【オリジナルSS】配達少女「お届けものでーす」

1: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:06:38.81 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、お手紙でーす!」

少女「ええ、一通だけですが?」

少女「それならポストに入れとけ呼び出すな?」

少女「……はーい、すみませんでしたー」

少女(でもそしたらあなたの顔が見れないじゃん、分かってないなあ)

3: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:12:00.26 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、新聞でーす!」

少女「いやあ、今朝も冷えますねえ。って余計なひと言はいらない? これは失礼」

少女「え? あ、このマフラー自分で編んだんですよ」

少女「……マフラー持ってないんですか?」

少女「ふーん」



少女「ちわーす、お届けものでーす!」

少女「なんか軽い包みですよ」

少女「差出人? んー、書いてありませんね」

少女「中身何ですか? 開けてみてくださいよ」

少女「わ! マフラーじゃないですか、ちょうど良かったですね!」

少女「え? わたしがなにか? え、いや、なんのことだか……」

4: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:12:46.03 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす!」

少女「小さい包みですが、なんですかこれ?」

少女「えー、いいじゃないですか見せてくださいよお」

少女「えー、なになに? ボッキンパラダイ……」

少女「……」

少女「あ、備考欄にドラマDVDと書いておいてくださいってありますね。業者さん、失敗しちゃったんだ」

少女「追い出されちゃった」

5: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:13:32.32 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙でーす!」

少女「え? 自分とこには本来だれからも来るはずないって?」

少女「そんなことないですよ、わたしが毎日出してますから」

少女「余計なことしなくていい?」

少女「でもホントはうれしいんでしょ?」

少女「そんなこと言って、でも本当は~?」

少女「からの~?」

少女「と見せかけて~?」

少女「いったぁい! 女の子叩くなんて最低です!」

6: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:13:58.67 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす」

少女「よっこらしょっと」

少女「ふー」

少女「あ、ハンコかサインお願いします」

少女「――はいどうも」

少女「ついでにこっちにもお願いします」ムチュー

少女「あ! 人の唇にハンコ押しつけるなんてどういう神経してるんですか!」

7: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:16:03.47 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お届けものでーす」

少女「はい、ピザ一丁!」

少女「え、なんでピザの配達もやってるのかって?」

少女「いまどき単一のバイトだけじゃ食っていけませんって」

少女「なんで黙るんですか?」

少女「……あー大丈夫大丈夫、わたしもう一人くらいは養えます。安心してください、プチ逆玉です」

少女「寝言は寝て言え? これは失礼」

8: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:17:06.60 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙で―す」

少女「そんなこと言われてもお仕事ですから」

少女「ほとんどお前の手紙だろって?」

少女「はは、まあそうですけど」

少女「あ、でも、今日は別のも混じってますよ?」

少女「あ……」

少女「あ、いえ、その、あなたのお母さんからです」

少女「駄目ですよ! そんなこと言わずに読んであげてください」

9: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:17:36.99 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「受験勉強の調子はいかがですか?」

少女「あー、その顔は芳しくないって顔だ」

少女「そんなんで大丈夫ですか? また浪人ですよ?」

少女「二浪だと、名前とおんなじになっちゃいます」

少女「あ、いた! また叩きましたね!」

10: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:19:05.35 ID:5oF6CZwo

ブロロ……

少女「風を感じて~旅にぃ出ようか♪ っと」

少女「うー、朝早くのバイクはしばれるのう」

「ニャー」

少女「ん?」



少女「おはようございまーす、朝刊でーす」

少女「はいどうぞ」

少女「何ですか? 私の胸がそんなに気になりますか?」

少女「いたた、叩かないでくださいよう。分かってますって、この猫ちゃんですね。ここに来る途中の空き地で見つけたんです。捨て猫でしょうかね」

少女「そうなんですよ。わたしのとこじゃ飼えなくて……」

少女「……」ジー

少女「え、本当ですか!? あなたのところで飼ってくれるって!?」

少女「ありがとうございます! やっぱりわたしの上目づかいは効きますね!」

少女「いたた、叩かないでー」

11: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:19:35.04 ID:5oF6CZwo

<一年前>

少女「ここが今日からわたしが住む町、わたしの担当区!」

少女「張り切って配達にいってみましょー!」



少女「迷った……」

12: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:20:09.24 ID:5oF6CZwo

少女「こまりましたね……」

少女「わ! ごめんなさい! 前見てなくて……」

少女「ああ、わたしの担当物ですからわたしが拾います、ごめんなさいごめんなさい」

少女「え、ああ、わたし今日からこの町で配達業をすることになったものです。よろしくお願いしますね!」

少女(あ。握手の手、無視された)

少女(それにしても背の高い人だなあ。髪も長めでちょっと怖いけど……でも見ようによればかっこいいか、な?)

少女「あ、えーと、○○って場所を探してるんですけどご存じありませんかね?」

少女「え、知ってる? ついてこいって……いや、ありがたいですけど場所さえ教えてもらえれば、ってちょっと待ってくださいよう!」

14: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:21:22.40 ID:5oF6CZwo

少女「ありがとうございました。これで最初の配達完了です!」

少女「まだ、沢山残ってる? あはは、そうですね……」

少女「困ったな、時間をロスしすぎて時間までに配達できるかどうか……」

少女「え、そんな、悪いですよ。わたしの仕事ですから」

少女「どうせ暇だから? で、でも……あ……行っちゃった」

少女「配達物半分持ってかれちゃいました。どうしよう……」



少女「あ、あなたはこの前の! あの時はありがとうございました!」

少女「おかげさまでなんとかこの町にもなじんできました。もう道に迷ったりはしませんよ!」

少女「いやーほんとあの時は助かりました。届け間違いの苦情もありませんでしたし」

少女「……どうしました? なんか顔色悪いですよ?」

少女「え? 受験失敗した? あまり話しかけないでくれ? ご、ごめんなさい」

15: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:22:50.90 ID:5oF6CZwo

<現在>

少女「こんばんはー、お手紙でーす」

少女「ええ、まあ、わたしからの手紙ですけれども」

少女「本命は猫ちゃんです、中に入れてくださいよ」

少女「わーい、おじゃましまーす!」



少女「ほーら、おもちゃ飼ってきたぞーポチ」

少女「む、わたしのネーミングセンスにケチつけますか!」

少女「どうせあなただってろくな名前を考えてないでしょう」

少女「ポ、ポッチャレータム? えーと、いやそんなドヤ顔されても……」

16: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:23:36.43 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャ、眠いか―い?」

少女「ああ、寝ちゃった」

少女「じゃあ、わたしはこれで失礼します」

少女「わたしの座ってたとこ、嗅がないでくださいよー」

少女「違います、おならじゃありません! もっといい匂いですよう!」

17: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:25:05.29 ID:5oF6CZwo

ブロロ……

少女「ぼぉくぅら同じまいにぃちをー♪」

少女「あれ?」

少女「おーい!」

少女「へえ……あ、いや、部屋から出てる君は久しぶりに見たので」

少女「どこに行くんですか? ……ってあれ、ポッチャ」

少女「え、動物病院!? ポッチャ病気ですか!?」

少女「え、違う? 元野良みたいなものだから一応? なーんだ、心配させないでくださいよ」

少女「ついでにお前も診てもらえ? それ、どういう意味ですかー!」

18: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:25:35.59 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャに会いに来ましたー」

少女「えー、いいじゃないですか入れてくださいよう、さむいですよう」

少女「――おっと、いつまでも叩かれるわたしじゃありませんよーだ」



少女「結局入れてくれるあたり、優しいというか優柔不断というか」

少女「おーポッチャ、こんばんはーうりうり」

少女「今日は夜暇なんですよー、もうちょっとここいていいですか?」

少女「ちょっと、変なこと考えないでくださいよ。え、気のせい? 声上ずってますよ」

19: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:26:01.09 ID:5oF6CZwo

少女「いまどきスーパーファミコンですか」

少女「いえ、別に」

少女「カセットは何を?」

少女「これはナイスチョイス!」

少女「では早速やりましょう。えー、いいじゃないですかー」

少女「がちっとな」

スーパー・プヨプーヨ!

20: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:28:07.34 ID:5oF6CZwo

少女「なんでそんなに強いんですかー」

少女「受験勉強の息抜きにやりこんだ? もっと外に出ましょうよ」

少女「頭の体操? 確かにそうかもしれませんが」

少女「大体ぷよぷよ、なんて響きが卑猥です」

少女「――おっと、へっへーはずれでーす」

22: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:28:30.15 ID:5oF6CZwo

少女「こんばんはー、おじゃましまーす!」

少女「ナチュラルに入ってくるなって? まあいいじゃないですか」

少女「あはは、やっぱり優柔不断だ」

少女「おっと、はずれー、っていたい! 二段攻撃ですか!」

23: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:29:05.19 ID:5oF6CZwo

少女「それにしても浪人生ですか」

少女「いえ、馬鹿にしてるとかそういうんじゃなくて」

少女「逆にすごいなーって」

少女「勉強一本の生活でしょう?」

少女「わたしにはとてもまねできません」

少女「あれ? どうして目をそらすんですかー?」

24: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:29:34.25 ID:5oF6CZwo

少女「そういえば、浪人生って普通は予備校とか行くんじゃないですか?」

少女「家に金を入れてるわけでもないのに無理な要求はできない?」

少女「はあ、なるほど」

少女「……」

少女「でもその割には◯◯◯◯DVD買ったりするんですね」

少女「おっと、意外に大きなダメージ」

25: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:30:02.62 ID:5oF6CZwo

少女「ポッチャー。そうそうジャンプジャンプ」

少女「あはは、ポッチャ可愛いー!」

少女「え、お前の方が可愛い?」

少女「もう! 何言ってるんですかー」

少女「いた! 叩かないでくださいよう」

少女「いいじゃないですか、たまにはこんな寸劇してみても……」

26: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:30:41.51 ID:5oF6CZwo

少女「それではまた今度ー」

少女「――おっとそう言えば忘れもの」

少女「すみませーん、って何してるんですかそんなところにかがみこんで」

少女「……ははあ、わたしの残り香を嗅いでましたね」

少女「あはは、そんなムキになって否定しなくても」

少女「いったぁい! グーで叩いたー!」

27: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:31:10.34 ID:5oF6CZwo

少女「ちわーす、お手紙でーす」

少女「あ、いえ、今日はわたしのじゃなくて。そう、君のお母さんからです」

少女「そんな投げやりに扱わないでくださいよ」

少女「それと、それ、急ぎの手紙らしいですから、今すぐ見た方がいいですよ」

少女「もう! わたしが開けますよ!」ピリピリ

少女「えーと、――え?」

28: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:31:37.67 ID:5oF6CZwo



少女「あの手紙が来てから一週間が経ったよ」

少女「あの人は実家に帰ってる」

少女「あの人のお母さん、病気だったんだって。おっもいやつ」

少女「あの人の受験が近いから隠してたんだけど、ホントに危ないから帰って来いって」

少女「あんなにあわてた顔、初めて見たかも」

少女「そろそろ、戻ってくるかな? どう思う、ポッチャ?」

29: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:32:06.03 ID:5oF6CZwo

少女「おかえりなさい」

少女「……」

少女「え!?」

少女「な、なーんだ、お母さん持ち直したんですか! 暗い顔してるからてっきり……」

少女「よかったですね! 本当に良かったです!」

少女「え? どうしたんですか、そんなに思いつめた顔して」

少女「相談がある? はあ」

少女「いえ、かまいませんが」

30: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:32:39.82 ID:5oF6CZwo



少女「じゃあそっちお願いしまーす」

少女「え、多すぎる? そんなもんですって」

少女「さあさあとっとと出発出発」

少女「そうですよ、時間もあんまりないんですから」

少女「まあ、わたしみたいにベテランになれば余裕ですけどね!」

少女「……最初のころの話はなしですよー!」

31: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:33:07.52 ID:5oF6CZwo

少女「お疲れさまでーす」

少女「初めての配達はいかがでした?」

少女「どうってことない? じゃあその死んだ目は何ですか」

少女「大体浪人生という立場に甘えすぎて日々の鍛錬がですね」

少女「あ、聞いてますー!?」

33: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:34:23.11 ID:5oF6CZwo

少女「それにしても驚きました。まさか配達のお仕事をしたいとは」

少女「え、配達じゃなくてもよかった。そうですか」

少女「でも大きな転換ですよね。進学をやめて就職なんて」

少女「お母さんを安心させるためですね」

少女「気まぐれ? またまたー」

少女「……一緒に頑張りましょうね」

少女「そんな顔しないでください。このわたしがついてますから大丈夫ですよ!」

少女「それじゃ今日はお疲れ様ー」

34: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:35:31.54 ID:5oF6CZwo

配達少女「お届けものでーす」第一部

~了~

39: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:58:57.48 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー!」

少女「お爺さん、お元気ですか?」

少女「ああ、いえ、別に配達ってわけじゃないんですけど、ちょっと顔を見に」

少女「あはは、ええ、頑張ってますよ」

少女「あ、今日もお手紙ですか。預かります」

少女「ええ、ちゃんと届けますよ」

少女「きっと、届くはずです……」

40: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 01:59:37.57 ID:5oF6CZwo

少女「ふう。さてと」

少女「あ、お疲れさまでーす」

少女「ずいぶん仕事の手際がよくなりましたね。いいことです」

少女「あ、このお手紙ですか? ある人から預かったものですよ」

少女「……あるお爺さんからお婆さんへの、お手紙なんです」

41: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:00:04.90 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「日向ぼっこですか? わたしも時間あるので混ぜてください」

少女「んー……」

少女「ん? 何考えてました?」

少女「あはは、お婆さんのことですか」

少女「……大丈夫、今頃お爺さんの書いた手紙を読んでるはずですよ」

42: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:00:34.46 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「今日は猫、連れてきました」

少女「ポッチャレータムっていうんですよ」

少女「ええ? いい名前?」

少女「お爺さんもあの人と同じネーミングセンスですか!」

43: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:01:03.45 ID:5oF6CZwo

少女「猫と縁側でまどろむ老人。絵になりますねえ」

少女「あ、カメラ持ってきたんです。撮ってもいいですか?」

少女「いや、一枚だけですから」

少女「恥ずかしい? そんな女子供じゃあるまいし」

少女「あ、ポッチャも逃げないでよう!」

44: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:01:42.11 ID:5oF6CZwo

少女「二人とも、っていうか一人と一匹さん、表情がかたーい」

少女「もうちょっと笑って笑って」

少女「こら、ポッチャ。逃げるとまんま、やらないよ」

少女「よーし、二人ともいい感じ」

少女「はいチーズ!」

少女「……え? チーズは嫌い?」

少女「じゃあ、一足す一はー?」

少女「いや、馬鹿にはしてないですって」

45: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:02:25.75 ID:5oF6CZwo

少女「デジタルカメラですから即確認できます」

少女「うん、いい感じですね」

少女「え、このボタンですか? スライドショーですけど」

少女「あ、勝手に押さないでくださいよう!」

少女「いや、これは、仕事の同僚と撮った写真です。決してやましいものでは」

少女「ていうかお爺さん、何怒ってるんですか」

少女「どこぞの馬の骨とも知れないやつに……って、お爺さん、わたしのお父さんですか」

46: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:03:06.74 ID:5oF6CZwo

少女「こんにちはー」

少女「何してるんですか?」

少女「これは将棋という奴ですね」

少女「わたしこういう頭を使うものが大の苦手で。いまだにあの人にぷよぷよで勝てませんし」

少女「でも将棋って二人でやるものじゃ?」

少女「詰め将棋?」

少女「ああぷよぷよでいう一人モードですか」

少女「ち、違いますって、ぷよぷよは卑猥なものじゃありません!」

48: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:05:31.58 ID:5oF6CZwo

少女「将棋……よくわかりせんねえ」

少女「あ、終わったんですか? 詰み? おめでとうございます!」

少女「……わたしも将棋強くなればあの人に勝てますかね?」

少女「あの」

少女「わたしにも将棋、教えてもらえませんか?」

49: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:06:06.52 ID:5oF6CZwo

少女「じゃあ、今日はこれで帰りますね」

少女「あ……お手紙ですか」

少女「ええ、ちゃんと預かりました」

少女「それではまた今度」

少女「ほら、ポッチャもばいばーいって」

少女「ばいばーい」

50: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:06:35.66 ID:5oF6CZwo

少女「おはようございまーす!」

少女「今日は将棋を教えてもらいに来ました!」

少女「前に約束したじゃないですか」

少女「そうそう、写真撮った時のことです」

少女「馬の骨? お爺さん、まだあの人のこと覚えてるんですか!」

51: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:07:23.19 ID:5oF6CZwo
ん? 時系列が若干おかしくなってるな
脳内補完よろしく

52: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:08:07.03 ID:5oF6CZwo

少女「将棋の基本は駒とその動かし方」

少女「なるほど、基本を知らなくてはどうしようもありませんからね」

少女「ところで駒って何ですか?」

少女「ああ、この五角形たちの名前ですか」

少女「小人用のホームベースみたいですね」

少女「でもずいぶん多いですし、段差も大きい」

少女「……」

少女「でや! これでどれが本物のホームベースか分かるまい! おまけに段差も凄いからつまずくこと必至であるぞ!」

少女「……一昔前のスポーツ漫画のノリですね」

53: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:08:43.00 ID:5oF6CZwo

少女「まずは駒の名前」

少女「これはあゆむくんでしょうかあゆみちゃんでしょうか」

少女「え? 『ふ』?」

少女「なんで食べ物に……」

少女「あ、そうじゃない? これは失礼」

少女「で、これが総大将の王と玉。その隣をはさむ金銀に、桂馬、両翼を担う角と飛車」

少女「……」

少女「いえ、別に。金と玉が同時に目に入ったとかそんなんじゃありません」

54: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:09:15.15 ID:5oF6CZwo

少女「次に動かし方ですが」

少女「歩は前に一歩ずつ。地道ですね。わたしにはまねできません」

少女「飛車と角はすごいですね。びゅんびゅんいどうします。チートです」

少女「あ、王様はけっこう鈍重なんですね」

少女「え!? 何ですかこれ!?」

少女「お馬さんがトリッキーすぎますよ!?」

55: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:09:59.42 ID:5oF6CZwo

少女「これは……!」

少女「名前を覚える段で忘れていましたが、これ、香車」

少女「まっすぐ一直線。行ったら戻ってこない。実に潔い……」

少女「まるで私みたいですね!」

少女「おまけに香車と強者は読みが同じです!」

少女「猪突猛進?」

少女「まあそれもよし、です」

56: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:10:26.27 ID:5oF6CZwo

少女「今日はここまで、ですか」

少女「分かりました、ありがとうございました」

少女「次は実践編ですね、よろしくお願いします師匠!」

少女「あ、お手紙……」

少女「ええ、お預かりします」

少女「それではー」

57: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:11:55.02 ID:5oF6CZwo

少女「あれから数日経ち、実践編も進んできたわけですが」

少女「かたい! かたすぎます、お爺さんの穴熊囲い!」

少女「見た目通り堅実な防御と攻撃です!」

少女「初心者相手に容赦ない!」

少女「行け! 香車ぁ!」

少女「え、王手飛車取り? そんなあ……」

59: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:12:33.52 ID:5oF6CZwo

少女「ふー。激戦の後のお茶は美味しいですね」

少女「一方的な蹂躙だった? これは失礼」

少女「じゃあ、そろそろ帰りますね。次は絶対勝ちますから!」

少女「あ、今日もお手紙ですか」

少女「任せてください」

少女「……いつもと違う封筒ですね」

少女「――え、何か言いました?」

少女「気のせい? ならいいんですが」

少女「それでは失礼します」

60: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:13:19.75 ID:5oF6CZwo

夜になってふと思い出した。
あのときお爺さんは

『これが最後だから』

と言ったのだ。
……ひどく胸騒ぎがした。

61: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:14:25.45 ID:5oF6CZwo

少女「はっ、はっ……」

タッタッタッタ…… ガラガラ!

少女「お爺さん!」

少女(家の中が暗い……雨戸が閉まったままだ……)

少女「……」

少女「お爺さん!」

62: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:14:52.26 ID:5oF6CZwo

結局、お爺さんの遺体は寝室で見つかった。
眠るように、実際ベッドに寝たまま亡くなったようだ。

わたしは立ち尽くした。
涙は出てこない。
ただただ呆然としたまま、立ち尽くしていた。

63: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:16:55.04 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「……」

少女「……へ? あ、ああ……二郎さんですか」

少女「ええ、大丈夫ですよ。もうお爺さんのお葬式から十日になりますし」

少女「大丈夫です」

少女「大丈夫ですってば」

少女「ああ、叩かれても反抗する気力がわきません。やっぱり駄目です」

64: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:17:26.34 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「いえ、違います。こう言うとあれですけど、お爺さんが亡くなったことはもう吹っ切れてるんです。勝ち逃げされたのは癪ですけど」

少女「ああ、こちらの話です」

少女「ああ、いえ、ともかくとして、お爺さんの死自体は乗り越えてるんです」

少女「ただ……」

少女「わたし、お爺さんに嘘をついたまま死なせてしまったんです」

65: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:17:54.27 ID:5oF6CZwo

少女「ちょっと待ってください、なんでナチュラルに警察に通報しようとするんですか。まずは話を聞いてください」

少女「えーとですね、わたしお爺さんにある小さな嘘をつきとおしてたんです」

少女「それがこれ」

少女「そう、お手紙です」

少女「これは、前も言った通り、お爺さんからあるお婆さんに宛てられたお手紙なんですよ」

66: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:18:34.83 ID:5oF6CZwo

少女「正確には――よっこらしょ!」

ドサ ザザザ……

少女「ここに積み上がったお手紙全てです」

少女「これは全てお爺さんが書き、わたしが預かっていたものです」

少女「なんで件のお婆さんに渡さないかって?」

少女「答えは簡単。渡せないからです」

67: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:19:43.20 ID:5oF6CZwo

少女「そのお婆さんというのは、お爺さんの奥さんなんですよ」

少女「……だったんです、の方が正確でしょうか」

少女「市の中心の総合病院に、身体を悪くして入院してらっしゃいました」

少女「お爺さんはそのころ足を悪くしていて、面会には行けませんでしたが、毎日お手紙を書きました」

少女「そして、お爺さんの足が治るかどうか、という時にお婆さんは病で……」

少女「それから、お爺さんはほんの少し、心を病んでしまいました」

少女「お爺さんは、お婆さんの死後も、お手紙を書き続けたんです」

少女「届くことのない、お手紙を」

68: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:20:12.67 ID:5oF6CZwo

少女「もちろん、お爺さんに、お婆さんは死んだという現実を突きつけることはできました」

少女「でもわたしはそうしなかった。それがお爺さんのためだと思っていたから」

少女「……いえ、そう思いたかっただけかもしれませんね」

少女「ともかく、わたしはお手紙を預かり続けました。お婆さんに必ず届けると約束して」

69: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:20:41.96 ID:5oF6CZwo

少女「わたしは……わたしはでも、やっぱりお爺さんにちゃんと言うべきだったでしょうか? お婆さんは死んだのだと」

少女「それとも嘘をつき続けたのは正解だった?」

少女「いえ、今となっては考えても仕方のないことですが」

少女「……」

少女「すみません、わたし、ちょっと自分と状況に酔ってるかもしれません」

少女「最低ですね……」

70: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:21:40.77 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「え? どうしましたか、二郎さん」

少女「――ちょっと、勝手にお手紙をあけちゃあ……」

少女「え、読むべき? わたしたちがお婆さんに代わって?」

少女「どういう理屈ですか……」

少女「お爺さんの生きた証を……お爺さんからのお婆さんへの気持ちを、受け止める、ですか」

少女「……」

少女「よく、わかりません。ですが、了解です、読んでみましょう」

71: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:22:26.45 ID:5oF6CZwo

お爺さんの流れるような、でも力強い字で。
それらは静かにつづられていた。

お婆さんへのいたわり。
お婆さんを喜ばせるための軽快な言葉。
お婆さんへの思いやり。
そして、お婆さんへの直ぐな想い。

お爺さんの葬式では流れなかった涙が、何かを思い出したかのように視界をうずめた。

72: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:22:53.09 ID:5oF6CZwo

少女「……」

少女「……いえ、泣いてはいませんよ、泣いては」

少女「本当です」

少女「最後の手紙ですね。開けてみましょう」

コロン……

少女「なんでしょう、これは」

少女「将棋の駒?」

少女「……香車」

73: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:23:23.14 ID:5oF6CZwo

そして、封筒の中に入っていたのは一枚の紙だった。
ほんの一行。

『ありがとう、恨んでいません』

74: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:23:59.81 ID:5oF6CZwo

少女「………………」

少女「二郎さん」

少女「泣きます。ちょっと席はずしてもらえますか」

少女「……あ、いや」

少女「ちょっと胸借ります。すみません」

少女「……」

少女「……グス」

76: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:24:42.72 ID:5oF6CZwo

その夜は、久しぶりに泣いた。

77: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:25:39.87 ID:5oF6CZwo

少女「う、げほ……」

少女「なかなか、強い火ですね。警察に見つかったらまずそうです」

少女「まあ、こんな山のてっぺんにはだれも来ませんが」

少女「……こういうの、お焚き上げっていうんでしたっけ。違ったかな」

少女「何にしろ、天国に届くといいですね。あ、この場合は極楽なのかな?」

少女「ともかく、そちらで二人で読んでください」

少女「じゃあ、二郎さん、いきますよ。――よっこいしょっと」

ザザザ ボッ……

少女「……」

少女「さようなら……」

78: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:26:08.26 ID:5oF6CZwo

配達少女「お届けものでーす」第二部

~了~

83: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:35:17.96 ID:5oF6CZwo

俺がそのおっさんと出会ったのは五月の半ば。
日差しがぽかぽかと暖かいある日のことだった。

84: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:36:09.99 ID:5oF6CZwo

青年「お届けものーっス」

青年「手紙っス」

青年「確かに届けたっスからね」

青年「それじゃ――え?」

青年「いらないから持って帰れ?」

青年「そんなこと言われても困るっスよ」

青年「いいから持って帰れって……自分、配達するのが仕事でそれ以外は管轄外っス」

青年「あ、ちょ……おいおい。そんなに勢いよく閉めるこたねーだろっての」

青年「えーと、差出人は――女か。姓が同じだから、家族か?」

青年「……ふーむ」

85: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:36:38.56 ID:5oF6CZwo

青年「……」

青年「……んあ?」

青年「ああセンパイ。これ、どう思う?」

青年「まあ見たところ普通の手紙だな。誰だってそう思う。俺だってそう思う」

青年「じゃあ、あのおっさんはいったい、この手紙の何が気に食わなかったってんだ?」

青年「いや、かくかくしかじかで」

青年「やっぱり、差出人がキーだよな」

青年「……」

青年「いや、開けたりはしねーよ。それぐらいはわきまえてる」

青年「大丈夫だって」

青年「しつこい!」

青年「うるさい。センパイのくせして、叩かれたくらいでぴーぴーいうな」

86: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:37:35.03 ID:5oF6CZwo

青年「手紙―っス」

青年「声に覇気がない? はあ、スミマセン」

青年「心がこもってない? はあ、ごもっともで」

青年「いや、申し訳ないっスけど説教を聞きに来たわけじゃないんスよ。仕事もあるんで勘弁してもらえるとうれしいっス」

青年「とにかく、手紙どうぞ」

青年「……またですか」

青年「持って帰れっていわれてもっスね……」

青年「大体、その手紙がどうしたっていうんスか」

青年「お前には関係ない? はあ」

87: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:38:18.59 ID:5oF6CZwo

青年「うーむ、あれは絶対なんかある」

青年「次回はちょっと探りを入れて見るか……」

青年「……何だよセンパイ」

青年「いや、寝ぐせだよ、アホ毛いうな」

青年「引っ張るな!」

88: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:38:46.61 ID:5oF6CZwo

青年「ちわーす、手紙でーす」

青年「ついに玄関先にも出てこなくなったか」

青年「そーれ」

青年「おー、来た来た。――チャイムを連打するな? 出てこないのが悪いんスよ」

89: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:39:19.73 ID:5oF6CZwo

青年「はい、手紙っス」

青年「やっぱり受け取ってもらえないスか」

青年「そんなに娘さんのことお嫌いスか?」

青年「――ビンゴっスか」

青年「いや。カマかけただけスよ」

青年「そんなに怒ることスかね?」

青年「いや、これアホ毛じゃなくて寝ぐせっス」

90: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:40:16.34 ID:5oF6CZwo

青年「一体、娘さんと何があったんスか」

青年「お前には関係ない?」

青年「配達物を受け取ってもらえないんだから、全くの無関係じゃないスよ」

青年「……でもっスねえ」

青年「なんでそこまで言われなきゃならないスか」

青年「っていうかさっきから罵倒がアホ毛のことばっかりじゃないっスか」

92: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:40:46.71 ID:5oF6CZwo

青年「ふうっ……」

青年「……」

青年「ああ、センパイ。お疲れ」

青年「……父親と娘の間でのいさかいってなんだと思う?」

青年「気が早い? なんの話だ?」

93: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:41:30.14 ID:5oF6CZwo

青年「ふざけないで聞いてくれ」

青年「じゃないともう一回ぶったたく」

青年「これは俺の問題なんだ。このまま配達物を受け取ってもらえないのは俺のプライドに関わる」

青年「かっこいい、惚れ直した?」

青年「はいもういっかーい」

青年「あ、こら、避けんな!」

94: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:42:12.74 ID:5oF6CZwo

青年「父親と娘は難しい、か」

青年「そんなもんかもな」

青年「何、自分は早くに父親を亡くしたからよくわからないけど?」

青年「……わりい、嫌なこと思い出させた」

青年「これやるよ。飲みかけのコーヒー。間接キスだ」

青年「……冗談だ。鼻血拭けよ」

95: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:42:54.99 ID:5oF6CZwo

青年「となると、参ったな」

青年「これじゃあ解決策が見えない」

青年「なんとかあの頑固親父に手紙をわたさにゃならんのに」

青年「……」

青年「しかたねえなあ」

96: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:43:22.23 ID:5oF6CZwo

青年「お届けものーっス」

青年「……出てこねえな」

青年「そーれ」

青年「……チャイム爆撃も効かねえか」

青年「だったらこれはどうだ」

97: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:43:57.68 ID:5oF6CZwo

青年「娘さんに愛想尽かされた○○さーん!」

青年「娘さんからのお手紙ですよー」

青年「娘さんに逃げられた○○さんてばー!」

青年「……出ていらっしゃいましたか」

青年「そんなに怒ると血管がバチ切れるっスよ」

青年「健康には気を使ってる? それは知らないっスよ……」

98: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:44:25.25 ID:5oF6CZwo

青年「なんで事情を知ってるか?」

青年「娘さんとのことならなんでも知ってるっスよ」

青年「あなたの娘さん、東京で暮らしたいって言っていたそうスね」

青年「でもあなたはそれに反対だった」

青年「それで娘さんとの大喧嘩があった後。娘さんは家出同然に出ていった」

青年「それから連絡を取っていない」

青年「全て手紙に書いてありました」

99: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:44:58.79 ID:5oF6CZwo

青年「プライバシーはどうなってる、って……」

青年「まあ、ごもっともなんスけど」

青年「でも自分はまだ新人で、それもできた奴じゃないんで」

青年「いやいや、それほどでも。褒めてない? これは失礼」

青年「言いたいことは分かります」

青年「でもね、あなたはそれより知らなければならないことがある」

青年「いいですか、よく聞いてください」

100: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:45:25.09 ID:5oF6CZwo



青年「お疲れ―」

青年「あー、そうだセンパイ。俺って有給とれたっけ?」

青年「そうか。センパイは取れる?」

青年「よし」

青年「ん? ああ、ちょっと一緒に旅行でも、と思ってな」

青年「それはちょっと気が早い? 何赤くなってんだ」

青年「でもわたし頑張る? 勝手に気張ってろ」

101: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:45:58.78 ID:5oF6CZwo

青年「――よーし着いた」

青年「さあ入るか」

青年「ここ? 見ての通り結婚式場だが」

青年「おい、センパイ。何卒倒してやがる」

青年「何? うれしいけど、いろいろすっ飛ばしすぎてる? 知るか」

102: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:46:43.42 ID:5oF6CZwo

青年「何、招待状がないと入れない?」

青年「そこ、なんとかならないスかね?」

青年「いや、俺たち、○○さんの知り合いなんスけど。いえ、お父さんの方の」

青年「え? いいんスか? ありがとうございます」

青年「よし、センパイ、入るぞ」

青年「まだウェディングドレス着てない? 何勘違いしてやがる」

103: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:47:21.16 ID:5oF6CZwo

青年「○○さん。ちわっス」

青年「俺の忠告を聞いておいてよかったでしょう」

青年「娘さん、結婚するんですってね。ジューンブライドだ」

青年「東京でイイ相手見つけてゴールイン、スか」

青年「そんな顔しないでくださいよ。優しそうな新郎さんじゃないスか」

青年「ああ、泣きそうだったんスね」

青年「ここは泣いてもいいと思うスよ」

青年「泣かない? あの子には涙を見せないと誓った? はあ」

青年「くだらないスね。……嫌いじゃないスけど」

104: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:48:21.01 ID:5oF6CZwo

青年「次、新婦のスピーチっスよ、しっかり聞いてあげないと」

青年「……」

青年「聞きました? 本当はお父さんが大好き、ですって」

青年「あ、どこ行くんスか? ……ああ、いや、しっかり泣いてくるといいっスよ」

青年「……俺も娘もったらああなるんかねえ」

青年「センパイ? もうそろそろ帰ってくるべきだと思うぞ?」

105: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:49:22.81 ID:5oF6CZwo

青年「お疲れ―」

青年「ふう……。ん? ああ、○○さんか。東京に引っ越したよ」

青年「さすがに同居はしないらしいけどな」

青年「……」

青年「ああ、いや。ちょっとクサいこと考えてた」

青年「……心ってのはいつか通じ合うものなんだってな」

青年「……」

青年「あ? 俺とセンパイの心もいつか通じ合う?」

青年「……」

青年「……もうとっくに」

青年「バッ……何でもねえよ!」

106: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 02:49:52.88 ID:5oF6CZwo

配達青年「お届けものーっス」

~了~

116: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 11:04:51.73 ID:WSlz1sAO
―新聞配達

少女「さ…さむいよぅ…」ブルブル

少女「このお宅で最後だね」

少女「んしょんしょ…」

少女「新聞受けが高すぎて届かないよぅ」

少女「…そうだ!」

少女「えいっ」カツン

少女「失敗…」

少女「もう1回…とぅっ」コン

少女「うぅ…どうしよ…」

少女「明るくなってきちゃった…」グスッ

少女「犬さん…おはようございます」

少女「え?預かってくれるの?」

少女「ありがとう!明日からよろしくねっ!」

117: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 11:06:52.79 ID:WSlz1sAO
―牛乳配達

少女「あ、おはようございます」

少女「いつもたくさんありがとうございます」

少女「……」ジー

少女「お姉さんのたゆんたゆんはやっぱりこれのおかげですか?」

少女「…はいっ!頑張ります!」

少女「……」チラッ

少女「…頑張るもん!」

119: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 20:25:59.44 ID:WSlz1sAO
少女「お届けものでーす」

少女「…ヤギ…さん?」

少女「あっ…いやっだめぇ!!」

少女「食べられちゃった…」

121: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 21:55:45.84 ID:WSlz1sAO
少女「……ごくり」

少女「今日こそは…お届けさせてもらいますからねっ!」

少女「ああっ…なんて不適な笑み…」

少女「今日は秘策も用意してますから!」

少女「いざ尋常に…勝負っ!」

122: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 22:01:58.29 ID:WSlz1sAO
少女「よっほっ」ヒョイヒョイ

少女「見える!見えるよララァ!」

少女「きゃっ!?」ビシッ

少女「はや…い…くぅっ」

少女「くらえっ!」

少女「デコイペーパーっ!」シュバッ

少女「ヤギさんが裏紙を食べてるうちに…」コソコソ

少女「なっ!?もう食べちゃったんですかっ!?」

少女「きゃ、きゃああああ!?」

少女「うぅ…また配達失敗です…」クスン

少女「ここは二郎さんに頼もう…」トボトボ

123: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 22:20:38.52 ID:5oF6CZwo
ヤギ強えwwwwww
っていうか投下で俺歓喜

125: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:21:22.86 ID:WSlz1sAO
少女「あの…ちょっとお願いがあぅっ!?」

少女「いきなり何するんですかー」

少女「私の方が先輩なのに…」ブツブツ

少女「あっはい…ずっと取りに来てもらっちゃってます」

少女「八木さんにはほんとに申し訳ないはぅっ!?」

少女「もうっやめてくだしいよぅ!」

少女「だってあれはヤギさんが…」

少女「そ、そうです!それをお願いしようと思ってたのに」

少女「いきなりおでこを叩くから…」ブツブツ

少女「あっあの!八木さんのお宅、私の代わりにお願いできまひゃうっ!?」

少女「はい…自分で行きます…」シュン

126: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:23:41.15 ID:WSlz1sAO
少女「結局断られちゃった…」

少女「自分で何とかしないと」

少女「……」

少女「…そうだ!特訓しよう!」

127: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:32:11.55 ID:WSlz1sAO
少女「はい…はい、お願いします」ガチャン

少女「え?…えへへっないしょです」

―――

少女「はぁ…はぁ…」ガランゴロン

少女「お、重い…」ガランゴロン

少女「この…特注の…鉄下駄…で…」ハァハァ

少女「ヤギさんに負けない…」ガランゴロン

少女「スピードをっ!」ハァハァ

128: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:35:47.84 ID:WSlz1sAO
―数日前

少女「やったぁ!やっときた!」

少女「この重量感…」ホゥ

少女「いぶし銀の色合い…」ウットリ

少女「まさに、あのお姉さまの鉄下駄とうり二つ!」

少女「お姉さまに敬意を表して、“カズミ壱号”と名付けちゃおう」

少女「…えへへっ」

129: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:39:58.89 ID:WSlz1sAO
少女「んっしょ…よいしょ…」

少女「遅れてきたサンタさんみたいですか?」

少女「配達範囲を広げてもらったんです」

少女「よぃ…しょっと」

少女「あっ」

少女「遅れてきたんじゃなくて」

少女「かなり慌てん坊のサンタクロはぅっ!?」

少女「うー」

少女「いってきまぁす」

131: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:47:58.33 ID:WSlz1sAO
少女「かっこいいなぁ」

少女「すーぱー…」

少女「いなづま…」

少女「……」フゥ

少女「やっぱり必要ですよね…必殺技」

少女「まずは名前を考えないと…」

132: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 23:51:56.59 ID:WSlz1sAO
少女「たぁっ!」シュパパッ

少女「うーん…腕の角度がなんか違うなぁ」

少女「…はっ!」シュバッ

少女「あっ今のよかったかも」

少女「二郎さんに見てもらおうかなぁ」

少女「……」

少女「またぺしってされそうだからやめとこ」

少女「はぁぁ…」カッ

少女「いい感じですっ」

134: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 00:02:56.33 ID:CCqO2cAO
少女「ヤギさん…私は帰ってきました…」

少女「今日こそは!しっかりお届けさせていただきますっ!」ビシッ

少女「……ふぅぅ…」

少女「いざ尋常に…まいるっ!」

ビュンッシュバッ

少女「さすが…はやいっ」

少女「やっ!はっ!たぁっ!」

ヒュンッズバァッザンッ

少女「なっ!?かわされた!?」

少女「くっ…これなら!」ズバババババッ

ドガガガガガッ

少女「きゃあっ!」ズシャアッ

少女「す、すごいパワーです…」ハァハァ

136: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 00:21:50.77 ID:CCqO2cAO
少女「デコイペーパー!」ブワッ

少女「同じ手が二度も通じるなんて…」ヒュンッ

少女「私も思ってませんっ!」

少女「上ですっ!」ドゴォッ

ズッシャアアアアアアアアッ

少女「や、やった…の…?」ゼェゼェ

少女「うそ…なんて立てるんですか…?」

ガシュッビシッドガッズゴォォォォォォォッ

少女「きゃあああああああああああっっ!?」

137: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 00:39:08.28 ID:CCqO2cAO
少女「く、くぅ…」ゼェゼェ

少女「あれを使うしか…ないですね…」

少女「ご町内のみなさん…」

少女「私にちょっとだけでいいので…」

少女「元気を分けてください…っ!」

少女「はぁぁぁ……」カッッ

少女「行きます……必殺っ!」

少女「乱れっ」キュゥ…

少女「雪っ!」ゥゥ

少女「月っ!!」ゥン

少女「華っ!!!」ゴォッ

ギュバババババババババババババババババッッッ!!!!!

……………

………

138: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 00:46:02.96 ID:CCqO2cAO
少女「お、終わった…」

少女「あれから1週間、ずっと始末書だなんて」

少女「むー」

少女「腰が痛いです…」

―――

少女「おはようございます」

少女「八木さんのお宅ですか?」

少女「えへへ…もう一人で大丈夫ですよ!」

少女「私じゃなくてヤギさん?」

少女「もももももちろん!今は大の仲良しさんですからっ!」

―――

少女「あっヤギさんこんにちは!」

少女「うぅ…酷く怯えてます…」

少女「ま、まあ八木さんのお宅に無事配達できるようになりましたし」

少女「これで万事オーケーですねっ!」

139: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 00:48:33.44 ID:CCqO2cAO
これでおしまい

シリアスな話なんて書けない

149: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:16:25.67 ID:+7/npH4AO
少女「お疲れさまでしたー」

少女「あの…これから寄ってもいいですか?」

少女「ポッチャと遊びたいんです」

少女「あっ今ちょっと寂しそうな顔した!」

少女「いやいや絶対してましあぅっ」

少女「もうっもうっ」

少女「大丈夫ですか!」

少女「えへへ」

150: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:18:50.96 ID:+7/npH4AO
少女「おじゃましまーす」

少女「ポッチャー遊びに来ましたよー」

少女「あれ…いない」

少女「!!」

少女「おお…」

少女「おおおおお…」

少女「あっあの…入ってもいいですか…?」

151: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:22:25.27 ID:+7/npH4AO
少女「ふぁ…ぬくぬく…」

少女「おこたはこの世のパラダイスですね…」

少女「大げさなんかじゃないですよ」

少女「ささ、ぼっさり立ってないで君も入った入った」

少女「細かいことは気にしないでください」

少女「ふぅ…ほかほか…幸せです…」

153: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:27:51.51 ID:+7/npH4AO
少女「ああ…うちはあまり広くないので…」

少女「それにおこたがあるとダメ人間になってしまいそうな気がして」

少女「その点、君はあってもなくてもダメにきゃんっ」

少女「うー」

少女「でもおこたがあれば許せちゃう不思議」

少女「これでみかんがあれば最高なんだけどなぁ」

少女「いえいえ別に催促なんてしてませんよ?」

少女「いやあなんか申し訳ないですねー」

少女「うぅ…こたつみかん最高です…」

154: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:32:33.04 ID:+7/npH4AO
少女「やっぱり肩は少し冷えますね」

少女「肩掛け…ふふっ優しいんですね」

少女「ありがとうございます」

少女「でも私には奥義がありますから」

少女「えへへ」

少女「奥義!コタツムリー!」

少女「ふぁぁぁ…あったかいですー」

少女「…ん?」

少女「わひゃあ!?」

155: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:35:27.90 ID:+7/npH4AO
少女「ポッチャ!」

少女「こんなところにいたんですね!」

少女「えっ…いや忘れてないですよ全然」

少女「おこたに夢中とかなってませんから」

少女「きゃっ!」

少女「あれ?ポッチャここにいるのに…」

少女「あ…」

少女「…◯◯◯!」

156: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 18:42:59.15 ID:+7/npH4AO
少女「むー」

少女「えいっえいっ」

少女「あっ…このこのっ」

少女「ひゃん!?手を使うなんてずるいですっ」

少女「ていていていていっ」

少女「あははっくすっくすぐりはははっ禁止っひゃひゃひゃひゃっ」

少女「…ぁんっ」

少女「……」

少女「……」

少女「もっもう帰りますねっ」

少女「そ、そういう君だって真っ赤じゃないですか…」

少女「……ばか」

少女「なんでもないです!」

少女「またね!ポッチャ」

少女「じゃ、また明日。おやすみなさい」

157: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 19:20:12.26 ID:+7/npH4AO
以上、イチャイチャおわり

…なんだろう
自分で書いててしにたくなってきた

160: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:06:44.96 ID:+7/npH4AO
青年「…センパイなにしてるんスか?」

青年「ぷっ…あいてててっ」

青年「ちびなんて思ってないって!」

青年「くくっ…俺が取りましょうか?」

青年「どれどれ…ほっ」

青年「おぉっ!?」

青年「どわああああっ!?」

青年「あいたたた…」

青年「!?」

青年「わわわわわざとじゃないっスよ!」

青年「う…まじすんません…」

青年「せせせせせきにんっ!?」

青年「あー…」

青年「……りますよ」

青年「に、二度も言えるかっ!!」

163: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:50:09.45 ID:+7/npH4AO
少女「すみませんすみませんすみません!」

少女「はい…以前から注意は受けてたのですが…」

少女「本当に申し訳ありません…」

少女「はい…気をつけます…」

少女「すみません、お先に失礼します…」

164: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:50:53.26 ID:+7/npH4AO
少女「あ…お疲れさまです…」

少女「それが、似たお名前のお客様がいて」

少女「はいあちらの。それで」

少女「何度か誤配してしまっていて…」

少女「わ、笑わないでくださいよぅ…」

少女「今日もまた、息子さんが注文したものを間違えてしまったんです」

少女「品名?見てませんけど、Amazonからでしたよ?」

少女「え?中身わかるんですか?」

少女「内緒って…」

少女「はぁ…」

少女「お客さんにも所長にもすごい怒られちゃいましたよ…」

165: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:51:37.48 ID:+7/npH4AO
少女「なんでにやにやしてるんですか…?」

少女「先輩が落ち込んでるんだから」

少女「あ、頭くらいなでてくれたって…」

少女「えっ?ちょっ…どこ行くんですか?」

少女「呆れられちゃった…」

少女「うっ…うぇ…」

少女「このお仕事、向いてないのかなぁ…」

166: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:52:17.77 ID:+7/npH4AO
少女「ふぇ!?」

少女「や…あ…」

少女「……」

少女「はい…頑張ります…」

少女「……」

少女「ち、ちっちゃいって言わないでくださいっ!」

少女「……」

少女「ありがとう…ございます…」

174: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:38:57.34 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「あ、おはよう。早いねユウ君。受験勉強?」

少女「ふーんすごいなあ、こんな朝早くから」

少女「わたし? わたしはお仕事だからね」

少女「え、なに? 志望高校に受かったら?」

少女「ははーん、さては私に何かせがむつもりでしょ?」

少女「いいよ、もし受かったらなんでもかなえてあげる!」

少女「大丈夫、嘘はつかないよ!」

175: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:39:37.65 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「ああユイちゃんおはよう! 勉強頑張ってる?」

少女「徹夜? あはは、疲れたって顔してる」

少女「ふーん、レベル高いとこ狙ってるんだねえ」

少女「ん? そこってもしかしてお隣のユウ君と同じとこ?」

少女「別にあいつは関係ない?」

少女「顔真っ赤だよ?」

176: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:40:07.27 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー、夕刊でーす」

少女「あ、お母さん、こんばんは」

少女「ユウ君頑張ってますか」

少女「ああ、呼ばなくてもいいですよ! 今勉強中でしょう?」

少女「あの子も喜ぶ? はあ」

少女「あ、こんばんはユウ君!」

少女「……もしかして寝てた? ほっぺによだれ跡が」

少女「違う? 心の汗? それ違くない?」

177: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:40:36.23 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー、夕刊でーす!」

少女「あ、ユイちゃん、こんばんは!」

少女「ん、どうかした?」

少女「あ、もしかして文通お手紙? ユウ君との?」

少女「お隣なのにマメだよねえ」

少女「手紙じゃないと素直に話せない?」

少女「ああ、ああ、顔真っ赤」

178: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:41:48.42 ID:HgHzkcq3o

少女「すみませーん、再び失礼しまーす、お手紙でーす」

少女「ユウ君、また会ったね」

少女「あなたにお手紙だよ」

少女「はい、隣のユイちゃんから!」

少女「なんだよー、女の子からのお手紙だよ? もっと嬉しそうにしなよー」

少女「あはは、わたしからの手紙だったら嬉しい? ユウ君お上手!」

少女「あ、あれ? ごめん、なんか変なこと言った?」

179: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:42:32.86 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「ユウ君、おはよー!」

少女「今日も早いね。え? 徹夜?」

少女「そっか、隣のユイちゃんと同じだ」

少女「ん、ユイちゃんも頑張ってるらしいよ」

少女「○○高校だって、ユウ君と同じだね」

少女「そんな嫌そうな顔しないの。幼馴染でしょー」

少女「うっとうしいだけ? そのわりに文通のお手紙はちゃんと書いてるみたいだけど?」

少女「あはは、分かった分かった。お手紙預かったからね」

180: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:42:59.42 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「わ! ユ、ユイちゃんおはよう」

少女「あ、お手紙? 預かってきたよ。はい」

少女「そんなに焦らなくてもお手紙は逃げないって」

少女(ああ、お手紙読んでるユイちゃんは幸せそうだなあ)

少女「ふふ、この後はユウ君と一緒に登校?」

少女「あれ、違うの?」

少女「そんなの恥ずかしい? なるほど、そっか―」

少女「いやいや、笑ってないよ。ふふ」

181: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:43:38.62 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー、夕刊でーす」

少女「ユウ君、こんばんは」

少女「ん? 心なしか嬉しそうだね。何かあった?」

少女「え、これは? 模試の結果? 見ていいの?」

少女「どれどれ」

少女「おお! ○○高校の判定が五段階評価で四だ!」

少女「これなら大丈夫そうだね!」

少女「約束? 大丈夫、忘れてないよ!」

182: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:44:05.49 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー、夕刊でーす」

少女「ユイちゃん、こんばんは」

少女「あれ? そこはかとなく暗ーいけど……何かあった?」

少女「模試の結果? 見るよ?」

少女「あ」

少女「○○高校の判定、五段階中、二か……」

少女「うーん、これは……ちょっと厳しそうだね」

少女「ああ! そんな、泣かないで!」

183: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:44:34.65 ID:HgHzkcq3o

少女「うーん、困ったね……」

少女「何か打開策は、と」

少女「ありきたりだけど、塾に行くとか家庭教師とか?」

少女「そんなお金はない? そっか……」

少女(ユイちゃんちはそんなに裕福じゃないんだよね……むしろ……)

少女「お金のかからない家庭教師がいればなあ。でもそんなの」

少女「あ」

少女「そういえば一人だけ、心当たりがあるよ!」

少女「うん、わたしに任せて!」

184: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:45:08.12 ID:HgHzkcq3o

少女「というわけなんですが」

少女「俺になんの関係が、って二郎さんも分かってるくせにー」

少女「そう、ずばり二郎さんに家庭教師をやってもらいたいんです!」

少女「浪人生時代に培った知識を、今こそ世の中のために生かすべきです!」

少女「二郎さんになんのメリットがあるか?」

少女「特にありません!」

少女「あいた! また叩きましたね―!」

185: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:45:36.83 ID:HgHzkcq3o

少女「なだめすかして、ようやく二郎さんを説得しました」

少女「まさか恥を忍んでこの身体を交渉に持ち出しても応じてもらえないとは……」

少女「まあ、これから毎日の夕食をおごることで手を打ってもらったんですけどね」

少女「食事>わたしの身体」

少女「へこみます」

186: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:46:08.58 ID:HgHzkcq3o

少女「まあ、とにかく今日の配達へ出発です! おー!」

ガチャ! ……シーン

少女「あれ?」

ガチャガチャ シーン

少女「あれれ?」

187: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:46:40.45 ID:HgHzkcq3o

少女「まさかバイクが故障するとは」

少女「まあ、長い間使ってましたから想定外というわけではありませんが」

少女「むしろ想定外といえば今の状況です」

少女「いい方向への裏切りですが」

少女「ねー、二郎さん」

少女「ちょっと! いきなり粗い運転にならないでくださいよ! わたしを後ろに乗せてるんだからもっと安全にお願いします!」

少女「乗せてるからこそ? このー!」

少女「いた! その体勢から叩き返してくるとは!」

188: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:47:06.38 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「ユウ君のお母さん、どうもおはようございます」

少女「え? 隣の男の人は誰かって?」

少女「わたしの彼氏です」

少女「わっとと! 冗談ですよう」

少女「あ、ユウ君おはよう」

少女「え? なんで不機嫌?」

189: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:47:40.03 ID:HgHzkcq3o

少女「そうなんですよ、バイクが故障しちゃって」

少女「そのせいで二人の初めての共同作業に」

少女「新婚さんみたい? えへへ」

少女「っと。そろそろ二郎さんのそれも見切ってきました」

少女「生意気? 愛ゆえでーす」

少女「ああ!? 何故かユウ君がさらに不機嫌に!」

190: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:50:19.30 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございまーす、新聞でーす」

少女「ユイちゃんおはよう!」

少女「今日は例の助っ人を連れてきたよ!」

少女「じゃーん、二郎さんでーす!」

少女「こう見えても医学部を目指してたから頭はいいんだよー」

少女「こう見えても、は余計? これは失礼」

少女「ともかく、ユイちゃんはこれで安泰。大船に乗って揺られまくった心地でいてよ!」

少女「船酔い? そんなの関係ねえ!」

少女「今日の夜から特訓開始だよ!」

少女「ふつつか者ですがよろしくお願いします? そ、それじゃあ結婚みたいだよユイちゃん」

191: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:50:51.52 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー」

少女「はい、家庭教師業に参りました」

少女「ユイちゃんは二階ですか? あ、分かりましたおじゃまします」

少女「ユイちゃんこんばんはー」

少女「うわー片付いたきれいな部屋だね。わたしのとは大違い」

少女「こら二郎さん、こっそり嗅がないでください!」

192: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:51:19.45 ID:HgHzkcq3o

少女「さて、勉強の間わたしは手持無沙汰です」

少女「かといって二郎さんに夕食をおごるので先に帰るわけにもいきません」

少女「それに二郎さんを女子中学生と二人きりにするとなにをするかわかりませんし!」

少女「あう!」

少女「いたた。――え? でも確かにお前よりは魅力があるかもな? どういう意味ですかそれ!」

193: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:51:51.16 ID:HgHzkcq3o

少女「あはは、やっぱり動物のお医者さんは面白いなあ」

少女「え、うるさい? ……ごめんなさーい」

少女「……」

少女「ぷ、くく」

少女「ちょっと! 辞書投げるなんてどういうつもりですか!」

少女「愛情表現?」

少女「重すぎます!」

194: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:52:23.87 ID:HgHzkcq3o

少女「勉強の調子はいかがですかー?」

少女「ユイちゃんは筋がいい? このまま行ければ何とかなりそう?」

少女「本当ですかそれ! やったねユイちゃん! 成績が上がるよ!」

少女「ところで今は何やってるんですか?」

少女「英語ですか」

少女「もともと勉強は苦手ですが、英語は特に苦手で」

少女「今使える英語は一つだけです」

少女「あいらびゅー」

少女「み、みーとぅー? 本当ですか二郎さん! 嘘? こんちくしょー!」

195: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:53:26.73 ID:HgHzkcq3o

少女「そんなこんなで、入学試験も終り、合格発表の日が近付いているわけですが」

少女「ちょっと、二郎さん落ち着きましょうよ」

少女「俺は落ち着いてる? じゃあ、歩きまわってないで座りましょ?」

少女「自分の生徒の合否が気になるのも分かりますけどね。少しは冷静さを――」

少女「は、はい、わたしです! 電話口で開口一番それじゃあ誰だか分からない? で、でも伝わるでしょ!?」

少女「そ、そんなことはどうでもいいんです! ユイちゃんは!?」

少女「え!?」

少女「そ、それ本当ですか!?」

少女「じじじ二郎さん!」

少女「残念ながら、ユイちゃんは……!」

少女「そんなに気を落とさないでください二郎さん!」

少女「トップではありませんでしたが合格です!」

少女「いったぁぁぁぁい! 本気で叩いた! なんで!?」

196: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:54:30.21 ID:HgHzkcq3o

少女「こんばんはー! そしておめでとうございまーす! お届けものでーす!」

少女「ユイちゃん、おめでとう! これ、わたしたちからの合格祝い!」

少女「よく頑張ったね、えらいえらい」

少女「これでもう安心だね」

少女「ん?」

少女「泣いてるの? ユイちゃん」

少女「……そっか、頑張ったもんね。緊張の糸が切れたんだね。よしよし」

少女「ほら、二郎さんもよしよしって」

少女「ちょっと、二郎さんも泣いてるんですか!?」

197: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:55:13.37 ID:HgHzkcq3o

少女「そして、もう一人、こんばんはおめでとうございまーす!」

少女「ユウ君はなんとトップ合格!」

少女「それをここに祝して、合格祝いを贈呈しまーす! わーぱちぱち!」

少女「すごいよねーユウユイで一番二番独占だもの」

少女「学校の先生方も鼻が高いでしょうて」

少女「ん、約束のこと? もっちろん覚えてるよ!」

少女「さては新しいゲーム機が欲しいんだね? 違う?」

少女「じゃあ、パソコンが欲しい? 違うか」

少女「もしかしてお姉さんのキスが欲しいとか! 違うよね、あはは」

少女「……え?」

少女「……」

少女「えええ!? わたしが好き!? 付き合ってほしい!?」

198: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:55:41.64 ID:HgHzkcq3o

少女「……えーと」

少女(何この沈黙)

少女「あ、あはは、どうしましょうね二郎さん」

少女「俺に振るな? だって……」

少女「……」

少女「えーとね、ユウ君」

少女「まずは、わたしを好きって言ってくれてありがとう」

少女「前からずっと思っててくれたんだよね。受験勉強の支えにするくらいだもん」

少女「本当にありがとう」

少女「でも……」

少女「ごめん」

少女「ユウ君の気持ちはとてもうれしい。でも付き合えない」

少女「っ……それは」

少女「その……」

少女「わたし、好きな人がいるんだ」

199: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:56:09.64 ID:HgHzkcq3o

少女「ちょっと乱暴で、雑で、偉そうな人なんだけど」

少女「でも、自然に人を助けたり、身近な人のためにがんばれるいい人なんだ」

少女「それなら僕も同じ?」

少女「……」

少女「わたしは……その人じゃなきゃだめなんだ」

少女「あ! ユウ君どこ行くの!」

少女「待って!」

200: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:56:35.16 ID:HgHzkcq3o

少女「あ……ユイちゃん……」

少女「もしかして、今の見てた?」

少女「……」

少女「あ、ユイちゃん! 待って!」

201: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:57:11.05 ID:HgHzkcq3o

少女「どどどどうしよう、ユウ君が出ていっちゃった!」

少女「おまけにユイちゃんがわたしのこと、嫌いって……」

少女「ああ、ごめんなさい二郎さん」

少女「そ、そうですね、まずはユウ君を探さないと!」

少女「ん? 何か落ちてる?」

少女「これは……」

202: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:57:44.27 ID:HgHzkcq3o

少女「ユウ君、どこ!?」

少女「ユウ君!」

少女「ユウく―ん!」



少女「はあ、はあ……」

少女「あ、携帯……」

少女「二郎さんですか? え!? ユウ君が見つかった!? すぐ行きます!」

203: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:58:30.25 ID:HgHzkcq3o

少女「――こんなところにいたんだユウ君……」

少女「……」

少女「みんなも心配してるし、帰ろう?」

少女「……」

少女「困ったなあ……」

204: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:59:15.70 ID:HgHzkcq3o

少女「じゃあさ、これ読んでみてよ」

少女「そんなこと言わずにさ、ね? ユイちゃんからの手紙だから」

少女「内容はわたしも知らない」

少女「でも、さっきユイちゃんが自分で渡しに来てたんだ」

少女「あの恥ずかしがり屋のユイちゃんがだよ?」

少女「大事なお話だと思うな」



205: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 07:59:58.60 ID:HgHzkcq3o

少女「あれから五日がたったよ」

少女「あの後ユウ君は、ちゃんと家に帰ってくれたんだ」

少女「手紙にはなにが書いてあったって? それは分からないよポッチャ」

少女「でもね、大体予想はつくな」

少女「でも秘密ー、えへへ」

少女「あ、二郎さんの準備ができたみたい。行ってくるね、ポッチャ」

206: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 08:00:38.40 ID:HgHzkcq3o

少女「おはようございます、新聞です」

少女「あ……ひ、久しぶりだねユウ君」

少女「あれから元気にしてた……?」

少女「あ、その、ごめん」

少女「え? もういい?」

少女「……何かあった?」

207: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 08:01:17.77 ID:HgHzkcq3o

ユウ君は『男がユイの勉強を見てると聞いた時、嫌な思いがした』と言った。
そして、仏頂面で、『だからもういい』とも
それを聞いて、わたしは少しだけ安心したのだ。

そして、数カ月後――

208: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 08:01:47.97 ID:HgHzkcq3o

少女「あ、二郎さん、ちょっととめて」

少女「あそこを歩いてるの、ユウ君とユイちゃんじゃないですかね?」

少女「あ、やっぱりそうだ」

少女「一緒に登校してるんですね」

少女「ふふ、お似合いのカップルです」

少女「……これからいろいろあると思うけど、お幸せに」

少女「もういいですよ、二郎さん。出してください」

少女「いいですねえ、ああいうの。こころがほっこりします」

少女「わたしたちもああいうカップルになれたらなー」

少女「小突かないでくださーい」

209: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 08:02:39.81 ID:HgHzkcq3o

少女「え? なんでまだわたしと二人乗りしなけりゃならないんだって?」

少女「だって、今度は二郎さんのバイクが故障じゃないですか」

少女「歩いていく? そんなの疲れますよ」

少女「それにわたしとくっついていられるチャンスなんてそうそうないですよ?」

少女「チャンスはしっかり生かさないといけません」

少女「そんなチャンスはドブに捨てる? バチが当たりますよ!」

少女「まあ、今当たってるのは、わたしの胸ですけどね」

少女「ふふー、当ててんのよーっと」

少女「わ、ちょっとバランス崩さないでくださーい」

少女「よしゴーゴー!」

210: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 08:05:08.42 ID:HgHzkcq3o
終わり
第三部、とか書こうとしたけど、どうやらうれしいことに他にも書いてくれる人が出てきてくれたようなのではずしとく
読んだ人乙

217: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:21:48.44 ID:Rbv6wmXAO
上司「12月に入ってからみんな忙しそうでかまってくれない」

上司「……」

上司「つまらんつまらんつまらん」

上司「なんかないのか…」

上司「お…?あいつらまた一緒に帰るのか」

上司「仲がいい割には進展してなさそうだな…」

上司「…そうだ!」

上司「ふひひっ」

218: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:22:48.69 ID:Rbv6wmXAO
青年「あ、おはようございます」

青年「いやあ年賀状の仕分けでてんてこ舞いっスよ」

青年「…は?」

青年「なんで俺がセンパイに?」

青年「ちょっ…今“面白そう”って言わなかったっスか?」

青年「いや絶対言ったし…」

青年「えぇ!?業務命令って…」

青年「減給とかそんな無茶苦茶な!」

青年「わかったっスよ…送るっス」

219: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:23:21.78 ID:Rbv6wmXAO
少女「お疲れさまでーす」

少女「そういえば聞きました?」

少女「何がって年賀状ですよ年賀状」

少女「さては…忘れてましはぅっ」

少女「もーっ!」

少女「私…楽しみにしてるんですから」

少女「絶対に送ってくださいね?」

少女「絶対の絶対ですよ!」

220: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:24:30.29 ID:Rbv6wmXAO
青年「お、終わった…これで帰れる…」

青年「あ!お疲れっした!」

青年「今年はお世話になりました」

青年「よいおと……あ」

青年「いやいやいやいや」

青年「全然忘れてないっスよ!」

青年「忙しかったから、今からなんスけどね」

青年「ちゃんと出しますって!」

青年「さーて頑張るかなー!」

青年「うぅ…帰りてぇ…」

青年「……減給よりましか」

221: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:25:55.87 ID:Rbv6wmXAO
少女「ふぅ…ふぅ…」

少女「ああもうこんな時間」

少女「あれっまだ残ってたんですか?」

少女「って今なにを隠したんですか!」

少女「見せてくださいよう」

少女「…なるほど、◯◯◯◯のですね?」

少女「なら見せてくれてもいいじゃないですか!」

少女「見せて見せて見せて見せきゃんっ!?」

少女「い、一緒に帰ってあげませんよ!?」

少女「えっやっ…ま、待って!」

少女「置いてかないでください!」

222: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:27:08.29 ID:Rbv6wmXAO
上司「なんだお前たちこんな時間まで」

上司「ふーん仲のよろしいことで」

上司「二人で真っ赤になって同じリアクションをされてもな」

上司「さあ早く帰らないと道ばたで新年を迎えるぞ?」

上司「おう、お疲れさん。よいお年を」

上司「……何をしてるんだ?」

上司「また故障か…」

上司「二郎、お前の家の方が近いだろう」

上司「お前の家で新年を迎えさせてやれ」

上司「は?こんな時間に女の子を一人で帰らせるつもりか?」

上司「これは上司命令だ!わかったな!」

上司「わかればよろしい。じゃ、気をつけて帰れよ」

上司「さあ私も帰るか…あいつらうまいこといくかね…」

上司「ふひひっ」

223: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:28:43.29 ID:Rbv6wmXAO
青年「どうぞ…センパイも何か飲むっスか?」

青年「って、こたつに入る前にうがい!手荒い!」

青年「よろしい」

青年「……」

青年「…なんかしゃべれよ」

青年「……」

青年「あー…あっ」

青年「いやセンパイからどうぞ」

青年「いやいや」

青年「いやいやいやいや」

青年「とぅっ」

青年「あいたっいたたっ」

青年「わ、わかったっスよ…」

224: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:29:22.43 ID:Rbv6wmXAO
少女「う、うん…こちらこそ…」

少女「私も、今年はお世話になりました」

少女「来年もよろしくお願いしますね?」

少女「…あと少しですね」

少女「……」

少女「あ、あのっ」

少女「隣…行ってもいいですか…?」

少女「…えへへ」

少女「……」

225: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:30:17.51 ID:Rbv6wmXAO
青年「っ!?」

青年「センパイ…」

青年「……」

青年「なっ…手を握っただけでそんなに慌てなくても…」

青年「自分は二ケツで◯とか押しつけてくるくせに」

青年「いてっ」

青年「……」

226: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:31:16.87 ID:Rbv6wmXAO
少女「あけまして、おめでとうございます」

少女「……」

少女「なんか…嬉しいです」

少女「なぜって?」

少女「それは…新しい年を大切な…」

少女「って言わせないでくださいよぅ!」

少女「……」

少女「お願い…もう少しこのままで…」

227: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:33:49.51 ID:Rbv6wmXAO
青年「寝ちまった…」

青年「まいったな」

青年「……」

青年「こたつで寝たら風邪引くだろう」

青年「……」

青年「いい匂いしやがって…寝れないっつーの」

青年「……」

青年「今年もよろしく、センパイ」

青年「……」

228: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:34:51.06 ID:Rbv6wmXAO
少女「ふあ…」

少女「あのまま寝ちゃったんだ…」

少女「ふふっ…」

少女「意外とぷにぷにしてます…」

少女「うりうり」

少女「あ…おはようございます」

少女「…昨日は激しあぅっ」

少女「新年早々叩かないでくださいよぅ!」

少女「ほんの冗談じゃないですか…」

少女「そうだ!」

少女「年賀状、取ってきますね!」

229: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:36:09.56 ID:Rbv6wmXAO
青年「どうも…さて」

青年「センパイの年賀状はどこかな」

青年「ってなんでこの世の終わりみたいな顔をしてるんスか…」

青年「ああ…それなら大丈夫」

青年「俺、出してないし」

青年「いてっいてっや、やめっいたいっ」

青年「最後まで話を聞けって!」

青年「昨日書いたから、出したら遅くなるだろ?」

青年「だから、手渡ししようと思って持って帰ってきたんスよ」

青年「センパイの年賀状と、交換で」

青年「あった?」

青年「せーのっ」

青年「はいっ」

230: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 08:37:24.83 ID:Rbv6wmXAO
少女「う、うさぎさんがかわいい…」

少女「二郎さんは絵が上手なんですね…」

少女「わ、笑いすぎです!!」

少女「どっからどう見てもうさぎじゃないですか!」

少女「失礼な!宇宙人じゃないですよ!」

少女「…へ?」

少女「たまご?たまごがどうしたんですか?」

少女「あ……」

少女「なし!それなしで!」

少女「お願いします!もう一度私にチャンスを!」

少女「うわあああああぁぁぁんっっ」

少女「二郎さんのばかーっ!!」

おしまい

234: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 11:46:04.00 ID:Rbv6wmXAO
少女「二郎さん二郎さん」

少女「綺麗な花嫁さんですね」

少女「私もいつかこんな風に…」

少女「…え?えっ?」

少女「ご、ごめんなさい…」

少女「見るつもりはなかったんです」

少女「私の年賀状を探してるときに見つけて、気になって…」

少女「…ほぇ?」

少女「勝手に見ちゃったから怒ってるんじゃないんですか?」

235: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 11:56:37.17 ID:Rbv6wmXAO
少女「でも、ちょっと怖い顔してましたよ」

少女「えっと…聞いてもいいですか?」

少女「花婿さんじゃなくて花嫁さんがお知り合いだったんですね」

少女「お…お付き合い…してたんですか…」

少女「いえあの…その方とはもう…?」

少女「あ、あははっ…そりゃそうですよね結婚されたんですもんね」

少女「……」

少女「二郎さんには」

少女「二郎さんには…私がいるじゃないですか」

少女「いたっなんで叩くんですか!?」

少女「二郎さん…顔真っ赤」

少女「えへへ」

おわり

239: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:40:41.11 ID:Rbv6wmXAO
少女「お、終わりました…」

少女「さすがに疲れましたね」

少女「っていうか、今回のお仕事は配達じゃなくて引越ですよね…」

少女『一人暮らしの荷物だし、二人でいけるだろ』

少女「とかお気楽に言ってましたけど…」

少女「ふふっ、ほんとにあの人らしいです」

少女「さあ、そろそろ帰りましょうか!」

240: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:41:10.67 ID:Rbv6wmXAO
少女「~♪~~♪」

少女「えっ?違いますよぉ」

少女「ピクニックじゃなくて」

少女「線路は続くよどこまでも、ですよ」

少女「うー」

少女「笑わないでくださいよう…」

少女「……」

少女「~~♪~♪」

241: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:41:48.67 ID:Rbv6wmXAO
少女「あっ」

少女「次の信号で左へお願いします!」

少女「いいから曲がってください!」

少女「…急にごめんなさい」

少女「なんか大きな公園があるみたいで」

少女「行きがけに看板を見て気になってたんです」

少女「ちょっと…寄り道しませんか?」

少女「あははっもう曲がっちゃってますもんね」

少女「ではでは、公園へ!」

242: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:42:41.10 ID:Rbv6wmXAO
少女「ふあ…立派な公園ですね」

少女「せっかくですし、お散歩しましょ?」

少女「へへー」

少女「ご機嫌ですよぉ」

少女「~♪~♪」

少女「もう!今度はピクニックですよぅ!」

少女「わぁ!」

243: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:43:23.70 ID:Rbv6wmXAO
少女「綺麗な夕焼け…」

少女「……」

少女「えへへ…」

少女「手、あったかいです」

少女「……」

少女「っくちっ」

少女「そうですね。そろそろ戻りましょうか」

少女「…今度は、朝から来ましょうね?」

少女「はい!私、おべんと用意します!」

244: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:44:36.95 ID:Rbv6wmXAO
少女「暗くなるの、早い…」

少女「……」

少女「あ、あの…」

少女「なんかカップルが多いですね…」

少女「……」

少女「!!」

少女「……」

少女「あの…えっと…その…」

少女「いい…ですよ?」

245: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 22:45:47.38 ID:Rbv6wmXAO
少女「二郎…さん…」

少女「あっ…」

少女「ん…」

少女「……」

少女「…?」

少女「!!」

少女「にゃにひゅるんでひゅかっ!?」

少女「俺から何も言ってないって?」

少女「言ってくれないんじゃないですか…」

少女「…ずっと待ってるのに」

少女「早くしないと、どっか行っちゃいますからねっ!」

おしまい

262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 11:09:08.85 ID:UjbxlyvAO
少女「そうみたい…ですね」

少女「あっ今日は朝礼があるみたい」

少女「二郎さん急ぎましょ!」

264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 13:36:59.75 ID:tAb+xa3+o
青年「センパイ、家が超遠くなるんで会社の借り上げ社宅なのはわかるんスけど」

青年「この家、やたら広くないっスか?」

青年「え?妻帯者用!?」

青年「ちょwwそんなの聞いてないっス!」

青年「他に空きが無い?…しょうがないっスかねー」

青年「ところでセンパイ、その大きな荷物はなんすか?」

265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 16:17:16.67 ID:UjbxlyvAO
少女「だ、だってしょうがないじゃないですか!」

少女「上司さんが一部屋しかないから一緒に住めって…」

少女「私だって抗議したんですよ!?」

少女「けけけけけ結婚前の男女がひとつ屋根の下だなんて…」

少女「二郎さんは…わ、私と一緒じゃ…いや…ですか…?」

268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 19:55:37.98 ID:MmzF2gLTo

少女「お久しぶりでーす!」

269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:07:11.76 ID:MmzF2gLTo

少女「え、しょっちゅう顔合わせてるだろって?」

少女「急にそんな気分になることもありますよ」

少女「二郎さん、会いたかった―!」

少女「いたっ。そんなに恥ずかしがることないじゃないですかー」

少女「あ、局長もお久しぶりです!」

少女「いや、なんとなくですよ」

少女「自分にはとびついて来ないのか、ですか?」

少女「ええと……局長は若干加齢臭が……」

少女「ああ! そんなに落ち込まないでください!」

270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:08:03.93 ID:MmzF2gLTo

少女「さあて、久しぶりの配達配達ー、昨日もやったけどー♪」ブロロロ……

キキッ!

少女「お届けものでーす!」

少女「……」

少女「いないのかな?」

少女「わっ! いらっしゃったんですか」

少女「ええ、お届けものです。ハンコかサインお願いします」

少女「――はい、ありがとうございました―」

少女「……」

少女(なんだか、怪しげな人だったなあ)



少女「――ってことがあったんですけどね」

少女「普通の配達風景? そうですけど、なんだかその人挙動不審というかなんというか」

少女「場所は○○マンションです。年齢ですか? 三十くらいに見えました。恰好はよさげなスーツですが、どことなく疲れたサラリーマンといったところでしょうか」

少女「うーん、なんだか引っかかる」

少女「馬鹿が深く考えるな? 誰が馬鹿ですか―!」

271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:08:54.42 ID:MmzF2gLTo

少女「あったらしーい朝が来た、っと」ブロロロ……

少女「えーと次のお届けものは……」

少女「あれ? 昨日と同じところ?」



少女「お届けものでーす」

少女「あ、ハンコかサインを……んん?」

少女「え、あ、いや、なんでもないです。ありがとうございました―」



少女「うーん……」

少女「あ、二郎さん」

少女「何を考えているか、ですか? 実はですね、昨日言ってたことと関係あることなんですよ」

少女「そう、昨日の怪しい人です」

少女「どういうわけか、今日もあそこに配達があったんですが……」

少女「出てきた人が、昨日と違ったんです」

少女「いや違うんですよ。奥さんとか子供じゃなくて、同じくらいの年齢の、別の男性でした」

少女「なんか怪しくないですか?」

少女「え? わたしたちみたいに仕事で同棲しているのかも? そうかもしれませんが」

272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:09:21.06 ID:MmzF2gLTo

少女「……」

少女「また今朝も、この部屋の前にいるわけですが」

少女「まあ、考えていても仕方ありません、お仕事しないと」

少女「ごめんくださーい、お届けものでーす」

少女「あ、どうも……って」

少女(また違う人だ……)

少女「あ、いえ、ずいぶん大勢の男の人たちで住んでいるんだなーって」

少女「ご、ごめんなさい」

少女(に、睨まれたー!)



少女「やっぱり怪しい」

少女「いえ、かくかくしかじかで」

少女「えー? 怪しいですよう」

少女「あ、待って、一緒に帰りましょうよ!」

273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:09:52.13 ID:MmzF2gLTo

少女「さて、現在朝の五時。出発前なのですが、気になることがあります」

少女「なんと、また配達物の中にあのマンション行きの配達物があるんです」

少女「何なんでしょうねえこれ。中くらいの包みですが」

少女「……」

少女「いやいや、開けるなんて。二郎さんじゃあるまいし」

少女「……」

少女「い、いけない……誘惑が」

少女「さっさと出発しましょう」

少女「っと!?」

少女「しまった、やっちゃいました! 配達物を落とすなんて!」

少女「しかも封が開いて中身がこぼれちゃいました! は、早くもとに戻さないと……」

少女「ん? これは?」

274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:10:22.29 ID:MmzF2gLTo

少女「あ、じ、二郎さん。こ、これはですね、決してわざとというわけじゃ」

少女「そんな冷たい目で見ないでくださいよう……」

少女「二郎さんだって前に勝手に手紙開けたりしてたのに……」

少女「……あ、これですか? わたしにもよくわかりません。配達物の中に入っていた瓶なんですけど」

少女「中に入っているのは何かの薬でしょうかね? ラベルに何か書いてありますが読めません」

少女「あ、取らないでくださいよ」

少女「え? 二郎さん読めるんですか?」

少女「なんて書いてあります?」

少女「……なんでそんな変な顔を。危ないものなんですか?」

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:10:51.80 ID:MmzF2gLTo

ピンポーン

少女「あれ? どなたでしょうか、こんな早い時間に」

少女「はーい」ガチャ

少女「え?」

少女「あなたがたは、あのマンションの……」

ガッ――

少女「きゃっ!」ドサ

少女「い、一体何を……?」

少女「我々の計画がばれてしまっては仕方ない? な、何のことですか?」

少女「って、きゃああああああ!?」

ガッ!

少女「じ、二郎さん! わたしの盾に……大丈夫ですか!?」

少女「!? なにやら二郎さんから怒りのオーラが!」

少女「駄目です二郎さん! そのままじゃス―パー二郎さんになっちゃいます!」

276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:11:22.64 ID:MmzF2gLTo

少女「そ、それより、あなたたちの計画って何なんですか!?」

少女「知る必要はない? ここで始末するのだから?」

少女「そ、そんな物騒な……」

少女「って、局長!? こんなときに! 危ない!」

ドグシャァッ――!

少女「……え?」

少女「きょ、局長?」

少女「局長が……局長が……!」

少女「局長のパンチがものすごい致死的な勢いで決まった―!?」

少女「そ、その吹っ飛んだ人大丈夫ですか?」

少女「なに、みねうち? パンチにみねうちなんてありますかー!?」

277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:11:49.50 ID:MmzF2gLTo

少女「な、何やら制圧状態です。あちらは残り五人、こちらは局長と二郎さんの二人だけ……だというのに全く不安がありません」

少女「ん? 何を取り出しているんですか? 見たところセガのロボピッチャに見えますが」

バシュ!

少女「な、何かが打ちあがりましたよ!?」

ボン!

少女「何でしょうか、空に文字が……ボスケテ?」

少女「ボスケテってなんですか?」

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:12:23.01 ID:MmzF2gLTo

少女「はっ!?」

少女「1,2,3,4,5……6!?」

少女「一人、怪しい人が増えてます! いつの間に!?」

少女「え? あなたがボス?」

少女「……毛生え薬研究会?」

少女「ちょっと何言ってるのか分からないです」

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:13:15.95 ID:MmzF2gLTo

少女「えー……毛生え薬研究会って……」

少女「もっときな臭いものかと思えば、毛生え薬研究会、ですか……」

少女「いえ、いいんですけど、個人的にはせめて毛刺激活性化毛髪発生新薬開発協議会とかがいいなあ、って」

少女「いたた。二郎さん、こんなときに叩かないでくださいよ」

少女「それになんだか叩く手が脱力してますよ?」

280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:13:43.32 ID:MmzF2gLTo

少女「しかしこれではっきりしましたね」

少女「あなたたちは毎日毛生え薬の原料となる薬を取り寄せて研究に研究を重ねていた訳です」

少女「そして、最終的にふさふさに髪を伸ばしたら今度は全員でお笑いコントグループを結成……」

少女「自分の髪形と同じカツラをかぶり、『それ、ヅラの意味ないやんけ』というギャグで一躍スターになろうとふふふ」

少女「二郎さん痛いですよう……」

少女「あ、ほら、当たりみたいですよ?」

281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:14:11.04 ID:MmzF2gLTo

少女「まあ、わたしにかかればそんな企みなんて一目瞭然です!」

少女「ん? 今度は何を取り出しているんですか?」

少女「大きな……こけし?」

少女「コペルニクス一号、ですか」

少女「正直反応に困ります」

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:15:23.80 ID:MmzF2gLTo

ジャッ!

少女「え!? あのこけし速い!?」

ドガァッ!

少女「きょ、局長が!?」

少女「大丈夫ですか―!?」

ジャッ!

少女「ひ、ひええ、今度はこっちに……」

ドガァッ!

少女「じ、二郎さん! またわたしを庇って……」

少女「……もう、許しませんよ!」

少女「もう、これは使わないと決めいていましたが、封印解除です!」

カッ――ドゴゴゴゴゴゴゴ!

少女「来なさい、それとも怖気づいたの?」

……ジャッ!

少女「そう、それでいいわ……喰らいなさい!」

少女「乱れっ」キュゥ…

少女「雪っ!」ゥゥ

少女「月っ!!」ゥン

少女「華っ!!!」ゴォッ

――ゴシャァッ!!

283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/02(水) 20:17:12.68 ID:MmzF2gLTo



少女「今日も配達配達ー♪」

少女「あ、二郎さんと局長、おはようございます!」

少女「二人とも怪我はもう大丈夫なんですか?」

少女「そうですか、ならもう配達は大丈夫ですね!」

少女「ところで……」

少女「局長、ちょっと、その、後退しました?」

少女「あ、ええと、額が……です」

少女「ご、ごめんなさい、そんなに落ち込まないで!」

少女「これあげますから元気出してください」

少女「これですか? これはこの前のあの人たちが置いていった薬品から作った毛生え薬です。頑張ったのでぜひ試してみてください!」

少女「ええ? 怪しくないですよう……」

少女「ささ、思い切っていっちゃってください!」

少女「あ」

少女「それ、飲み薬じゃなくて、塗り薬です……」

292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:25:38.56 ID:EecoKFlFo

――ックシュン!

青年「あー……」ズズ……

青年「あ? 風邪? いや大丈夫だ」

青年「大丈夫だって、配達にゃ影響しねえよ」

青年「分かったって、あったかくするから」

青年「ほれ、そっちも出発しろ出発」

青年「は? 行ってらっしゃいのキス?」

青年「……目をつぶれ」

青年「よしいくぞ」

ペシ!

293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:26:38.41 ID:EecoKFlFo



ピピッ!

青年「三十七℃、ちょっと熱いか」

青年「ああ? いや大丈夫だ。風邪薬も飲んだし、明日には下がってるだろ」

青年「問題ない問題ない」

青年「……何、風邪が退散する寝る前のおまじない?」

青年「目をつぶれ? ……はあ、分かった」

青年「――っと、その手は食うか」ヨケ

青年「黙ってキスさせろ? だが断る」ペシ

294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:27:07.86 ID:EecoKFlFo

ピピッ!

青年「……三十九℃」

青年「ああ、そうだな熱だな」

青年「起きてみたらこれだ。参った」

青年「ああ、分かってる、今日は休みだ」

青年「……はあ? センパイも休むのか? なんでだよ」

青年「看病? センパイが俺を? なめんな馬鹿」スカ

青年「はずれた……だと?」

295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:27:35.47 ID:EecoKFlFo

青年「どうやら思った以上に熱にやられているらしい、反撃を食らうとは」

青年「ああはいはい、大人しく寝てるからいちいちうるさい」

青年「ふう」

ビチャ

青年「おい」

青年「なんで俺の額にびちゃびちゃの雑巾が乗っている?」

青年「阿呆か! 普通はきれいなタオルでしかも絞っておくだろうが!」

青年「何、ポッチャレータムの足ふきだから大丈夫? なお悪いわ!」

296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:28:02.95 ID:EecoKFlFo

青年「ああ、怒鳴ったらめまいが……」

青年「はあ」

ペリペリ

青年「? おお、ゼリーか。もらう」

青年「……」

青年「いや、なんだそれ」

青年「断る。誰があーんなぞするものか」

青年「口移しはもっとお断りだ!」

297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:29:25.94 ID:EecoKFlFo

青年「だ、駄目だ、さらにめまいが……」

青年「ぬぬ」

ドン

青年「……なんだこれは」

青年「ああ、分かってる、俺の目は健康だ。だが」

青年「なんで病人にハンバーグだ! ああ、そうだ良くできているとも! それがなお腹立たしい!」

――プツン

青年「お……?」フラ

青年「――」バタン

298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:29:52.96 ID:EecoKFlFo



青年「……ん。んん……?」

青年「ああ……夕方か」

青年「寝てた、か。ったくあのセンパイ殿は……ん?」

青年「……寝てやがる。全く人の腹に突っ伏して呑気なもん――」

青年(……涙の跡)

青年「……」

青年「チッ」



青年「起きたか」

青年「……まあ、そのなんだ」

青年「――わっぷ」

青年「病人にいきなり飛び付くな……!」

青年「……」

青年「……あと泣くな」

299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:30:35.09 ID:EecoKFlFo

青年「ああ。……うん。うん。そうか」

青年「いや、いい、謝るな。お前は頑張った。頑張ったから」

青年「……それがもうちょっと結果に結びつけばよかったんだけどな。わりと切実に」

青年「いや、悪かった撤回する。だから泣きやめ」

青年「……」

青年「……センパイには感謝してる」

青年「ばっ……うるさい黙って聞け」

青年「センパイには仕事を紹介してもらったし、色々教えてもらったりした」

青年「おかげでお袋も安心してるし、俺も満足してる」

青年「いや、それだけじゃないからもうちょっと我慢して聞け、鼻水拭け」

300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:32:07.30 ID:EecoKFlFo

青年「いや、そのな……」

青年「なんて言ったらいいかその、センパイは明るいだろ?」

青年「いつも、元気を、その、もらってる」

青年「……ああいやだ、こんな幼稚な台詞を吐かなきゃいけねえなんて」

青年「でもな、それ以上に俺は、センパイの、いや、センパイが……違うな」

青年「~~っ! ああくそ! 言うぞ! 言うからな!」

青年「俺は、お前が――!」

青年「……」

青年「焦げ臭い」

青年「あ、いや、違う、今の話とは関係ない。ただ、なんか焦げ臭い」

青年「はあ!? 火をつけっぱなし!? さっさと消してこい阿呆!」ベシ!

301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:32:38.83 ID:EecoKFlFo



青年「あ、もしもし、おはようございます局長。すみませんがまた休みもらえないスか? ええ、二人で」

青年「ああいや、俺は治ったんスけど、同居人が」

青年「はあ、うつったみたいで、ええ」

青年「つーわけで、今度は俺が看病です、はい」

青年「分かってます、明日には出れるようにするんで」

青年「~~っ! しないっスよ! 熱があるときのが気持ちいい? 知るか◯◯親父が!」ガチャン

青年「ふー……さて」

302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:33:05.77 ID:EecoKFlFo

青年「よお、センパイ。元気はどうだ?」

青年「いいわきゃねえか。ほれおかゆ」

青年「覚えとけ、病人にはこう言うのを食わせるんだ」

青年「……あーんはしねえよ」

青年「口移しはもっとお断りだ」

青年「……なに、昨日は何を言おうとしたのか、か?」

青年「あー、それは、あれだ」

青年「……取り消し取り消し。また今度仕切り直しな」

青年「うるさい文句言うな。誰がヘタレだ、叩くぞ」

青年「……冗談だ、病人を叩くほど鬼じゃねえよ」

303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:33:36.38 ID:EecoKFlFo

青年「ん? ああ、昨日のチョコか。焦がしたやつ」

青年「……あれを食えとか何の嫌がらせだ」

青年「だいたい病人にチョコ食わせるつもりだったのか」

青年「バレンタインデー? 知るか、そんな菓子屋の陰謀日」

青年「あー、捨てた捨てた」

青年「ぶーたれるな」

304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/14(月) 18:34:04.76 ID:EecoKFlFo



青年「さて、洗いものでもするか」

青年「……」

青年「まあ、まだあるんだよな、これが」

青年「あちこち焦げちゃってまあ」

青年「……」

ガリ

青年「まじぃ……」

……ガリ

青年「ああ、まじぃなこりゃ……」

青年「これを全部食うのか、まったく……」

313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/02/17(木) 10:42:52.06 ID:21S9OJIAO
少女「ば、ばくはつぶつ…ですか」

少女「ビッグバン?地球の危機?」

少女「なんでまたそんな危険なモノをうちが配達することに?」

少女「ACEドライバー?えっ?」

―――

青年「…わかりました、やってみます」

青年「センパイ!しっかり捕まっててくださいよ!」

青年(お前に命を吹き込んでやる…!)

―――

局長「少女も青年もまだまだだが…まあ大丈夫だろ」

局長「頼むぞ、二人とも…」

―――

少女「これがまさか…オーパーツだったなんて…」

少女「あいつらに渡すわけにはいきません!」

少女「行きます!乱れ…!!」

―――

そして、少女と青年が見たものは――

構想5分(あれを立ち読み)、制作未定!
今春公開予定(は未定決定にあらず)

320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/01(金) 14:56:21.44 ID:oA15g2f/o

エイプリルフール ①配達少女の場合

少女「お疲れさまでーす、担当分終わりましたー」

少女「ふー、ちかれたあ……」

少女「ん、あれ? どうしたんですか局長、そんな真面目な顔して。らしくないです」

少女「らしくないは余計? これは失礼。でも何かあったんですか?」

少女「お前には話せない? 余計に気になります!」

少女「教えてくださいよう、ねえねえ誰にも言いませんからぁ」

少女「そこを何とか!」

少女「え! いいんですか!? やったあ!」

少女「ふんふん……」

少女「ええ!? 二郎さんに恋の相談をされた!?」

少女「つ、ついに二郎さんがデレる時が!」

少女「……え、違う? そ、それはどういうことですか?」

少女「……」

少女「……好きな人が別にできた……って」

少女「え、えええええええ!?」

321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/01(金) 14:58:20.07 ID:oA15g2f/o

エイプリルフール ②青年の場合

青年「お疲れース、担当分終わりやしたー」

青年「あーだるかった……」

青年「――ってアレ? センパイは?」

青年「は? 用事があるからって帰った?」

青年「何の用事スか」

青年「……デート?」

青年「……あいつが? 誰と」

青年「……」

青年「ああなるほど、今日は四月のいっぴ。そういうことスか」

青年「……くだんね」

青年「え? どこ行くかスか? ちょっとタバコ吸いに外に出るだけっスよ」

青年「ちがいます、別にあいつはどうでもいいスよ。本当にデートしてようが嘘だろうが俺には関係ないっス」

青年「……本当っスからね?」

322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/01(金) 14:59:21.06 ID:oA15g2f/o

エイプリルフール ③中年の場合

局長「ふひひ、あいつらのあの顔!」

局長「あの子は素直だし、二郎もなんだかんだ言って純情だし、ころっとひっかかってやんの!」

局長「いやいや違う違う、これは悪意があってついたウソでは決してない。あいつらがいつまでたってもくっつかないから私が仕方なくだな……」

局長「ふひひ!」

RRR…

局長「お、来た来た、どうなったかな。面白いことになってるといいのだが」

局長「はいもしもし、こちら局長だ」

局長「うん、うん。え、あ、ちょ、泣かない泣かない!」

局長「すまんすまん! そう、あれは私の善意のウソだって。だから気を確かにもつんだ!」

局長「だから……って二郎? あー……すまん。いや、お前ウソだって気付いてたじゃ」

局長「……」

局長(無言のプレッシャーパねえ)

局長「いや、だからすまん!」

局長「え、許してくれるのか? 怒ってない? いや、怒ってるよね?」

局長「その代わり?」

局長「……」

局長「結婚するから二人揃って退職する……だと!?」

323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/01(金) 15:00:27.69 ID:oA15g2f/o

エイプリルフール ④変な名前の猫の場合

猫「zzz…」

「局長、これで懲りましたかね?」

「さて、どうだか。俺としては本当に辞めてやっても良かったけどな」

「二郎さん、カンカンでしたもんねー、ふふ」

「……別に」

「んー、私も辞めても良かったかも」

「ん?」

「辞めたら二郎さんと結婚できるんですよね?」

「……お前いっぺん論理学勉強してこい」

「あー、馬鹿にしたあ」

「はいはい」

「……待ってますからね」

「……」

猫「zzz…」

おしまい

329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/02(土) 14:29:08.25 ID:rVhEFPKqo

少女「お疲れ様で―す、担当箇所終わりましたー」

少女「ふう」

少女「あれ、局長何してるんですか?」

少女「行き先のない保管郵便物の棚卸? 手伝います」

少女「思ったよりはありますねー」

少女「……それだけ届かなかったものがあるって思うと、ちょっとさびしい気持ちになります」

少女「わあ……これすごいですね。だいぶ紙が古くなってます」

少女「何年前の何でしょう?」

少女「えーと、昭和ですから……って、昭和!?」

330: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/02(土) 14:29:52.17 ID:rVhEFPKqo

少女「二十五年前かあ。こんなに古いものが……」

少女「受取人がいなかったとかは分かりますけど、差出人のところに返送はしなかったんですか?」

少女「え? どっちも引っ越して行き先不明?」

少女「そうですか……」

少女「あ、二郎さんお疲れ様です」

少女「これですか? 実はですね――」



少女「――と、いうわけなんです」

少女「二十五年前ですよ、すごすぎですよね」

少女「って、二郎さん!? 何ナチュラルに開封してるんですか!?」

331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/02(土) 14:30:20.30 ID:rVhEFPKqo

少女「局長も何とか言ってやってくださいよ! なんでわたしがぶたれなきゃいけないんですかー!」

少女「二郎さんってほんとは優しいのに、わたしには容赦ないです……はあ」

少女「……ねえ、聞いてます?」

少女「え? なにか書いてあったんですか?」

少女「見ろって……わたしを共犯にするつもりですか? ふふーんだ、その手にはかかりませんよーだ」

少女「……またぶったー!」

332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/02(土) 14:31:55.24 ID:rVhEFPKqo

少女「分かりましたよう、読みますってば」

少女「えーと……」

『私はあなたを許します』

少女「……?」

少女「許す? ってなんのことでしょうか……」

少女「え? あ、ええ。その通りですね、大事なお手紙であることは間違いなさそうです」

少女「確かに届けなければいけない気がしますが……でもどうしましょう、どちらもお引っ越ししちゃってるみたいで」

少女「聞き込み、ですか? 二十五年前ですよ?」

少女「どうにかなる? そんな適当な……」

少女「え、有給取る? 私もですか? そ、そんな急すぎますよう!」

少女「あ、二郎さん待ってくださーい!」

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/03(日) 22:40:07.35 ID:D/3S+L2do

<翌朝>

少女「――さて。ここが届け先の住所ですが」

少女「きれいでかわいらしいおうちですねー」

少女「あ、ちょっと二郎さん?」

ピンポーン……ガチャ

少女「あ、え? わ、わたしですか!?」

少女「――あ、あー、えーと、こ、こんにちは! わたしたち郵便局の者です!」

少女「今日はちょっと伺いたいことがありまして……」

少女「あ、はい、えーとですね、前にこちらに済んでいた人なんですけど……」

少女「あー……やっぱりご存知ないですよね」

少女「申し訳ありません、失礼しました」

……パタン

337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/03(日) 22:40:44.78 ID:D/3S+L2do

少女「二郎さんいきなりはひどいですよう」

少女「ってあれ、二郎さん? あ、いたいた」

少女「どこ行くんですか?」

少女「いたっ。どうして叩くんですかぁ。……なんでついてくる、って」

少女「手分けして聞き込み? そんな警察じゃあるまいし」

少女「二郎さんて変なとこ行動的ですよね」

少女「――って、行っちゃった……そんなにうまくいくのかなあ……」

338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/03(日) 22:41:49.66 ID:D/3S+L2do

少女「あ、いたいた! 二郎さーん!」

少女「……ちょっと、何叩こうとしてるんですか」

少女「遅い? 場所指定しないで行った二郎さんが悪いんです」

少女「え、結果ですか? うーん、特にこれといった情報は……」

少女「二郎さんもですか? まあ、そうですよねえ」

少女「え? 次行く? 一体どこに?」

少女「送り元って……二つ隣の県じゃないですか!」

少女「あ、待って、置いてかないでー!」

339: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/03(日) 22:42:20.90 ID:D/3S+L2do

少女「zzz……」

少女「ん……んにゃ?」

少女「あ……着いたんですね……」

少女「んー……身体が凝りました。三時間ほどずっと車でしたからねえ」

少女「あ、はい、えーと。目的地は地図だとあっちみたいです」



少女「……空き地、ですね」

少女「見た感じ、こうなってから結構たってるみたいな」

少女「どうします二郎さん。 って、あれ? いない……」

少女「また聞き込みですかあ。はあ……」

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/06(水) 23:30:34.78 ID:MRHQCmPDo

少女「うう……結局こっちでも有益な情報を持ってる人は見つかりませんでした」

少女「二郎さんも収穫無しですか。そうですよねえ……」

少女「ところで暗くなってきました。今日は帰りませんか?」

少女「え、まだ寄るところがある? どれくらいかかるんですか?」

少女「……」

少女「聞き間違いですよね?」

少女「十数時間とか、ちょっと常識じゃ考えられません」

少女「あ! 待ってください! 知らない土地で一人はやーですー!」

344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/06(水) 23:31:27.52 ID:MRHQCmPDo



少女「……ううん、ムニャ……」

少女「ん――あれ?」

少女「ああ、着いたんですか……」

少女「夜行バスじゃないんですから、こう言うのはもう勘弁ですよう……」

少女「で、ここはどこですか?」

少女「……県を四つ跨いだんですね」

少女「半分仕事とはいえ、これはちょっと……」

少女「え? なんですか? 鏡?」

少女「あ! 涎の跡が!」

345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/06(水) 23:32:27.55 ID:MRHQCmPDo

ピンポーン――ガチャ

少女「あ、おはようございますお爺さん」

少女「朝早く申し訳ありません、わたしたちこういうものなんですけど。ええ郵便局の」

少女「はい、実はちょっとお伺いしたいことが……」



350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:52:08.43 ID:xGATdViEo



少女「……」

少女「お話、ありがとうございましたお爺さん」

少女「……」

少女「ええ。行きましょう二郎さん。彼女たちが、待っています」

少女「……二十五年。いやもっとですか」

少女「ずっと、すれ違ったままで。ずっと分かりあえないままで」

少女「わたしはそれに恐怖します」

少女「……そして感謝します。手紙に救えるものがあることを」

少女「今なんですね、ええ」

少女「今こそ」

351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:52:42.16 ID:xGATdViEo



ピンポーン――……

少女「……出てください」

ピンポーン――……

少女「すぐそこなんです。あなたたちのは、すぐそこなんです」

ピンポーン――……

少女「将棋のお爺さんとは違うんです、この世界で確かに届くんです。だから……!」

――ガチャ……

少女「……! あのっ、わたしたち――いや、わたしたちはどうでもいいんです。
この手紙を、届けに来ました。受け取ってください」

少女「彼女からの、お手紙です。取り戻せる過去からの、お手紙です……!」

352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:53:08.90 ID:xGATdViEo

『私はあなたを許します』

353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:53:46.14 ID:xGATdViEo

『お久しぶりですね。

あなたたちがいなくなってからずいぶん経ちました……彼がいなくなってからずいぶん経ちました。

私はあなたたちといた日々を片時も忘れたことはありません。

――そして、あなたが私から彼を奪ったこともまた、忘れません』

少女「お爺さんから聞きました。昔、近所に仲の良い三人の子供たちがいたそうですね」

少女「男の子一人に女の子二人。三人は仲が良くていつも一緒にいたと聞いてます」

少女「三人が成長してもそれは同じで。
からかわれることもあったけど、それでもその子たちの友情を断ち切るのには足りませんでした。」

少女「でも友情は慕情に変わります。そして残念ながらそれは、三人全員を幸せにするには、席が足りなかった」

少女「彼は選んだそうですね、あなたを」

少女「……続き、読んでください」

354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:55:35.67 ID:xGATdViEo

『彼はあなたを選びました。悔しいけれど、それは事実です。

私もそれは仕方なかった、彼も悩んで決めたのだと理解しています。

でも許せなかった。あなたが彼と二人で旅行に行くなどと言わなければ、彼は死なずに済んだのに、と。

あれはあなたたちの早めの婚約祝いでしたね。あなたたちは車で隣の県まで旅行に行って、事故に遭いました。

不慮の事故、でした。

彼は死にました。あなたは生き残りました。

私は……私は取り残されました。

もちろんあなたが悪くないことは、頭ではわかっていました。

でも私には、この愚かな私には、あなたが全てを奪い、壊してしまったように見えて仕方なかった』

少女「――駄目です。逃げちゃ駄目です」

少女「続き、読みましょ? ね?」

355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:56:09.33 ID:xGATdViEo

『あなたはその後すぐに別の県に引っ越してしまいましたが、それはきっと正解でした。

その時の私には、あなたを許すことなんて到底できなかったでしょうから。

事実私は憎みました。激怒し、嫌悪し、憎悪しました。

誰にかは自分でも分かりません。

私を選ばなかった彼にかもしれませんし、あなたにかもしれません。

それとも神様に、だったのかも。

そのまま数年がたちました』

356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:56:47.39 ID:xGATdViEo

『私は、私にはもう何も残っていないことに、ある日気がつきました。

あの日の三人の、目が眩まんばかりの輝かしい日々はありません。

三人で遊んだ公園も今はないことを知っていますか?

学校も、新しくなったんです。

もう、どこにも、あの日の匂いは残っていなかった。

私は。私は――』

『――だから、私はあなたを許そうと思うのです。

これは積極的な許しではないでしょう。

むなしさに気付き、それゆえ心が折れた、そんな消極的な許しです。

ここには根本的な解決はないでしょう。

それでも。

ああ、それでもあの日々はとても楽しかったから……』

357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:57:18.71 ID:xGATdViEo

『私は、この手紙を書いたら出発します。

もうあの日の残滓はありませんが、私たちのことを知っている人が残っています。

弱い私にはそれが耐えられないから。

だから、私たちのことを知っている人がいないところに行きます。

繰り返します。私はあなたを許します。

そして、さようなら』

358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:58:05.49 ID:xGATdViEo

少女「……」

少女「……書きましょう」

少女「お手紙、書きましょう」

少女「今のあなたには泣くことしかできないでしょうけれど、それでも書かなければなりません」

少女「また明日、ここに来ます。その時に手紙を渡してください」

少女「私たちが届けます」

少女「大丈夫、必ず届きますから」

少女「あの日の輝きは取り戻せないでしょうけれど」

少女「それでもまだ取り返しのつくものはきっと。その手の中に残っているんですよ。ね?」

359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:58:36.20 ID:xGATdViEo

それから。

その二人の女性の会合は、いまだ実現してはいないものの。

これから実現する見通しもないものの。

それでも小さな文通は。

ある二人の郵便局員の手によって続いているそうな。

360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/04/07(木) 22:59:14.06 ID:xGATdViEo



少女「二郎さーん、終わりましたよー」

少女「ってあれ? 二郎さん眠ってるんですか?」

少女「……ハンドルに突っ伏して、器用ですねー」

少女「まあ、ほとんど寝ていないんですから仕方ないといえば仕方ないですが」

少女「それにしても」

少女「ふふ、なかなか可愛い寝顔ですね。もうちょっと待ってあげますか」

少女「……お疲れ様、です」

おしまい

366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:54:12.58 ID:qak9e7+uo

青年「なーんか久しぶりな気がする」

青年「いや何がってわけじゃないが」

青年「こう、すごく間が空いたようなこの間延び感」

青年「まあいいか」

青年「センパイの住むとこが見つかったってんでなんちゃって同棲が終わって早一週間」

青年「なんだか、ようやく自分の時間が持てたような気がする」

青年「……」

青年「さーて、隠してあったDVDでも見るか」

ピンポーン

青年「ん?」

青年「……どうせ勧誘だろ。無視無視」

367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:54:40.48 ID:qak9e7+uo

ピンポンピンポーン

青年「……」

ピンポンピンポンピンポ――

青年「ああうるせえ!」

青年「はいはいどちら様だ!?」ガチャ

青年「っ――!」

青年「お前……一美」

青年「なんで……なんで、ここに来た?」

青年「……」

青年「ま、まあ入れ。話は中で聞く」

368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:55:09.57 ID:qak9e7+uo

一人の女が俺を訪ねてきた。
知ってる顔。知りすぎてる顔。
できれば忘れたかったそいつ。
俺の今回の話は、ここから始まる。

369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:55:45.27 ID:qak9e7+uo

青年「ほれどうぞ」コト

青年「フー……」

青年「……」

青年「で? 何があった?」

青年「……黙ってちゃ分からねえよ」

青年「ん?」

青年「――はあ?」

青年「俺の家に泊めてくれ、だあ? 正気か?」

青年「いや、だってよ……」

青年「まあ妻帯者用の社宅だから部屋はあるんだが」

青年「じゃあいいだろってもよ……」

青年「お前は――」

青年「っと、しまったそういえば配達の時間だ。
悪いが話はまた後でにしよう」

370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:56:11.78 ID:qak9e7+uo

そう言って俺はそいつを残して社宅を後にした。
これから起きる面倒事には、この時全く気付いてなかった。

371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:56:39.37 ID:qak9e7+uo

青年「ただいまー、っと。ふうやれやれ」

青年「ん?」

青年(いいにおいだな)

青年「もしかして夕飯作ってくれたのか?」

青年「うお、わりいな」

青年「じゃあ、手洗ってくるわ」

372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:57:06.36 ID:qak9e7+uo

青年「うん美味い」

青年「……」

青年「いや……上達したな、って。……あの頃よりも」

青年「……」

青年「ごちそうさま」

373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:57:33.48 ID:qak9e7+uo

青年「さて、じゃあ話の続きをしようじゃねえか」

青年「何があった? 言ってみ」

青年「……」

青年「やっぱりだんまりか」

青年「悪いがそれなら家に泊めることはできない」

青年「いや、今日はもう遅いから泊めるけど、明日には帰るんだ」

青年「……いいな?」

374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:58:13.25 ID:qak9e7+uo

カポーン……ジャバー

青年(一体、何があったっていうんだろうな)

青年(なんとなく予想はつかないでもないが)

青年「……ったく」

青年(面倒事はごめんだぜ)

青年「……」

青年(なんでこんなときに、センパイを思い出すんだろうな)

ガラガラガラ……

青年「なっ!?」

青年「なんっ……なんで入ってくるんだよ!」

青年「背中を流そうと思った? 余計な御世話だ、帰れ!」

青年「ちょっ、せめて服を着ろ! 目のやり場に困る!」

375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 14:59:24.71 ID:qak9e7+uo

青年「……あービビった」

青年「全くあいつは何を考えてるんだか……」

青年「あー、なんかちょっと疲れた。もう布団に入って寝ちまおう」

ガチャ

青年「」

376: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 15:00:01.18 ID:qak9e7+uo

青年「何のつもりだ。そこは俺のベッドだ」

青年「いや、何も言うな部屋戻って寝ろ」

青年「ここで寝る? 俺にあっちに移動しろってか? 一体何の意味が――」

青年「……」

青年「ああうすうす感づいてたさ」

青年「だがな、誰が一緒に寝るものか!」

青年「何でか? もともと恋人だっただろう?」

青年「俺とお前はもう別れただろうが!」

青年「ついでに言うぞ――」

青年「お前はもう人妻だろうが!」

377: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 15:00:27.97 ID:qak9e7+uo

これが今回の話の冒頭。
このときにようやく理解した。
ああ、面倒事になるんだな、と。

381: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:17:50.95 ID:qak9e7+uo

青年「zzz…」

青年「ううん……」

青年「ん、ふあ……朝か」

青年「いけね、配達の準備しねえと」ゴソゴソ

――ムニュ

青年「」

青年「うお! うおおおお!?」

青年「なんっ、なんで! いつの間に!」

青年「お前結局俺のベッドに忍び込んだのかよ!」

382: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:18:26.64 ID:qak9e7+uo

青年「あービビった……」

青年「あ、おはようございっス」

青年「いや、別になんでもないっスよ」

青年「隠し事でもないっス」

青年「あ……おはようセンパイ」

青年「いや、別になんでもねーよ」

青年「……本当だ」

383: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:18:53.94 ID:qak9e7+uo

青年「ただいま」

青年「朝食? 悪いな」

青年「ご飯に味噌汁……和食か」

青年「いや、嫌いとかそういうんじゃない。ただ、久しぶりだなって」

青年(……懐かしくも、あるしな)

青年「ん、じゃ手洗ってくる」

384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:19:22.49 ID:qak9e7+uo

青年「ごちそうさま」

青年「ああ、美味かったぜ」

青年「……」

青年(照れ笑いは昔のままか)

青年「あ、いや……なんでもない」

385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:20:00.15 ID:qak9e7+uo

青年「さて、じゃあ約束通り帰ってもらうからな」

青年「冷たいとか言うな」

青年「……きっと、お前のためにもなる」

青年「文句は聞かない。さっさと……」

青年「っ!?」

青年「ちょっ……それ! 俺のDVD!」

青年「いや、別にやましいもんじゃ……いややましいけどよ!」

青年「そ、それをどうするつもりだよ。別に俺は……」

青年(ここでビビったら負けだ……!)

青年「……」

青年「すみませんでした」

青年「親父に言うとか勘弁してください。マジで」

386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:20:28.12 ID:qak9e7+uo

青年「ちくしょう、結局泊めることになっちまった……」

青年「あ、センパイ?」

青年「大丈夫大丈夫、別に具合が悪いってわけじゃねーよ」

青年「ていうか、俺の心配をするなんて百年早い。うり」

青年「叩くな? だったらそれに見合った回避力をだな――」

prrr…

青年「ん、携帯?」

青年「……ん? あー、えっと、ちょっと外出てくる」

387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:20:55.36 ID:qak9e7+uo

青年「なんだよ」

青年「え? 声が聞きたくなった? ふざけんな」

青年「面白くない冗談はやめとけ」

青年「ん、土鍋? それだったら食器棚の二段目一番奥だな」

青年「最初から用件だけいやいーんだよ」

青年「別にうれしかねえよ」

青年「ん、じゃあ切るぞ」

388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:21:22.56 ID:qak9e7+uo

青年「あーわりいわりい、ちょっと知り合いからだ」

青年「ん? 本当だぞ?」

青年「いや、隠すようなことはないが」

青年(勘がいいな)

青年「あ、ほら局長呼んでんぞ、さっさと行った行った」

青年「……ふう」

389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:21:50.86 ID:qak9e7+uo

青年「ただいま」

青年「今日の夕飯は鍋物か?」

青年「へえ、鍋焼きうどん。いいじゃん」

青年「じゃ、手洗ってくるよ」

390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:22:17.24 ID:qak9e7+uo

青年「……」

青年「ん? ああ、美味いよ」

青年「ただ、ちょっと考え事しててな」

青年「いや……」

青年「一美、旦那と喧嘩でもしたのか?」

青年「聞くなって……気になるだろうが」

青年「……」

青年「喧嘩じゃない、か」

青年「じゃあもっと深刻な何かだな」

青年「図星か」

青年「まあ帰れとか言っといて何だが。頭冷えるまでゆっくりしてくといい」

青年「そのうち何をすべきかもわかるだろ」

391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:22:44.12 ID:qak9e7+uo

青年「で、だ」

青年「風呂ぐらい一人で静かにはいらせてもらえないか?」

青年「だが断るってもよ、色々と問題が……」

青年「あーはいはいDVDね」

青年「でも、タオルくらい巻いておけ。あと、背中流すだけだからな。これは譲歩しない」

青年「駄々こねるな、◯◯か」

392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/04(水) 20:23:11.80 ID:qak9e7+uo

青年「寝る時も別の布団だ。同じ部屋までってのが俺の譲歩だ。いいな?」

青年「じゃあおやすみ」

青年「……」

青年「寝てる間に忍び込むのもなしな」

青年「泊めてやってるんだからそれぐらい聞いてもらってもいいだろうが」

青年「……拗ねるとそうやってふくれるのは、まだなおってないんだな」

青年「いや……おやすみ」

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:04:41.21 ID:Plz/PCKdo

青年「ただいまー」

青年「お、今日の夕飯は牛丼か」

青年「いや、手抜きだとは思わないな。むしろこういうのに腕の差は出るんだろ?」

青年「じゃあ手洗ってくる」

396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:05:07.89 ID:Plz/PCKdo

青年「あれから早一週間か」

青年「旦那は心配しねえの?」

青年「愚問だったな。心配しない訳がない」

青年「そもそもちゃんと言って出てきたのか?」

青年「……そうか、ならいい」

青年「いや、よくないかもわからんが」

397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:05:34.52 ID:Plz/PCKdo

青年「今日は休みだから暇だな」

青年「ん? 買い物?」

青年「そーいえば給料入ってたな」

青年「冷蔵庫も空?」

青年「じゃあ、仕方ねえ、出かけるか」

青年「なんでうれしそうなんだよ」

青年「必要なもの買ったらさっさと帰るんだ、いいな?」

398: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:06:00.99 ID:Plz/PCKdo

青年「と、いうわけでショッピングモールに来たわけだが」

青年「さっそく脱線かよ」

青年「あーはいはい、かわいいかわいい似合ってる似合ってる」

青年「……ったく、既婚者が無理すんなっての」

青年「いででで! 悪かったもう言わんから!」

青年「あ? ああ……似合ってるのは本当だ」

青年「はしゃぐなよみっともない」

399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:06:27.63 ID:Plz/PCKdo

青年「で、次はペットコーナーかよ」

青年「俺? 断然猫派」

青年「今、仕事場のセンパイと一緒に飼ってるしな」

青年「ポッチャレータムっていうんだが」

青年「なんだよ、いい名前だろうがよ」

青年「ん? センパイ? 女だけど」

青年「何でむっとするんだよ。そいつとはなんもねえよ」

青年「嘘じゃ、ねえよ」

400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:06:53.99 ID:Plz/PCKdo

青年「歩きづらい」

青年「なんでかって言うと、お前が腕に絡みついてきてるからだ」

青年「離れてくれると嬉しいんだが」

青年「ああ、確かに恥ずかしい」

青年「照れるな? 意味が違えよ」

青年「全く……」

青年「ん?」

青年「――あ、いや」

青年(気のせい、だよな?)

401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:07:21.04 ID:Plz/PCKdo

青年「おい」

青年「ここゲームセンターじゃねえか」

青年「買い物に来たの忘れてないか? 来るにしても買い物後だろうが」

青年「おい、待てよ!」

青年「チッ……」

青年「……」

青年「……新しい筐体は入ってるかな」

402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:07:53.52 ID:Plz/PCKdo

青年「うおおお! 死にさらせ!」ズキュンズキュン!

青年「こんの!」ズキュキューン!

青年「っ……」デュクシ!

青年「やりやがったなド畜生があああ!」ズッキューン!

ゲーム・クリアー!

青年「……は、いかんいかん、時を忘れてのめり込んでしまった」

青年「見てたのかよ」

青年「カッコよかった? 当たり前だ」

青年「でも叫び声は恥ずかしい?」

青年「アレやんねえと気分が出ねえんだ」

青年「お前もやってみないか? お断り? そうか」

403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:08:46.32 ID:Plz/PCKdo

青年「さーて帰るか」

青年「ん? 重そう? 大丈夫だって、これでも毎日の配達で鍛えてる」

青年「片方持つ? いいから」

青年「あ、ちょ」

青年「……」

青年「手、あったけえな」

404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 17:09:16.65 ID:Plz/PCKdo
ここで一区切り
あと一回の投下で終わらせる予定

405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:02:22.48 ID:Plz/PCKdo

青年「ふわぁあ」

青年「……おはようござい―っす、うーっす」

青年「お、センパイおはよう」

青年「……」

青年「……?」

青年「おい」

青年「おいって」

青年「……行っちまった」

406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:03:21.45 ID:Plz/PCKdo

青年「……」

青年「……お、戻ってきたか」

青年「……」

青年「おい」

青年「おいって」ガシ

青年「なに無視してくれてんだよ」

青年「――うわっと」

青年「ちょ、なんで突きとば……」

青年「おい、待てよ……って」

青年「……」

青年(……泣いてた?)

407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:03:47.81 ID:Plz/PCKdo

青年「あ、局長……」

青年「センパイは?」

青年「え、帰った? 早退?」

青年「何でまた……」

青年「俺? 俺は別に……」

青年「いや、まさか」

青年「あ、いや、心当たりはないっス」

408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:04:15.04 ID:Plz/PCKdo

青年「……今日の仕事も終わった―」

青年「センパイのことは気になるが……とりあえず帰るか」

prrr…

青年「ん?」

青年(……この番号は)

青年「……。はい、もしもし?」

青年「あなたですか」

青年「……何の用で?」

青年「はい。はい――」

409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:04:41.95 ID:Plz/PCKdo



青年「ただいま」

青年「ああ、お出迎えありがとう」

青年「いや、飯はまだいい」

青年「その前に話をしよう。椅子に座ってくれ」

青年「大事な話だ」

410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:05:17.74 ID:Plz/PCKdo

青年「まず最初に……嘘はよくない」

青年「とぼけるな。俺に嘘をついてただろう」

青年「旦那に話して出てきた? 大嘘じゃねえか」

青年「旦那さん、ひどく心配してたぞ」

青年「……」

青年「黙ってちゃ分からない」

青年「何があったか――」

prrr…

青年「チッ……誰だこんなときに」

青年(……センパイ)

青年「すまん、ちょっと出てくる」

411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:05:56.37 ID:Plz/PCKdo

青年「……もしもし?」

青年「ああ、俺だ」

青年「昼間? 突き飛ばして悪かった?」

青年「ああ、まあびっくりしたな」

青年「なんであんなことしたか教えてくれるか?」

青年「……」

青年「……そうか、見られてたんだな、買い物」

青年「女と一緒にいた俺を思い出したら、何も考えられなくなって、それで、か」

青年「……」

青年「安心しろ。彼女は別に俺とどうこうってわけじゃない」

青年「彼女は……俺の姉だ。旦那が出張だとかで俺のとこに遊びに来てたんだ」

青年「……本当だ」

412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:06:24.24 ID:Plz/PCKdo

青年「ああ、だから別に――」

――二郎さんは

青年「……?」

――二郎さんは、わたしのこと……好きですか?

青年「……」

――わたしは……二郎さんのこと、好きです。気づいちゃいました。大好きなんです

青年「……」

――でも、二郎さんは? わたしは二郎さんの、何ですか?

青年「……」

――わたしは、二郎さんの大切な人になれますか?

青年「……」

――……

青年「俺……俺は――」

413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:07:03.31 ID:Plz/PCKdo



青年「……」

青年「ん、ああ……おいしいよ」

青年「うん、おいしい……」

青年「……別に」

青年「…………」

青年「? おい、食事中に席を」

青年「んむ――」

青年「――ぷは……な、何を……!?」

ムニュ……

青年「ちょっ……ちょっとまて」

クチュ……

青年「ま……」

ヌルリ……

青年「あ……」

トロリ……

414: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:07:35.37 ID:Plz/PCKdo

温かいものに包まれた。
それはどこまでも優しくて、気持ちよくて、そして淫靡だった。
まどろみにも似ていて、うたたねのように安らかで。

そのまま流されそうになったのは事実だ。
事実だったが――

415: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:08:04.41 ID:Plz/PCKdo

『待ってますからね……』

416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:09:00.18 ID:Plz/PCKdo

青年「……!」

青年「――ぷはっ! ハア、ハア」

青年「悪いが、離れてくれ」グイ

青年「頼む、頼むよ」

青年「一美姉さん――!」

418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:48:01.74 ID:Plz/PCKdo

彼女は俺の姉だ。
一美、そして二郎。そういうことだ。

俺と彼女は姉弟、そして恋人だったのだ。
初めはおふざけだったかもしれない。
姉は俺をからかって遊んでいたようにも思える。

だが、どちらが先だったかは知らない。本気になってしまった。
恋は芽生えてしまった。
それは一時の気の迷いにも思えたが、それでも収まることはなく大きくなるばかりだった。
関係は長く続いたが、姉さんはそれがあるとき怖くなって、俺から逃げていったのだそうだ。

419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:48:37.30 ID:Plz/PCKdo

青年「で、だ」

青年「姉さんは旦那さんのことが好きなのか分からなくなってしまったと」

青年「……」

青年「俺から手を引くために結婚、したんだな」

青年「知らなかったよ。姉さんは俺を嫌いになってしまったのかと、一時期は本当に落ち込んだ」

青年「……」

420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:49:07.35 ID:Plz/PCKdo

姉さんは、逃げるように結婚し、それで分からなくなったのだそうだ。
“自分は本当にこの人が好きなのか”
間違いのないよう言っておくと、旦那さんと結婚したことは後悔していないようだ。

ただ、また怖くなったのだ、と。
自分はこれでいいのか、と。

421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:49:49.43 ID:Plz/PCKdo

青年「俺は……」

青年「俺は、今でも姉さんのことが好きだよ」

青年「……でも、姉さんと一緒になる気はない」

青年「それじゃあ姉さんは今度こそ後悔することになる」

青年「人の気持ちは簡単に裏切っちゃいけないし、裏切られちゃいけないはずだ」

青年「それでも、迷うなら――」

青年「手紙を書け」

青年「誰に送る手紙でなくともいい。誰にも届かなくてもいい。多分自分には届く」

青年「知ってるか? 手紙ってのは想いを運ぶ小さな舟なんだ。多くは乗せられない。でも確かに届くものがある」

青年「無理して旦那さんが好きなんて自分を欺く必要はない。自分の素直な気持ちを書けばいい」

青年「それで誰かに届けたいと思ったなら、俺が、俺たちが届けてやるよ」

青年「俺たちの仕事だからな」

青年「それと、姉さんと一緒になれない理由はもう一つある」

青年「俺、姉さんよりももっと好きな人ができた」

青年「皮肉だけど、それを気付かせてくれたのは姉さんだ。ありがとう」

青年「でも、俺は彼女を裏切りかけたから」

青年「だから、行かなくちゃならない」

青年「終わりなんだ」

422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:50:16.25 ID:Plz/PCKdo

俺たちは数年前に関係を終わらせたが、ここで再び関係を終わらせた。
今度こそ、卒業だ。

423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:50:43.23 ID:Plz/PCKdo

青年「じゃあ、行ってくる」

青年「その間に手紙を書いてくれ」

青年「絶対、届けて見せるからよ」

424: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:51:19.96 ID:Plz/PCKdo

ドアを勢いよく押し開け、暖かくなってきた夜の空気を引きずるように走った。
どこまでも走っていける気がした。
俺は決めた。
抱きしめる。
それからキスをするのだ。
それが先ほど何も答えられなかったことへの、精一杯の謝罪に思えた。

425: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:51:49.44 ID:Plz/PCKdo

青年「待ってろよ、センパイ!」

426: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 18:53:15.20 ID:Plz/PCKdo

配達少女「お届けものでーす」

~完~

427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:10:39.86 ID:Plz/PCKdo

~エピローグ~

428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:11:12.17 ID:Plz/PCKdo

人の思いは届かない
どんなに頭をひねっても、どんなに言葉を尽くしても
それが丸ごと伝わる日なんて決して来ない
だがそれでも、いやだからこそ人は書く
それはヒトのささやかな抵抗で、ひそやかな意地で
だから人間は愛おしいと。私はそう思うのだ

429: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:12:07.07 ID:Plz/PCKdo

手紙:人の思いを乗せた小さい舟。たくさんは乗せられなくて、でも、確かに届くその気持ち
思い:喜怒哀楽、感謝、謝罪、恋、愛、憎しみ、すれ違い、惜別、会いたい気持ち

430: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:12:41.38 ID:Plz/PCKdo

少女「……んん」

少女「ふわぁあ……」

少女「……むぅ」

少女「二郎さんの寝顔って、普段の振る舞いの割に案外かわいらしいですよねえ」

少女「なんだか憎たらしくなります」

少女「あ、おはようございます」

少女「……」

少女「あ、あの……その……」

少女「き、昨日は、激しかったですね」

少女「あ! じ、二郎さんが照れた!」

少女「あう! 恥ずかしいからって叩かないでくださいよ!」

431: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:13:08.20 ID:Plz/PCKdo

少女「は、恥ずかしいから、着替えてるとこ見ないでくださいよ……」

少女「思ったよりスタイルいい? え、えへへ……」

少女「あ、ちょっ、んっ……」

少女「だ、駄目ですよう、これから配達ですもん!」

少女「だから、帰ってきてからゆっくり……ね?」

432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:13:47.02 ID:Plz/PCKdo

ブロロロ……

少女「うーんまだ風が冷たいですねえ」

少女「でも二郎さんの背中はぬっくいです」

少女「昨日は驚きましたよ、二郎さん、バイクあるのにわざわざ走ってくるし、ふふ」

少女「そんなに必死だったんですね、うれしいです……」

少女「あの」

少女「ずっと、待ってました……」ギュッ

433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:14:13.56 ID:Plz/PCKdo

少女「おはようございまーす!」

少女「局長、今日もよろしくです!」

少女「ふふ、ご機嫌ですよー。なんたって――」

少女「あ、二郎さん、小突かないでくださいよう」

少女「いいじゃないですか、すぐにばれるんですし」

少女「局長、わたしたち付き合うことになりました!」

少女「あれ、あんまりびっくりしないんですね」

少女「むしろ今まで付き合ってなかったのが不思議? えへへ」

少女「褒めてない? こりゃ失礼」

434: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:14:48.70 ID:Plz/PCKdo

ブロロロ……

少女「ねーねー二郎さん、仕事が終わったら寄りたいところがあるんですけど」

少女「ふっふー、ウェディングドレス見に行きましょう!」

少女「わあっと! よろめかないでくださいよう!」

少女「いいじゃないですか、二郎さんは遊びでわたしと付き合うんですか? 違うでしょ?」

少女「なら行動は早いに越したことはありません! 善は急げ、香車は前進! です!」

少女「っていうか、いつもは二郎さんの方が行動派ですから逆転ですね、ふふふ」

少女「そうと決まったら、配達を頑張りましょう!」

少女「まずはこのお宅からですね」

少女「では早速――」

435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:15:16.40 ID:Plz/PCKdo

少女「お届けものでーす!」

436: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/05(木) 19:18:01.70 ID:Plz/PCKdo
終わった……やり遂げました……
なかなか長かったっスねこれ
その間色々な人に参加してもらったり支援もらったりでうれしかったっス
大変お世話になりました
また会うことがあればよろしくお願いしたいです
それでは

http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1294/12944/1294416398.html

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