1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:51:01 ID:22cYdu8A
男「また幼馴染んちにおすそ分けだな、これは」
ゴソゴソ
ピラッ
男「ん? 手紙?」
ペリペリ
ガサガサ
祖母『元気にしていますか? 今年もカボチャを送ります」
『今年は特によく出来たので、少し多めです』
『過去最高の自信作です』
『ハロウィンが近いので、お菓子にして配るのはどうでしょう』
『レシピを同封しますので、作ってみて下さい』
『カボチャを作る方の祖母より』
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:51:44 ID:22cYdu8A
男「あー、そういやそろそろハロウィンか」
ピラッ
男「これがレシピ……ふむふむ……」
男「……ふむ」
男「母ちゃんはどうせ作らないだろうし……」
男「……うん」
男「いつも世話になってるし……今回は俺が作ってみっかな?」
男「うんうん、そうしよう!」
男「材料はあるかな……」
スタスタ
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:54:00 ID:22cYdu8A
・
・
・
男「あと足りないのは、メープルシロップと?」ポチポチ
幼「あっ!」
男「おっ? よう! 幼!」
幼「や、やあ! あはは、奇遇だね、男」
男「幼は……晩飯の買い物か?」
幼「うん、毎日の事だしね」
幼「それより、男が食品売り場に居るなんて珍しいね。 どうしたの?」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:55:25 ID:22cYdu8A
男「ちょっと料理をな。しようと思って。今日は材料集めだな」
幼「料理? 男が? 珍しい……と言うか」
男「ん?」
幼「料理なんて初めてじゃあない?」
男「そうだな。目玉焼きも上手く焼けんからなー、ははは」
幼「その……差し支え無ければ、理由を聞いても良いかな?」
男「あー、今年もばあちゃんが大量にカボチャを送ってくれたんだけどよ」
幼「そうなんだ。 毎年美味しいよね、おばあさんのカボチャ」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:56:33 ID:22cYdu8A
男「それは毎年幼が料理してくれるからだろ」
幼「え、えぇ? い、いや……それは」
男「去年もスープと煮つけ作ってくれたじゃん、すげー美味いやつ」
幼「あ、あれはほら! やっぱり素材が良かったんだよ。うん」
男「カボチャだけ美味くても、料理出来なきゃ食べられないし」
男「あの味は、花嫁修業完了しました!って感じだったぜ?」
幼「は、花嫁……ぁぅ……」ポー
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:57:52 ID:22cYdu8A
男「そうそう、今年のカボチャは特に良く出来たらしくてな」
男「で、ばあちゃんがハロウィンのお菓子でも作れば?っつって」
男「レシピまでつけてくれてたからさ」
男「いっちょ作ってみっか!と思ってよ」
男「足りない材料を買いに来たって訳だ」
幼(最近、男と一緒に居る時間が全然無い……これはチャンスなのでは?)ブツブツ
男「?」
幼(今年も料理を振舞って、胃袋を掴んでいくとか……でもそれだと去年と……)ブツブツ
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 15:59:13 ID:22cYdu8A
男「どした? 俺が料理するのがそんなに変か?」
幼「!!」ハッ
幼「ち、違うよ、違う! そうじゃなくて!」
男「またあわあわしてるぞ? 大丈夫か?」
幼「あ、あぅ……す、すまない……」
男「大丈夫、大丈夫」ナデナデ
幼「…………」
男「……落ち着いたか?」ナデナデ
幼「……お、落ち着いたとも、うん」
男「そか、良かった」
幼「コホン……それで、男は何を作るんだい?」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:01:03 ID:22cYdu8A
男「おう、これ……ウチに無い材料をメモって来たんだけどな」
ポチポチ
サッ
幼「ふむ……材料を見るに、焼き菓子を作るのかな?」
男「そうそう! よくわかるな!」
幼「バニラオイルはウチにあるのを使うと良いよ」
男「え?」
幼「滅多に使う物じゃあないし、使うのは少量だよ。買っても持て余すと思うよ?」
男「確かに……それじゃあお借りするかな?」
幼「うん」
男「このお礼はお菓子でするぜ!」
幼「!」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:02:09 ID:22cYdu8A
男「まぁ、上手く出来るかわからんけど、な」
幼「あ、ありがとぅ……」カァッ
男「あー、それじゃおすそわけもあるし、一緒に帰ろうぜ」
幼「う、うん? 一緒に? あ、いや……おすそわけ?」
男「カボチャ。 たくさんあるからさ」
幼「ありがとう! じゃあこちらもお返しは料理でするよ」
男「おう、今年も期待してるぜ」
幼「そ、それじゃあ買い物を済ませて帰ろう……一緒に」
男「おー」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:03:44 ID:22cYdu8A
・
・
幼「ふふ」
男「ん? どした?」
幼「いや……こうして並んで歩くのも久しぶりだな、と思ってね」
男「そうか? 最近は……そうか。 久しぶりか」
幼「そうだよ、久しぶりだよ、ふふふ」
男「嬉しそうだな? そんなに楽しみか?」
幼「ん? うん。そりゃあ楽しみだよ、とてもね」
男「ばあちゃんの自信作らしいからな、きっと美味いぞ」
幼「ん?」
男「ん?」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:05:58 ID:22cYdu8A
幼「! そ、そう、カボチャ! 楽しみだよ! うん!」
男「お、おうよ」
幼(危ない危ない……落ち着くんだ私!)スーハースーハー
男「どうした? またあわあわして」
幼「何でもないよ、うん。カボチャをどう料理しようかと思って」
男「あ、去年の煮つけが、めちゃ美味しかったからリクエストしてもいいか?」
幼「わかったよ、煮つけは決定で……ふふっ」
男「ん? 今度は何だ?」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:07:01 ID:22cYdu8A
幼「去年の煮つけは、めちゃ美味しかったのか、と思って」
男「おう、めちゃ美味かった。 あ、もちろんスープも……って」
男「あれ? 俺、言ってなかったっけか?」
幼「さっきスーパーで美味しかったとは言ってたけれど……」
幼「めちゃ美味しかったとは聞いてない、かも」
男「そりゃ悪かった。 めちゃ美味かったぜ!」グッ!
幼「作り甲斐があるよ」ニコ
男「……」
幼「ん? どうしたの?」
男「い、いや、何でもない」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:20:45 ID:22cYdu8A
・
・
男「それじゃこれ、ほい」ドッサリ
幼「わぁ……これは凄いね。 おばあさんが自信作と言うのもわかる気がする」
幼「こんなに頂いても良い物なのかな?」
男「まだまだたくさんあるし、貰ってくれ」
幼「それじゃあ遠慮なく頂きます。 ありがとう」ペコ
男「おう。 こっちこそ、バニラオイルありがとな」ペコ
幼「お互い、料理頑張ろうね」
男「頑張るぜ!……って、高校3年の秋、こんな事をしていていいのかと」
男「思ったり思わなかったりだけどな、ハハ」
幼「勉強ばかりでは疲れてしまうし、息抜きは必要だよ」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:23:20 ID:22cYdu8A
男「だよな! 息抜きは必要だよな!」
幼「う、うん……ふふっ、息抜きばかりでは駄目だけどね?」
男「う……うんうん。 それじゃサボってるだけだもんな、うん……」
幼「ふふ……それじゃあ、私の料理はハロウィン当日に……」
幼「そう言えば、男はいつお菓子を作るのかな?」
男「あー、考えて無かった。ハロウィン当日に作るかな?」
幼「焼き菓子なら、前日までに作っておいて」
幼「ラッピングして、当日ご近所に配るのも良いんじゃないかな?」
男「そうだな……そう言えば町内会のお知らせに何か書いてあったな」
幼「子供達が回っても良い家は、ジャック・オー・ランタンを玄関先にってやつだね」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:25:48 ID:22cYdu8A
男「幼の所は? 参加するのか?」
幼「ウチはお母さんが市販のお菓子を準備して参加するそうだよ」
男「数に限りはあるだろうけど、ウチも参加してみっかな!」
幼「ジャック・オー・ランタンは町内会長さんの所で借りられるよ」
男「そか。 あとでカボチャ持って挨拶行くかな」
幼「うんうん。 わからない事があれば何でも聞いてね?」
男「頼もしいぜ。 もしもの時は頼む」
幼「お任せを。 ハロウィン、楽しみだね」
男「楽しくなってきたな! 俺も仮装とかするかなー」
幼「ふふっ、『息抜き』は程々に、ね?」
男「う、おぅ」
幼「それじゃあね」
男「ん、じゃあなー」
バタン
幼「……よしっ! 頑張るぞっ!」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:28:41 ID:22cYdu8A
・
・
男「さて、とは言え、前日にいきなり本番って訳にはいかんから……」
男「ちょっとだけ料理してみるかな!」
ガチャガチャ
男「……仮装も……手間がかからないなら何かしてーな」
男「吸血鬼とかどうかな? いや、もうちょっと捻った方が……」ブツブツ
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:34:05 ID:22cYdu8A
・
・
・
ハロウィン当日
ピンポーン
男「はーい」
タタタッ
ガチャ
幼「トリックオアトリート!」
男「うぉっ!」ビクッ!
幼「お菓子かいたずらかー……」
男「幼、その格好……凄いな!」
幼「えっ?」
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:36:30 ID:22cYdu8A
男「めちゃ本格的じゃねーか! びっくりしたわ!」
幼「そ、そうかな? ま、まあちょっと頑張ったけども、そんなにかな?」
男「マジで、アイドルの衣装かよ……今日イチ驚いたわ……」
幼「と、とりあえずその……部屋にあげてくれないかな?」
幼「料理もあるし、その……」モジモジ
男「ん?」
幼「そこまで驚かれると、恥ずかしいので……」モジモジ
男「……おぉ、すまんすまん、入ってくれ」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:39:29 ID:22cYdu8A
・
・
男「いやー、しかしびっくりしたー」
幼「……」
男「あ、すまんすまん、気悪くしたか?」
幼「……いいや、違うんだよ……その、う、嬉しくて」カァァ
男「そ、そうか……でもホントに凄いぜ」
男「特にそのスカート……カボチャのスカート?」
男「幼の事だから、自分で作ったんだろう?」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:40:42 ID:22cYdu8A
幼「う、うん。 今回のコンセプトはカボチャの魔女って事で」
幼「魔女っぽく、それでいて可愛さは残した衣装にしたいと思って」
男「マントと帽子も凄い……俺の100均のとじゃ違うなー」
幼「でも男の衣装も似合っているよ」
男「このマスカレードマスクだけは頑張った。 ベースは100均だけど」
男「ネットで調べて、滅茶苦茶デコった」
幼「うんうん、輝いているよ!」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:42:50 ID:22cYdu8A
男「ちょっと写真撮ろうぜ」
幼「えぇ」
男「なんか今日はネガティブだな……似合ってるって」
男「めちゃ可愛いから大丈夫だって!」
幼(めちゃ可愛いって言われた! めちゃ可愛いって言われた……)カァァ
男「撮るぞー」
幼「う、うん!」
男「カボチャの魔女っぽいポーズ!」
幼「こうかな?」
サッ
男「いいね!」
パシャ
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:44:47 ID:22cYdu8A
男「どうだ、かなり良い感じで写せた!」
サッ
男「やっぱり素材が良いと、腕前は関係ないか、ははは」
幼「う、こうして見ると、やっぱり恥ずかしいな……」
男「次! 一緒に撮ろうぜ!」
幼「う、うん!」
男「うし! 行くぞ!」
幼(顔、近い……)
男「幼、笑顔が硬いぜ?」
幼「す、すまない」アセアセ
男「せっかくの可愛さが減るぜ? ほら、スマイルスマイル!」ポンポン
幼(肩ポンポンされた……ふふ、嬉しい)ニヘー
男「シャッターチャンス!」
パシャ
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:48:08 ID:22cYdu8A
男「おー、さっきより更に良い写真が撮れた!」
幼「あっ、ニヤけた顔が……」
男「幼がたまに見せるこの表情、俺は好きだぜ?」
幼「え?」
男「幸せ~って感じで、好きだ」
幼(今か! 今がその時なのかな?)
幼(い、言うぞ……言ってしまうぞ)
幼「わ、私も男の事がす」
ピーンポーン
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:49:26 ID:22cYdu8A
男「ん?」
幼「あ! 子供達が来るのは6時から8時までの間だからそろそろ……」
ピンポーン
男「という事は……来たな、ちびっ子達」
男「ほら、幼も」
幼「え?」
男「ちびっ子達を驚かせちゃおうぜ?」
幼「で、でも……」
ピンポーピンポーピンポーン
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:50:55 ID:22cYdu8A
男「だーいじょうぶ! 似合ってるから。 ほら!」
サッ
ピンピンピンピンピンポーン
男「はーいよー! 今出るよー!」
グイッ
タタッ
幼「あわわ」
タタッ
幼(慌てず……焦らず……頑張れ私!)
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:52:15 ID:22cYdu8A
ガチャッ
子供達「「トリックオアトリートー!」」
子供A「お菓子くれなきゃいたずらするぞー!」
子供B「するぞー!」
子供C「お菓子ちょーだいー」
男「はいはいよー、カボチャのクッキーやるから、いたずらは止めてくれー」
サッ
子供達「「わーーーい! お菓子だーーー!」」
引率のおばさん「男君、ありがとね……あら?」
男「いえいえ……ん?」
幼「……」コソコソ
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:53:21 ID:22cYdu8A
おばさん「幼ちゃん? あらあらあら! かっわいいー!」
幼「ど、どうも……」テレテレ
子供A「ホントだ! お姉ちゃんチョーかわいい!」
子供B「アイドルみたいだ! すげー!」
男「そうだろうそうだろう。 俺たち二人頑張ったんだぜ?」
子供C「それにしては兄ちゃんのはイマイチ! あははははは」
子供B「ホントだ、イマイチだ! あははははは」
男「あー、そういう生意気な子供にはお菓子やらなーい」
子供A「バッカ、お前ら! こんな時は『すっごく良いですね!』で乗り切る約束だろー」
子供達「「二人ともすっごく良いですね!」」
男「なんか釈然としねーけど、ほらクッキー」
サッ
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:54:57 ID:22cYdu8A
子供達「「ありがとー!」」
男「ふふん、俺は仮装はイマイチだが、そのクッキーには自信がある!」
子供A「え! これ兄ちゃんが作ったの?」
子供B「お姉ちゃんじゃなしに?」
子供C「うっそだー」
男「ウソじゃねーって、な? 幼?」
幼「そうだよ。 そのクッキーはお兄さんが一所懸命頑張って作ったんだよ」
子供達「「へぇ~」」
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:56:48 ID:22cYdu8A
子供D「あの……トリックオアトリート……いいですか?」
子供E「お菓子くれなきゃいたずらだー!」
子供F「郵便受けに味付け海苔をたくさん入れたりするぞー!」
男「おおっと! お菓子やるからいたずらしないでくれー」
子供A「じゃあ、俺たちは次の所行こうぜ!」
子供B「兄ちゃんありがとー!」
子供C「お姉ちゃん、衣装可愛かったよー」
タタタ
おばさん「ごめんなさいね、長居して。 ありがとね、二人とも」
男「いえいえ」
幼「夜道、気を付けて下さい」
子供D「お菓子ー!」
子供E「この海苔を郵便受けに入れちゃうぞー」
男「わかった、わかったから順番に……」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 16:58:25 ID:22cYdu8A
・
・
男「ふいー……もうそろそろ八時か……ちょっと疲れたな」
幼「もう子供は来ない……かな?」
男「クッキー2袋余っちまったな」
幼「たくさん作ってたね、凄いよ、男」
男「おう、昨日は一日クッキー焼いて焼いて焼きまくったぜ」
幼「そう言えば、私まだ貰ってないね」
幼「お菓子をくれなきゃいたずらするぞー」
男「おっと、幼にはいつも世話になってるから別枠だぜ」
サッ
幼「あ、可愛いラッピング」
男「中身も特別だぜ、見てみ」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:00:20 ID:22cYdu8A
幼「それじゃあ遠慮なく」
ペリペリ
ガサガサ
男「どうよ」
幼「わぁ……ちゃんとカボチャの形してて、チョコでジャック・オー・ランタンが描かれている!」
幼「どうして私だけ?」
男「ホントは全部それで行こう!と思ってたんだけどさ」
男「8枚焼いた時点で諦めた……」
男「俺が集中してクッキーを焼けるのは8枚が限界だった……と」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:02:11 ID:22cYdu8A
幼「ふふ、型抜きやデコレーションはちょっと大変だよね」
男「この作業をあと何枚分やるのか…って考えたらさ」
男「子供用は普通に丸型でいいかなって」
男「だからそのクッキーは一番頑張って作った物なのだ!」
幼「あ、ありがとう……凄く嬉しいよ」
幼「一枚だけ、今食べても良いかな?」
男「おう! 自信作だ! 食べてみてくれ!」
幼「それでは、頂きます」
ポリッ
モグモグ
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:03:42 ID:22cYdu8A
男「……」
幼「うん! 凄く美味しいよ!」
男「へっへっへ……やったぜ!」
ぐぅ~~~~~~~~~~~
男・幼「「…………」」
幼「ふふっ、それじゃあ食事を温めるね」
男「すまんな、催促したみたいで……」
ぐぅ~~~
幼「今回はリクエストのあった煮つけと、新作で蒸したカボチャを……」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:05:51 ID:22cYdu8A
・
・
男「はー、やっぱり幼の料理めちゃ美味いな!」
幼「ありがとう、完食してくれて嬉しいよ」
男「やっぱさ、料理って経験だよなー」
幼「え?」
男「実は試しにいくつか別のお菓子も作ったんだけどよ……」
男「クッキー以外は不味くて食えたもんじゃ無かったんだな、これが」
幼「へぇ……それは処分してしまったのかい?」
男「ガッツでほぼ食ったさ……お残しなんて許されねーからな」
男「せっかくのばあちゃんのカボチャだからな」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:07:14 ID:22cYdu8A
幼「ほぼって事は残っているものもあるのかな?」
男「プリンが、残ってる……」
幼「プリン! へぇ」
男「容器が無かったから、コップで2個作ったんだけど」
男「美味いかどうか、わからない……」
幼「……それ、二人で食べよう!」
男「え、上手くいった自信が全くないんだけど……いいのか?」
幼「それでも! 二人で、食べよう」
男「おう、そんじゃ取ってくるぜ」
スタスタ
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:08:16 ID:22cYdu8A
幼(二人で……2個しかないプリンを、食べる……)
幼(特別な感じがして……嬉しい!)ニヘー
幼(はっ!? 駄目だ駄目だ……ニヤけずにニヤけずに……)
男「冷え具合はばっちりっぽいけど……ホントにいいのか?」
スタスタ
幼「う、うん! もちろん!」
男「そんじゃ、はいよ、コレ」
コトッ
幼「結構大きなコップで作ったんだね」
男「ちょっとデカ過ぎだよな……このコップ1個でプリン3個分なんだ」
幼「なるほど、プリン6個分のレシピで作ったんだね?」
男「そう! しくじったよなー」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:09:46 ID:22cYdu8A
幼「味見はしていないんだよね?」
男「してないなー」
幼「レシピ通り作ったんだよね?」
男「そう、それ大事な?」
幼「ん?」
男「ばあちゃんから貰ったレシピ、大人数向けでさ」
男「俺、そんなにいらんから、とりあえずこんくらいかなー?って」
男「勝手に量減らして作ったら、まぁ失敗でな。ケーキとかタルトとか……」
幼「あははは……お菓子はね、レシピ通り作るとほぼ失敗しないんだよ」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:11:28 ID:22cYdu8A
男「じゃあこのプリンは……?」
幼「食べてみよう」
男「よ、よし来た!」
幼「お先に、頂きます」
パクッ
男「……どうだ?」
幼「食べてごらんよ」
男「おう! 頂きます!」
パクッ
男「……こんなバカな!?」
幼「すっごく美味しいよね!」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:12:23 ID:22cYdu8A
男「マジかー、ばあちゃんごめんー、そしてありがとうー」
パクパク
幼「ふふっ、美味しいし、嬉しい」
パクッ
男「嬉しい?」
幼(しまった、つい本音が……)
幼(ど、どうしよう。 今がチャンスの時なのか?)
幼(言ってみるか!)
幼「そ、そう。 私は男」
ピーンポーン
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:15:10 ID:22cYdu8A
男「ん? こんな時間に誰だ?」
幼「……ひょっとして、まだ回ってる子が居るのかな?」
スタスタ
ガチャ
子供Y「あ、あの……トリックオアトリート……まだ大丈夫ですか?」
子供Z「うぅ……遅くなってごめんなさぃ……グスグス」
子供Y「もう泣くなよ。 遅くなったのは俺のせいだから」
子供Y「妹が気にする事じゃないんだってば」
子供Z「でもぉ…グスッ」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:16:43 ID:22cYdu8A
男・幼「……」コクッ
男「うわー! お化けだー!」
幼「お菓子をあげるから、いたずらはしないでー」
子供Y「あ、ありがとう、お兄さん、お姉さん!」
子供Z「うぅ…ありがとーございます」ペコ
幼「ほらこれ、とっても美味しいカボチャのクッキーだよ」
子供Z「うわぁ……お姉さん、本物のカボチャの魔女?」
幼「そう、私は魔女なの。 魔法が使えるんだよー」
幼「このクッキーを食べるとニコニコ笑顔になれるよ」
幼「カボチャの魔女がそんな魔法をかけておいたんだ」
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:18:09 ID:22cYdu8A
幼「だからほら。 もう泣かないで?」
子供Z「うん! 私もう泣かない!」
子供Y「ありがとうございます!」ペコ
幼「二人とも、お菓子袋はまだまだ入る?」
子供Y「はい、ここが一軒目なので……」
幼「それじゃあ、カボチャの魔女がもう一つ! 魔法を使ってあげる」
スッ
男(スマホ?)
幼「ちょっと待ってね、今魔法の呪文をかけるから」
ポチポチポチ
子供Z「魔法使いはスマホで魔法を使うの?」
幼「そうだよー。もうすぐかかるよー」
ペコリン
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:19:13 ID:22cYdu8A
男「おい幼、魔法って」ヒソヒソ
幼「大丈夫、任せて」ヒソヒソ
クルクルクル
ピタッ
幼「はーい、そのお菓子袋に魔法をかけましたー」
子供Z「なんの魔法?」
幼「そのお菓子袋がいーっぱいになる魔法だよ、ふふっ」
子供Z「わーい! やったー!」
子供Y「あの……それはその……」
幼「大丈夫! 次に隣の家を訪ねてみて」ヒソヒソ
幼「きっと魔法がかかってるから、ね?」ニコ
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:22:12 ID:22cYdu8A
子供Y「あの、本当にありがとうございます……」
幼「妹ちゃんが笑ってるのに、お兄ちゃんが困った顔してると」
幼「また妹ちゃんを泣かせてしまうよ?」
子供Y「はい、わかりました!」
子供Y「ありがとうございます!」
子供Z「お兄ちゃん、早く次に行こうよ!」
子供Z「うん! 仮面のお兄さんと、魔女のお姉さん!」
子供Z「本当にありがとうございました!」ペコ
子供Y「ありがとうございましたっ」ペコ
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:23:26 ID:22cYdu8A
男「君たち、見ない顔だけど家はどこなの?」
子供Y「ここから5分くらい歩いた所にあるアパート」
子供Z「最近引っ越してきたんだー」
幼「そうなんだ……もう夜遅いから、帰り道気を付けてね?」
子供Y・Z「はーい!」
幼「うん、良い返事だ! じゃあ次の家に行っておいで」
男「またなー」フリフリ
子供Z「またねー」ブンブン
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:25:28 ID:22cYdu8A
・
・
男「で? 魔法ってなんだ?」
幼「お母さんにラインしたんだよ」
ポチポチポチ
幼「『今から行く兄妹にありったけのお菓子をあげて』ってね」
男「なるほど……お菓子の備蓄は大丈夫なのか?」
幼「大丈夫。 たっぷり買い込んでたから」
幼「余った分は私とお母さんのおやつになる予定だったし」
男「そっか……それじゃあの二人のお菓子袋は一杯になって笑顔になるな」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:28:19 ID:22cYdu8A
幼「それと帰り道が心配だから、二人を送って行くようにラインしておいたよ」
男「おぉ、素敵な気配り! 流石だなー」
幼「いえいえ、そんなそんな」
男「なんか最後に良い事した感あるよな、はは」
幼「ふふふっ……二人、可愛かったね」
男「あぁ、可愛い兄妹だったなー」
幼「さて……プリンの残りを食べようよ」
男「あ、そだった。 食ってる途中だった」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:29:30 ID:22cYdu8A
幼「~♪」
パクッ
男「……今さらだけどあの二人、俺と幼で送って行けば良かったんじゃね?」
パクッ
幼「わ、私はこの格好で外の道を歩く度胸は無いよ、はは……」
男「まだそんな事を……似合ってるって!」
幼「……ありがとう」
パクッ
男「そういえば何か話してる途中だったよな?」
幼「ん? ん~~……今年のハロウィンは~……」
幼「男と一緒に楽しめて、とても嬉しいって話だよ」
パクッ
男「そだな! 楽しいハロウィンだな!」
幼「うん!」
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:30:04 ID:22cYdu8A
幼(これで良い……今の楽しい雰囲気を壊す事は無い……)
幼(私は焦らない……焦らないぞ……)
幼(楽しいままで今日を終えるぞ……)
男「あ、そだ。 写真、もっと撮ろうぜ」
幼「えぇ? 写真はもう……あ、さっき撮った写真、ラインで送って貰えるかな?」
男「それは勿論オーケーだけど、もっと撮ろうぜ?」
男「幼友さんに送れば、幼の仮装がどれだけ可愛いか、わかってくれると思うんだよな」
幼「あぁ、はは……それはそうかも」
幼「じゃあ、もうちょっとだけ……浮かれてみようかな」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/10/31(火) 17:31:16 ID:22cYdu8A
男「それじゃ撮るぞー」
幼「うんっ」
幼(次のチャンスは……クリスマスっ!)
・
・
ハロウィン翌日の早朝
幼馴染の友「…………ん……ライン……誰?」
ポチ
幼友「なんじゃこりゃあああああああああああ!」
ガバッ!
幼友「可愛いにも程があるでしょうよ、幼ぁぁぁぁぁぁああああぁああ!」
幼友「送信履歴は! 夜9時!」
幼友「なんで私は寝てたの?」
幼友「今からトリック! トリックでお願いします!」ハァハァ
おわり
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