【王様SS】王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」

1: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 17:01:12.35 ID:h9etlduVo

王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」

王「出かけて数分で命を落とすやつがあるか!」

王「なに・・・?腹を下して?草陰で用を足していたら?襲われたあ???」

王「・・・それはまあ、仕方ないか?」

王「・・・いやいやいや!」

王「不用心すぎるぞ勇者!そういう時こそ、旅の仲間とフォローしあってだな!」

2: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 17:02:21.43 ID:h9etlduVo

王「む・・・?そういえば、勇者よ旅の仲間はどうした?」

王「一人で街を出た!?」

王「そんな無茶をする者があるか!」

王「・・・勇者たるもの、一人旅ぐらいやってのけるだと!?」

王「できとらんやないかーい!!!」

王「そういうのは、強くなってからやりなさい!」

3: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 17:02:48.37 ID:h9etlduVo

王「ふう・・・、もうよい」

王「次は、仲間を集めてから街を出るのじゃぞ」

王「ん・・・?どうした?」

王「何処で仲間を集めればよいか、じゃと!?」

王「酒場に決まっておろう!」

王「酒場で旅の仲間を集うのは勇者の伝統!そんなことも知らんのか!」

4: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 17:03:15.13 ID:h9etlduVo

王「怖くて酒場に入れないだと!なんと情けない!」

王「ううむ・・・いや・・・まあ・・・」

王「今回の勇者は、未成年であるしな・・・」

王「酒場に行かせるのも、教育上よろしくないか・・・」

王「よおし!わかった!大臣よ仕度せい!儂が征く!」

王「政は大臣に任せた!」

5: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 17:04:30.82 ID:h9etlduVo

王「なんじゃ勇者!情けない顔をしおって!心配するでない!」

王「これでも、先々代の勇者!旅など慣れたものよ!」

王「ははは!久々に血湧き肉躍るのう!」

王「さあ征くぞ!勇者よ!」

6: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 20:59:50.46 ID:h9etlduVo

王「勇者よ、女に振られたぐらいで泣くな!情けない!」

11: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:06:45.77 ID:h9etlduVo

王「たかが町娘ではないか!」

王「ふむ、確かに美しい娘ではあったな、心身ともにな!」

王「ふふふ!儂も、もう少し若ければ手を出しておったかもしれぬ!」

王「ああ、すまんすまん!冗談じゃ!」

王「だから泣くのではない!」

王「致し方ないではないか、勇者よ」

12: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:07:13.89 ID:h9etlduVo

王「わし等と共に町を救った、あの若者」

王「聞けば、あの町娘と良い仲だったと言うではないか」

王「ぽっとでの貴様じゃ敵わんさ!叶わんさ!」

王「ははははは!」

王「なに!女なぞ星の数ほど居る!ただし侮るな!」

王「ライバル足り得る男達も星の数ほどおる!」

13: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:08:10.70 ID:h9etlduVo

王「我が国の人口比で見ると男の星のほうが多いがな!」

王「どれ!ちょいと一杯引っ掛けに行こうではないか!」

王「かつての儂が如何に姫騎士を口説き落としたか」

王「教授してやろうではないか!」

王「それに、そろそろ酒の味も覚えても良かろう!」

王「剣技に関しては、一人前と言っても過言ではない!」

14: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:08:39.19 ID:h9etlduVo

王「一端の男たるもの、酒ぐらい嗜まなくてはな!」

王「まあ、女の口説き方も知らんでは、まだまだ未熟じゃがな!」

王「それになんだったら、よい店を知っておるぞ!」

王「この町はな、かつて冒険のさ中に立ち寄ったことがある!」

王「実は儂もな、この町で大人の男になったのじゃ!」

王「まあ、あの店がまだあるかは定かではないがな!」

15: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:09:08.87 ID:h9etlduVo

王「そんな情けない顔をするな勇者!」

王「兎にも角にも、まずは酒じゃ!」

王「女の口説き方を覚えたら、さっそく実践しに行こうではないか!」

王「さて今宵は長くなりそうじゃ!」

王「ほら!行くぞ勇者!」

16: ◆CItYBDS.l2 2017/08/13(日) 22:09:35.48 ID:h9etlduVo

王「勇者よ、人が斬れないとは情けない!」

19: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:24:14.52 ID:G0NBeQWxo

王「こやつらは、旅人襲って食ってたのじゃぞ!」

王「邪悪な魔物と何が違う!?」

王「自分の姿を見てみよ!」

王「この戦闘で最も傷を負ったのは貴様ではないか!」

王「こやつらを生け捕ることに固執した結果がそれじゃ!」

王「言葉が交わせるなら分かり合える、じゃと?」

20: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:24:42.05 ID:G0NBeQWxo

王「なるほど、人間だから斬りたくないというわけではないのか」

王「じゃが、それは甘すぎる」

王「如何に語り合おうと分かり合えぬ相手は必ず居る」

王「ましてや、貴様を騙ろうとする者は如何とする!?」

王「先代勇者の顛末は貴様も知っておろう?」

王「和平を申し出た魔王に気を許したがばかりに、騙し討ちされた男のことを!」

21: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:25:08.48 ID:G0NBeQWxo

王「同じ轍を踏むつもりか?」

王「・・・ふむ、貴様のその甘さは先代ゆずりじゃのう」

王「じゃが、ならぬ」

王「なに、何事も慣れじゃ」

王「肝心なのは最初の一人」

王「幸いなことに目の前のこやつらは、斬ってもよい人間じゃ」

22: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:25:34.69 ID:G0NBeQWxo

王「ならぬ、とどめを刺すのじゃ勇者」

王「為さぬというなら、こやつらを今すぐ解き放つ」

王「こやつらは、また森に潜み人々を襲うであろう」

王「その責は、貴様が負うのだ勇者よ」

王「やるのだ、やらねばならぬのだ」

王「・・・」

23: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:26:02.24 ID:G0NBeQWxo

王「よくやった勇者よ」

王「ほら泣くな!情けない顔をするな!」

王「胸を張れ!貴様はまだ見ぬ人々を救ったのじゃ!」

王「ほれ!行くぞ勇者!」

24: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:28:36.31 ID:G0NBeQWxo

王「勇者よ武闘大会で初戦敗退とは情けない!」

25: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:43:57.92 ID:G0NBeQWxo

王「まったく何たる体たらく!」

王「仮にも勇者じゃぞ!この程度の大会で一勝もできんとは!」

王「うむ・・・」

王「・・・いや、まあ貴様に黙って出場した儂も悪かった」

王「・・・いや、準決勝ぐらいで当たって驚かしてやろうと・・・」

王「まさか初戦で貴様とあたるとはな!」

26: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:44:24.83 ID:G0NBeQWxo

王「ははは!」

王「しかし!勇者よ貴様も腕を上げたな!」

王「ついうっかり儂も本気を出してしまったわ!」

王「なに?わしが放っていた眩しいオーラは何かじゃと?」

王「・・・はて?なんのことかな?」

王「魔法ではないかと?」

27: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:44:52.34 ID:G0NBeQWxo

王「な!?ズルじゃないわい!」

王「あれは魔法ではない!魔法ではないからズルではない!」

王「・・・」

王「はい、勇者にもたらされる秘められた力です・・・」

王「すみません・・・」

王「魔法とは違うんです・・・だから運営に告げ口するのは勘弁してください」

28: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:45:18.26 ID:G0NBeQWxo

王「ああもう!わかったわかった!」

王「本当は、自身で秘められた力を引き出してほしかったんじゃが!」

王「使い方を教えてやるから勘弁せい!」

王「ほら!せっかく優勝賞金も貰ったんじゃ!」

王「まずは祝杯をあげに行こうではないか!」

王「秘められた力の話は、そのあとじゃ!」

29: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:45:44.60 ID:G0NBeQWxo

王「なに?純粋な剣技じゃない以上、やっぱりズルじゃないかじゃと!?」

王「しつこいのう!」

王「さては貴様、優勝賞金にたかるつもりじゃな!」

王「わかったわかった!今日は好きなもの頼むがよい!」

王「今晩で使い切るつもりで臨もうぞ!」

王「ほら!いつまでも拗ねてないで!行くぞ勇者!」

30: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 10:46:20.15 ID:G0NBeQWxo

王「勇者よ、仲間が死に瀕したぐらいで立ち止まるのか!情けない!」

33: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:26:17.54 ID:G0NBeQWxo

王「儂らは、楽しいハイキングに来たわけでな無いのじゃぞ!」

王「目的を見失うでない!」

王「魔王を目前にして何故立ち止まる!」

王「貴様、この旅で何を学んだ!」

王「その甘さは、いつになったらなおるのじゃ!」

王「ロートルなんぞ捨て置け!」

34: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:26:44.41 ID:G0NBeQWxo

王「行くのじゃ勇者!」

王「勇者としての責務を果たせ!」

王「・・・なに、魔王を倒した帰り道に儂の亡骸を拾ってくれればよい」

王「懐に儂のへそくりが入っておる、王国への帰途で全部使ってくれ・・・」

王「国へ帰ったら、貴様も英雄じゃ・・・」

王「もう好き勝手に旅することも、遊郭に行くこともままならぬ」

35: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:27:10.49 ID:G0NBeQWxo

王「ゆっくり遊びながら帰るとよい」

王「ああ・・・儂も、もう一度、あの思い出の店へ・・・行きたかったなあ・・・」

王「・・・なに?傷の割に意外と元気じゃないか、じゃと?」

王「馬鹿者!瀕しておるは!死に瀕しておるわ!」

王「貴様に檄を飛ばす為に、力を振り絞っておるわ!」

王「ほら!さっさと行け勇者よ!」

36: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:27:36.31 ID:G0NBeQWxo

王「さっさと世界を救ってこい!」

王「・・・やっと行ったか」

王「まったく・・・情けない顔をしおって」

王「さすがにしんどいのう・・・」

王「しかし、久々に楽しい旅であった・・・」

王「やはり玉座よりも、こっちのほうが向いとるのじゃろうなあ・・・儂」

37: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:29:08.35 ID:G0NBeQWxo

王「先代勇者・・・あやつとも旅をしてみたかった・・・」

王「わしが一緒なら、無様に死なせなかったものを・・・」

王「・・・行け勇者」

王「世界を救え・・・」

王「我が孫・・・」

王「・・・次代の王アルスよ!」

38: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:32:42.98 ID:G0NBeQWxo

——

王「どうした大臣?血相を変えて」

王「まさか?魔王か!?」

王「もう復活したのか!?まだ10年と経たんぞ!?」

王「次代の勇者は、まだ幼子だ・・・俺が行くしかないか・・・!」

王「なに・・・?違う・・・?」

王「・・・先王が?」

王「書置きを残して出奔!?」

王「・・・書置きには何と?」

王「『思い出の、あの店へ行ってくる』だと!?」

王「まったく、いい年をして!」

「なんて情けない人だ!」

39: ◆CItYBDS.l2 2017/08/14(月) 11:33:14.63 ID:G0NBeQWxo
おわり

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