神父「勿論。先程まで体中を刺すような痛みも、今では綺麗さっぱり無くなりました」

神父「憑き物が落ちた。正にそんな心地です」

126: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:29:39.13 ID:RdN9bzOs0

カル「何だか良く分からないですけど、病気が治ったなら良かったです」

神父「貴方の方こそ大丈夫ですか? 随分お疲れのようですが」

カル「黒い蛭を燃やすのに炎をかなり使っちゃって……」

カル「それに病気治ったって聞いて安心した所為か、どっと疲れました」

神父「空き部屋で良ければ自由にお使い下さい。私には、これくらいしか」

カル「いやいや十分ですよ!! それに、俺が勝手にやった事ですから」

神父「……本当に、ありがとうございます」

127: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:30:28.82 ID:RdN9bzOs0

カル「お礼なんていいですって。それより、あの子達に元気な顔見せてあげて下さい」

神父「(こんな心優しい青年が、過酷な戦いに身を投じるのか……)」

カル「どうしました?」

神父「いえ、力を宿したのが貴方のような人物で良かった」

神父「そう思う反面、何故貴方のような人物に力を授けたのか。そう思っていました」

神父「戦いなど、辛いだけでしょうに」

カル「殴ったりするのは確かに嫌ですけど、それしかないなら、やるしかないですよ」

128: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:33:36.71 ID:RdN9bzOs0

カル「強いって、そういう事だと思うんです。投げ出さないって言うか、逃げないって言うか……」

神父「(この瞳。やはり、なるべくしてなったのかもしれない)」

神父「……今更ですが、お名前は?」

カル「あれ、言ってませんでしたっけ? 俺はカルです。カル・アドゥル」

神父「カルさん、良ければ泊まっていってくれませんか。子供達も喜びますので」

カル「そういう事なら是非!! 俺、女盗賊さん呼んできます」

神父「え?」

カル「きっと喜びますよ? さっき子供達と一緒にいましたから、すぐに連れて来ます!!」ダッ

ガチャ バタン

神父「ふふっ、全く忙しい人だ」

129: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:35:42.66 ID:RdN9bzOs0

ドンッ…

『痛っ、ちゃんと前見て走れ!! バカ!!』

カル「すいません。ってあれ、女盗賊さん!? なんで」

神父「どうしました? 一体何の騒ぎです?」

女盗賊「町の広場に、火を吐く化け物が出たんだ!! だから避難しろって伝えに来たんだよ!!」

神父「火を吐く、化け物?」

女盗賊「ああそうだよ。嘘臭いから見に行ったら町は大騒ぎで、兵士が化け物と戦ってた……」

女盗賊「とにかく!! あんなのに勝てっこない。チビ達を連れて早く逃げないと」

カル「神父さん。俺、行って来ます!!」ダッ

130: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 21:42:31.56 ID:RdN9bzOs0

女盗賊「バカっ、死ぬ気!? あんたに何が出来るわけ!?」

カル『大丈夫!! なんとかしてみせる!!』

女盗賊「行っちまった…あんな化け物、絶対倒せるわけない」

神父「我々は、我々の出来る事をしましょう。子供達の避難が優先です」

女盗賊「あいつを見殺しにする気かよ!? あたしも行く!!」ダッ

ガシッ…

神父「待ちなさい!!」

女盗賊「離せよっ!!」

神父「離しません!! カルさんにはカルさんの、我々には我々のやるべき事があるのです!!」

女盗賊「っ、何だよ…それ」

神父「(カルさん。どうか、ご無事で)」

131: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 22:14:15.20 ID:RdN9bzOs0

※※※※

篝火の町・広場

カル「もう、此処には居ないのか?」

露店が全て燃やされてる。

それに、炎が黒い。

黒水晶を身に付けた人間の仕業なのか、それとも他の何かが?

くそっ、酷い臭いだ。

所々に見える黒い塊は、死体で間違い無い。自我があるとしたら、武芸者とは質が違う。

奴は、民を殺しはしなかった。

だがこれをした奴は、そんなの関係無しだ。

132: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 22:18:07.21 ID:RdN9bzOs0

早く見つけないと、被害者が増え続ける。

カル「どこに居る……?」

何だ? 地面が揺れてる。地震か?

いや違う。何かが向かって来てる……

あれが炎を吐く化け物か。武芸者とは、形態が全然違う。

人の面影が全く無い。四つ脚で疾駆する姿は正に獣だ。

炎獣「ゴアァァァッ!!」

カル「っ、何て声だ……」

133: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 22:20:00.66 ID:RdN9bzOs0

元が、猪か何かなのか?

黒水晶で変化するのは、人間だけじゃない?

一体どうやって……

くそっ、分からない事だらけだ。

とにかく、これ以上被害が拡大する前に倒さないと。

カル「……あれ?」

炎獣「ブオァァッ!!」ダダッ

ズドンッ

カル「がっは…」ドサッ

何でだ!? 何が起きた!?

ーー何で、炎が出ないんだ!?

134: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/14(金) 22:24:16.09 ID:RdN9bzOs0

次回「意地」

135: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:36:10.93 ID:ha7ZXO8F0

カル「ぐっ、うぅ」ググッ

戦う術が無い。

炎が使えないなら、どうすればいいんだ?

普通に戦ったって、恐らく通じない。

武芸者の時だって、炎を使ってようやく倒せたんだ。

唯一、望みがあるとすれば……

炎獣「ブオァァッ!!」ダダッ

カル「っ!!」

136: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:37:50.77 ID:ha7ZXO8F0

突進が速い。

さっきの突進をまともに喰らったせいか、まだ視界が定まらない。

あの突進、後何度躱せるか分からない。

カル「どうにか、しないと」

黒水晶は、背中に刺さっていた。

誰かが刺した。あれは、人為的に変化させられたんだ。

まだ時間が経っていないのか、黒水晶のツタは、猪の全身には達して無い。

どうにか、背中に乗れれば……

137: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:39:22.40 ID:ha7ZXO8F0

炎獣「ブルルルッ」

俺を狙ってくれるのは嬉しいけど、戦う力が無い。

何度も試したけど、やっぱり炎が出る気配は無かった。

炎獣「ブルッブルルッ!!」ザッザッ

カル「(次が来る。なにか、何かないのか……)」

炎獣「ブルオォォッ!!」

カル「(っ、駄目だ。避けきれないっ)」

ドガッ…

138: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:40:27.36 ID:ha7ZXO8F0

カル「うぅっ」ズリッ

何だか衝撃が軽かったような……

助かったのか?

待て、さっきの突進とは全く感覚が違った。

奴の突進なら、間違い無く死んでたはずた。

何かに、違う何かに突き飛ばされたんだ。

でも、一体誰が……

カル「うぅ!? なっ、やめ」

139: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:41:39.21 ID:ha7ZXO8F0

顔、舐められてる。

この臭い。人間じゃあ無いよな。

だったら、何だ。

まさか……

カル「白月か!!」ガバッ

白月「ブルッブルルッ」ペロ

カル「よしよし、もう大丈夫だ。放っといてゴメンな」

140: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:43:22.34 ID:ha7ZXO8F0

ごめんな白月。

今はお前と戯れてる暇は無いんだ。

戦えないないなら、戦えないなりに何かやるしかない。

カル「…………」

そうだ。白月で引き付けて、町を出ればいい。

そうすれば、被害拡大は防げる。

カル「白月、頼む」

白月「ブルルッ……」スリスリ

カル「ありがとう。じゃあ、行こう」タンッ

141: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:45:11.25 ID:ha7ZXO8F0

まずは、奴の周囲を走って挑発する。

剣で斬りつけるってのもありだな。

取り敢えず、意識を完全にこっちに向けてくれればそれでいい。

カル「行くぞ、白月」ポンッ

白月「ブルッ…」カカッ

そうだ。円を描くようにゆっくり。

それから速度を上げて、一気に近付く。よしっ、いける。

一度、馬上から黒水晶を狙って斬りつけてみよう。

怒ってくれればいいけど。

142: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 01:47:49.04 ID:ha7ZXO8F0

カル「ぜりゃっ!!」

ガギンッ…

炎獣「ブッギャアアアッ!!」

効いてる?

まだ黒水晶との繋がりが甘いのか?

これなら、剣でもいけるかもしれない。

それにしても、町中はまずい。あの調子なら、絶対に追ってくるはずだ。

それに外に出れば、もっとやりやすくなる。

カル「こっちだ!! 来いっ!!」

炎獣「ブルッ…ブルオォォッ!!」ダダッ

147: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 15:58:46.67 ID:FFv3KdCn0

※※※※

カル「くっ、速い」

炎獣「ブガアァッ!!」ズドドッ

草原におびき寄せたのはいい。

でも、距離が近過ぎる。これ以上は引き離せない

白月だから、まだ距離を保っていられるんだ。

並の馬なら、とっくに追い付かれて吹っ飛ばされてる。

このままじゃ、じきにやられる。いくら白月だって、長くは保たない。

得体の知れない化け物に追われてるんだ。

急激に疲労する事だって、十分にありえる。

炎獣「フゴッ!!」

148: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:04:06.50 ID:FFv3KdCn0

カル「止まった? 何を……」

炎獣「ゴアァァッ!!」グアッ

カル「炎か!? 走れっ、白月!!」ガッ

ゴオォォォ…

カル「っ、熱風が…」

何て火力だ。範囲も凄まじい。

仮に炎を使えていたとしても、勝てたかどうか。

あれを何度もやられたら、逃げ場か無くなる。

最悪、草原一帯が燃える。

149: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:05:27.80 ID:FFv3KdCn0

白月「フーッ…フーッ」

カル「白月……」

恐怖に耐えて走っただけでも、かなり消耗した筈だ。

挙げ句、炎なんて吐かれたら尚更だろう。

今もこうして俺を乗せていられる事自体、白月が強い証拠だ。

でも、白月もそろそろ限界だ。

一か八か、やってみるしかない。

150: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:07:28.08 ID:FFv3KdCn0

カル「もう一度、走れるか?」

白月「フーッ…フーッ…ブルルッ!!」

カル「ありがとう。じゃあ、行こう!!」ガッ

真っ正面から突っ込んで、ぎりぎりの所で曲がる。

横並びになった瞬間が勝負だ。

炎獣「ブルッ…ブルオォォ!!」ダダッ

カル「やっぱり向かって来たか…」

151: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:09:08.60 ID:FFv3KdCn0

カル「今だ。白月っ!!」グッ

よしっ、何とか躱せた。重要なのは、次の動作。

白月の背に立って、跳ぶ。

そして猪の背に刺さった黒水晶を、掴む。

カル「くっ、おおおおっ!!」バッ

ガシッ…

カル「何とか、なった……うぉ!?」グラッ

炎獣「ブギィィィッ!!」

カル「そりゃ、暴れるっ、よな!!」ガシッ

152: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:11:04.96 ID:FFv3KdCn0

炎獣「ブルオォォ!!」ダダッ

カル「ぐっ、振り落とされ…て」

グサッ…

カル「たまるか!!」

炎獣「フギャアアアア!!」

……短刀、持ってて良かった。

お陰で、さっきよりは、ちょっとだけ楽になった。

後は、この黒水晶を引き抜くだけだ。

片手じゃ難しいけど、やるしかない。

153: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:12:25.67 ID:FFv3KdCn0

カル「ぐぬぬっ!! 思ったより、深いっ」ググッ

炎獣「ブッ…ガアァァァ!!」ゴッ

カル「ぐっ、あぁぁっ!!」

コイツ、炎を吐くだけじゃない。

体に炎を纏わせる事も出来たのか!!

熱が、上がってる。早く抜かないと、焼かれる。

カル「なっ、蔦が伸びた!?」

154: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:14:19.04 ID:FFv3KdCn0

何でだ? さっきまでは、何の動き無かったのに。

伸びたのは炎を纏ってからだ。それから、蔦が急速に伸びた。

まさか、力を使った所為で黒水晶が反応した?

だから蔦の侵蝕が早まってるのか。

カル「うっ…」

蔦が、体に巻き付いてきた。俺ごと覆うつもりか。

でも、お陰で体が固定された。

これなら、いける。

155: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 16:15:47.73 ID:FFv3KdCn0

カル「もう、少しだ」

くそっ、さっきより熱いぞ。腹が燃えてるのが分かる。

それに胸、腕、太腿、右頬……

頭が、重い。息が苦しい、どうにかなりそうだ。

だけど、もう少しで、抜ける。

カル「諦めて、たまるか」ググッ

ズッ…ズズズッ

カル「…け…ろ。抜けろっ、抜けろおぉぉ!!」

158: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:13:23.71 ID:FFv3KdCn0

炎獣「ブ…ガ…」グラッ

カル「とっ、取れた」ドサッ

炎獣「ガッ…ブガッ……」ドスン

カル「まだ、生きてるのか」

繋がりが甘いから、死なずに済んだのか?

いやそれより、黒水晶を取り除いたのはいいけど、今の俺じゃあ、これを壊せない。

炎が、もう使えないとしたら……

もしそうなら、早く仲間を見つけなきゃならないな。

159: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:14:52.12 ID:FFv3KdCn0

後は町に戻って黒水晶の存在を知らせて、色々説明しないと。

そしてその情報を、国王に伝えて貰えれば……

そうすれば、神父さんみたいな被害に遭う人も減る。

こんな危険な物、誰の手にも渡しちゃ駄目だ。

人。まして動物さえも苦しめる物は、あっちゃ駄目なんだ。

カル「…白月、いるか?」

白月「ブルッ…」ペロッ

カル「無理させて、ごめんな」ポンッ

160: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:17:33.32 ID:FFv3KdCn0

目が霞む。っていうか、右目が見えない。

着物は勿論、密着していた部分は、炎でかなりやられた。

火傷、酷い事になってるだろうな。

全く。旅の初日だっていうのに、随分と散々な目に遭ったもんだ。

カル「……それは、俺だけじゃないか」

篝火の町は、その多くが破壊されて、人も亡くなった。

町を守ろうとした兵士。

逃げ遅れた人、きっと訳も分からない内に死んだ人だっているだろう。

161: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:19:58.58 ID:FFv3KdCn0

カル「…………」

今頃きっと、消火作業や怪我人の手当てで大変だろうな。

炎獣「ブ…ガッ…」

……この猪が町を壊し、人をころしたのは確かだ。

でも、そうさせた奴は別にいる。

そいつを止めない限り、黒水晶による被害が無くなる事はないだろう。

だから早く町に戻って、俺が知っている事、今回の事件の原因を説明しないと。

早く行かなきゃならないのに、体が動かない。

162: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:21:42.60 ID:FFv3KdCn0

カル「やっぱり駄目だ。自力じゃ立てそうに」

白月「ブルルッ!! ヒヒーン!!」

カル「白月? どうした?」

『見つけた!!』

カル「えっ、誰…」

「っ、酷い火傷……おいっ、しっかりしろ!!」

カル「この声、女盗賊さん?」

163: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:22:52.60 ID:FFv3KdCn0

女盗賊「うっさい喋んな。今から町に運ぶ」グイッ

カル「あ、はい」

助けに来てくれたのか。

人を眠らせて、金品強奪を企ててた人とは思えない行動だ。

やっぱり、本当は優しい人なんだ。

女盗賊「あんたの馬、借りるよ。ちゃんと掴まりな」

164: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:23:54.01 ID:FFv3KdCn0

女盗賊「じゃっ、行くよ」ガッ

カル「……………」

ガガッ…ガガッ

カル「あのっ、女盗賊さん」

女盗賊「喋んなって言ったろ。それよりあんた、随分無茶したね」

女盗賊「火傷、かなり酷いよ。見てるこっちが、痛くなるくらいに…」

カル「それより、町はどうですか?」

女盗賊「……火は大分収まった。死んだ奴は、大半が兵士だったよ」

165: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:26:31.34 ID:FFv3KdCn0

女盗賊「怪我人はかなりいるけど、あんた程じゃないよ」

カル「そうですか…良かった……」

女盗賊「ちっともよくねーよ、バカっ。あいつも、かなり心配してたぞ」

カル「す、すいません」

女盗賊「でも」

カル「……?」

女盗賊「あんたがいなきゃ、もっと沢山の人が死んでた」

166: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:29:54.03 ID:FFv3KdCn0

カル「……………」

女盗賊「な、なんだよ」

カル「あっ、いや。誰も死なないのが、一番良いのになって……」

女盗賊「……疲れてんだろ。少し、休め」

カル「女盗賊さん」

女盗賊「なんだよ」

カル「助けてくれて、ありがとう」

女盗賊「(っ、それはこっちの台詞だっつーの、お人好し田舎バカ)」

女盗賊「……こっちこそ、ありがとよ」

167: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 20:31:29.36 ID:FFv3KdCn0

次回「戦士の休息」

169: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:14:43.78 ID:IQAimfpE0

※※※※

篝火の町・広場

娘「あっ、シスターさん」

女盗賊「あ? なんだ…すか?」

娘「カル様の具合はどうですか?」

女盗賊「あいつなら、まだ目を覚まさねー。ですよ?」

娘「あのっ、これ」サッ

女盗賊「なにこれ」

娘「カル様に、渡して下さい」タタッ

女盗賊「めんどくせーな、自分で渡せ…って、いねーし」

170: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:15:53.13 ID:IQAimfpE0

ーー商店街

おばちゃん「あら、シスターさん」

女盗賊「ようっ、こんにちは」

おばちゃん「あの子、まだ目を覚まさないの?」

女盗賊「ああ。ぐーすか寝てやがる…ますよ」

おばちゃん「心配だわねぇ、早くお礼したいわぁ」

女盗賊「目が覚めたら、教えてやるよ」

おばちゃん「そうだ、これ持っていきな」ドサッ

女盗賊「いいのか? 食い物少ねーのに」

171: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:17:40.39 ID:IQAimfpE0

おばちゃん「いいのいいの。お医者さんの手伝いで疲れてるでしょ?」

おばちゃん「家の旦那も、世話になったからね」

女盗賊「おうっ、ありがとな」

スタスタ…

おじさん「お、教会の姉ちゃん」

女盗賊「あ? なんか用か?」

おじさん「あの坊主、まだ目ぇ覚まさねぇのか?」

女盗賊「まだ寝てるよ。峠は越したから大丈夫だけどな」

おじさん「目ぇ覚めたらよ、ウチの店にメシ食べに来い。って言っといてくれや」

女盗賊「おう、ちゃんと言っとく」

スタスタ…

172: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:19:50.84 ID:IQAimfpE0

店主「あのッ!!」

女盗賊「んだよ!!」

店主「カルさんはッ、大丈夫ですかッ!?」

女盗賊「峠は越したから大丈夫だよ!!」

店主「そうですかッ!!」

女盗賊「じゃあな…」

店主「ちょっと待って下さいッッ!!」

173: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:25:28.61 ID:IQAimfpE0

女盗賊「うっせーな!! なんだよ!?」

店主「この着物ッ、お返ししますッ!!」

女盗賊「それ、あいつの……良いのかよ? 高値で買い取ったのに」

店主「彼は、町を救ってくれた。多くの命を救ってくれた」

女盗賊「……そうだな」

店主「私には、こんな事しか出来ません。目が覚めたら、これを渡して下さい」スッ

女盗賊「分かったよ。あ、あのさっ、あんたから受け取った金は手付かずなんだ」

女盗賊「だから、後で返しに来る。あいつなら、そうするだろうし」

174: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:32:44.02 ID:IQAimfpE0

店主「いえ、結構です」

女盗賊「えっ、なんでだよ」

店主「商売を再開すれば、すぐに取り戻せますから」ニコッ

女盗賊「そうかい、じゃあな」

店主「ちょっと待って下さい」

女盗賊「ん? どうした?」

店主「出来ればッ!! 返して頂けると助かりますッ!!」

女盗賊「じゃあ最初からそう言え!! 変な見栄張るんじゃねーよ!!」

店主「すいませんッ!!」

女盗賊「じゃあな」

店主「はいッ!! では失礼ッ!!」ザッ

スタスタ…

女盗賊「……………」ピタッ

女盗賊「あのハゲ……普通に喋れんじゃねーか!!」

175: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 23:33:56.15 ID:IQAimfpE0

つづく

177: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:36:16.65 ID:Qdox9Nvg0

※※※※

篝火教会・空き部屋

カル「すぅ…すぅ…」

医師「あの不良娘をよく更正出来たな」

医師「言葉遣いは相変わらずだが、今じゃシスターなんて呼ばれてるぜ?」

神父「元々ああいう子なんです。私は何もしていませんよ」

医師「若い娘を誑かすなんて、悪い神父もいたもんだ」

神父「…………」

178: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:37:50.58 ID:Qdox9Nvg0

医師「冗談だ。そんな目で睨むな」

神父「それより、今日で五日目です。彼の容態はどうですか?」

医師「何度も言っただろ?」

医師「峠は越えた。後は目が覚めるのを待つだけだ」

神父「右目はどうですか?」

医師「網膜は完全に治癒してる。全く、馬鹿げた回復力だよ」

神父「では…」

179: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:38:48.57 ID:Qdox9Nvg0

医師「ああ、起きる頃には視力は戻ってるだろうよ」

神父「医師。他にも怪我人がいる中、ありがとうございます」

医師「気にするな。それに、俺は消毒くらいしかしていない」

神父「そうなのですか?」

医師「ああ。運ばれてきた時は、正直諦めていたんだがな」

神父「私はその時、教会に居ましたので。そんなに酷かったのですか?」

医師「酷いなんてもんじゃない。焼け爛れた死体かと思ったよ」

180: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:40:20.10 ID:Qdox9Nvg0

カル「すぅ…すぅ」

医師「……仮に治療したとして、回復する見込みは殆ど無かった」

医師「それがどうだ? たった五日でここまで回復してる」

神父「私の話し、信じて下さいましたか?」

医師「精霊の加護、か。こんなものを見せられれば、信じざるを得ないわな」

神父「彼が居なければ、町は壊滅的な状態になっていたでしょう」

カル「白月…が…飛ん…でる…」

181: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:41:56.23 ID:Qdox9Nvg0

医師「なあ、本当にコイツが化け物を倒したのか?」

神父「ふふ、まだあどけなさが残る青年ですが、間違い無いでしょう」

医師「あんな火傷を負った癖に、幸せそうな顔して寝ていやがる」

神父「彼は、そういう人なんですよ」

医師「話しは変わるが、町を襲った化け物。あれは猪らしいな」

神父「ええ、あの子に聞きました」

医師「その猪だが、まだ見つかってないそうだ」

182: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:44:40.01 ID:Qdox9Nvg0

神父「……もう町には来ないと思いますが」

医師「コイツが持っていた黒水晶、それが猪を凶暴化させた。そう言ったな」

神父「ええ、貴方は何かを感じませんでしたか?」

医師「確かに言いようのない何かを感じた。心身に害を為すだって事は分かる」

医師「だがな、それを信じる奴がいるか?」

神父「…それは」

医師「俺はお前と付き合いが長い……」

医師「だから、荒唐無稽な話しを最後まで聞いた」

183: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 03:49:07.10 ID:Qdox9Nvg0

医師「だが他の奴なら、お前の頭を疑うぞ?」

医師「ましてあの猪を擁護するような発言は、他の奴の前では絶対にするな」

医師「例え凶暴化していたのが真実だとしても、あの猪に殺された者がいる」

医師「これは、事実だ」

神父「大丈夫です。それは、分かっていますから…」

医師「そうか、ならいい」

カル「…爺…ちゃん……」

神父「何にせよ。彼が目覚めるのを待つしかないでしょう」

186: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:32:44.87 ID:HWtom0gt0

医師「まっ、コイツならもう大丈夫だ。じきに目を覚ますさ」

神父「そうですか。ありがとうございました」

医師「礼はいいよ。それじゃあ俺は、普通の怪我人の治療に戻るとするよ」

神父「また手伝える事があれば、何でも言って下さい」

医師「いや、大分落ち着いてきてるから問題無い」

医師「それに、聖堂を貸してくれただけでも十分だ。子供達も、手伝ってくれてるしな」

カル「すぅ…すぅ…」

医師「ふっ、じゃあな」

神父「ええ、貴方も体には気を付けて下さいよ?」

187: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:37:20.20 ID:HWtom0gt0

医師「そうは言っても、休む暇が無いんでな。んじゃ、またな」

神父「ええ、また」

ガチャ…バタン

カル「すぅ…すぅ」

医師「カルさん。せめて今は、ゆっくり休んで下さい……」

コンコンッ…

女盗賊『入るよ?』

神父「あ、はい。どうぞ」

ガチャ…バタン

188: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:39:04.09 ID:HWtom0gt0

神父「お帰りなさい」

女盗賊「なんだよ、まだ起きてねーのか」

神父「きっと疲れが溜まっているんです。気長に待ちましょう」

カル「そんなの…おとこわり…だ」

女盗賊「……お断りだろうが、バカ」

女盗賊「つーかさ、医者も大変なんだな、廊下走ってったよ」

神父「近隣の町からも医者は来ていますが、それでも足りないのでしょう」

189: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:41:01.19 ID:HWtom0gt0

女盗賊「瓦礫の撤去にも、時間がかかりそうだった」

神父「……そうですか」

女盗賊「それでも、被害は少ない方だよ」

カル「べ…すとを…つくせ」

女盗賊「それも、こいつのお陰だな」

神父「ええ、そうですね。ところで、その荷物は何です?」

女盗賊「言っとくけど、盗んだんじゃねーからな」

190: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:42:10.63 ID:HWtom0gt0

神父「ふふ、分かっていますよ」

女盗賊「町の皆が、こいつにやってくれってさ」ドッサリ

神父「そ、そうですか。凄い量ですね」

女盗賊「持ってくるの大変だったんだぞ」

神父「……女盗賊さん」

女盗賊「な、なんだよ。急にかしこまって」

神父「怪我人の搬送や手当て、ありがとうございました。それに子供達の世話まで」

191: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:43:26.11 ID:HWtom0gt0

女盗賊「あっ…べ、別にいいよ」

女盗賊「あたしがしたいから、しただけだし」

神父「それでも、ですよ」ニコッ

女盗賊「あっ、あのさ」

神父「何です?」

女盗賊「これからも、ここにいて良いか?」

神父「えっ?」

女盗賊「ほ、ほらっ、あんた一人じゃチビ達の相手は辛いだろ?」

192: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:44:11.02 ID:HWtom0gt0

女盗賊「だから、その……」

神父「私からも、頼みがあります」

女盗賊「な、なんだよ?」

神父「良ければ、此処に居て下さい。貴方がいると、その、私も嬉しいですから」

女盗賊「そっ、そうか。し、仕方ねー奴だな」

女盗賊「じゃあそういう事だから、これからよろしくな」

神父「えっ、ええ、此方こそ」

193: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:50:10.10 ID:HWtom0gt0

女盗賊「つーかお前、後任者の話しはどうなった?」

神父「大丈夫です。なんとか取り下げて貰いましたから」

女盗賊「そうか、よかった……」

神父「病気も、治りましっ」

グイッ…ギュッ

女盗賊「おい。どこにも行くなよ?」

神父「あっ、う、いやその……はい」

ギュッ…

女盗賊「あっ…」

神父「私は、何処にも行きません」

カル「(……神父さん、女盗賊さん。良かったですね)」

カル「(とりあえず、もう少し寝ようかな)」

194: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/16(日) 16:51:32.46 ID:HWtom0gt0

次回「帰還」

198: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:29:43.62 ID:EHaIykqL0

※※※※

篝火教会・空き部屋

カル「んーっ、寝たなぁ」

あ、夜になってる。月が真ん丸だ。

神父さんや女盗賊さんは、もう休んでるのかな。

カル「痛っ…」

やっぱり、まだ所々痛む。

だけど、どういうわけか、右目が見える。

全然見えなかった筈なのに。

199: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:30:47.48 ID:EHaIykqL0

カル「……火傷も、治ってる。何でだ?」

何日寝てたんだろ? 俺の体は、どうなってる?

何だか、ちょっと怖いな。

カル「まっ、考えたって仕方無いか」

そう言えば、俺は炎の事とか何にも知らないな。

あ、神父さんなら、何か知ってるかもしれない。

でも夜も遅いし、明日にした方が良いよな。

寝てたら悪いし。

200: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:31:29.69 ID:EHaIykqL0

カル「………………」

駄目だ。

目が冴えて寝れそうに無い。

少し、外でも歩いてこようかな。

町の様子も気になる。

どうせ布団に入ってても、色々考えるだけだ。

カル「あれ? この着物」

これ、呉服屋に売った筈なのに、なんで此処に?

何だろ、他にも色々置いてある。

201: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:32:07.53 ID:EHaIykqL0

果物、花飾り、手紙。

後は折り鶴に……似顔絵?

これ、子供達が書いてくれたのか。

うわぁ、めちゃくちゃ嬉しい。明日、お礼言わなきゃな。

カル「さて、着替えるか」

お、やっぱり着心地が違うな。

呉服屋の店主さんにも、会いに行かないとな。

202: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:33:02.71 ID:EHaIykqL0

※※※※※

篝火の町・広場

カル「広場が、一番酷いな」

着替えを済ませて部屋を出ると、聖堂には沢山の人がいた。

しんと静まり返っていて、皆は寝ているようだった。

きっと、住まいを失った人や、傷を負った人達だろう。

教会の子供達は、聖堂の一画で寄り添って寝ていた。

その中には、親を失ったであろう子供も……

カル「傷付いたのは、町だけじゃない」

203: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:33:55.64 ID:EHaIykqL0

家が直って、町並みが蘇っても、失われた命だけは、戻らない。

爺ちゃん……爺ちゃんに会いたい。

ーー泣き声を言うな。お前がするべき事はなんじゃ?

とか言われそうだけど、やっぱり悲しいよ。

もっと色々な話しを、聞きたかった。

カル「仲間か。どこにいるんだろうな……」

スタスタ…

カル「お、いたいた」

白月「ブルッ…ブルルッ」

204: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:35:42.70 ID:EHaIykqL0

カル「よしよし、元気だったか?」ポンッ

白月「ブルッ…」スリスリ

カル「あの時、お前がいたから何とか出来たんだ」

カル「本当にありがとう」ナデナデ

白月「ブルルッ…」
カル「月明かりもあるし。少しだけ外走るか」タンッ

カカッ…カカッ…

205: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:36:51.19 ID:EHaIykqL0

兵士「あ、おい。こんな夜更けに何処へ行く」

カル「あっ、すいません。目が冴えて、何だか眠れなくて」

兵士「ん? もしかして、君がカルか?」

カル「あれ、何で名前を?」

兵士「町は君の話題で持ちきりだ。知らない者などいないさ」

カル「そうなんですか? 何だか照れますね」

206: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:37:39.97 ID:EHaIykqL0

兵士「ふっ、目が覚めたようで何よりだ。皆が心配しているよ」

カル「今は皆寝てますから、朝になったら顔出します」

兵士「そうか。ところで、体は大丈夫なのかい?」

カル「はい。もう大丈夫です」

兵士「(まさかこんな爽やかな青年だったとはな……もっと猛々しい男かと思っていた)」

カル「どうしました?」

兵士「あぁ、想像と違ったものでな。ところで、何処へ行くつもりだい?」

207: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:38:50.28 ID:EHaIykqL0

カル「ちょっと外を見て来ようかなって。駄目、ですかね?」

兵士「ああ、駄目だ」

カル「うっ…すぐに帰って来ますから。お願いします」

兵士「そんな顔しても駄目」

兵士「君に何かあったら何を言われるか分からない」

カル「じゃあ五分、五分で帰って来ますから」

兵士「……五分だな」

カル「はいっ、五分です」

208: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:40:42.38 ID:EHaIykqL0

兵士「はぁ…分かったよ」

カル「いいんですか?」

兵士「行くなら早く行ってこい。だが、五分で帰って来なければ……」

カル「こっ、来なければ?」

兵士「町中は大騒ぎ。それから、君の捜索が始まるだろう」

カル「えっ」

兵士「じゃあ、今から数えるからな」

カル「い、行って来ますっ」ガッ

ガガッ…ガガガッ…

兵士「……まるで子供だな」

209: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:42:09.21 ID:EHaIykqL0

※※※※※

ーー草原

カル「……こっちからだ」

町を出る前から感じていた気配が、強くなってきた。

何かが、俺を呼んでる。そんな気がする。

黒水晶の時のような、嫌な感じはしない。気のせい、なのか。

カル「この辺のはず、なんだけどな」

やっぱり気のせいか?

210: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:43:24.55 ID:EHaIykqL0

早いとこ帰らないと兵士さんも心配するし、帰るか。

カル「また今度走ろうな」

白月「ブルッ………」

白月もまだ満足してなさそうだけど仕方無い。我慢しよう。

本当に捜索が開始されたら大変だし。

白月「ブルッ…ブルルッ!!」

カル「どうした!?」

あれは、町を襲った……

211: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:45:02.51 ID:EHaIykqL0

月明かりで照らされた猪の体は、傷だらけだった。

体には、まだ蔦が絡まっている。あれが猪を傷付けてるのか?

黒水晶を取り除いても、蔦は消えなかったのか。

炎獣「ブゴ…」

歩くたびに、膝を突きそうだ。いつ倒れてもおかしくない。

こいつが、妙な気配の正体? まさか、また町を襲うつもりだったのか?

いや、敵意は感じない。

212: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:46:02.14 ID:EHaIykqL0

炎獣「ブガッ…」ドスン

カル「何で、こんな所に……白月、ちょっと待っててくれ」タンッ

ずっと俺の目を見つめてる。

本当に、こいつが呼んでいたのか。

戦う力はなさそうだけど、油断は出来ない。

まだ炎を使えるのか試して無いけど、今なら、剣で何とか出来る。

『お前の手で、終わらせて欲しい』

213: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:47:20.40 ID:EHaIykqL0

カル「猪が、喋った…」

炎獣『喋ってはいない。お前の心に、語り掛けている』

カル「……信じられない」

炎獣『ならば、今から起きて見せよう』ググッ

カル「ほ、本当に立ち上がった…信じるしか、なさそうだ」

炎獣『それは助かる』

カル「でも、何で俺に」

214: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:48:12.93 ID:EHaIykqL0

炎獣『お前は、救ってくれた』

炎獣『後一つ。他の人間に討たれるのは我慢ならん』

カル「……俺も、一つ聞きたい事がある」

炎獣『何だ』

カル「化け物に変えたのは、誰なんだ?」

炎獣『それが、分からんのだ。気付けば、暴れていた』

カル「そっか……」

215: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:49:32.90 ID:EHaIykqL0

炎獣『お前が止めなければ、町を破壊し尽くしていた。礼を言う』

カル「お礼なんて、いいよ」

炎獣『頼む。お前の手で、止めを刺してくれ』

カル「……分かった」チャキ

炎獣『お前のような勇敢な人間に出逢えて、良かった』

炎獣『さあ、やってくれ』

カル「……っ!!」

ザンッ……ボッ…ゴォォォ…

216: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:50:14.47 ID:EHaIykqL0

カル「炎が出た!? 失ったわけじゃなかったのか?」

手を伝って剣から発した炎は、あっと言う間に猪を包み込んだ。

どす黒い蔦は、一緒にして焼失。

巨大な炎は、猪の姿を模しているように見えた。

カル「な、何なんだ?」

燃え盛る炎はやがて収束。

炎は、完全に猪の姿を取った。

217: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:51:38.25 ID:EHaIykqL0

それはゆっくりと、俺に近付いて来る。

怖ろしさは全く感じない。

それは気高く、神聖な獣。

視線が重なった次の瞬間、炎は渦となった。

カル「うわっ!!」

そしてその直後。

俺の両脚に、巻き付くようにして吸収された。

カル「な、何だったんだ、今の……」

218: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 02:56:47.49 ID:EHaIykqL0

次回「知識」

219: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:29:07.81 ID:EHaIykqL0

※※※※

篝火の町

兵士「……五分。だったよな」

カル「すいません。いやー、ちょっと色々ありまして」

兵士「ちょっと色々って何だ」

カル「えーっと、知り合い? と話してました」

兵士「なる程なる程。それで? その知り合いは一緒じゃないのか?」

カル「それが、挨拶しか出来なかったんですよ」

兵士「ほぉー」

カル「で、知り合いから聞いた話しなんですけど」

兵士「(雰囲気が変わった? 何故そんな顔を……)」

220: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:32:34.71 ID:EHaIykqL0

※※※※

篝火の町

兵士「……五分。だったよな」

カル「すいません。いやー、ちょっと色々ありまして」

兵士「ちょっと色々って何だ」

カル「えーっと、知り合い? と話してました」

兵士「なる程なる程。それで? その知り合いは一緒じゃないのか?」

カル「それが、挨拶くらいしか出来なくて」

兵士「ほぉー」

カル「あの、知り合いから聞いた話しなんですけど」

兵士「(雰囲気が変わった? 何故そんな顔を……)」

221: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:34:24.64 ID:EHaIykqL0

カル「あの火を吐く化け…猪の亡骸を見つけたって」

兵士「なに!! それは本当か!? 嘘じゃないだろうな」

兵士「近隣の町の兵士と協力して捜索しても、見つからなかったんだぞ?」

カル「嘘じゃないですよ。さっき、亡骸を燃やしましたから」

兵士「燃やしただって? この短時間でか」

カル「あの、兵士さん。俺の掌を、見て下さい」

…ボォォォ

兵士「なっ!?」

カル「……これで、燃やしました」

222: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:35:10.34 ID:EHaIykqL0

兵士「その炎は何だ。奇術、ではないよな」

カル「炎を司る者」

兵士「なに?」

カル「神父さんは、俺をそう言ってました」

兵士「精霊と四人の戦士。昔話しの、あれか?」

カル「はい。何で使えるかは全然分からないですけど、そうらしいです」

兵士「待て、何だか頭が痛くなってきた」

223: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:36:01.63 ID:EHaIykqL0

カル「そんなに考えなくても」

兵士「あのなぁ…お前は、分からない事が怖く無いのか?」

カル「んーっ、ちょっとは不安ですけど、大丈夫です」

カル「それより兵士さん。疲れてませんか?」

兵士「あ、ああ。この町の兵士の殆どが、化け物にやられたからな」

兵士「あの化け物がまた来るとも限らんし、ずっと見張り通しだった」

カル「じゃあ、代わります。兵士さんは休んで下さい」

224: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:37:03.31 ID:EHaIykqL0

兵士「は?」

カル「どうせ眠れないんで。俺は、夜が明けたら教会に戻ります」

カル「その時まで戻ってくれれば」

兵士「馬鹿野郎、お前だって起きたばかりだろうが。そんな事させられるか」クラッ

ガシッ

兵士「す、済まないな。だが任せるわけには」

カル「無理しちゃ駄目ですよ。俺なら、大丈夫ですから」

兵士「……分かった。何かあったら、すぐに呼ぶんだぞ。いいな?」

225: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 12:45:53.81 ID:EHaIykqL0

カル「はい、任せて下さい。白月もいるし、なっ?」

白月「ブルッ!!」

兵士「(着物も性格も、本当におかしな奴だ……)」

カル「……?」

兵士「(おかしな奴だが、皆に好かれているのも、分かる気がする)」

兵士「なるべく早く戻る」

カル「ゆっくり休んで下さい。じゃあ、また明日」

兵士「はぁ…ああ、また明日な」ザッ

カル「(町の皆も、つかれてるんだろうな)」

カル「明日から、何か手伝わないと」

230: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:22:13.72 ID:qxkiWw0v0

※※※※

カル「ふっ!!」

剣を振るのなんて、随分久しぶりな気がする。

あれから、まだそんなに時間は経ってないのに……

色々、あったからな。いや、ありすぎたくらいだ。

誰かと戦うとかじゃなく、思うままに体を動かすのは、やっぱりいい。

ーー里の皆は、元気かな。

カル「ふーっ、よし。良い感じだ」

白月「ブルッ…」コツン

231: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:23:23.31 ID:qxkiWw0v0

カル「ん? どうした?」

あ、いつの間にか、空が白んでる。

夢中になってたから、全然気付かなかった。

カル「一緒に見ようか」

白月「ブルルッ」

もうすぐ日が昇って、夜が明ける。

……兵士さんの様子からしても、町の皆も疲れてるんだろうな。

何か出来る事があれば、やらなきゃ。

232: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:26:05.74 ID:qxkiWw0v0

カル「……暗闇の妖精は、何が目的なんだろう」

それを確かめる為にも、精霊について知らなきゃ駄目だよな。

仲間がいれば、そりゃ頼もしいだろうけど、俺が足を引っ張ってちゃあ意味ないし。

カル「おっ、日の出だ。綺麗だなぁ」

まあ焦っても仕方が無いし、少しずつ進んで行くしかないか。

色々手伝いたいけど、この町に長居は出来ない。

暗闇の妖精を倒さない限り、こんな事が起きる。

他の場所にも奴等が現れたら……

233: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:27:17.78 ID:qxkiWw0v0

兵士「どうした? 難しい顔して」

カル「えっ? あ、兵士さん。おはようございます!!」

兵士「あ、ああ。おはよう」

カル「どうです? 眠れました?」

兵士「お陰様でな。どうだ?」

カル「はい?」

234: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:28:08.45 ID:qxkiWw0v0

兵士「この町だよ」

カル「好きですよ。町並みも、住んでる人達も全部」

兵士「俺もこの町が好きだ。だから、守りたいと思ってる」

カル「あのっ、すいません。俺がもう少し早く」

兵士「違う。俺が言いたいのは、そういう事じゃない」

カル「えっ」

兵士「お前は、何の為に戦ったんだ? この町の人間でも無いのに」

カル「…………」

235: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:29:19.24 ID:qxkiWw0v0

兵士「いや、済まない。そういうつもりじゃあ無いんだ」

兵士「何だか、少し気になってな」

カル「……多分、戦うのが嫌いだからだと思います」

兵士「なに? 戦うのが嫌いなら、何故戦う」

兵士「炎の力を得た責任からか?」

カル「うーん、何て言うのかな」

カル「嫌いな事だから、人に任せちゃいけない気がするんです」

236: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 22:30:59.09 ID:qxkiWw0v0

兵士「…………」

カル「それに、爺ちゃんに『俺が戦う』って言っちゃいましたから」

カル「その為に村を出たんだし。最後まで、やるつもりです」

兵士「……そうか」

カル「あっ、そろそろ教会に戻ります。白月の事、頼みます」ダッ

兵士「(最後まで、か。全く、呆れるほどに……)」

兵士「呆れるほどに、いい奴だよ。お前は……」

241: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:00:23.30 ID:LPTK/Z8D0

※※※※※

篝火教会

カル「あ、神父さん。おはようございます」

神父「はぁ…カルさん、一体何処へ行っていたのですか?」

カル「あ、いや。夜更けに目が覚めて、それで眠れなくて散歩に」

神父「それなら何故声を掛けて下さらなかったです?」

カル「寝てたら悪かなーと……」

神父「全く貴方は……子供達も女盗賊さんも心配しています」

カル「えっ、みんな早起きなんですね」

神父「……それより、カルさん」

カル「分かってます。黒水晶の事ですよね?」

242: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:01:56.13 ID:LPTK/Z8D0

神父「ええ。今は私の部屋に保管してあります」

カル「じゃあ、早速壊さないと。あの、神父さん」

神父「何でしょう?」

カル「黒水晶を壊したら、精霊の事で聞きたい事があるんですけど、大丈夫ですか」

神父「ええ、分かりました。私が知り得る範囲で良ければ、ですが」

カル「お願いします」

神父「では、中へ入りましょう」

243: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:03:12.40 ID:LPTK/Z8D0

※※※※※

神父の部屋

カル「じゃあ、早速やってみます」

ボォォォ…ビシッ…バキィン

カル「よし。あの、神父さん。何か異常はありまんでした?」

神父「ええ。触らない限り影響は無いものと見ていいでしょうね」

カル「でも、危険な物には変わりない」

神父「そうですね。ですが、まさか動物にまで黒水晶を使うとは……」

カル「俺もびっくりしましたよ。急に炎が出なくなっちゃうし」

神父「……今、何と仰いました?」

カル「いや、炎が出なかったんですよ。ちっとも、少しも、一切」

244: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:04:09.61 ID:LPTK/Z8D0

神父「で、では貴方は生身で戦ったと!?」

カル「対峙してから気付いたんで……すいません」

神父「何て無茶な事を……」

カル「でもまあ、白月がいたんで、何とか勝てました」

神父「まさか生身で戦っていたとは……」

神父「ですが重度の火傷。そう聞いた時から、おかしいとは思ってはいたんです」

カル「何をですか?」

神父「言いましたよね。貴方は、炎を司る者だと」

245: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:04:48.99 ID:LPTK/Z8D0

カル「はい。浄火を何とかって」

神父「そうです。穢れを焼き払うとも言いました」

カル「ああ、そう言えばそうですね」

神父「それは炎すら、例外では無いのですよ」

カル「えっ、それって炎が炎を焼くって事ですか?」

神父「それは分かりません。ですが……」

ゴソゴソ…

カル「……?」

246: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:06:09.62 ID:LPTK/Z8D0

神父「確か……ありました。この一文ですね」

神父「汝、清らかなる心あらば、黒き炎もまた、浄火とならん」

カル「えーっと、それってどういう意味ですか?」

神父「貴方の心が清らかであれば、黒い炎すら浄火に変わる」

神父「と言ったところでしょうか。この本によれば、ですが」

カル「なる程。じゃあ、あの猪の炎も自分の炎に出来た」

神父「そういう事になります」

247: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:07:17.70 ID:LPTK/Z8D0

カル「あの、質問があるんですけど」

神父「何でしょう?」

カル「俺と戦った武芸者は、雨を氷に変えて攻撃してきました」

神父「その理由は簡単です」

神父「それぞれ四つの力を司る者は、それを自由に出来る」

カル「なら奴は、水を、変化させた?」

神父「そうかもしれません」

神父「もしくは、そういった方法でしか攻撃出来なかったか」

248: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:09:12.62 ID:LPTK/Z8D0

カル「だったら俺は」

神父「ええ。貴方は、そこに存在する全ての炎を意のままに出来る。という事です」

カル「そんなに凄い力だったんですね……」

神父「確かに凄まじい力です。扱う者すら怖れる程でしょう」

カル「………」

神父「きっと、彼等は強い精神を持っていたのでしょうね」

カル「!! そうか、だから爺ちゃんは、心を曇らせるなって言ったのか」

神父「どうしました?」

249: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:10:40.78 ID:LPTK/Z8D0

カル「あっ、いや。何でもないです」

神父「……?」

カル「確かにそれを知っていたら、苦戦せずに済んだかもしれないです」

カル「でもあの時は、どんなに呼んでも炎は出なかった」

神父「……それなんですが、一つ心当たりがあります」

カル「えっ」

神父「カルさん。貴方は黒水晶の首飾り、その中の黒蛭を焼いた」

250: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:11:45.77 ID:LPTK/Z8D0

カル「あぁ、そういえば。色、赤くなっちゃいましたね」

神父「そこです」

カル「えっ?」

神父「貴方は首飾りを浄化したと同時に、ある物を生み出したのですよ」

カル「生み出した? 何をですか?」

神父「精霊石です」

カル「ははっ、そんなまさか」

神父「私は本気です」

251: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:13:27.63 ID:LPTK/Z8D0

カル「神父さん?」

神父「精霊石は、様々な恩恵をもたらす物」

カル「(そういえば、爺ちゃんの聞かせてくれた昔話しに、そんなのがあったな)」

神父「事実。これを身に付けた直後に、私の病は失せた」

神父「貴方は、これを生み出したが故に、一時的に力を失ったのです……」

神父「私は、貴方に詫びなければなりません」

カル「いいじゃないですか」

252: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:14:32.86 ID:LPTK/Z8D0

神父「えっ」

カル「だって、神父さんの病気は治ったんですから。ねっ?」

神父「(全く……本当にこの人には敵いませんね)

神父「(まだ短い付き合いだというのに、何度その笑顔に救われたことか)」

カル「だから、俺は大丈夫です」

神父「カルさん、ありがとうございます」

253: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:17:11.74 ID:LPTK/Z8D0

カル「いやいや、俺も色々教えて貰って助かってますから」

神父「……カルさん。後一つ、それと同じく証明された事があります」

カル「証明?」

神父「貴方が、真に、炎を司る者だという事です」

カル「いや、まあ。確かに炎は使えますけど」

神父「いいですか? 貴方が生み出したのは、精霊石です」

カル「あ、はい」

神父「精霊石は、精霊が人間に友情の証として授けた物」

254: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 02:22:08.76 ID:LPTK/Z8D0

神父「つまり、精霊にしか生み出す事は出来ない」

カル「あの、俺は人間ですけど……」

神父「四戦士の昔話しはご存知でしたよね?」

カル「ああ、はい。爺ちゃんに何度も聞かされましたから」

神父「その昔話しには、こうあります」

神父「精霊は四人の若者に、自らの力、その全てを与えた」

神父「いのちと、ひきかえに、と」

カル「あぁ!! 知ってます知ってます!!」

神父「それにより、四人の若者は、精霊と同等」

神父「もしくは、それ以上の存在になったと考えられます」

神父「恐らく貴方は、その力を授かった」

263: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:30:07.63 ID:T7kFKtob0

カル「多分、それは違います」

神父「失った視力が蘇り、死に至る火傷が五日で治癒しているんですよ?」

神父「これを精霊の加護と言わずに」

カル「ちょっ、神父さん。落ち着いて下さい」

神父「あっ。も、申し訳ありません」

カル「違うって言ったのは、そういう事じゃないんです」

カル「この力については、神父さんの言う通りだと思いますから」

神父「…? では、一体何が違うと?」

カル「『受け継いだ』って言う方が正しい気がして」

神父「……受け継いだ」

264: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:30:45.28 ID:T7kFKtob0

カル「はい。あの時、爺ちゃんが炎になったんです」

カル「その炎は、俺を優しく包んで、溶け込んだ……ような気がします」

神父「(っ、そうだった。カルさんは、お祖父様を……)」

神父「すいません。貴方の気も知らず、嬉々として語ってしまって」

カル「えっ? 謝る事なんて無いですよ」

神父「いやしかし」

カル「だって俺、凄く嬉しいですから」

神父「苦しくは、無いのですか? 私が言うのも……変な話しですが」

265: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:33:38.52 ID:T7kFKtob0

カル「ははっ、苦しいなんて言ったら爺ちゃんに叱られますよ」

カル「確かに色々な事が分かって、少し混乱してます。だけど……」

神父「……?」

カル「簡単な話し。爺ちゃんは俺の中に存在してて、もの凄い力を与えてくれるんですよね?」

神父「ま、まあ。そういう事になります」

カル「それが嬉しいんです」

カル「だから俺、これからは、もっと頑張れる気がします」

神父「(っ、辛い筈だ。苦しい筈だ。それなのに、彼は決して笑顔を絶やさない)」

266: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:35:25.00 ID:T7kFKtob0

神父「私も嬉しいです」

カル「えっ? 何がですか?」

神父「貴方のような人と出逢えた事が、ですよ」

カル「そうですか? いやー、面と向かって言われると照れますね」

神父「(炎を使えなくとも、彼には強い意志がある。だから猪と戦えたのだろう)」

神父「(そして、笑顔という……人を幸せにする力がある)」

カル「あっ、そうだった」

神父「どうしました?」

267: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:37:19.38 ID:T7kFKtob0

カル「その本に、暗闇の妖精について何か書いてませんか?」

カル「どんな奴だとか。それと、食い止める方法とか」

神父「……ではまず、暗闇の妖精が生まれた理由からですが」

神父「精霊達は人間への罰として、精霊石の力を封じた」

カル「はい。その所為で、空は真っ暗になるんですよね?」

神父「ええそうです」

神父「暗闇の妖精は、その時に生まれたのではないか、と記されています」

268: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:38:20.64 ID:T7kFKtob0

カル「じゃあ、精霊石の力を封じなかったら……」

神父「もしくは、人間が精霊達への感謝を忘れなければ……」

カル「暗闇の妖精が生まれる事は、無かった」

神父「そうなります」

カル「何だか寂しい話しですね」

神父「自分達の力だけで生きている。そう思ったのかもしれません」

神父「精霊が存在していた時代は、現在よりも遥かに発達していたようです」

269: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:41:33.16 ID:T7kFKtob0

カル「(兵器だか何だかを造っちゃうくらいだもんな……)」

カル「(どんな世界だったんだろう? ちょっと気になるけど、今はいいや)」

神父「カルさん?」

カル「あっ、すいません。続けて下さい」

神父「暗闇の妖精も、精霊と同じように凄まじい力を使えたようです」

カル「それは、どんな力ですか?」

神父「黒き雷や黒き炎などの禍々しい力、他にも様々ありますが……」

270: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:43:05.08 ID:T7kFKtob0

神父「真に恐ろしいのは、人々の暗部を増長させる事です」

カル「だから戦っても戦っても、戦争が終わらなかった」

神父「ええ。その力は、暗闇の妖精を討つまで続いたようです」

カル「……倒す方法とかって、書いてありますか?」

神父「倒す術に関しては、四人が協力して倒した……」

神父「としか、記されていません」

カル「(だったら、早く仲間を探さないと……)」

271: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:44:18.42 ID:T7kFKtob0

カル「(でも、この町の人達はどうする? 何もせずに立ち去るのか?)」

神父「カルさん、これを」スッ

カル「えっ? それって子供達に貰った大事な物なんじゃ」

神父「この首飾りは、今や『精霊石』です。貴方が持っていた方が」

カル「精霊石。あぁ、そうか!!」

神父「ど、どうしました?」

カル「それ、神父さんが持ってて下さい」

272: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:46:37.42 ID:T7kFKtob0

カル「精霊石には、色々な力があるんですよね?」

神父「えっ、はい。そうですが」

カル「病気を治したんだったら、怪我だって治せる筈です」

神父「確かに可能でしょうが、私に扱えるかどうか……」

カル「大丈夫ですよ。神父さんの方が、俺より詳しいし」

神父「あの、何故そう断言出来るか聞いても?」

カル「神父さんがいい人だからです」

273: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 23:55:32.98 ID:T7kFKtob0

神父「はぁ…それでは答えになっていませんよ……」

カル「ははっ、確かにそうですね。でも一応、作った本人ですから」

神父「では、私が使えない場合はお渡しします。それで宜しいですね?」

カル「はい。そんな事にはならないと思いますけど」ニコッ

神父「では早速試してみます。かなり気が引けますが……」

カル「神父さんなら絶対使えますよ。俺、外のベンチで待ってますから」

神父「分かりました。では、また」

ガチャ…パタン

カル「んーっ、何だか疲れた。こういうの、慣れてないからなぁ」

カル「よしっ、俺も行こう」

カル「(神父さんと話したら、町の人に挨拶して……)」

ガチャ…パタン

カル「(この町を、発つ)」

274: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 00:00:56.02 ID:WiqPJgSA0

次回「決断」

275: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:37:04.36 ID:C2b1xgsV0

※※※※※

篝火教会

カル「(色々分かったのはいいけど、奴等がどこに出るのか分からない)」

カル「(どうしても、後手になっちゃうんだよなぁ……)」

カル「未然に防げれば、それが一番良いんだけど」

ズズズズズ……

カル「(何だ? 地面が盛り上がって……)」

ボゴンッ

カル「岩?」

ゴゴゴゴッ

カル「っ!! 来るっ!!」チャキ

バゴッ…パラパラ

少女「やっほう」ニカッ

276: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:37:30.26 ID:C2b1xgsV0

※※※※※

篝火教会

カル「(色々分かったのはいいけど、奴等がどこに出るのか分からない)」

カル「(どうしても、後手になっちゃうんだよなぁ……)」

カル「未然に防げれば、それが一番良いんだけど」

ズズズズズ……

カル「(何だ? 地面が盛り上がって……)」

ボゴンッ

カル「岩?」

ゴゴゴゴッ

カル「っ!! 来るっ!!」チャキ

バゴッ…パラパラ

少女「やっほう」ニカッ

277: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:41:21.26 ID:C2b1xgsV0

カル「……は?」

少女「やっと着いたー!!」

カル「(なんか、小麦肌の健康的な子が岩から出てきた)」

カル「(黒水晶は無いし、嫌な気配も無い……)」

少女「どうした? ソニャのことじろじろ見て」

278: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:42:27.76 ID:C2b1xgsV0

カル「あの、君は誰?」

ソニャ「えっ!? ソニャのこと分かんないか?」

カル「ごめん。全然分かんない……」

ソニャ「えぇー、ソニャは分かる。オマエの仲間だ。土、土が使える!!」

カル「へー、こんな小さいのに」ポンッ

ソニャ「へへ、偉いだろ?」

279: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:43:22.70 ID:C2b1xgsV0

カル「(……子供がいたら、こんな気持ちになるのかな)」

カル「…っていうか、本当に土の力を使えるの?」

ソニャ「今見たろ? 信じないか?」

カル「いや、突然の事だったから」

ソニャ「びっくりした?」

カル「あ、うん。凄いびっくりしたよ」

ソニャ「あははっ、そっか」

280: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:45:18.22 ID:C2b1xgsV0

カル「…………」

ソニャ「…………」ニコニコ

カル「えーっと、君はどうやって力を?」

ソニャ「ん?」

カル「力を受け継いだんじゃないの?」

ソニャ「分かんないけど、気付いたら使えた」

カル「気付いたら……」

281: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:47:21.07 ID:C2b1xgsV0

ソニャ「うん。なんか、水を使う悪いヤツが森に来た」

カル「水か……」

ソニャ「そいつ、すっごく嫌な奴で、追い出そうとしたら」

カル「したら?」

ソニャ「土とか木が守ってくれて、それから、ぶっ飛ばした」

カル「その人はどうなった?」

ソニャ「ぐだけちった」

カル「……あの、聞いてもいい?」

282: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:49:18.36 ID:C2b1xgsV0

ソニャ「いいぞ? なんでも聞け」

カル「何で俺の居場所が分かったの?」

ソニャ「土から、ぶわっ!! て伝わってきた」

カル「な、何が?」

ソニャ「いい奴がいるのはこっち。って」

カル「(そんな簡単に分かるものなのか? 俺には、何も感じなかったけどな)」

神父「カルさん、お待たせしました。おや? その子は?」

287: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:02:04.10 ID:C2b1xgsV0

※※※※

篝火教会・空き部屋

ソニャ「むにゃ…」

神父「この子の話しからすると、土の国から来たようですね」

カル「……森に住む民族で、森を守る為に戦った」

神父「そのようです。しかし、詳しい経緯は分かりませんでした」

神父「ですが、暗闇の妖精や精霊。そういった知識はあるようです」

カル「実際、俺より詳しかったです。もしかしたら、そういう部族なのかな」

神父「先程の会話からして、精霊への信仰心が強いようでした」

神父「服装もかなり独特なものですし、恐らくそうなのでしょう」

288: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:09:02.60 ID:C2b1xgsV0

ソニャ「…月牙…て…すぅ」

カル「神父さん、やっぱりこの子が?」

神父「地を司る者に間違い無いでしょう」

カル「……証明する為だけに、一瞬で俺の像を造り出しましたからね」

神父「力の使い方に慣れているようです。しかし、幼い」

カル「…………」

神父「カルさん?」

289: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:10:54.14 ID:C2b1xgsV0

カル「神父さんは精霊石を使えたんですよね?」

神父「確かに扱うことは出来ました。物が物だけに、素直には喜べませんが」

カル「それ、よろしくお願いします。町に役立てて下さい」

神父「……本当に私で良いのですか? 国王のような御方に渡した方が良いのでは?」

カル「んー、その方が皆の為になるなら、そうすると思います」

神父「分かりました。でしたら、その時までお預かりします」

カル「お願いします。じゃあ、俺は行きます」

290: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:13:05.66 ID:C2b1xgsV0

神父「この子を、置いて行くつもりですか?」

カル「ん? はぁ、出来ればそうしたかったんですけど」チラッ

ソニャ「!!…すぅすぅ…」ピクッ

カル「どうやら、そうも行かないみたいです」

神父「ふふっ。外見は幼くとも、彼女は戦士です」

神父「貴方の探していた仲間には違いないと、私はそう思いますが?」

ソニャ「…ソウダソウダ…すぅすぅ…」ニコニコ

カル「戦士、か。ソニャ、無理しない? 辛かったらちゃんと言う?」

ソニャ「無理しない!! ちゃんと言う!!」ガバッ

ソニャ「絶対、カルと一緒に行く!!」

291: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:16:17.24 ID:C2b1xgsV0

※※※※※

篝火の町

神父「もう夕方です。発つのは明日でも良かったのではありませんか?」

カル「折角仲間が来てくれたんだし、今日発ちます」

ソニャ『カル、早く行こーよー!! 白月も待ってるよー!!』

カル「ちょっと待って!!」

神父「(出逢って数時間、最早兄妹のようだ……)」

カル「それに、他の場所も気になります」

カル「国の対応がまだ無いって事は、黒水晶の被害が国王の耳に届いて無いんだと思います」

292: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:18:22.26 ID:C2b1xgsV0

神父「では、都を目指すと?」

カル「直接伝えれば対応も早まるし、他国の状況も聞きたいので」

神父「なる程。では、お気を付けて」

カル「はい。短い間でしたけど、沢山お世話になりました」

カル「本当にありがとうございす」

神父「此方こそ、町を救って頂きありがとうございます」

神父「町の皆を代表して、お礼申し上げます」

293: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:19:07.44 ID:C2b1xgsV0

カル「呉服屋さんや、食堂のおじさん、果物くれたおばさん」

カル「それと、編み物くれた女の子に、また来ますって言って下さい」

神父「ふふっ。はい、必ず」

カル「じゃあ、行ってきます」

神父「あっ、ちょっとお待ち下さい。これを」スッ

カル「手紙? これは……」

神父「子供達からです。お兄さんに遊んでもらったお礼。だそうですよ?」

294: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:21:42.78 ID:C2b1xgsV0

カル「うわっ、絶対大事にします。それより…その」

神父「あの子達なら、私が責任を持って育てます」

神父「まだ心を開いてはくれませんが『大丈夫です』」

カル「!! 頑張って下さい。俺、絶対また来ますから!!」

神父「ええ、お待ちしてます」

ソニャ『カル、まだかー!? 日が暮れちゃうぞー!!』

カル「ああそうだった。神父さん」

295: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:24:48.47 ID:C2b1xgsV0

神父「はい? 何でしょう?」

カル「女盗賊さんと、末永くお幸せに」ニコッ

神父「えっ、はっ? な、何故それを」

カル「!! じ、じゃあ、またいつか!! 白月、急ぐぞ!!」ダッ

ソニャ『じゃあねー!!』

神父「お気を付けて!! しかし、一体何に怯えて…」クルッ

女盗賊「あ、あ、あんの野郎。あの時起きてやがったな!!」

神父「まっ、まあまあ、いいじゃないですか」

女盗賊「うっさい!!」

296: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:29:29.28 ID:C2b1xgsV0

次回「田舎者と野人」

297: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:47:20.43 ID:XA0nOz300

※※※※※

草原

カカッ…カカッ…

ソニャ「おー、白月は速いなー!!」

白月「ブルルッ!!」ガガッ

カル「ははっ、だろ? 里で一番の馬なんだ」

ソニャ「へー、カルは何てとこに住んでた?」

カル「灯火の里って所。自然が沢山あっていい所だよ」

ソニャ「じゃあ、狩りとかするか?」

298: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:50:05.71 ID:XA0nOz300

カル「うん。山菜採りとかもするかな」

ソニャ「おー、気が合うな。ソニャも森で狩りするぞ?」

ソニャ「みんなに巧いって言われる!! 凄いだろ?」

カル「よしっ、じゃあ今後一緒に狩りするか?」

ソニャ「するっ!! 約束だぞ? 絶対な?」

カル「ははっ、うん。って言うか、ソニャ」

ソニャ「なんだ?」

299: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:51:34.55 ID:XA0nOz300

カル「何で俺の所に来たんだ? 他の二人の居場所は分からない?」

ソニャ「んー、一番はっきりしてたのがカルだった」

カル「はっきり?」

ソニャ「うん。一番優しくて、凄く暖かい感じがした。それにな?」

カル「どうした?」

ソニャ「族長が『火を頼れ』って言ったんだ」

ソニャ「だから、一生懸命暖かいの探した」

カル「ん? 何で族長さんは火を頼れって言ったの?」

300: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:54:55.07 ID:XA0nOz300

ソニャ「昔、炎使いが来て助けてくれたんだって。だからじゃないかなー」

カル「その時の炎使いは、どんな人だったの? ちょっと気になる」

ソニャ「剣術武術は得意だったけど、狩りがド下手だったって言ってた!!」

ソニャ「だから助けて貰ったお礼に、わざわざ族長が教えてあげたんだって」

カル「何だか……うん。言い話しだね。あのさ、ソニャの部族は何て言う部族なの?」

ソニャ「ガウリ族!! みんなガウリ付く」

カル「じゃあ、ソニャ・ガウリ?」

301: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:56:06.23 ID:XA0nOz300

ソニャ「うんっ、カルはガウリか?」

カル「違う違う。俺はカル・アドゥルっていうんだ」

ソニャ「お揃いと違ったかー」

カル「ははっ、ごめんな?」

ソニャ「あっ、そう言えば!! 族長は炎使いを好きになったんだー」

カル「えっ? 族長って女の人なの!?」

ソニャ「昔っから族長は女だぞ? 一番強い女が族長になれるんだ」

302: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:57:29.27 ID:XA0nOz300

カル「じゃあ、その炎使いは強かったんだ?」

ソニャ「うんっ。今でも言うよ?」

ソニャ「『あの男こそ、我が夫に相応しかった』とかって」

カル「凄いな」

ソニャ「顔真っ赤にして言うんだ。もう婆ちゃんなのに」

カル「そんなに? まだ好きなのかな」

ソニャ「うん。結婚してない」

カル「へ、へー。そ、それは凄いな……」

303: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 01:59:40.60 ID:XA0nOz300

ソニャ「だから、ソニャは頼まれたんだ」ウン

カル「族長に? どんな頼み?」

ソニャ「炎使いをとりこにしろって言われたー」

カル「……意味、分かる?」

ソニャ「あははっ、全然わかんねー」

カル「(こんな子供に何てことを言うんだ。まあ、冗談だろうけど……)」

カル「(冗談。だよな?)」

ソニャ「なあ、次の町まだかー?」

304: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 02:01:24.65 ID:XA0nOz300

カル「もう少しで着くと思うよ。どうした?」

ソニャ「腹減った!! 眠いっ!!」

カル「ははっ、そっかそっか。俺も腹減ったけど、もう少しだけ我慢しような?」

ソニャ「……うん、分かった」

カル「やっぱり疲れた? ずっと移動してたんだもんな?」

ソニャ「ぬぅ、眠…い」

カル「(寝ちゃったのか。疲れてるか。なんて、そりゃあ疲れてるよな……)」

ソニャ「(カル、優しい。あったけー)」ギュッ

308: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:17:29.37 ID:/8lX5RKk0

※※※※※

炎陽の街

カル「やっと着いた。白月、お疲れ様」ポン

白月「ブルルッ……」

カル「しっかし、もう真っ暗だ。ソニャは……」

ソニャ「…んやっ…すぅ…すぅ…」

カル「寝てるか。やっぱり、相当疲れてたんだな」

カル「よし、まずは白月を預けないと……」

カカッ…カカッ…

309: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:20:45.03 ID:/8lX5RKk0

※※※※※※

カル「じゃあ、白月をよろしくお願いします」

お婆さん「こんなボロ小屋で良いのかい? もっと上等な厩舎があっただろうに」

カル「いやー、どういうわけか白月が嫌がっちゃって」

お婆さん「あらあら、こんなに大人しくて良い子なのにねえ」ナデ

白月「ブルッ……」スリスリ

カル「あのっ、お代」

お婆さん「ほほっ、お代なんて要らないよ」

310: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:23:49.42 ID:/8lX5RKk0

カル「えっ、でも」

お婆さん「ただ、この街に長く居るようなら……」ポン

白月「ブルルッ…」

お婆さん「この子が寂しがらないように、顔を見せに来なさいよ?」

カル「は、はいっ。ありがとうございますっ!!」

お婆さん「なあに、気にせんでいいよ」

お婆さん「それより、そんな大声出しちゃあ」

カル「あっ、そうだった……」

311: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:26:29.01 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「んー…すぅすぅ」ギュッ

お婆さん「そのお嬢ちゃんは、妹さんかい? 可愛いねえ」

カル「いやっ、はい。まあ、そんなもんです」

お婆さん「まだ小さいねえ、大事にするんだよ?」ニコッ

カル「はいっ。じゃあ、お願いします」

お婆さん「(あんなに素直で礼儀正しい子、久しぶりに見たねえ……)」

312: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:28:15.85 ID:/8lX5RKk0

※※※※※

カル「宿屋はここで最後か。来るのが遅かったからな」

カル「でも、見るからに高級そうな宿屋だな……」

街並みも、篝火の町とは全然違う。

お洒落っていうか、建物も殆ど石造りだ。

いやー、凄いもんだな。

通りを歩く人も、何だか全然違って見える。これが都会か。

何だか落ち着かないな……

313: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:30:07.69 ID:/8lX5RKk0

お洒落だし頑丈そうだ。

けど、やっぱり木造の方が俺は好きだな。

都会って、みんなこんな雰囲気なのか? 都は、これよりも凄いのか?

何だか、都に行くのが怖くなってきた。

ソニャ「すぅ…すぅ…ぬー」

カル「まっ、いいや。取り敢えず部屋が空いてるか聞こう」

ガチャ…パタン

カル「うわっ、凄い。目が、チカチカする」

ソニャ「うー…んわっ!? どこだ!?」

314: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:31:47.46 ID:/8lX5RKk0

カル「あっ、起きちゃったか」

従業員「当ホテルへ、ようこそ」

カル「ほてる?」

従業員「ええ、ホテルですが?」

カル「ここ、宿屋じゃないんですか?」

ソニャ「ほてるってなんだ? 何でこんなに眩しくしてる?」

……クス…クスクス

カル「……?」

315: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:32:53.25 ID:/8lX5RKk0

『ぷっ、宿屋。ですって』

『今時着物なんて、恥ずかしくないのかしら』

ザワザワ…

『汚い格好だな。よく来れたものだ』

『背中の子なんて泥だらけじゃない』

『こっちは食事中だってのに……』

『何してんだ? 早く追い出せ』

316: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:34:13.52 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「なんだ!! ソニャ達、悪いことしたか!?」

カル「怒っちゃ駄目だ。な?」

ソニャ「だってアイツ等、ソニャとカルを笑ったぞ? 嫌じゃないのか?」

カル「ソニャ」

ソニャ「うっ、わ、分かった。我慢する」

従業員「す、済みませんが、部屋は全て埋まっていまして……」

カル「……そうですか、ありがとうございました」

317: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:35:28.09 ID:/8lX5RKk0

従業員「あ、あのっ」

カル「はい?」

従業員「申し訳ありません」ペコッ

カル「大丈夫です。気にしなくていいですよ」

従業員「……っ」

ソニャ「(カルだって嫌なはずなのに。アイツ等、嫌いだ)」ギュウッ

318: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:37:14.82 ID:/8lX5RKk0

『とっとと出てけ、田舎者』

『大体、あんな格好で金持ってんのか?』

『おい。あの娘の服、見てみろ。山育ちかっつーの』

『あははっ、笑わせないでよ。もうっ』

キャハハハ…アハハ…

ソニャ「っ!! ガウリを馬鹿にした奴は誰だ!!」バッ

カル「ソニャ、駄目だ!!」ガシッ

319: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:37:55.63 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「カルっ、はなせっ!!」

カル「気にしちゃ駄目だ。行こう、ソニャ」

ソニャ「嫌だ!! ガウリを馬鹿にする奴は、絶対許さない!!」

『おぉー怖い、まるで野獣だな』

『あんなのと一緒に泊まるなんて、考えらんない』

『さっさとつまみ出せ!!』

従業員「み、皆様!! 落ち着いて」

320: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:39:12.83 ID:/8lX5RKk0

カル「 黙れ!! 」

…ビクッ……シーン

カル「望み通り出て行く。でも」

ソニャ「(カル、怖い顔してる。さっきまで、笑ってたのに……)」

カル「これ以上、仲間を侮辱するのは許さない」

『けっ、格好付けやがって」

『あははっ、許さない。だってさ』

カル「あなた達の服装が、いくら綺麗でも……」

321: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:43:08.75 ID:/8lX5RKk0

カル「人の大事な物を平気で馬鹿にして、笑い物にする」

カル「そんな、あなた達の心が……」

カル「俺には、醜く見える」

従業員「!!」

『ふんっ、さっさと出て行け』

『貧乏人が、何を偉そうに』

『全く、彼奴等の所為で料理が冷めちゃったよ』

カル「……ソニャ、もう行こう」スッ

ソニャ「あっ…うんっ!! ソニャは外でも大丈夫だ!!」ギュッ

322: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 20:52:13.57 ID:/8lX5RKk0

次回「強者」

323: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:10:21.26 ID:/8lX5RKk0

※※※※※

スタスタ…

カル「ソニャ、我慢してくれてありがとう」

ソニャ「腹立つけどなっ!! すっごくすっごく腹立つけど……」

カル「ん、どうした?」

ソニャ「カルが怒ってくれたから、許してやった。とくべつになっ!!」

カル「そっか、特別か。頑張ったな」

ソニャ「まーな。でも、族長がこの話し聞いたら…」

カル「ど、どうなるんだ?」

324: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:12:14.32 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「族長なら、くびを持って来いって言うだろう」

ソニャ「きっと、おそらく…なっ?」ニコッ

カル「そ、そんなに怖い部族なのか?」

ソニャ「家族をいじめたり、馬鹿にされたら、ほーふくする」

ソニャ「そうしないと、他の奴等がつけあがるからな」

カル「(縄張り争いみたいなものなのか? 家族、家族か……)」

ソニャ「どーした?」

325: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:13:15.10 ID:/8lX5RKk0

カル「俺も、爺ちゃんを馬鹿にされたら怒るだろうな。って思ってさ」

ソニャ「爺ちゃん? 父ちゃん母ちゃんは? 後、婆ちゃんは?」

カル「両親は小さい頃に死んじゃったんだ」

ソニャ「…………」

カル「育ててくれた爺ちゃんも…」

ソニャ「カルっ、上を見ろ!!」

カル「えっ!?」

326: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:14:54.75 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「いいから見ろ!!」バシッ

カル「わ、分かった!!」

ソニャ「よし。今から、いいこと教えてやる」

カル「良い事?」

ソニャ「いいか? 空には何が見える?」

カル「月と星?」

ソニャ「星は、死んだ人のタマシイなんだ」

ソニャ「タマシイは星になって、空でずーっと光ってる」

327: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:17:15.09 ID:/8lX5RKk0

カル「魂の光。か」

ソニャ「それで、星になったタマシイは、家族を見守ってる」

カル「!!」

ソニャ「だから、カルの父ちゃんも母ちゃんも爺ちゃんも……」

ソニャ「みーんな」グイッ

カル「うわっ!?」

ソニャ「みーんな、カルを見てるぞ?」ニコッ

カル「そっか……ありがとう。ソニャ」

328: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:18:36.78 ID:/8lX5RKk0

ソニャ「へへっ、カルは知らなかったかー」

カル「うん。初めて聞いた」

ソニャ「もしかして、ソニャは物知りだったか?」

カル「ははっ、そうかもな」

ソニャ「……元気、出たか?」

カル「大丈夫。ソニャのお陰で、めちゃくちゃ元気になったから」ニコッ

ソニャ「よし、元気出たなら早く外に行こう」

329: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:23:44.44 ID:/8lX5RKk0

カル「えっ、ご飯食べないのか? 店なら沢山あったけど」

ソニャ「ふんっ、どうせさっきみたいな奴等がいるに決まってる!!」

カル「(あぁ、あの後じゃ嫌だよなぁ)」

カル「(出来れば、美味しい料理を一緒に食べたかったけど……これじゃ無理だな)」

ソニャ「早く外にでる。そして、狩りをする」

カル「今からか!? 疲れてるんだろ?」

ソニャ「疲れてる。疲れてるが、ソニャは餓えている……」グー

カル「はぁ…じゃあ、食べ物買って」

紳士「君達。少し宜しいかな?」

330: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 22:24:54.23 ID:/8lX5RKk0

つづく

331: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:06:56.75 ID:Yvt6C3yU0

※※※※※

ソニャ「よろしくない。それにオマエ、ほてるにいたな?」

紳士「ああ、確かに居た。私の名は紳士。君達を見ていたんだ」

紳士「しかし、声を掛ける機会を逃してしまってね」

カル「あのっ、俺達に何の用ですか?」

紳士「とても興味が湧いた。単純に、君達と話しがしたくなった」

ソニャ「また笑いにきたか!? 次は許さないぞ!!」

カル「ソニャ、少し落ち着け。なっ?」

332: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:07:57.11 ID:Yvt6C3yU0

※※※※※

ソニャ「よろしくない。それにオマエ、ほてるにいたな?」

紳士「ああ、確かに居た。私の名は紳士。君達を見ていたんだ」

紳士「しかし、声を掛ける機会を逃してしまってね」

カル「あのっ、俺達に何の用ですか?」

紳士「とても興味が湧いた。単純に、君達と話しがしたくなった」

ソニャ「また笑いにきたか!? 次は許さないぞ!!」

カル「ソニャ、少し落ち着け。なっ?」

333: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:09:52.58 ID:Yvt6C3yU0

ソニャ「……少しだけな」

紳士「私は、決して君達を馬鹿にしに来たわけでは無い」

紳士「カル君。だったかな?」

カル「はい」

紳士「君の言葉が胸に刺さった。君達は、美しい心を持っているね」

ソニャ「あたま大丈夫か?」

334: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:11:15.10 ID:Yvt6C3yU0

カル「ソニャ、この人は大丈夫。ちょっと変だけど」

紳士「ふっ、それに素直だ」

カル「あ、すいません」

紳士「いいさ。実は私も、あの宿泊客達が気に入らない」

ソニャ「ほぅ、気が合うな」

紳士「カル君の言う通り。いくら着飾っても、美しくない」

335: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:12:19.50 ID:Yvt6C3yU0

紳士「確かに服装は大事だが、やはり大切なのは内面だ」

カル「……俺達に、何をさせたいんですか?」

紳士「ふむ、君は察しがいいな。一つ、頼みたい」

ソニャ「なんだ? ソニャは腹が減って大変なんだ。さっさと言え」

紳士「君達には、是非、あのホテルに泊まって欲しい」

カル「無理ですよ。見ていたんでしょ?」

ソニャ「カル、行こう?」

336: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:13:29.59 ID:Yvt6C3yU0

ソニャ「カル。アイツはもう駄目だ。あたまが、やられている……な?」

カル「こら。あの、もう行きます」

紳士「少し時間をくれれば、豪華な料理が食べ放題なんだが……」

ソニャ「くわしく話せ」

カル「(紳士さんか。悪い人じゃなさそうだけど……)」

カル「分かりました」

紳士「では、来たまえ」

337: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:14:45.76 ID:Yvt6C3yU0

※※※※※

カル「あの、ここは何の店ですか?」

ソニャ「ほてる、行かないのか?」

紳士「ホテルに行くのは、この店で準備した後だよ」

カル・ソニャ「準備?」

紳士「ああ、準備だ。さあ、中に入ろう」

ガチャ…パタン…

女店主「いらっしゃいま…あ、貴方は!!」

紳士「しーっ、今は客として来ている」

338: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:15:59.81 ID:Yvt6C3yU0

女店主「すぅ…はぁ…」

ソニャ「あの女、どうしたんだ?」

カル「さ、さあ…」

女店主「ふぅ。お客様、何をお求めでしょうか?」

紳士「突然で悪いが、この二人に似合う服を見立てて欲しい」

紳士「それと、髪を整えて欲しい」

女店主「畏まりました。では、お二人共此方へどうぞ」

339: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:17:09.32 ID:Yvt6C3yU0

カル「えっ、ちょっと」

ソニャ「なにをする?」

女店主「お着替えするだけです。皆も手伝って頂戴」

ゾロゾロ…

『『『はい!!』』』

カル「な、なんだ?」

ソニャ「あははっ、くすぐったい!! やめろー!!」バタバタ

340: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:19:01.79 ID:Yvt6C3yU0

※※※※※

『『『出来ました』』』

女店主「ご苦労様。皆戻っていいわよ」

カル「な、なんか、窮屈だな」

ソニャ「なんだこれ、ひらひらしている」

紳士「カル君が着ているのはスーツと言う」

カル「すーつ? 何だかぴっちりした服ですね。肩が凝りそうです」

紳士「ふむ、実に似合っている。結わえた髪もね」

341: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:20:13.04 ID:Yvt6C3yU0

ソニャ「なー、ソニャのはなんて服だ?」

紳士「ソニャ君が着ているのは、ドレスという」

紳士「やはり女性は化けるものだな……」

紳士「数年経てば、世の男が放って置かないだろう」

ソニャ「どれす、か。なんか、わーってなるな、これは」モジモジ

紳士「少しだけ我慢したまえ」

ソニャ「やぶきてーけど、我慢してやる」

342: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:21:17.13 ID:Yvt6C3yU0

カル「(紳士さんが凄い人なのは何となく分かるけど、一体……)」

紳士「女店主、無茶を聞いてくれてありがとう」

女店主「いえ、またのお越しをお待ちしております」

紳士「では、失礼する」

ガチャ…パタン……

カル「紳士さん、何でここまで?」

ソニャ「うぬぬっ…」モジモジ

343: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:22:53.85 ID:Yvt6C3yU0

紳士「如何に美しい宝石を持ち、如何に素晴らしい服を着ても……」

紳士「何かが変わる事は無い。と、私は思う」

カル「それはどういう?」

紳士「高価な物を身に纏っていれば、優れた人間になったと勘違いする者もいる」

紳士「あのホテルの宿泊客が、それだ」

カル「…………」

紳士「一方。田舎者だ野獣だと言われても、ホテルを去る君達は堂々としていた」

344: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:24:42.48 ID:Yvt6C3yU0

紳士「そう。君達は、恥じる必要など一切無かった」

カル「でも、泊めては貰えませでした」

紳士「……近頃、ああいった宿泊施設が流行っているんだが」

紳士「あんな宿泊客がいるお陰で、一般の方々は泊まりたくても泊まれないのだよ」

カル「それは、知りませんでした……」

ソニャ「くぬー、うぅ」モジモジ

紳士「これから、様々な分野に新しい時代が訪れるだろう」

345: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:26:10.63 ID:Yvt6C3yU0

カル「(このスーツとか、靴とか言う履き物も、俺は知らなかった)」

カル「(新しい時代か。人も、変わるのかな……)」

紳士「皆、必死なのかもしれない。時代に、取り残されない為に」

カル「えっ、そんなの、着たい物着ればいいじゃないですか」

カル「皆が同じ服を着る必要なんてないでしょう?」

ソニャ「カルの言う通りだ。こんなの、ソニャは嫌いだぞ」プルプル

紳士「そろそろホテルに着く」

紳士「ソニャ君、それまでは破かないでくれたまえ」

346: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:27:33.39 ID:Yvt6C3yU0

カル「あのっ紳士さん、これを」スッ

紳士「代金は要らない。私が好きでやった事だ」

カル「受け取って下さい。これは、俺がしたくてしてることです」

カル「それに、色々と勉強になりましたから」ニコッ

紳士「ふむ、なる程。では、有り難く頂戴しよう」

紳士「だがこれでは、私が受け取ってばかりな気がするな」

カル「えっ、スーツとか靴とかドレスとか、沢山貰いましたよ」

347: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:29:18.49 ID:Yvt6C3yU0

紳士「いや、少し違う」

紳士「君達のような人に出逢えた事が、何より嬉しいのだよ」

ソニャ「やっぱりコイツ、あたまが……」

カル「こら、そういう事は言っちゃ駄目だ」

紳士「ふっ。だから、まだ足りない気がしてね」

カル「も、もう十分ですよ」

紳士「では、これを」スッ

カル「これは、封筒?」

348: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:32:25.54 ID:Yvt6C3yU0

紳士「その中には魔法の紙が入っている」

紳士「それを、ホテルの従業員に渡してくれたまえ」

カル「は、はあ」

ソニャ「着いたぞ!! 本当に腹一杯食えるんだろうな!?」

紳士「それは保証する」

紳士「出来れば一緒に入りたいのだが、君達だけで行きたまえ」

カル「……ソニャ、行こう」

ソニャ「うんっ。たくさん食うぞー!!」ギュッ

ガチャ…パタン

紳士「どうやら、もう気付かれたらしい。出来れば勧誘したかったが…」

紳士「いくら口説いても、決して首を縦には振らなかっただろうな」

349: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 02:34:19.49 ID:Yvt6C3yU0

次回「二人の夜」

354: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:40:41.21 ID:lda8vo2U0

※※※※※

カル「(入ったものの、本当に大丈夫なのか? 着替えて髪整えただけなのに)」

ソニャ「おーい、従業員って奴はどこだ?」

カル「(まっ、成るようになるか)」

従業員「当ホテルへようこそ…?」

カル「あ、さっきはどうも」ペコッ

ソニャ「腹が減っている」グー

355: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:41:44.95 ID:lda8vo2U0

ザワザワ…

『お、おい。あれ』

『まさか、さっきの小汚いガキ共か?』

『ねえ、もしかしてあのドレス』

『女店主さんの!? いや、そんなまさか』

『あのスーツも、そう簡単に手が出せる物じゃないわ』

『何者だ。あの二人……』

356: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:43:07.15 ID:lda8vo2U0

従業員「(この二人、確かにさっきの二人だよな? 気付かなかった)」

ソニャ「カル、そんなのいいから。早く早く」グイグイ

カル「あの、この封筒を渡せばいいと言われたんですけど」スッ

従業員「は、はいっ。えーと…!!」

カル「やっぱり、泊まれませんか?」

従業員「先程は、大変失礼致しました!!」

カル「へっ? いやいや、別にいいですよ」チラッ

『『『 うっ… 』』』ビクッ

357: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:44:35.26 ID:lda8vo2U0

カル「事情は、何となく分かりましたから」

ソニャ「いいから早く食わせろ。そしたら許してやる」

従業員「いやまさか、お二人が総支配人の友人だったとは……」

『『『  なっ!? 』』』ザワザワ

カル「総支配人?」

ソニャ「アイツ、そんなに凄いか?」

358: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:46:20.86 ID:lda8vo2U0

従業員「え、ええ。このホテル含め、国内外のホテルを……」

カル「(規模が違った。でも、不思議な人だったなぁ)」

ソニャ「ふーん。よくわかんねーな」

従業員「お二人の荷物は後で届くようなので、ご安心下さい」

従業員「わたくしが、お部屋に御案内致します」

ソニャ「そんなのは後でいい。ソニャは、腹が減って……」グー

359: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:46:57.25 ID:lda8vo2U0

カル「ソニャ、もう少し我慢しよう。すぐに食べれるから、な?」

ソニャ「……ちょーっとだけな?」

従業員「あ、あの。如何なさいますか?」

カル「出来れば、ご飯を先に食べたいです」

従業員「はい、畏まりました。では、此方へ」

360: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:47:44.46 ID:lda8vo2U0

※※※※※

従業員「では、少々お待ち下さい」

ソニャ「まだ待たせる作戦か……」

カル「ははっ、大丈夫大丈夫」

カル「ちょっと待てば、凄く美味しい料理が食べれるから」

ソニャ「ずっと前からそれ言ってるけど、まだ食べれてないっ!!」

ソニャ「カルは腹減ってないか!? 我慢できるか!?」

カル「……いいか、ソニャ。怒ると余計に腹が減るんだぞ?」

361: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:50:19.43 ID:lda8vo2U0

ソニャ「ぬー、それは知っている」

ソニャ「ソニャは物知りだから知っているが……」

カル「だからこんな時は、どんな料理が来るか考えよう?」

カル「そうすれば、少しは気が紛れるよ」

ソニャ「……いちりあるな。カルはどんなの考えた?」

カル「俺は、鹿とかじゃないかな。って思う」

362: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:51:13.49 ID:lda8vo2U0

カル「ソニャは、何が思い浮かんだ?」

ソニャ「クマ。きっとそうに違いない」ウン

カル「熊か。昔、爺ちゃんと里の皆で食べたなぁ」

ソニャ「クマ、二匹」

カル「二頭も!?」

ソニャ「だって、アイツは沢山って言ったぞ?」

従業員「お待たせ致しました」

363: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:52:28.08 ID:lda8vo2U0

※※※※※

カル「……………」モグモグ

ソニャ「……………」モグモグ

ソニャ「カル、あのな?」

カル「うん、分かる。分かるけど……」

カル「それは、あれだよ。俺達が食べ慣れてないからだ」

ソニャ「あんまし美味しくないな?」

カル「(言っちゃったよ……)」

364: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:53:15.65 ID:lda8vo2U0

『(この料理で物足りないだと!?)』

『(あの二人、普段どんな料理を食べてるんだ……)』

365: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:55:54.97 ID:lda8vo2U0

カル「お、お肉は美味しいだろ?」

ソニャ「まー、そこそこだなー」

カル「俺の肉あげるから。ほら」スッ

ソニャ「うん……」パクッ

カル「ソニャ、ごめん」

ソニャ「…? なんでカルがあやまる?」

カル「あの時、街を出た方が良かったかな。って思ってさ」

366: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:56:41.45 ID:lda8vo2U0

ソニャ「食い物はいまいちだが、ソニャは嬉しい」

ソニャ「変な服着たり、変な食い物食べたり。な?」ニコッ

カル「そっか、そりゃ良かった」

ソニャ「それにな?」

カル「うん?」

ソニャ「カルは優しい。おんぶしてくれたし、今も肉くれた」

ソニャ「だから、カルはなーんにも悪くない」

367: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:57:22.92 ID:lda8vo2U0

カル「ははっ、ありがとう、ソニャ」

ソニャ「うんっ。じゃあソニャも、カルにありがとうだな」ニコッ

カル「……あっ、そういえば」

ソニャ「どーした?」モグモグ

カル「ソニャって箸使えるんだな。びっくりしたよ」

カル「このフォークとかの使い方は、俺も分からないけどさ」

ソニャ「あー、これは族長から教わった」

368: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:59:32.35 ID:lda8vo2U0

カル「族長から?」

ソニャ「うん。でも族長は炎使いから教わったって」

ソニャ「それまでは手掴みだったみたいだ。けど、今は箸を使う」

カル「何で族長は使い方教わったの? 覚えるの面倒だろうに」

ソニャ「『何とかして、振り向いて欲しかった』んだって」

カル「……頑張ったんだね、族長さん」

ソニャ「でも炎使いは行っちゃったんだ」

カル「だから今でも、すっごく悔しそうにしている」モグモグ

カル「(……一途な女性、なのかな?)」

369: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 22:33:55.53 ID:lda8vo2U0

※※※※※

従業員「此方の部屋になります。では、ごゆっくりお休み下さい」

ガチャ…パタン

カル「うわっ、凄いな。こんなの見たこと無い」

ソニャ「カル、そんなことより、ソニャはこれ脱ぎたい」

カル「ははっ、実は俺もだ。羽織るやつあるし、着替えよう」

ソニャ「うっ、ぬー、脱げない。カル、脱がしてくれ」

カル「分かった。なる程、背中に留め具があるのか……」

370: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 22:35:24.32 ID:lda8vo2U0

カル「ソニャ、髪持ち上げて? 引っ掛かると痛いから」

ソニャ「ん、分かった」

プチッ…プチッ…プチッ

カル「よし、出来た」

ソニャ「やっと脱げたか……後はこれも」

カル「それは一人で脱げるか?」

ソニャ「ぬっ、くぬっ…ダメだ……」

371: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 22:36:25.75 ID:lda8vo2U0

カル「仕方無い。うわっ、何だこれ」

ソニャ「どーした?」

カル「外し方が、かなり面倒そうだ……」

ソニャ「だろ? これのせいで胸がきついんだ」

カル「ちょっと待ってて。よし、段々分かってきたぞ」

ソニャ「なー、まだか?」ソワソワ

カル「もう少し……」

372: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 22:39:21.33 ID:lda8vo2U0

カル「あっ、そうか。横にずらせば」

パチンッ

カル「よしっ、外れた」

ソニャ「はぁ助かった。ありがとな?」

カル「あの白いふわふわ、ちゃんと羽織るんだぞ?」

ソニャ「うんっ」

カル「じゃあ俺、向こうの部屋で着替えてくる」

ソニャ「分かったー……んっ…」モジモジ

ソニャ「……下のやつも脱ごう。なんかもそもそしてダメだ」

375: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:19:57.37 ID:/9a3Xx100

※※※※※

カル「(あー、やっと脱げる。やっぱり着物が一番いい)」

カル「(着物が届くまでは、この白いやつ着ておこう)」

ソニャ「カル、着替えたか?」

カル「あ、うん。着替え終わったよ」

ソニャ「やっぱしなんか変だな?」

カル「ん? 何が?」

ソニャ「夜なのに明るいし、寝るとこもないし」

376: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:20:36.08 ID:/9a3Xx100

カル「明るいのは電気ってやつだよ」

カル「大きな街とか都は、夜も明るいって聞いた」

ソニャ「カミナリ様か?」

カル「まあ、そんな感じ。仕組みは全然分かんないけど」

ソニャ「なんか、落ち着かないな?」

カル「ははっ、そうだね。俺も落ち着かない」

カル「ちなみに、寝るのはここ」

ボフボフッ

377: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:21:35.02 ID:/9a3Xx100

ソニャ「なんだそれ?」

カル「ベッド。って言うんだって。ソニャはどうやって寝てた?」

ソニャ「毛皮の上で寝てた」

カル「(思ってた以上に原始的な暮らしだ。完全な自給自足の生活か)」

カル「取り敢えず、ちょっと横になってみたら?」

ソニャ「う、うん」

ポフッ

378: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:22:49.08 ID:/9a3Xx100

カル「どう? 寝れそう?」

ソニャ「わるくないな。カルも来い」

カル「えっ? ベッドは二つあるし、一人で寝るよ」

ソニャ「……実は、ここだけの話し」

カル「ん?」

ソニャ「一人じゃ寝れそうにない。落ち着かなくて」

カル「……そっか、じゃあ一緒に寝よう」

379: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:23:44.60 ID:/9a3Xx100

ソニャ「いいのか?」

カル「いいのかって、一緒じゃないと寝れそうにないんだろ?」

カル「凄い部屋だけど。こんな部屋じゃ、俺だって落ち着かないよ」

ソニャ「……そうか、わかった」

カル「…? それよりソニャ」

ソニャ「な、なんだ?」

カル「従業員さんに聞いたんだけど、風呂があるんだって」

380: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:24:43.77 ID:/9a3Xx100

ソニャ「あー、体洗うとこな? それは知ってる」

ソニャ「で、どこにある?」

カル「それが……」

ソニャ「なんだ? しんこくな顔して」

カル「この部屋の中にあるらしいんだ」

ソニャ「ふっ、ウソだな」

ソニャ「川もないのに、どうやって水を出す?」

カル「温泉からお湯を引っ張ってるらしいけど、詳しくは分かんないな」

381: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:26:02.51 ID:/9a3Xx100

カル「気になるし、折角だから入って来る」

カル「何日も風呂に入ってないし」

ソニャ「そうか、気をつけてな?」

カル「ははっ、うん。じゃあ入って来る」

ガチャ…パタン

ソニャ「……………」ポツン

ソニャ「………………」ソワソワ

カル『ぎゃあぁぁぁ!!!!』

ソニャ「っ、カル!!」ダッ

382: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:28:08.36 ID:/9a3Xx100

※※※※※

カル「説明では、これを捻ると」グイッ

バッシャアアアア!!

カル「ぎゃあぁぁぁ!!」

ガラッ

ソニャ「どーした!? 大丈夫か!?」

カル「冷たっ!!」グイッ

ピタッ…

ソニャ「お、おい。カル、大丈夫か?」

383: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:30:43.28 ID:/9a3Xx100

カル「あ、ソニャ。俺なら大丈夫」

カル「いきなり冷たいのが出たから、びっくりしただ……け」

ソニャ「どーした?」

カル「さ、流石に恥ずかしいから、早く閉めてくれないかな」

ソニャ「なにが恥ずかしい?」

ソニャ「カルだって、ソニャの肌を見ただろ?」

カル「肌と素っ裸じゃえらい違いだ。全く違う」

カル「だからほらっ、早く閉めて。な?」

384: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:32:53.86 ID:/9a3Xx100

ソニャ「やっぱしソニャも入っていいか?」

カル「は!? 流石にそれは」

ソニャ「頭がかゆい。ソニャは、カルに洗って欲しい」

カル「(まだ出逢って一日目。いや、日数は関係無い)」

カル「(女の子と風呂に入る。ってことが問題なんだ)」

カル「(いくらソニャが小さい女の子でも、恥ずかしいものは恥ずかしい)」

ソニャ「入るぞー?」

カル「……………」

385: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 01:34:04.83 ID:/9a3Xx100

カル「(まあ、そういう自覚は無いだろうし。さっさと済ませよう)」

カル「髪は洗う。でも、あんまり見ないように」

ソニャ「なんでだ? 一緒寝るんなら、見たっていいだろ?」

カル「えっ?」

ソニャ「一緒に寝るなら体きれいにしろって、族長から言われた」

ソニャ「それが男女のれーぎだと、ソニャはそう聞いたが?」

カル「……お風呂上がったら、少し話そうな」

386: >>1 2014/03/22(土) 01:36:35.64 ID:/9a3Xx100

次回「子供」

390: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:40:23.12 ID:n0mOE8ZR0

※※※※※

ソニャ「…くぅ…くぅ…ぬー」

カル「まだ子供、だもんな……」

泣き疲れたのか、ソニャは眠ってしまった。

何で泣いてしまったかというと。

故郷と家族を思い、寂しくなったからだ。

カル「我慢。してたんだな」

391: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:43:07.25 ID:n0mOE8ZR0

※※※※※

ソニャ「…くぅ…くぅ…ぬー」

カル「まだ子供、だもんな……」

泣き疲れたのか、ソニャは眠ってしまった。

何で泣いてしまったかというと。

故郷と家族を思い、寂しくなったからだ。

カル「我慢、してたんだな」

392: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:44:46.14 ID:n0mOE8ZR0

恥ずかしいし、女の子の裸を見るなんて当然慣れてない。

だから、さっさと髪を洗って風呂から上がろう。

そう思って、ソニャの髪を洗い始めた時。

ソニャが泣き出したんだ。

俺は素っ裸の恥ずかしさなんて忘れて、そのわけを聞いた。

どうやら、お母さんに髪を洗ってもらった事を思い出したらしい。

ソニャの小さな体が、震えていた。

393: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:46:12.89 ID:n0mOE8ZR0

だけど、決して俺には涙を見せなかった。

ーーガウリの女はみんな強い。だから、泣いちゃダメなんだ

ソニャはガウリを、家族を大事に思っている。

きっと、気高く誇り高い部族なんだろう。

風呂を上がると、ソニャはすっかり笑顔に戻っていた。

その後、従業員さんが来て、俺達の服と荷物を持ってきてくれた。

394: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:48:04.52 ID:n0mOE8ZR0

それから、調子が戻って元気なったソニャに、色々教えた。

男女が一緒にお風呂入るのは、夫婦くらいだ。

とか、色々。

すると、ソニャにも教えられた。

何とガウリの人達は、一緒に川に入り、体を洗うらしい。

一緒とは言ったけど

女性が入っている時は、男性が辺りを見張る。

男性が入っている時は、女性が辺りを見張るようだ。

395: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:49:23.13 ID:n0mOE8ZR0

ーー恥ずかしくないの?

と聞いたら。

ーー見慣れてるから平気だが?

……と、返された。

こっちは慣れてないから、どうか勘弁して欲しい。

だけど、ガウリではそれが当たり前の事なんだろう。

改めて、育った場所が違うんだな。と思った。

396: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:51:14.94 ID:n0mOE8ZR0

後、一緒に寝るなら体を綺麗にしろ。

これは族長から吹き込まれたもの。

説明するのに、かなり時間が掛かった。

まだ小さい子に、なんて事を教えるんだ。

と思ったけど……

それは、族長なりに考えがあったらしい。

ーー愛する男と夜を共にするのなら

ーー床に入る前に、必ず身を清めなさい

という、大人の話しだ。

397: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:53:50.21 ID:n0mOE8ZR0

ソニャ「くぅ…くぅ」

カル「はぁ…」

それが正しい事だとしても、この子に教えるのは早過ぎる。

一体、族長さんは何を考えてるんだ。

ソニャには、男女について色々質問された。

その話しは、なんとか誤魔化すことに成功した。

その後、明かりを消して一緒にベッドに入ったんだけど……

また、泣き出した。

398: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 22:55:49.28 ID:n0mOE8ZR0

温もりが、色んな事を思い出させたのかもしれない。

背を向けて涙を流しながら。

ソニャは、俺の手を取り、頭に乗せた。

どうやら、落ち着くまで撫でて欲しいみたいだ。

それからしばらく撫で続けると、ソニャは眠ってしまった。

ソニャの寝顔を見ていたら……

ーー暗闇の妖精を倒すまで

ーー俺が、この子を守っていかなければ

と、今更ながら思った。

399: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 23:00:23.69 ID:n0mOE8ZR0

※※※※※

ソニャ「……カル、いるか?」モゾモゾ

カル「起きちゃったか。大丈夫、ここにいるから」

ソニャ「……うん」

カル「明日から、頑張ろう」

ソニャ「大丈夫だ。ソニャ、実は頑張り屋だから」ギュッ

カル「ははっ、そっか。頑張り屋か」

カル「あのさ。いつか、見せてくれないかな」

ソニャ「……?」

400: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 23:03:12.51 ID:n0mOE8ZR0

カル「ソニャが育った場所とか、ガウリのみんなとか」ポンッ

カル「(族長は怖そうだけど、炎使いの話しとか色々聞きたい)」

ソニャ「あっ…うんっ」

カル「きっと、綺麗な場所なんだろうなぁ」

ソニャ「絶対連れてってやる。約束だ!!」ギュッ

カル「いっ、痛い痛い。大丈夫、離れないから、ちょっと緩めて」

ソニャ「んーっ、カルは温かいな」ムギュ

カル「はぁ…もう寝たいから。な?」

401: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 23:07:43.41 ID:n0mOE8ZR0

ソニャ「ソニャは、このまま寝たいんだが、ダメか?」

カル「それはいいけど、もうちょっと緩めてくれない?」

カル「その代わり腕枕するから、布団から頭出して。な?」

ソニャ「むー、腕枕ならしょうがないな」モゾモゾ

ソニャ「今日のところは、この辺で止めておこう」

カル「助かった……じゃあ、お休み」

402: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/22(土) 23:12:44.73 ID:n0mOE8ZR0

ソニャ「おやすみっ」ギュッ

カル「ちょっ、強い強いっ」

ソニャ「(優しくて温かくて……やっぱし優しい)」

カル「(こんな可愛い娘を旅立たせて、ソニャの両親も心配してるだろうなぁ)」

カル「……すぅ…すぅ」

ソニャ「もう寝ちゃったか?」ツンッ

カル「…ふー…すぅ…」

ソニャ「カルに逢えて、ソニャは本当に嬉しいぞ?」

ソニャ「……ソニャも、寝よう…」モゾモゾ

ソニャ「……くぅ…くぅ」ギュッ

403: >>1 2014/03/22(土) 23:22:27.37 ID:n0mOE8ZR0

次回「噂」

404: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:26:50.19 ID:LhSqSSAB0

※※※※※

炎陽の街・大通り

カル「武器屋はどこだろう?」

ソニャ「はぁー、ごちゃごちゃしてるなー」

スタスタ…

目覚めてすぐに身支度を済ませた俺達は、ホテルを後にした。

そう言えば、従業員さんから四角くて硬い紙を貰った。

確か、カードとかいうやつだ。

他のホテルに泊まる時に使うと、役に立つ。らしい……

今は、ソニャの武器を買う為、武器屋を探している。

405: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:27:59.45 ID:LhSqSSAB0

カル「ソニャってさ」

ソニャ「んー?」

カル「どんな武器使うんだ?」

ソニャ「斧。斧を使う」

ソニャ「実は弓と短刀も使えるが、ソニャは斧の方がいい」

カル「斧? 振れるのか?」

ソニャ「重いなら、振り回される。軽いなら、振る」

406: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:29:11.66 ID:LhSqSSAB0

カル「斧の重さに身を任せるってことか?」

ソニャ「まーな。だが、重いと何回も振れない……」

カル「じゃあ、軽いのを買おう」

ソニャ「小さいのなら、二つがいい。止め刺す時、楽だから」

カル「……なる程、分かった」

カル「まだ店は見つかってないけど……」

ソニャ「探すの、めんどくせーな?」

407: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:30:45.16 ID:LhSqSSAB0

カル「そうだなぁ。建物も多いし、道もぐちゃぐちゃだ」

カル「はぐれると大変だし、手繋ぐか」

ソニャ「うん」ギュッ

スタスタ…

カル「あっ、ここだ」

ソニャ「他のとこと違うな?」

カル「売ってるだけじゃなく、造ってるんだろうな」

408: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:32:21.02 ID:LhSqSSAB0

カル「煙出てるし。ほら、煙突があるの見えるか?」

ソニャ「おー、本当だ」

カル「気に入ったのが無いなら違う店に行く。だからちゃんと言うんだぞ?」

ソニャ「だきょうは、しない」

カル「ははっ、そっかそっか」

ソニャ「よし、行くぞ。カル」

カル「はいはい」

ガチャ…パタン

409: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:33:29.23 ID:LhSqSSAB0

武器屋「……いらっしゃい」

カル「おはようございます」

ソニャ「おはよー」

武器屋「あ? ああ、おはよう」

カル「斧を探してるんですが、ありますか?」

ソニャ「頑丈なヤツな」

武器屋「斧ならこっちだ。来い」

410: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:35:02.00 ID:LhSqSSAB0

ズラリ

カル「凄い数だ。ソニャ、どれがいい?」

ソニャ「うーん。これと、これだ」

カル「小型の斧か。でも、他のより刃が厚いな」

ソニャ「そこが気に入った」

カル「振れるか?」

ソニャ「ふんっ…」ブンッ

カル「へー、凄いな」

411: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:36:19.23 ID:LhSqSSAB0

ソニャ「これは持つとこもいい。な?」ブンッ

武器屋「……………」

カル「よし、じゃあそれにしよう」

ソニャ「カル、大丈夫か?」

カル「お金ならまだあるし、大丈夫」

ソニャ「それもだが、カルはなんか要らないか?」

カル「あぁそうだ。短刀が駄目になったんだった」

412: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:37:36.93 ID:LhSqSSAB0

武器屋「短刀はこっちだ」

カル「あ、はい。ありがとうございます」

ソニャ「クマみたいだな?」

武器屋「…………」ジロッ

カル「こらっ。あの、すいません」

ソニャ「悪気はなかった……ごめんな?」

武器屋「いい。よく言われる」

413: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:39:22.30 ID:LhSqSSAB0

ソニャ「ほぅ、中々いいヤツだな」

カル「(言葉遣いも教えよう……)」

武器屋「ここが短刀だ」

ズラリ

カル「……あっ、これ」スッ

ソニャ「それ、いいやつな」

カル「ソニャもそう思う?」

414: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:40:40.74 ID:LhSqSSAB0

ソニャ「柔らかそうで、いい」

武器屋「……………」

カル「ソニャにも一つ買おう。この店のは凄い」

ソニャ「ガウリのみんなの分もほしいな」

カル「それは、今度な」

ソニャ「わかった」

武器屋「お前達は、何者だ」

武器屋「まだ子供なのに、何故武器を買う」

415: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:42:36.88 ID:LhSqSSAB0

ソニャ「悪いヤツを倒す」

武器屋「子供二人でか?」

ソニャ「馬鹿にするな。ソニャはガウリだ。子供じゃない」

カル「ソニャ、馬鹿にしてるわけじゃないよ」

ソニャ「むっ、そうなのか?」

武器屋「子供二人が武器を買う。気になるだろう」

カル「あの、俺も聞きたい事があるんですけど」

416: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:44:45.89 ID:LhSqSSAB0

武器屋「何だ?」

カル「こんなに良質の物が揃っているのに…」

カル「なんでお客さんがいないんですか?」

カル「兵士や武芸者なら放って置かないんじゃ」

武器屋「……………」

カル「あっ、すいません」

ソニャ「や、やる気か?」

武器屋「売らないからだ」

417: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:46:20.21 ID:LhSqSSAB0

カル「えっ?」

武器屋「俺は、俺が選んだ奴にしか売らない」

武器屋「お前達も、軍に志願するのか?」

ソニャ「なんだそれ?」

カル「いや、しませんけど。何でですか?」

武器屋「この前、お前ぐらいのガキ共が来てな」

武器屋「近々戦争が起きると言っていた」

カル「戦争?」

418: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:48:30.98 ID:LhSqSSAB0

武器屋「どうせ単なる噂だろうがな」

武器屋「勿論、そのガキ共には売らなかった」

カル「あの、その話しを聞かせてくれませんか?」

武器屋「……火の王が戦を始めるらしい。兵士を集めている」

武器屋「これだけだ」

カル「……そうですか」

ソニャ「なー、ソニャ達には売ってくれないか?」

武器屋「お前達は、それを何に使う?」

カル「人では無いモノ。悪を討つ為に使います」

419: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:49:56.58 ID:LhSqSSAB0

ソニャ「ウソじゃないぞ?」

武器屋「……その四つでいいのか?」

カル「は、はい」

武器屋「五万だ」

カル「えっ!? 安く見ても十五万はしますよ?」

武器屋「俺が五万と言ってるなら、それでいいだろう」

ソニャ「いいのか?」

武器屋「いい。買うのか、買わないのか」

カル「か、買います」スッ

420: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:51:15.67 ID:LhSqSSAB0

武器屋「丁度だな。おい、これも持って行け」ドサッ

ソニャ「おー、斧入れるやつか」

武器屋「腰に巻いて行け」

ソニャ「わかった。カル、早く早く」

カル「はいはい、今着けるよ」

カチャカチャ…

ソニャ「よし、いい感じだな」ウン

カル「あの」

421: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 01:53:30.97 ID:LhSqSSAB0

武器屋「何だ? まだ何か買うのか?」

カル「いえ、ありがとうございました」

武器屋「用が済んだらさっさと行け」

ソニャ「ありがとなー」

カル「(戦争。噂だとしても、急いだ方が良さそうだな)」

ガチャ…パタン

武器屋「ガキの癖に、俺の造った物だけを選んだ」

武器屋「目も、そこらの兵士や自称武芸者共とは違う」

武器屋「変な奴等だ……」

422: >>1 2014/03/23(日) 01:55:47.55 ID:LhSqSSAB0

次回「黒の群れ」

426: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:27:13.18 ID:pU/C2KAG0

※※※※※

カル「さっきの話しが本当だとしたら大変だ。急ごう」

ソニャ「戦か?」

カル「国と国が戦う、大きな戦かもしれない」

ソニャ「なんだか、嫌な感じするな?」

カル「ああ、単なる噂や何かだと良いんだけど」

ソニャ「ところで、どこに行く?」

カル「この国で一番大きい場所。王様のいる都に行く」

カル「すぐに王様に会うのは難しい。だから、都の人に話しを聞く」

427: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:28:49.27 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「……暗闇の妖精のしわざ。カルは、そう考えてるか?」

カル「ソニャの方が詳しいだろうけど、王を唆していたのは暗闇の妖精だ」

カル「もし戦争が本当なら、その可能性は高いと思う」

ソニャ「そっか。でも他の仲間はいないぞ、どーする?」

カル「今は、俺達の出来る事をしよう。仲間は、その後だ」

カル「戦争が噂だとしても、黒水晶の存在を王様に伝えなきゃならない」

ソニャ「そうだな。うん、わかった」

タタタッ…

428: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:29:39.42 ID:pU/C2KAG0

※※※※※

お婆さん「あらあら、そうかい。もう発つのかい」

ソニャ「ちょっと忙しくなってな」

お婆さん「そうなの、小さいのに大変だねえ」

カル「お婆さん。白月を預かってくれて、ありがとうございました」

ソニャ「ありがとな?」

お婆さん「ほほっ、いいよいいよ」

お婆さん「またこの街に来たら、顔を見せておくれ」

429: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:30:32.23 ID:pU/C2KAG0

カル「はい。必ずまた来ます」タッ

ソニャ「約束な」タンッ

白月「ブルルッ…」

お婆さん「気を付けて行くんだよ?」

カル「お婆さんも、お元気で」

ソニャ「元気でな? 転んだりするな?」

お婆さん「はいはい。またね、お嬢ちゃん」

430: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:31:37.94 ID:pU/C2KAG0

カル「……白月、行くぞ」ガッ

白月「ブルルッ!!」

ソニャ「婆ちゃん、またなー!!」

ガガッ…ガガッ…

お婆さん「しっかりしたお兄さんに、素直な妹さん。いいもんだねえ」

お婆さん「あら? そういやあ、名前聞くの忘れちまった」

お婆さん「……神様仏様。二人の旅が、どうか無事でありますように……」

431: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:33:03.77 ID:pU/C2KAG0

※※※※※※

都への街道

ガガッ…ガガッ…

カル「ソニャ、何か嫌な感じがしないか?」

ソニャ「するけど、アレと違うな」

カル「アレって、黒水晶のことか?」

ソニャ「うん。アレより、なんていうか……」

カル「気持ち悪い?」

ソニャ「それだ。なんか、どろどろしてる感じ」

432: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:34:33.60 ID:pU/C2KAG0

カル「どこにいるとか、数とか分かる?」

ソニャ「ぬー、ちょっと待て」

カル「どうだ?」

ソニャ「ダメだ。ぐちゃぐちゃに混ざってて、わかんねー」

ソニャ「森に来たヤツは、粒みたいな感じだったけど、泥みたいだ」

カル「……泥」

ソニャ「うん。それが、どんどん近付いてくる」

カル「ソニャ、約束覚えてるか?」

433: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:36:15.43 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「うん。無理しない、辛いなら言う」

カル「守れる?」

ソニャ「ソニャは、約束は破らないぞ?」

カル「分かってる。確認しただけだよ」

ソニャ「……?」

カル「(この先に何かがいるのは、間違い無い)」

カル「(でも何だ? 以前戦ったモノとは違う。何かが、欠けてる)」

434: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:36:54.94 ID:pU/C2KAG0

ガガッ…ガガッ

ソニャ「っ、カルっ!! あれ見ろ!!」

カル「白月っ、止まれ!!」

白月「ブルルッ!!」ガガッ

遠方に見えたのは、黒い鎧を纏った兵士・騎士の隊列。

頭の先から足の先まで、全てが黒い鎧で被われている。

あんな異様な兵士は、一度足りとも見たことが無い。

あんな造りの鎧も、見たことが無い。

435: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:37:45.67 ID:pU/C2KAG0

カル「何なんだ……あれ」

ソニャ「カル。林にかくれて様子を見よう。なんか、変だ」

カル「うん。その方が良さそうだ」

それすら分からないけど、これ以上は近付かない方がいい。

俺達は、一旦街道から外れて林に身を隠した。

436: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:38:44.41 ID:pU/C2KAG0

ザッザッザッザッ……

437: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:39:51.20 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「カル、あれはなんだ?」

カル「分からない。あんな兵士は見たことが無いよ」

陽を浴びて輝く黒の軍勢は、途轍もない威圧感を撒き散らしている。

まるで、これから戦が始まるような。張り詰めた空気。

カル「あの兵士達は、炎陽を目指してるのか?」

ソニャ「……カル、アイツ等を行かせちゃダメだ」

438: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:40:46.95 ID:pU/C2KAG0

カル「確かに不気味だけど、あの兵」

ソニャ「違う。アイツ等は、戦士でもヒトでもない」

ソニャ「アレは多分、黒水晶で出来てる。アイツ等、全部だ」

ソニャ「だからソニャは、ぐちゃぐちゃに感じた」

カル「そんな…」

ソニャ「アイツ等がなにをするのかは、わかんねー」

ソニャ「でも、絶対に行かせちゃダメだ。必ず災いをふりまく」

439: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:42:12.00 ID:pU/C2KAG0

カル「ソニャ」

ソニャ「なんだ?」

カル「あの兵隊全員が黒水晶。それは間違い無いんだな」

ソニャ「絶対間違いない。あれは、ソニャ達の敵だ」

カル「………………」

まだ何も分からないけど、あれが嫌なモノなのは確かだ。

ソニャの言う通りの存在なら、絶対に見過ごせない。

しかもあの兵隊、都の方から来てる。

もしかしたら、最悪の事態になっているかもしれない。

440: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:42:47.87 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「カル、急がないと」

カル「………………」

ソニャ「カル。もしかして、ソニャを信じてないか?」

カル「いや、ソニャを信じる。ちょっと考えてただけだよ」

カル「……白月はここにいてくれ。何かあったら、頼む」

白月「ブルルッ…」

441: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 20:43:55.37 ID:pU/C2KAG0

カル「いいかソニャ、まずは俺が行く」

カル「ソニャはその隙に、奴等の後ろに回り込んで欲しい」

ソニャ「一緒に行きたいが、我慢する」

カル「ははっ、うん。ありがとう」

カル「じゃあ、奴等が俺に攻撃を仕掛けたら、頼む」ポンッ

ソニャ「んっ…カル?」

カル「俺は大丈夫。じゃあ、行ってくる」

……タタタッ

442: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:27:19.90 ID:pU/C2KAG0

カル「貴方達は、火の国の兵士ですか?」

『『浄火よ。捜したぞ』』

カル「……ソニャの言う通り、やっぱり違うみたいだな」

黒鎧の兵。

……胸の中央に、黒水晶が埋め込まれてある。

あれを破壊すれば、砕け散る筈だ。

何だ? 黒鎧の隙間から何かが蠢き出てる。

アレも、黒水晶の力なのか。

443: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:28:37.66 ID:pU/C2KAG0

黒鎧『『忌まわしい精霊よ』』

カル「……来い」

黒鎧『『死ぬがいい』』

カル「っ!! やっぱり、力を使えるのか」

風と水の力。

同時に二つの力を相手にしなきゃならないのは辛いな。

でも、これぐらいなら。

押し戻せる。

444: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:29:53.91 ID:pU/C2KAG0

カル「おりゃああああっ!!」

黒鎧『『これは、中々』』

カル「(よし、行ける)」

敵の総数は軽く見ても七十以上。

黒鎧胸部の黒水晶を破壊すれば、勝てる。

でも油断しちゃ駄目だ。

絶えず炎を纏っていないと、やられる。

カル「街には、行かせない」ヒュッ

黒鎧『『な…に…』』ピシッ

ガシャガシャガシャ…

445: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:31:42.54 ID:pU/C2KAG0

猪の時みたいに、力を使えなくなったら、奴等には勝てない。

出来るだけ剣で破壊して、それだけは防がないと。

カル「巨岩の拳……」

あれが、ソニャの力。

奥の黒鎧が跳ね上がった。あれなら、一気に片付けられるだろう。

でも、こっちの黒鎧は俺が倒さないと駄目だ。

ソニャの力が保っている内に、何とか突破しないと。

カル「っ、何だ? 足が…」

黒泥『姿無くとも影はあり』

446: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:32:58.36 ID:pU/C2KAG0

くそっ、この黒泥は、鎧とは別の何かか?

だから、黒水晶を壊しても独立して動ける?

なら、黒水晶を壊しても、この黒泥を何とかしない限り……

カル「ソニャ、聞こえるか!!」

ソニャ『聞こえる!!』

カル「今すぐ鎧の残骸から離れろ!! 鎧は入れ物に過ぎない!!」

カル「鎧の中から溢れ出した泥を、土で固めるんだ!!」

ソニャ『わかった!! やってみる!!』

447: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:35:19.62 ID:pU/C2KAG0

黒泥『『お前はどうする』』

カル「っ、燃えろおぉぉ!!」

ゴオォォォッ

あの黒泥、触れた場所から力を奪うのか。

脚に、力が入らない。

神父さんの言っていた通り、何て禍々しい力だ。

こんなのが、街に行ったら。

篝火の町や灯火の里へ行ったら……

嫌だ。それだけは、絶対にさせない。

448: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:37:53.23 ID:pU/C2KAG0

でも、この黒泥相手に力を温存して戦うのは無理だ。

一気に焼き尽くさないと、呑み込まれる。

辺りに飛び散った黒泥が集まって来てる……

だったら、力が空っぽになるまで、やるしかない。

それにソニャだって、いつまで保つか分からないんだ。

ソニャ『カルっ!! 固めたヤツは斧でも壊せる!!』

449: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:40:02.88 ID:pU/C2KAG0

カル「分かった!! 今から行く!! 少し耐えてくれ!!」

ソニャの声、かなり疲れてる。

早く行かないと拙い。黒泥は燃えるのに時間が掛かる。

くそっ、どうする?

黒鎧『どうした。行かないのか』

カル「行くよ。ソニャは、俺が守る」

何とかしないっ、な、何だ!?

脚が熱い。何かが、巻き付いてくるみないな感じだ。

カル「っ…これは、具足か?」

450: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:42:10.93 ID:pU/C2KAG0

それに、猪を模した炎。

力が漲る。脚が、燃えるみたいだ。

でもこんなの、一体どこから出て来たんだ……

ーーお前のような、勇敢な人間に出逢えて良かった

あの時の、脚に巻き付いた炎が力を貸してくれてるのか?

カル「よし、だったら……」

黒鎧『なんだ、それは』

451: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:43:53.27 ID:pU/C2KAG0

カル「今に、分かるさ」

炎を纏え、脚に集中しろ。

全ての力を使ってでも、ソニャの所まで突っ切るんだ。

今は、それだけを考えろ。

黒鎧『隙だらけだ』

カル「ぐっ…」ブシュッ

今は、耐えろ。

振り返るな。もう少し、もう少し溜めるんだ。

452: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:46:05.62 ID:pU/C2KAG0

カル「くっ、まだだ……」

この炎じゃ足りない。

黒鎧ごと、内側の黒泥を溶かせ。

それぐらいの炎じゃないと駄目なんだ。

頼む。助けたいんだ。

戦うって、決めたんだ。

失うのは、あんなのは、もう沢山だ。

黒鎧『切り裂け』

カル「ぐっ…邪魔だ!!」ダンッ

ドガガガガガッ…

黒鎧『『流石は浄…火』』ジリッ

ジュッ……シュゥゥゥゥ…

453: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:48:30.95 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「(ちょっと調子に乗ったか? 力に頼り過ぎたな)」

ソニャ「(まだ、けっこう残ってるのに……?)」

ズガガガガッ…

カル「ソニャ、大丈夫か!?」

ソニャ「カル!! ソニャは平気だが……」

カル「力はどうだ? まだ行けるか?」

ソニャ「実のところ、ソニャはそろそろかもしれない……」

454: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:49:36.82 ID:pU/C2KAG0

黒鎧『『狙いは浄火。奴だ』』

ザッザッザッ……ジャキ…

カル「……ソニャ」

ソニャ「っ、嫌だ!! ガウリは逃げない!! 一緒に戦う!!」

カル「俺なら大丈夫」

ソニャ「大丈夫なわけない!! たくさん血が出てる!!」

カル「逃げろとは言わない。ただ、頼みがある」

ソニャ「……?」

455: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:50:53.07 ID:pU/C2KAG0

カル「ソニャには、他の仲間を見付けて欲しい」

ソニャ「そんなの、逃げると同じだ!! ソニャも戦う!!」

カル「こんな奴等、俺一人で十分だ。だから頼んでるんだ」

ソニャ「……カル、死ぬ気か?」

カル「ははっ、大丈夫。すぐに追い付くから。な?」ポンッ

ソニャ「……約束な? やぶらないか?」

カル「勿論!!」ニコッ

ソニャ「じゃあ、わかった……」

456: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:53:08.34 ID:pU/C2KAG0

カル「来いっ、白月!!」

ガガッガガッ

カル「ソニャを頼む。さあ、行くんだ」

白月「…ブルッ」

カル「行けっ!!」

ガガッガガッ…

ソニャ「カルっ!!」クルッ

ーー大丈夫。すぐに追い付くから

ソニャ「(ダメだ。ソニャは約束した。ソニャは、仲間を捜す)」

457: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:54:05.58 ID:pU/C2KAG0

ソニャ「(カルは死なない。大丈夫って、追い付くって言った……)」

ソニャ「白月。カル、笑ってたな? だから、大丈夫だよな?」

ソニャ「……ダメだ。やっぱり戻る!!」ガッ

ガガッ…ガガッ…

ソニャ「白月、戻ろうな? カルが、カルが死んじゃう」ポロポロ

ガガッ…ガガッ…ガガッ

ーー白月、ソニャを頼む

白月「ブルッ…ブルルッ!!」

458: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:56:29.49 ID:pU/C2KAG0

黒鎧『『別れは済んだか』』

カル「一つ聞かせてくれ。火の王はどうした?」

黒鎧『『考えている通り、王は我々を求めた』』

黒鎧『『今や、力の虜』』

黒鎧『『浄火は相変わらずよ』』

黒鎧『『王が求める戦が始まるであろう』』

カル「……暗闇の妖精。お前も、そこにいるのか」

459: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 22:58:56.61 ID:pU/C2KAG0

黒鎧『『どうだろうな』』

黒鎧『『我々は、何処にでもいる』』

黒鎧『『人あらば、影あり』』

黒鎧『『悪いが、話しは終わりだ』』

黒鎧『『厄介なモノは、早めに片付けないと』』

カル「……戦いたくない。か」

黒鎧『『何?』』

460: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:01:07.87 ID:pU/C2KAG0

カル「お前達と戦って気付いた。俺は甘かった」

カル「まだまだ、足りなかったんだ」

黒鎧『『……仕方無い』』

黒鎧『『逃げられはしない、か』』

黒鎧『『命は炎、浄火よ、死ぬ気か』』

カル「ああ、逃がしはしない」

カル「誰かを傷付けるのは、絶対に許さない」

カル「もう誰も、泣かせはしない」

461: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:03:59.62 ID:pU/C2KAG0

黒鎧『『偽善、独善』』

黒鎧『『綺麗事、言葉とは美しいものよ』』

カル「綺麗事か、確かにそうかもしれない」

黒鎧『『だが浄火よ。傷付けるのは、王だ』』

黒鎧『『王が望み、決めた事だ』』

黒鎧『『早まるな。浄火よ、我々と共に来い』』

カル「俺は人間だ。俺は、綺麗事の為に戦うよ」

カル「だから……」

462: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:05:03.62 ID:pU/C2KAG0

ーー俺の命と、燃えて逝け

463: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:11:47.74 ID:pU/C2KAG0

ーーーあぁ…貴方以外に、誰が暗闇を照らすというの?

464: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:12:35.03 ID:pU/C2KAG0

ーーー貴方以外に、誰が私を照らすというの?

465: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 23:15:55.10 ID:pU/C2KAG0

戦士覚醒編

https://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1394/13945/1394555249.html

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