1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 14:37:47 ID:aIDopoN.
幼馴染のマンション
幼「ねえねえ」
男「んー?」
幼「グルメ漫画って知ってる?」
男「ああ、うん。美味しんぼとか、そういうのでしょ?」
幼「古いなぁ。けど、そうそれ」
男「なんだか最近流行ってるらしいね」
幼「そう!」ガタ
男「・・・・・・な、なに?」
幼「ふざけんなと!!」
男「・・・・・・」ビク
幼「あんなものはクズだ!」
男「随分突拍子もないな」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 14:44:03 ID:aIDopoN.
幼「あんなものが出回るから、女が変に手の込んだ料理を求められるんだ!!」
男「そんなことないよ」
幼「そんなことある! 同棲しても料理、結婚しても料理! もううんざりだ!!」
男「そう?」
幼「イメージの問題だ!!」
男「お前、料理苦手だもんなぁ」ボソ
幼「なに!?」
男「いや、なにも」
幼「ふん、まったく。大体料理がなんだ、食べられればそれでいいじゃないか」
男「・・・・・・でも、美味しいに越したことはないさ」
幼「・・・・・・手がかからなくても、美味しい物作れるよ」
男「ああ、そうだ。お前の料理は美味しいよ」
幼「ほら! 私の料理はてきとーってことだろう!?」
男「そうじゃないよ」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 14:48:51 ID:aIDopoN.
幼「くそー。あんなものが広まったばっかり」
男(料理漫画とはあんまり関係ないんだけどなぁ)
幼「・・・・・・そうだ!!」ガタ
男「どうしたの?」
幼「広めればいいんだよ! てきとーな料理の良さを!!」
男「お、おう」
幼「そうさ! 本なり漫画なりで、てきとーな料理を良しとする風潮が出来ればいいんだよ!!」
男「うん。そうそう。そうだな」
幼「てきとーメシだ!!」
男「・・・・・・はあ、またはじまったよ」
幼「さっそく台所に行こう! 今からてきとーメシを作るぞ!!」
男「今から? 材料は?」
幼「めんどくさいからある物でいい! ほら、はやく来い!」
男「うーん」スタ
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 14:54:43 ID:aIDopoN.
台所
幼「なにがあったかなー」
ガチャ
男「・・・・・・これは」
幼「冷凍の、豚バラ肉」
男「他はなにもないな・・・・・・本当になにもない」
幼「お、お米はあるもん!」
男「いや、それはそうだけど」
幼「よし、それでは今からてきとーメシをはじめる! 男、ご飯を炊きなさい」
男「何合?」
幼「・・・・・・ナンゴー?」
男「・・・・・・えーと、お茶碗何杯食べたい?」
幼「1杯!」ニコ
男「・・・・・・1合でいいか」
幼「私はメインディッシュに取り掛かる!」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 14:59:30 ID:aIDopoN.
男「ご飯はもう炊き始めたよ」
幼「まずは豚バラ肉があります!」
男「冷凍のね」
幼「フライパンに入れます!」ゴトン
男「冷凍のを!?」
幼「そこに水をコップ一杯入れます!」ジャー
男「凄い光景だな」
幼「塩を少々!」パラパラ
男「はい。塩、少々」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:00:01 ID:aIDopoN.
幼「蓋を閉じます!」
男「う、うん」
幼「弱火で、点火ー!」
カチ、シュボ
男「・・・・・・よし、次はなにを?」
幼「借りてきたDVDを少々」
男「入れるの!?」
幼「観るの!!」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:02:31 ID:aIDopoN.
テレビ『パンダコパンダコパンダ♪』
幼「ぱんだこぱんだこぱんだ!」ニコ
男「・・・・・・」
ピピー、ピピー
男「あ、ご飯炊け――」
幼「出来た!! 男は待ってなさい!」ガタ
男「う、うん」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:06:10 ID:aIDopoN.
リビング
幼「さあ、頂こうじゃないか」
男「い、頂きまーす」
男(茶碗には白米、中華皿の上には油の抜け切った固い豚肉が転がっている)
男「・・・・・・」ゴクリ
男(それだけだ、本当にそれだけだ)
幼「さあ食べて食べて」
男「う、うん」ソロー
パクリ、モグモグ
幼「どう?」
男「・・・・・・こ、これは!」
幼「うん!」
男(・・・・・・なんて、微妙な)
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:11:21 ID:aIDopoN.
男「お、美味しいよ」
幼「おお、そうか!」ニコ
男(まず肉が固い。そして塩が効き過ぎている)もぐもぐ
幼「うっまーい!!」ガツガツ
男(あまりの濃さに、ご飯に進む手が早まる)もぐもぐ
幼「・・・・・・」ガツガツ
男(・・・・・・ん? なんだこれは)
男「・・・・・・ご、ご飯が進む! 進むぞ!!」
幼「そうだろう! どんどん食べて?」
男(塩だけじゃない! 固すぎる豚肉が逆に白米の軟らかさを引き立てている!)
男(微妙――否、絶妙だ! なんだこのバランスは!!)
男「・・・・・・」がつがつ
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:16:54 ID:aIDopoN.
幼「はあ、お腹一杯だー」ニコ
男「・・・・・・ふう」
幼「さて、どうだったかな? てきとーメシは」
男「まず白米が進む」
幼「うん!」
男「そして、白米が進む」
幼「うんうん!」
男「以上だ」
幼「・・・・・・」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:17:29 ID:aIDopoN.
男(本当にそれだけだった。なんだ、この虚しい満腹感は。いや、美味しかったけれども)
幼「・・・・・・大成功だ!! やっぱりてきとーメシは素晴らしい!」
男「・・・・・・ああ、そうだな」
幼「よし、私は疲れたから皿洗い頼んだよ」
男「なッ!?」
幼「私はパンダコパンダの続きを観る。じゃあ頼んだからね」スタ
男「・・・・・・はあ」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/14(金) 15:38:50 ID:aIDopoN.
完
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