【オリジナルSS・少女】男「寒いな……」

2: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:08:22.37 ID:lR384PY0
男「暖かい思いが出来ると思って、コタツを買いに行った。のに」

男「そういえば家にはストーブがあった上、金額も足りなかった」

男「ストーブも十分暖かいんだが……何か違う」

男「こう……ぬくぬくしたいんだよなぁ。心から。上手く表現できないけど」

男「ふぅ、ただいま。おかえり。」

男「虚しい。だが慣れた」

男「……あ?」

男「何で玄関に靴が一人分あるんだよ」

4: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:15:04.11 ID:lR384PY0
———-

男「しかも靴が少しちっちゃい……」

男「リビングの方からテレビの音が聞こえる、ということは」

男「勝手に他人の家にあがりこんだ奴はリビングにいるのか」

男(もしかしたら危険な人かもしれない。靴は少し小さいけど)

男(ここは慎重に……接近を試みるんだ。俺!)

男(慎重に……慎重に……)

男(念のため、携帯電話も持っておくか)

男(ここからなら見えないハズだ……って、んん?)

男(何あれ……普通の女の子じゃん)

男(ストーブに当たりながらテレビ見てる)

男(声、かけてみようかな)

男「あ、あの」

少女「?」

男(あ、こっち向いた)

5: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:19:35.89 ID:lR384PY0
男「えっと……何してるの?」

少女「あっ、おかえり」

男「た、ただいま。……いや、違うでしょ?色々と」

少女「色々って、なにが?」

男「『なにが?』って……。ここ、俺が住んでる家だよね?」

少女「そうだよ? 忘れたの?」

男「うん。バッチリ覚えてるよ。じゃなきゃ帰ってこられない」

少女「だから、おかえり」

男「あ、ああ。ただいま」

男「……ん?」

男「いや、だから違うでしょ」

少女「違くないよ? 合ってるよ?」

男「そ、そうなの?」

少女「そうなの」

男(まあ……いいのか?)

6: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:27:14.33 ID:lR384PY0

———-
男「いや、やっぱり違うだろ」

少女「もうっ……しつこいなあ。どうしたの?」

男「あの、さ。冬はすぐに暗くなるから、危ないよ。家に帰らないの?」

少女「だって、もう家にいるよ?」

男「そうじゃなくて……。自分の家に帰らないの? 親とか心配するだろうし」

少女「ああー、親ね。親かぁ。親……ぐすっ」

男(やべぇ、もしかしてマズいこと訊いちゃったかな……)

少女「親……おや……おやつ食べたいな」

男「はい?」

少女「おやつ食べたい」

男「おやつ?」

少女「食べたら色々と話すよ?」

男(最後にすすり泣きが聞こえたような気がしたんだが)

男「え、あ、ごめん。今ない……」

少女「おやつが無いなら、アイスでも可。」

男「『アイスでも可』って……。まあいいか、何あるかな」

7: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:40:03.95 ID:lR384PY0
男「雪見だいふくならあったけど。食べる?」

少女「お、いいねー。冬っぽい」

男「冬だしな」

男「しかし、こんな寒いのに、よく食べる気になるなぁ」

少女「じゃあ、なんで男さんの家にあったの?」

男「ぐっ……それは……」

少女「それは?」

男「どうしても言わなきゃ駄目な方向?」

少女「うん」

男「……今日、コタツを買いに行ったんだ」

少女「うんうん」

男「でも、きんが……じゃない」

男(『金額が足りなかった』なんて恥ずかしくて言えないよな)

少女「きんが?」

男「い、いや。家にストーブがあるの思い出したんだ」

男(この理由も十分恥ずかしいけどな……)

少女「間抜けだねー。あはは」

男「そ、そうかー? そんなもんだろー?」

8: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:51:38.03 ID:lR384PY0
男「話が少し脱線したな、話を戻すぞ」

少女「りょうかい」

男「あれ、どこまで話したっけ?」

少女「ストーブがあるって思い出したところ」

男「あ、ああ。そうだったな、ごめんごめん」

少女「やっぱり間抜けだねー」

男「そ、そんなこと……あるかもな」

少女「また脱線したねー」

男「間抜けだなあ、俺。ごめん」

少女「よしよし、許してやろう」

男「あ、ありがとう」

男「でさ、俺はコタツを買いたかったんだよ」

少女「へえ……なんで?」

9: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 18:58:12.89 ID:lR384PY0
男「コタツだとさ、心から暖まる。っていうか……」

少女「ほうほう」

男「とにかく。最近寒かったから、暖かくなりたかかかっ……」

少女(あ、噛んだ)

男(絶対『あ、噛んだ』とか思ってるよ、どうしよう恥ずかしい)

男「……コホン」

男「とにかく。最近寒かったから、暖かくなりたかったの」

少女「そうなんだ」

男「うん」

男「でさ、心から暖まった状態で、雪見だいふく食べたいなーって思ったんだ」

少女「へぇ」

男「わかった?」

少女「うん。わかった」

男「でさ」

少女「うん」

男「なんで家に居たの?」

少女「え?」

男「え?」

12: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 19:35:55.32 ID:lR384PY0
少女「もぐもぐ」

男「……美味い?」

少女「もぐもぐ……うん、美味しい」

男「……」

少女「もぐもぐ」

男「……」

少女「もぐもぐ」

男「……」

少女「2個目ー」

男(どうしよう、凄く食べたい)

男(でも色々話してくれるって言ってるからな……)

少女「……食べたいの?」

男「ええっ!? い、いやいや。だだ、だ、大丈夫だよ!! うん!!」

少女「……そう?」

男「そ、そう!!」

少女(凄く食べたそうにしている……何か悪いな。)

少女(まあいいか)

少女「ごちそうさまでした」

男「さて、話してもらおうか」

男(雪見だいふくの恨み……)

少女「……わかりました」

13: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 19:53:14.28 ID:lR384PY0
男「じゃあ、訊くよ」

少女「どうぞ」

男「なんで、俺の名前を知ってた?」

少女「そりゃあ、タンスの中とか漁れば男さんの名前は解るよ」

男「そっかー、それもそうか」

少女「そうだね」

男「じゃあさ、それに関して一つ訊いていい?」

少女「はい、どうぞ」

男「タンス漁ったの?」

少女「え?」

男「え?」

男「いや、漁ったの?」

少女「う……」

男「他人の家に勝手にあがりこみ、タンスを漁ったの?」

少女「そ、そういう見方もある……のかな?」

男「……はぁ、まあいいか」

少女(いいんだ……)

18: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 20:37:47.10 ID:lR384PY0
男「じゃあ、二つ目の質問」

少女「何だか不安だよ……」

男「お前はどこから来たんだ?」

少女「うーん……わかんない」

男「わかんないって……記憶喪失の類?」

少女「違う。けど安心して。いずれ居なくなるから」

男「居なくなる……って、あとどれくらいでだ?」

少女「そうだなー、あと三ヶ月くらいかな」

男(長いのか? 短いのか?)

19: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 20:39:12.02 ID:lR384PY0
少女「ってことで。三ヶ月間、よろしくお願いします!」

男「え? あ、ああ。よろしく」

男「じゃねえよ、ちょっと待ってくれ」

少女「だよねー。そう言うと思ってた」

男「わかってたなら言うなよ!」

男「これ……誘拐とかになるんじゃないのか? 詳しくはわからないけど」

少女「大丈夫だよ、そこら辺は」

男「凄く適当だけど……不安だ」

少女「大丈夫、大丈夫。そこら辺は任せて!」

男「どの辺だよ! ったく。信じてみる。お前、名前は?」

少女「名前?少女だよ」

男「そっか。世間体が気になるところだけど、まあいいや」

少女「約三ヶ月間。よろしくおねがいします」

男「ああ、よろしく」

29: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 18:28:49.28 ID:5z/2X7I0
男「なあ、一つ疑問に思ったんだが……また質問していいか?」

少女「なに?」

男「何しに来たの? 何となくっていう理由じゃじゃなさそうだし」

少女「さっき、男さんは『暖かくなりたかった』って言ったよね?」

男「ああ。心からな」

少女「それを手助け……みたいな感じ?」

男「『感じ?』って……。そこもよくわからないのか?」

少女「いや、手助けっていう表現で合ってるのか迷ったの」

少女「提供っていう言い方でも間違いはないかな」

男「ということは、暖かさ、というか温もりみたいなのを提供してくれるのか?」

少女「そういうことになるね」

男「そうか、よし。コタツくれ」

30: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 18:44:09.69 ID:5z/2X7I0
少女「コタツは提供できないよ……」

男「じゃあ何をくれるんだ!」

少女「はぁ……」

少女「男さん、家族は?」

男「!」

男「か、家族は……」

少女「訊いちゃマズかったかな」

男「……いや、大丈夫だ」

男「小学校五年生の冬。俺の母親は交通事故で亡くなった」

男「すげえ悲しかった。親父も毎晩泣いてた。気づいてた」

男「妻を亡くした親父は、生きる希望を失っていた。俺は生きてるのに」

男「そして、親父も自殺で死んだ。俺を残して」

男「その後、俺は爺ちゃんと婆ちゃんに育てられた」

男「すごく優しかった」

31: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 19:10:21.71 ID:5z/2X7I0
男「だけど、数年後。俺の爺ちゃんと婆ちゃんがガンで亡くなった」

男「肺がんだった。元々肺が弱かったらしいし」

少女「……」

男「その頃、俺は高校受験で忙しかった」

男「爺ちゃんと婆ちゃんを介護したいって思って俺は受験に反対したんだけどな」

男「だけど、全然聞かなくって。『いい学校に行ってくれ』って言って」

男「なのに。なのに。受験勉強の真っ最中に爺ちゃんが逝っちまった」

男「高校には受かったよ。友達も出来た。婆ちゃんも喜んだ」

男「だけど、去年、婆ちゃんも追いかけるように……」

男「俺の周りからどんどん人が離れてく。それが辛かった」

男「そして、俺は人と接するのが苦手になった。友達も居なくなった」

少女「だから、男さんは心から温もりを求めていた。ってこと?」

男「そうだな」

32: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 19:21:34.42 ID:5z/2X7I0

男「人と接するのは難しいから、コタツで暖まろうとした……けど」

男「家にストーブがあったのを思い出した」

男(本当は金額が足りなかったのが大きいんだけどな……)

少女「で、家に帰るとあたしが居た」

男「ストーブに当たりながらテレビを見てたな。あれは本気でビックリした」

少女「いやあ……つい」

男「なんか、ごめん。愚痴みたくなっちまったな」

少女「いいよ、あたしの方こそごめん」

男「でさ」

少女「……うん?」

男「なんで、家族のこと知ってるような素振りだったの?」

34: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 19:34:46.97 ID:5z/2X7I0
少女「タンスの中を漁ってたら、男さんが家族に向けた手紙が入ってた」

男(タンスの中から色々見つけんじゃねえよ……)

少女「『お母さん お父さん どうして居なくなったの』って書いてあったよ」

男「まあ……な。あのときは『死』ってのが良くわからなかった」

少女「だから、気になって詮索してみたんだ……ごめん」

男「大丈夫だよ。別に」

男「でさ、何を提供しにきたんだよ」

少女「え? ええ!? そろそろ気づかない!?」

35: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 19:44:53.40 ID:5z/2X7I0
男「全く。これっぽっちも」

少女「男さんに『家族が居る温もり』を提供しに来たの!」

男「は?」

少女「心身冷えてたから可愛そうだったの」

男「じゃあ、『約三ヶ月』ってのは……」

少女「そう、春になるから、居なくなるってこと」

少女「わかった?」

男「あ、ああ……」

少女「ってことで、よろしくお願いします!」

男「さっきも言わなかったか? それ」

少女「あ、ああ……そっか」

男「お前も間抜けじゃん、はは」

少女「ま、間抜けじゃない!」

———
これで今日分の投下は終わりです。
また近いうちに。

38: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:00:24.80 ID:nZJ0Rcw0
男「さて……、飯買ってくるか」

少女「えっ、コンビニ弁当?」

男「悪いな、手先が超絶不器用なモンで……」

少女「そ、そっか……」

男「爺ちゃんと婆ちゃんに食わせてやりたいと思って、奮闘したこともあったが……」

男「料理だけは無理だ。作れる人すげーよなっ」

少女「そ、そうかな?」

男「ああ。……もしかして、作れたりする?」

少女「いやあ……あいにく、あたしも作れないな」

男「そっかー、仕方ないな。またいつか料理作れるように頑張ってみるよ」

男「今日はとりあえず、コンビニで我慢してくれ」

少女「おっけー」

男「何食う? おにぎり? パン?」

少女「なんでもいいよ」

男「ごめんな。ほんと」

少女「……」

少女(コンビニ弁当じゃあ、栄養に偏りが出てくるよね……)

男「おーい?」

少女(おまけに、あたしは居候みたいなモンだし……)

男「怒ってるのか? 悪い、ごめんな……」

少女(男さんが料理頑張るみたいだけど……あたしが作ったほうがいいよね、やっぱり)

少女「男さん」

男「は、はい」

少女「あたしが料理を勉強して、作ってあげるよ」

男「……はい?」

39: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:06:10.88 ID:nZJ0Rcw0
少女「今すぐは無理だけど、明日からなんとか頑張ってみるよ」

男「な、何でだよ。別にいいんだぞ。俺が頑張るから」

少女「居候の身としては、少しでも男さん手助けしたいからね」

男「……多分、何言っても聞かないんだろうな」

少女「よくお分かりで」

男「まあな」

少女「と、いうわけで。明日本屋に行って料理の本を買ってこよう!」

男「あ、ああ」

少女「そこは『おー!』とかじゃないの?」

男「お、おー」

少女「……まあいいか。ノリ悪いけど」

男「悪かったなっ」

少女「どっちが?」

男「ノリが悪かったことが悪かった。って……んん?」

少女「んん?」

男「よくわからない」

少女「あたしも」

男「何だこれ」

少女「さぁ」

40: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:11:21.13 ID:nZJ0Rcw0
男「じゃ、今日のところはコンビニ行ってくるわ」

少女「いってらっしゃーい」

少女「……」

少女「もしかして、着いて行くべきだった?」

少女「……何か出来ることないかな」

少女「掃除するとか」

少女「そうだ、話に夢中でカーテン閉めてなかったっけ」

少女「閉めてこよ」

少女「綺麗な青いカーテン」

少女「なんだか、淡い」

少女「このカーテン、好きかも」

少女「すること無くなっちゃったな」

少女「まだ帰ってこないだろうし、部屋の場所とか覚えておこ」

41: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:20:04.19 ID:nZJ0Rcw0
少女「ここがキッチンで……」

少女「こっちがトイレ」

少女「こっちが寝室、あっちがお風呂」

少女「大体把握できたかなー」

少女「ふー」

少女「やっぱり、このカーテン好きだなぁ」

少女「んー」

少女「眠くなってきた」

少女「……」

少女「……」

少女「すぅ……」

男「ただいまー、すっげえ寒かったな」

少女「すぅ……すぅ……」

男「あれ、寝てる」

男「しかもカーテンのところで」

42: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:30:16.07 ID:nZJ0Rcw0
男「おい、おい。起きろー。帰ってきたぞー」

少女「んん……ふぁい?」

男「おはよう」

少女「おはよう……ございます」

男「随分と心地良い寝息を立てていましたが」

少女「いつの間に帰ってきてたんですか……?」

男「さっき。っていうか敬語になってるぞ」

少女「あ、ああ。つい……」

男「まあいいや。適当に買ってきたけど……大丈夫だったか?」

少女「うん、大丈夫」

男「そっか、適当に食いたいの選べよー。少ないけどな」

少女「じゃあ……ツナマヨおにぎりで」

男「美味しいよな、それ」

少女「だねー」

男「気が合うな。はは」

43: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/07(金) 18:35:45.17 ID:nZJ0Rcw0
男「……あれ?」

少女「どうしたの?」

男「ああ、なるほど。これのことだったのか」

少女「なにがー?」

男「今な、心が暖かい感じがしたんだよ」

少女「おー、やったね!」

男「ああ、ありがとよ、少女」

少女「いえいえー、その為に男さんの家に来たんだから」

男「そうだったな。そうだ、男でいいぞ」

少女「何か申し訳ないけど……いいの?」

男「ああ」

少女「じゃ、食べよっか。男」

男「だな」

少女「じゃあ」

男「せーのっ」

男・少女『いただきます』

49: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 19:00:01.82 ID:YqlWquw0
男「ふー、食った食った」」

少女「ツナマヨに勝る者はいないねー」

男「そうだな。コンビニ弁当のゴミ、ちゃんと分別しておけよー」

少女「プラスチックどっち?」

男「プラスチックが右側で、燃えるごみが左側だ」

少女「りょうかーい」

男(さーて……。寝床はどうするか)

男(この季節だもんな。アイツが風邪ひいたら大変だ)

男「なあ、お前の寝るところ……」

少女「あたしはソファーに掛け布団一枚で十分だよ」

男「まだ言い終わってねえし」

少女「絶対言うと思ったんだし」

男「この寒いのにソファーに掛け布団一枚で寝たら風邪ひくぞ?」

少女「絶対『風邪ひいちゃ困るぜ』とか思ってたんでしょ?」

男「お、俺の声のマネをするな!」

少女「へへ、残念だけど暖かさを提供しに来た身なんだよ」

男「でもだな……」

少女「とにかく。男は暖かくして寝てよ」

男「……」

少女「わかった?」

男「……はい」

男(まあ、寝てるうちに布団を何枚か重ねれば……大丈夫か)

50: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 19:09:54.96 ID:YqlWquw0
男「じゃあ、風呂沸かしてくるから待っててくれ」

少女「はーい」

━風呂場━

男「しかし……参ったな」

男「アイツの着替えどうしよう」

男「俺のを貸すわけにはいかないし……」

男「無かったら、女さんに借りるしか……」

男「着替えあるか訊いてみるか」

━━━━━

男「なあ」

少女「なーに?」

男「お前さ、着替えとか……ある?」

少女「そりゃあ、三ヶ月も居る訳だから持って来たよ」

男「杞憂だったか。お前がまともで良かった」

少女「勝手に居座る時点でまともじゃないけどね」

男「自分で言っちゃったね」

少女「まあね」

51: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 19:20:51.25 ID:YqlWquw0
男「風呂沸いたぞー、先入っとけ」

少女「じゃ、遠慮なくー」

男「着替えを置いてくヘマはするなよ?」

少女「もっちろん」

━風呂場━

少女「ふぅ、明日の予定を確認しよう」

少女「とりあえず、男と一緒に料理の本を買いに行く」

少女「家に帰り……本を読む」

少女「そして、特訓」

少女「……ぶくぶくぶく」

━━━━━

男「明日は料理の本を買いにいくんだったか」

男「冬休みだけど……明日は少し早く起きるか」

男「そうだ、材料とかも買わなくちゃなあ」

男「ま、コタツの代わりと思えばいいか」

少女「あがったよー」

男「おう。じゃあ入ってくるわ」

少女「ごゆっくり」

52: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 19:26:14.18 ID:YqlWquw0
男「飯は食った」

少女「風呂も入った」

男「歯も磨いた」

少女「あとは……」

男・少女『寝るだけ』

男「なあ、本当にソファでいいのか?」

少女「うん」

男「後悔しても知らないぞ?」

少女「うん」

男「そうか、じゃあ俺はベッドで寝るぞ」

少女「うん」

男「……おやすみ」

少女「おやすみなさい」

53: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/08(土) 19:38:44.62 ID:YqlWquw0
男「23時か……。もう寝てるだろ」

男「布団は……三枚くらいだな」

男「うぅ……寒っ……、布団から出たくねえ」

少女「すぅ……すぅ……」

男(よほど寒いのか、顔を布団の中にうずめてるぞ)

男(しかし、居候とはいえソファで寝せるのは良心が痛む)

男(こいつは俺のベッドで寝かせて……、俺はソファでいいか)

男(朝起きたら何か言われそうだけど、まあいいか)

男「ちょっとの間寒いが我慢しろよ」

少女「……すぅ」

男「って……軽っ、思ったより全然軽いな」

男「さて、俺はソファで寝るか」

男「……おやすみ」

58: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:10:22.49 ID:FAj9s83M0
男「ヘイ! グッドモーニング!」

少女「グッドモーニング。テンション高いねー」

男「無理矢理高くしてみた」

少女「じゃあ、早速訊きたいことがあるんだけど」

男「訊かれる内容がわかる! 俺はエスパーなのかもしれない!」

少女「テンションを戻しましょう」

男「不可能だ! こうでもしないとこの空気に耐えられない!」

少女「……」

男「……すみませんでした」

少女「あたしは朝が弱いから、どうしてもこういうテンションになっちゃうんだ」

男「そうなのですか。わかりました」

少女「さて……」

59: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:15:47.13 ID:FAj9s83M0
少女「あたしは今朝起きたら、何故かベッドの上にいました」

男「そうだったのか? 不思議なこともあるもんだ」

少女「……男はソファーの上で寝ていました」

男「無視はキツいぜ……」

少女「その上。あたしの上に布団が大量にかかってました」

男「俺が布団をかけたんだからな」

少女「……あたしの言いたいことは終わったよ」

男「いや、だってな? お前が物凄く寒そうに寝ていたから」

男「良心が痛んだ。だからベッドに移して俺がソファーで寝た」

男「以上!」

60: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:21:50.47 ID:FAj9s83M0
少女「これじゃあ、あたしが来た意味ないよね……」

男「あ、はい! ありますあります!」

少女(またテンションがおかしくなってる……)

少女「はい、男くん。どうぞ」

男「昨日、お前のお陰で心から暖かくなった」

少女「……まあ」

男「そして、今日から料理の勉強をしてくれるんだろ?」

少女「うん」

男「これで、家族が居る温もりってやつがわかる訳だ」

少女「まあ……いいや」

男(本当に朝に弱いんだな……。昨日と口調が少し違う)

男「とりあえず。歯磨いて顔洗おう」

少女「そうする」

61: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:30:47.82 ID:FAj9s83M0
男「さて、朝飯は昨日の余りでいいだろ?」

少女「うん」

男「いただきます」

少女「いただきますー」

少女「……」

少女「……ツナマヨがない」

男「お前が昨日、自分の全部食っちまったからな」

少女「……」

男「……」

男(くっ……これは俺が今日のために残したツナマヨ!)

男(そんな目で見るな!)

少女「……」

男「……」

少女「……ぐすっ」

男「……わかったよ、やるよ」

少女「やたっ」

男「嘘泣きかよ!」

男(料理に毎回ツナマヨを入れる気じゃねえだろうな……)

62: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:36:41.58 ID:FAj9s83M0
男「ごっそさん」

少女「ごちそうさまー」

男「さて、服着て本屋行くか」

少女「りょうかーい」

男「今日も結構冷え込んでるからな、厚着しろよ?」

少女「りょうかーい」

男「では、持ち物確認をします」

少女「りょうかーい」

男「手袋も履けよ?」

少女「りょうかーい」

男「……裸足で外出ろ」

少女「りょ……無理だよ」

男「だよな」

63: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 20:41:34.33 ID:FAj9s83M0
男「少し風が強いな……」

少女「さむっ」

男「大丈夫か?」

少女「うー……うん」

男「横断歩道の白は滑るよな」

少女「あそこは凄いよね」

男「この前転んでな、運転手すげえ笑ってた」

男「あのヤロー……」

少女「助手席の人は?」

男「助手席の人も笑ってたよ! ちくしょー!」

少女「ふふっ」

男「笑うな……」

少女「さ、着いたよ」

68: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 21:20:22.80 ID:cUJOJBgq0
男「やっぱり店内は暖かいもんだな」

少女「暖房効き過ぎかも……」

男「いずれ暑くなって、ジャンパーが邪魔になるんだろうな」

少女「本を買い終わって外に出た瞬間、店内との温度差に驚愕し」

男「邪魔だったジャンパーを再び着る……。ありがちなパターンだな」

少女「そんなことはどうでもいいの。料理の本を見つけなきゃ」

男「そうだな。ところで……」

少女「?」

男「料理の本ってどれも同じな感じなのか?」

少女「さあ? あたしも良くわかんない」

男「だろうな」

少女「バレてた?」

男「いや? 適当に言ってみただけ」

少女「……」

男「オーケー。沈黙は俺の敵だ。本を探そうじゃないか」

69: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 21:26:28.89 ID:cUJOJBgq0

男「意外に料理コーナーにも人が居るんだな」

少女「あたしたちもその内の一人だけどねー」

男「よし。ここは目を閉じて直感で本を選ぶぞ!」

少女「そんな適当でいいの……?」

男「これだ!」

少女「……」

男「……」

少女「ページ分厚くない?」

男「俺もそう思っていたところだ」

少女「まあ、なんでもいいか」

男「そうだな。ちょっとレジ行ってくる」

少女「じゃあ出入口のところで待ってるね」

男「ああ、わかった」

70: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/10(月) 21:32:07.68 ID:cUJOJBgq0
少女「お金、払わせちゃっていいのかな……」

少女「なんか悪いな……」

男「買ってきたぞー」

少女「ありがとっ。あの、お金……」

男「別に礼なんて求めてないぞ。ただ」

少女「ただ?」

男「美味い飯を作ってくれ。わかったか?」

少女「ふふ……そうだね、わかった」

少女(男が優しい人で良かった……)

男「さて、とりあえず帰るぞ」

少女「そうだね」

74: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 20:40:20.28 ID:hjYfickJ0
男「うわっ……やっぱり外は寒ぃな」

少女「確かに……。最近は氷点下だからね」

男「早く家に帰りてえ……」

少女「走ろっか?」

男「イヤだ。靴の中に雪が入って大変なことになる!」

少女「うっわー……。いちいち細かいな、男は!」

男「わかった! わかったから雪球を捨てろ!」

少女「あー、失敗した。雪球作ったらくっつく手袋付けてきちゃった」

男「だ、大丈夫か?」

少女「このくらい大丈夫でしょ。なんで心配するのさ」

男「え、いや。なんとなく……」

少女「ま、男は優しいんだねっ」

男「はぁ? それはない。一度も言われたことがない」

少女「そう? なら優しくないね」

男「……複雑な気分だな」

75: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 20:43:06.47 ID:hjYfickJ0
男「まあいいか、ストーブの傍に置いとけば大丈夫だ」

少女「つまり……?」

男「走る! ダッシュだ!」

少女「あたしの走りを甘く見ないでよ?」

男「お、そうか? なら鍵持っててくれ。先に着いたら家の中で待ってろ」

少女「りょうかーい」

男「よーし。位置について……って、おい!」

<先に帰ってるよー!

男「……はぁ」

男「横断歩道の白いところで転ぶと、色々と恥ずかしいからな」

男「……」

男「……歩いて帰ろ」

76: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/11(火) 20:46:06.84 ID:hjYfickJ0
男「ただいまー」

少女「随分と遅かったね?」

男「あぁ。横断歩道のトラウマがあったもんだからな」

少女「待ちくたびれちゃったよ」

男「すまんすまん。靴下とか大丈夫か?」

少女「少し雪が入っちゃった」

男「ならストーブのところに置いとけ。すぐ乾くぞ」

少女「はーい」

男「材料を買いに行くのは、それが乾いてからな」

少女「はーい」

男「いま何時だ?」

少女「んと……10時半」

男「まだ結構時間あるな」

少女「そだね」

男「乾くまで、さっき買った本見てようぜ」

少女「りょうかーい」

80: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:34:35.93 ID:Wf9axbeW0
男「まずはカレーのページ見るか?」

少女「そだね。えーと、材料は……」

少女「ひき肉、玉葱、じゃが芋、人参……かな?」

男「そうみたいだな」

少女「何だか今日からチャレンジするって思うと、緊張する……」

男「大丈夫だろ。俺も応援するからさ」

少女「……そう?」

男「ああ」

少女「そっか。……そうだよね」

男「靴が乾いたら、早速材料を買いに行くか?」

少女「うん。そうする」

男「まだ靴は湿ってるな……。何しようか」

81: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:39:36.73 ID:Wf9axbeW0
少女「うーん……」

男「そうだ。ババ抜きでもするか?」

少女「2人で!?」

男「や、やっぱそうだよな。2人でババ抜きはダメだよな」

男「なら……大富豪とか?}

少女「ま、まあ。ババ抜きよりは……」

男(大富豪ならいいのかよ)

男「じゃあ、トランプ持ってくる」

少女「うん。わかった」

少女(もう少しすれば靴も乾くかな)

82: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:43:38.34 ID:Wf9axbeW0
男「ほら、持って来たぞ」

少女「あ、ありがと」

男「配るぞー」

少女「2人だと持ち札が多いね」

男「ああ、そうだな」

少女(2人だと……か)

男「ほら、配ったぞ」

少女「番号揃えるからこっち見ないでねー」

男「お互いにな」

少女(あ……ジョーカーあった)

男「そっちにジョーカーあるだろ?」

少女「2人だとバレるよね」

83: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:48:16.92 ID:Wf9axbeW0





男「どうだ、俺の大富豪の実力!」

少女「屈辱……。ジョーカーあったのに!」

男「はっはっは。暇な時は1人UNOとか1人将棋とかやってたからな!」

少女「全部自分の思い通りに展開できるよね。それ」

男「ほんの少しだけ優越感に浸れるんだが、虚しさだけが残るけどな」

少女「どんだけ惨めなの……」

男「それ禁句」

84: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:51:07.45 ID:Wf9axbeW0
男「よし、靴も乾いたし材料買いに行くか?」

少女「りょうかーい」

男「あ、そうだ。エコバッグ持ってかねえと……」

少女「おー。偉いね!」

男「まあな」

少女「自分の名前まで刺繍して……」

男「ちょっと不恰好になったけどな」

少女「さ、買いにいくよっ」

男「ああ」

85: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:54:42.35 ID:Wf9axbeW0
男「えーと……。まずルーだな」

少女「あたしは人参探してくるねー」

男「任せたぞ」

少女「任されちゃった」

男「さて、ルーは……っと」

男「甘口でいいか、アイツも居るし」

男「さて、次は玉葱を……って。んん?」

男「あれ、友じゃねえか」

男「おーい、友!」

友「ん? おお、男じゃねえか! 何してんだ?」

86: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:56:32.74 ID:Wf9axbeW0
男「ちょっと、カレーの材料を買いに来たんだ」

友「あれ、男って料理作れるんだっけか?」

男「あ、ああ。一応……な」

友「そうだったのか。今度、俺にもご馳走してくれよ」

男「お、おう……。わかった」

男「友は何してたんだ?」

友「俺か? 電池を切らしてたから買いに来たんだ」

男「ふーん、そうなのか」

少女「男ー! 人参をゲットしたよー!」

男「おい。走って来るなよ……危ねえだろ」

少女「はーい……ところで、そこの方は誰?」

友「ども。はじめまして」

87: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:58:06.71 ID:Wf9axbeW0
少女「はじめまして。男の知り合い?」

男「ああ。こいつは友っていうんだ。唯一の親友……みたいなもんかな」

少女「そうなんだー」

友「君は?」

少女「少女だよー」

友「わかった。ところで……男、話があるから来てくれ」

男「お、おう。ちょっとここで待っててくれ。少女」

少女「りょうかーい」

88: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/12(水) 21:59:50.63 ID:Wf9axbeW0
友「さて、単刀直入に言うが……」

友「お前と一緒に居た少女って人。どうしたんだ?」

男「あ、ああ……それはだな……」

男(『家へ帰ってみるとテレビ見てました』なんて言っても信じないだろうからな……」

男「い、従妹が遊びに来てんだよ」

友「そうかー。いやぁ良かった」

男「何がだ?」

友「お前が誘拐でもしたのかと思ったよ」

男「お、俺は誘拐なんてしねえよ!」

友「あははっ、冗談だ冗談」

男「……ったく」

92: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/13(木) 21:50:55.77 ID:Ndn9ceOr0
友「じゃ、また今度な」

男「おう」

男「……さて。材料調達を再開しようか」

少女「次は……じゃが芋?」

男「そうみたいだな。俺が買ってくるから待っててくれ」

少女「うん……あの、さ」

男「んん?」

少女「……お菓子買っていい?」

男「んー、別にいいぞ。300円以内なら」

少女「やった、ありがと!」

男「出口で待ち合わせだからなー!」

男「……さて。じゃが芋どこだ」

93: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/13(木) 21:54:29.32 ID:Ndn9ceOr0
男「これで必要な物は一通りそろえたかな?」

少女「お菓子買ってくれてありがとね!」

男「いや、別に感謝されるために買ったんじゃないしな」

少女「いいのいいの。チョコなんて久しぶりだよ!」

男「良かったな、一生大切にしろよ?」

少女「賞味期限切れちゃうよ!」

男「はははっ。ツッコまれなかったら泣いてたところだ」

少女「よかったね」

男「まあ、そんな話は置いといてだな」

少女「うん」

男「外、吹雪になってるんだが」

少女「あらら」
94: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/13(木) 21:56:51.98 ID:Ndn9ceOr0
男「地球の終わりみたいだ」

少女「それはない」

男「もっと俺に夢を見させてくれたっていいじゃないか」

少女「すごい風と雪だねー」

男「無視はキツいぜ……常識的に考えて」

少女「無事に家へ帰れる?」

男「遭難するかな……」

男(そうなんですそうなんですそうなんですそうなんです)

少女「どうだろ? さ、気をつけて帰ろっか」

男(そうなんですぅぅうううー!!)

少女「頑張ってボケなくてもいいからね」

男「はい」
95: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/13(木) 21:58:33.26 ID:Ndn9ceOr0
男「うわっぷ……顔に雪が……いててて」

少女「うえをむーいてー、あーるこーおーおー」

男「涙も凍るぞ……」

少女「流石にこの暴風と雪は凄いねー、本当に遭難しちゃうかも」

男「改めて言われると恥ずかしい」

少女「それを狙ってみたの」

男「なんと」

少女「手、繋ぐ?」

男「は、はぁ!? 手!?」

少女「あ、そういう意味じゃないよ。この雪だから……」

男「だ、だよなー。ははははー」

男(俺の馬鹿野郎……)

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 22:14:58.86 ID:Dm28fz7/0
男「ただいまー」

少女「ただいまー」

男「おかえりなさい」

少女「おかえりなさい」

男「なぁ」

少女「?」

男「このやり取り、おかしくないか?」

少女「何で?」

男「本来、おかえりとただいまのやり取りはだな」

男「帰ったらただいま。帰ってきたらおかえり。だろ?」

少女「常識だよね」

男「ああ。だけどさ、俺らは同時に家に入ったじゃん」

少女「うん」

男「だから……おかしくね?」

少女「細かいね」

男「ごめんなさい」

少女「こういうのはノリでいいの! ノリで!」

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 22:24:37.20 ID:Dm28fz7/0
男「まあいいか」

少女「うん」

男「さて、材料出すか。……よいしょっと」

少女「いかにも『カレーを作るぜ!』って感じだね」

男(『だってカレールーあるしな』とか言ったら怒られそう)

男(だから言わない。紳士)

少女「まあ、カレールーがあるんだから当たり前か!」

男「そ、そうだな! あはは」

少女「さーて、早速作りますか!」

男「おう、頑張ってくれ」

男「何気に期待してるんだからなー」

少女「美味しくなるかは分からないけど、最善は尽くすよ!」

男「頼んだ! 任せた!」

少女「まっかせなさい!」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 22:33:36.30 ID:Dm28fz7/0
【一応、>>1もカレーを作ったことは一回だけありますが、2時間かかったので描写不可能】

少女「カレーが完成した……かもしれない」

男「ほほう……見た目は物凄く美味そうだ」

少女「隠し味とか分からないから、牛乳を入れてみた!」

男「それ言ったら隠し味じゃないだろ?」

少女「ですよねー」

男「じゃあ。いただきます」

少女「緊張する……召し上がれ」

男「絶対美味いぞ……あっつ! あっちぃ! 猫舌ぁああ!!」

少女(優しいけどバカかもしれない)

男「で、でも食べる! あっち! うめえ!」

少女「よ、よかったー」

男「手料理なんて久々に食ったぞ! 美味しいぞ!」

少女「ありがと!」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/15(土) 22:39:24.55 ID:Dm28fz7/0
男「いやー、久々に栄養のあるもん食った!」

少女「自分でも美味しくてビックリした」

男「ありがとな!」

少女「いえいえ」

少女「で、どう?」

男「何がだ?」

少女「心が温かい……とか」

男「あ、ああ。そうだな……」

男「ああ、十分満足した」

少女「よかった! これで否定されたら泣いてたかもしれないよ?」

男「作ってもらって否定はしねえよ。本当にありがとな」

少女「こちらこそ!」

男「さて……腹いっぱい食ったし。何するかな」

少女「ひまだねー」

男「外は寒いから出歩きたくないしな」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/16(日) 21:20:41.95 ID:P56JZkoW0
男「そうだ、テレビでも見るか?」

少女「ちょうど昼時だからいいともやってるよっ」

男「電源入れるわ」

少女「うん」

男「……」

少女「……」

男「……」

少女「……」

男「電源入れたらドロドロのドラマだったな」

少女「ドロドロだったね」

男「テレビの奴め……俺たちに何の恨みがあるんだ!」

少女「テレビはひどい!」

テレビ(濡れ衣だ……)

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/16(日) 21:25:09.66 ID:P56JZkoW0
男「ところでさ」

少女「うん?」

男「『三原色』ってあるじゃん。赤・青・緑の」

少女「うん」

男「あれだけで映像を表現できるって凄いよな」

少女「最近はその三原色に黄色も加わったのもあるらしいねー」

男「お、よく知ってるな!」

少女「へへー」

男「お前、実は頭良かったりして?」

少女「そうだよ!」

男「俺は漢字得意なんだぜ? ……そうだ。紙とペン持ってくる」

少女「なんで?」

男「問題出してやるよ」

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/16(日) 21:34:34.67 ID:P56JZkoW0
男「えーっと……『驀地』これ、何て読むかわかるか?」

少女「な、なんじゃこりゃ……」

男「ギブ?」

少女「ギ、ギブじゃない! ……けど、ヒント!」

男「んー、そうだな」

男「さっき、お前が本屋を出てからやったことだな」

少女「んー……。確か走って家に帰ってったような」

男「そうそう、そんな感じだ」

少女「だっしゅ?」

男「ぶー、答えは『まっしぐら』だ。まさに家まで驀地だったな!」

少女「く、くそー!」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/16(日) 21:39:14.72 ID:P56JZkoW0
男「……なんだかんだでいいとも終わったな」

少女「次はごきげんようだよ!」

男「悪い、あのライオンのマスコット苦手なんだ」

少女「なんでー? 可愛いのに」

男「以前に中の人の首が見えたことがあってだな……」

男「しかも、なんか無駄にデカいし。怖い」

少女「そうかなー?」

男「ほ、他のチャンネルにしようぜ」

少女「……」

男「ぐぁあ! またドロドロかよ! ごきげんようの後にドロドロしてんじゃねーよ!」

少女(凄くシュールだ)

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:36:08.79 ID:bctGMBJg0
男「さて、テレビはごきげんようとドロドロしかないし……どうするか」

少女「さっき会った友さん……だっけ? 呼んでみる?」

男「そうだな、呼んでみる」

Prrr…

男「もしもし、俺だが」

友『や、やった……!』

男「ん?」

友『俺にもやっとオレオレ詐欺が来たー! 一回遭遇してみたかったんだよ!』

男「は、はぁ!? 詐欺じゃねえよ!」

友『ありがとう! 詐欺師さん! 感謝するぜ!』

男「……」

友『オーケー。黙るのは止めるんだ男』

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:40:46.50 ID:bctGMBJg0
友『で、何の用だ?』

男「暇だから俺の家へ来るんだ」

友『俺に拒否する権利は……?』

男「当然無い」

友『だよな。まあ俺も暇だったから行くわ』

男「おお、ありがたい」

友『何か持っていくものあるか?』

男「んー、遊べそうなものを頼む」

友『わかった。じゃあ今から準備して向かう』

男「あいよ」

友『じゃ、また後で』

男「あ、ちょっと待て。結構雪が強いから気をつけろよ?」

友『おう。心配してくれてありがとな。じゃ』

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:46:28.88 ID:bctGMBJg0
少女「どーだった?」

男「ん、暇だったから行くってさ」

少女「これで暫くは暇しないね!」

男「とは言っても、友が帰るまでだけどな」

少女「そうだねー」

男「それにしても……遅いな。アイツの家からは遠くないはずなんだが」

少女「この雪だったら外を歩くのも一苦労だからね」

男「少し心配だな……少女、ちょっと着いてきてくれるか」

少女「えっ? う、うん」

男「ほら、ジャンパー着て厚着しろ」

少女「あ、ありがと。やっぱり優しいね」

男「そんなんじゃ……、心配なだけだ」

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:49:41.44 ID:bctGMBJg0
男「さっきよりかは、少し風と雪は弱まったが……まだ危ないな」

少女「少し急ごっか?」

男「ああ。友も心配だし、お前が風邪引くと……」

少女「風邪なんて引かないよ」

男「まあ、念のため。な?」

少女「う、うん」

男「んーっと……あ、あれ友かもしれない」

少女「ほんとだ」

男「おーい! 友! 寒いから走って来い!」

友「――! ――――!」

男「なんて喋ってるかわかんねー!」

友「――――――!」

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:52:42.26 ID:bctGMBJg0
男「ただいま……雪は玄関で落とせよ?」

少女「りょうかーい」

友「おじゃましまーっす……っと。相変わらず綺麗だなー」

男「まぁな。部屋が散らかってると嫌じゃないか?」

友「嫌だが、面倒じゃないか?」

男「面倒だが、片付け終わったらスッキリするんだよ」

友「まあ、わからないでもないが……」

少女「友さん、そのカバンは何?」

友「これか? 男に『遊べそうなものを持ってこい』って脅されたんでな」

少女「えっ、脅したの?」

男「脅してねえよ!」

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 21:55:39.78 ID:bctGMBJg0
男「何を持ってきたんだ?」

少女「わくわく」

友「えーと……、マリカ」

男「うっわー、出ましたマリカ。困ったときのマリカ」

少女「男、マリオカート楽しいよ?」

男「それは知ってるんだが……。正直、飽きたんだよな」

友「お、俺が折角持ってきたのに!」

男「まあいいや、やろうぜ」

少女「りょうかーい」

男「友、線繋いでくれ」

友「お前、俺に任せすぎだろ……。手伝ってくれ」

少女「あ、あたしが手伝う」

友「お、そうか? 助かるよ、少女ちゃん」

134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 21:15:47.69 ID:u+R/bt1s0
友「よし、解けた」

男「お疲れ様ー」

友「別に疲れてないけどな」

少女「よっし、はじめよー!」

男「おー」

友「ヨッシーは貰ったぁ!」

男「お前、ヨッシーすぐ使うよな……」

友「でっていうは速いぜー?」

少女「でっていう?」

男「ヨッシーのことだ。あまり訊かない方がいいと思うぞ」

少女「そう……?」

友「さーて、始めますか」

テレビ『マーリオカートwwウィーwwwwホッホーウww』

テレビ(本当はこんなこと言いたくないのに……)

135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 21:23:06.91 ID:u+R/bt1s0

男「あの場所で赤コウラは無いよ……」

友「はっはっは! 日頃の行いだな!」

少女「だねー」

男「友は良いとして、少女まで……」

友「俺は良いのかよ!」

少女「あたしには優しいけど、友さんには少し……ね」

男「友とは昔からつるんでるから大丈夫なんだよ」

友「『親しき仲にも礼儀あり』って知ってるか……?」

男「親しいのに敬語とか使ってたらやってらんないぞ?」

友「まあ、そうなんだが……」

少女「確かに、親友なのに『こんにちは、友さん』とかはちょっとねー」

男「結局、少女はどっちの味方だよ」

少女「男……かな?」

友「羨ましいなー、ちくしょうっ」

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/25(火) 22:00:11.98 ID:bcFzTtNr0
男「あー……、疲れたな。もう5時か」

少女「外暗いねー」

友「何かあったら怖いから、俺はそろそろ帰りますわー」

男「ん、そうか? 送ってくよ」

友「大丈夫だって。俺の家近いからな」

男「近いから送るんだよ」

友「んー……、じゃあ頼むよ」

男「おう。少女も来るか?」

少女「どうせ待ってても暇だし……行くー」

男「暇で悪かったな。間違っちゃいないけど」

少女「あはは、ごめんごめん!」

友「ありがとうな、男。少女ちゃん」

男「じゃ、行くか」

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/25(火) 22:06:10.82 ID:bcFzTtNr0

男「相当暗いな。雪も加わってほとんど前が……」

少女「友さん、大丈夫?」

友「なんとかな」

男「お、あれが友の家だったっけか?」

友「ああ。っていうか、忘れるなよ」

男「最近は友が俺の家に遊びに来るからなー」

友「まあ……仕方ないか。じゃ、俺はこれで」

男「おう、気をつけてな」

友「もう家だけどな」

男「ははっ、そうだったな。じゃ」

友「またなー」

少女「またねー」

友「少女ちゃん、またなー」

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/25(火) 22:10:45.53 ID:bcFzTtNr0
少女「さ、帰りますか」

男「そだな」

少女「……ねえ、男」

男「んー?」

少女「友さんってさ、男にとって大事な人?」

男「……ああ。友には世話になったからな」

男「大事な人……なんだろうな」

少女「『なんだろうな』?」

男「ああ。俺が大事な人だと思っても、あっちがどう思ってるかなんて……わからないだろ?」

少女「う、うん。本当の気持ちまではわからないからね」

男「だから、曖昧にしたんだよ」

少女「……そっか」

少女「じゃ、じゃあ。あたしは男にとって大事な人?」

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/26(水) 21:55:50.14 ID:xZFRRk6d0
男「お前か? ……うーん」

男「まだ会って1日しか経ってないからな」

男「大事かどうかはわからないが、飯も作ってくれたしな」

男「少なくとも、良い人……だとは思ってる」

少女「んー、そっか」

男「まあ、今現在の状況を見てのことだからな」

男「そのー、なんて言っていいのかわからないけど」

男「俺の中では、その、大事な方に入ると思う」

少女「まだ会って1日しか経ってないのに?」

男「前も言ったろ? 『俺の周りからどんどん人が離れてく。それが辛かった』って」

男「さらに『俺は人と接するのが苦手になった』」

男「でも、お前とは話しやすいっていうか。まあそんな感じだ」

少女「よかった。安心したよ」

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/26(水) 21:59:29.37 ID:xZFRRk6d0
男「ただいまー」

男「……何か、今日は一段と冷えるなー」

少女「そう?」

男「お前は寒くないのか?」

少女「寒くないよ? むしろ暖かいくらい」

男「……? そうか?」

少女「今日はいっぱい外に居たから、風邪でも引いちゃったのかな?」

男「そうかな……。俺がお前の心配してる場合じゃなかったな」

少女「大丈夫……?」

男「ちょっと熱測ってみるわ……そこの体温計取ってくれ」

少女「よい……しょ、はい」

男「ん、ありがと」

少女「いえいえ」

161: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:05:38.64 ID:PYg1/ya80
体温計『ピピピピ ピピピピ』

男「んー……、7度3分か」

男「熱があるとわかったら、余計にダルくなってきた気がするな……」

少女「大丈夫?」

男「今日は早めに寝ないとマズいかもな」

少女「『早めに』って言っても、まだ5時半だよ?」

男「寝るような時間じゃないしな……。こじらせても面倒だし」

少女「ご、ごめんなさい」

男「何でお前が謝るんだよ?」

少女「だって、男がソファで寝て、あたしがベッドで寝てたから……」

男「あれは俺がやったことだからな、お前が謝るべきじゃねえよ」

少女「で、でも……」

男「とりあえず、ベッドで暖かくして横になってるわ……すまん」

少女「そこまで言うなら……うん、お大事に」

162: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:15:48.62 ID:PYg1/ya80
男「はぁ……天罰かもな」

男(もっと友を察するべきだったな。今日はヒドくし過ぎた)

男(それに、少女にも飯を作らせて、心配かけて)

男(まったく……改めて思うと、俺は酷いやつだな)

男(少女は『家族が居る温もり』を提供しに来たんだよな)

男(つまり、アイツは……家族なんだよな)

男(それに、約3ヶ月しか居ないんだっけか)

男(3ヶ月か……長いのか短いのかわかんねぇな)

男(光陰矢の如し。時は金なり)

男(よくわかんねぇけど)

男(俺は、アイツに何かしてやれるのかな)

男(……)

男「……はぁ」

163: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:21:17.97 ID:PYg1/ya80
少女(男はああ言ってたけど……)

少女(多少なりとも、あたしの所為もあると思うし)

少女(出来ることと言ったら……看病くらい?)

少女(でも、看病なんてしたことないし……)

少女(難しく考えないで、素直に男をいたわればいいのかな?)

少女(そうだ、ちょっと様子見に行ってみよう……)

少女「男ー、だいじょ……あっ」

男「Zzz… Zzz…」

少女「寝ちゃってたんだ」

少女「とりあえず濡らしたタオルを用意……かな?」

少女「えーっと、タオルタオル」

男「ん…………?」

164: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:26:54.22 ID:PYg1/ya80
男「おーい。何してんの」

少女「あ、あの。看病を……」

男「その必要は無いぞ、俺なら大丈夫だから」

少女「で、でも」

男「俺さ、さっき気づいたんだよ」

少女「……?」

男「お前に、少女に飯を作らせて、心配かけて」

少女「……」

男「それに、俺はお前のことを大事な人だとは認めずに、曖昧にした」

男「お前をもっと思いやるべきだった。すまん」

少女「……なんで」

男「ん」

少女「なんで、どこまでも優しいの」

165: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:32:41.89 ID:PYg1/ya80
男「な、なんでって……」

少女「あたしは居候なのに。凄く気にかけてくれて……」

男「だって、お前は俺に『家族が居る温もり』を提供しに来たんだろ?」

少女「……うん」

男「なら、今は家族ってことだろ」

少女「……」

男「なんで黙っちゃうんだよ……」

男「家族でもない奴が『家族が居る温もり』を提供できないと思うぞ? 俺は」

男「だから、紛れも無くお前は家族だ」

男「家族に優しくするのは当たり前だろ?」

男「俺も婆ちゃんと爺ちゃんに優しく育てられた」

男「最初はやっぱり『何も出来ない俺になんで優しくするんだろう』って思ったよ」

男「それを伝えたらな、さっきの俺と同じことを言ったんだ」

男「だから、俺は絶対に家族に優しくする。家族じゃなくても出来るだけ優しくしたいと思ってる」

166: ◆45r8PrbBts 2011/01/28(金) 20:38:45.19 ID:PYg1/ya80
少女「……ぐすっ」

男「あははっ、何泣いてんだ!」

少女「男の話す言葉がね、一つ一つ」

男「おう」

少女「鼻声で笑い泣きしちゃった」

男「んなぁ!? そこかよ!? 恥ずかしいなおい!」

少女「ふふっ、でもね」

男「……ん」

少女「なんでそんなに優しいのかわかったよ」

男「ん、そっか」

少女(居座ってるあたしを家族として見てくれてたなんて)

男「……?」

少女「さ、後で本見ながら消化にいい料理作るから、今は寝てて!」

男「ん、わかった。ありがとな」

172: ◆45r8PrbBts 2011/01/29(土) 18:49:37.28 ID:8KYlBDH40
少女「男ー、起きてる?」

男「ん、ああ」

少女「お粥……っぽいの出来たから、テーブルの所これる?」

男「お粥も作れたのか……今行く」

少女「本見ながらだけどね」

男「それでも凄いと思うぞ……よっと」

少女「どう? まだ調子悪い?」

男「まだ少しダルいかな……。さっきよりかはマシになったけど」

少女「そっかー、でもまだ油断できないね」

男「そうだな」

少女「じゃ、召し上がれ」

男「うぃ、いただきまーす」

少女「……どう?」

173: ◆45r8PrbBts 2011/01/29(土) 18:54:44.58 ID:8KYlBDH40
男「おぉ! すげぇ美味い! なまら美味い!」

少女「そ、そう? 良かったー……」

男「……3ヶ月しか食べられなくなると思うと、なんか悲しいな」

少女「さん……かげつ」

男「まあ、傲慢かもしれないけどさ」

少女「うん」

男「3ヶ月、美味い料理を作ってくれよ?」

少女「……うん」

男「あとはさ、それ以外のことは俺が頑張るから」

少女「頑張らなくてもいいのに」

男「でもな。どうせ3ヶ月しか居ないんだ。3ヶ月少女に楽しんでもらわないと!」

少女「一方的なのはちょっと……」

男「じゃあ、少女も何とか俺を気遣ってくれ。そしたらいいだろ?」

少女「……うんっ」

174: ◆45r8PrbBts 2011/01/29(土) 18:57:03.44 ID:8KYlBDH40
男「ふー、ごちそっさま」

少女「おそまつさま」

男「温かいモン食ったら眠くなってきた……うぁー」

少女「ふふ、さっき寝たのに?」

男「体が本能的に、休息を求めてるのかもしれん」

少女「そっか。じゃあ、熱がまだあったら、お風呂は入れないね」

男「そうだな……、ちょっと体温計を」

少女「はい」

男「準備が早いな」

少女「最初から測らせる気だったからね」

男「暫しお待ちくださいー」

少女「はーい」

男「体温計の先ってさ、物凄く冷たくて得意じゃないんだよな」

少女「何となくわかる」

175: ◆45r8PrbBts 2011/01/29(土) 18:58:30.58 ID:8KYlBDH40

体温計『ピピピピ ピピピピ』

男「えっと……うわっ」

少女「?」

男「ヤバイな……寝て飯食ったのに下がってない」

少女「えー……」

男「むしろ、少し上がってるぞ」

少女「今日は、歯磨いて寝た方が良さそうだね……」

男「だな。このまま少女に看病させて、うつしたら困る」

少女「心配しなくても大丈夫なのに……」

男「頼むから心配させてくれ」

少女「あははっ、その願望の仕方おかしいね」

男「まあな、じゃあ俺は歯磨いて寝るわ。おやすみ」

少女「ちゃんとベッドで寝てね?」

男「……ああ」

少女「沈黙が気になったけど……おやすみなさい」

176: ◆45r8PrbBts 2011/01/29(土) 19:10:15.05 ID:8KYlBDH40

男「――ん」

男「……4時か。あんな時間に寝たんだから起きるのも早いわけだ」

男「さて、熱は引いた。みたいだが」

少女「すぅ……すぅ……」

男「何で俺の隣で寝てるの? 何が起こってるの?」

男「……そりゃあ、返事はないよな」

男「なんつーか。どうでもよくなってきた」

男「慣れってのは怖いなぁ」

男「はぁ。コイツがいる所為なのか、暖かい」

男「まったく……」

男「……」

少女「すぅ……すぅ……」

男「……Zzz」

184: ◆45r8PrbBts 2011/01/30(日) 20:51:29.07 ID:R0wgIq7r0
━数時間前━

少女「……ふー、皿洗い終了」

少女「男はちゃんと眠れてるかな?」

少女「見に行こ」

男「Zzz……Zzz……」

少女「良かった、ちゃんと寝てる」

少女「んー、9時、か」

少女「明日は月曜日かぁ」

少女「男の年はいくつなのかな」

少女「明日、学校に行っちゃうのかな」

少女「……なんか。寂しいな」

少女「まぁ、仕方ないよね」

185: ◆45r8PrbBts 2011/01/30(日) 20:55:09.47 ID:R0wgIq7r0
少女「ふぅ、お風呂温かかったー」

少女「会話する人が居ないからって、少し独り言多すぎかな?」

少女「まあ……いいよね」

少女「あたしも歯磨いて寝よっかな」

少女「あと3ヶ月かー」

少女「長いのかな、短いのかな」

少女「それまでに……なんとか」

幼女「……シャコシャコシャコシャコ……」

少女「んっ……ぺっ」

少女「寝よ」

少女「うぅ、寒いな……」

少女「ソファは……寒い。ベッドは暖かい」

少女「……よし」

187: ◆45r8PrbBts 2011/01/30(日) 20:59:55.98 ID:R0wgIq7r0
やべえ……俺も気づいてなかっただと……恥ずかしい

少女「男ー? 起きてる?」

男「Zzz……Zzz……」

少女「やっぱり寝てるよね」

少女「んじゃ、失礼しまーす……」

少女「お、暖かい……」

少女「……」

少女「風邪、うつっちゃうかな」

少女「……ま、いっか」

少女「看病してあげたんだし……」

少女「今度は男があたしに看病する番だよね」

少女「……湯冷めするかも」

少女「暖かくしてれば大丈夫かな」

少女「ふふ、男。おやすみ」

195: ◆45r8PrbBts 2011/02/01(火) 19:42:04.84 ID:LtshUXkF0
男「…………ん」

男「7時か……そういえば二度寝したんだっけな」

男「まぁ、自宅警備員だから急ぐこともないんだがな……」

少女「すぅ……すぅ……」

男「……安心して寝やがって。悔しいからまだ寝てろ。この野郎」

男「さむっ、ストーブ付けなければ」

男「よっこら……しょいっ」

男「……」

男「ストーブ早く付けー」

ストーブ『ジジジジ……ブォンッ』

男「ん、付いた」

男「さて……暇だ」

男「学校へ行っても蔑んだ目で見られるだけだしな」

男「今はこれで幸せ……かな。アイツもいるし」

203: ◆45r8PrbBts 2011/02/06(日) 15:44:54.07 ID:iTPXrXpe0
男「……幸せなのか?」

男「……帰ってきたら知らない女の子が居たとする」

男「そしたら俺の名前を知っていたとする」

男「事情を訊くと『家族が居る温もり』を提供しに来たとする」

男「翌日、飯を作ってくれたとする」

男「その後、友と一緒に遊んだとする」

男「帰ってきたら体調が悪かったから、看病してくれたとする」

男「そして、朝起きたら隣に寝てたとする」

男「……これは幸せだよな」

男「それとも『幸せだったとする』?」

男「なんだかなぁ」

男「……はぁ」

男「顔洗って歯磨くか」

204: ◆45r8PrbBts 2011/02/06(日) 15:51:50.43 ID:iTPXrXpe0
男「冷てっ」

男「……学校行ってもこんな感じだな。多分」

――ジャバジャバジャバ

男(タオルタオル……)

男(見つけた)

男「……」

男「歯磨きの後のミカンってヤバいよな」

男「……」

――シャコシャコシャコ

男「……ぺっ」

男「さて、本当にすることが無くなっちまった」

男「テレビでも見るか」

男「……床も冷てぇ」

205: ◆45r8PrbBts 2011/02/06(日) 15:58:37.34 ID:iTPXrXpe0
テレビ『今日未明、○○県のコンビニエンスストアで――」

男「……毎日こんな感じの事件起きてるよな」

男「警察忙しいな」

テレビ『先日、○○さんが○○さんの自宅に――」

男「……人のプライベートを放送するのはないよな」

男「なんていうか……怖いな。色々と」

少女「男ぉー、おはよー」

男「ん、おはよう」

男「なぁ」

少女「?」

男「何で俺のベッドに寝てたの?」

少女「っ!!」

男(駄目だ、笑いを堪えるのが精一杯かもしれない)

210: ◆45r8PrbBts 2011/02/12(土) 18:00:02.99 ID:2+r7Vysl0
男「……」

男(どうも。実況の男です)

男(私の目の前にいる方は現在、頬を赤らめて立ち尽くしています)

男(おっと、何やら彼女が行動を取ろうとしているぞ?)

男(おや、離れていきますね……何をしているんでしょうか)

男(キッチンに向かっていますねー)

男(ゆっくりとした動作でに先日購入した料理本を右手に取って……?)

男(近づいてきました……嫌な予感がします)

男(これはマズイ! 先程までは微笑ましい光景だったのに!)

男(今は禍々しいオーラを放っています!)

男(以上、実況の男でした!)

少女「……」

男「……」

少女「何か言うことは?」

男「遺言?」

少女「うん」

215: ◆45r8PrbBts 2011/02/18(金) 23:05:28.29 ID:Op9jkRpC0
男「えっと」

男「この度は、調子に乗ってしまい」

男「誠に申し訳ありませんでした」

男「今後は気をつけます」

少女「よろしい」

男「でも、照れ隠しってことだろ?」

少女「……」

男「冗談です戯言ですお願いします」

少女「まったく……」

男(照れる少女初めて見たかもしれないな……貴重だ。うん)

少女「そうだ」

男「ん」

少女「男って……家何時に出るの?」

男「学校のこと?」

少女「うん」

男「学校か……行ってないんだわ。これが」

216: ◆45r8PrbBts 2011/02/18(金) 23:20:07.85 ID:Op9jkRpC0
少女「え?」

男「色々事情があってな。行ってない」

少女「そ、そっか」

少女(これ以上訊いたら駄目……だよね)

男「というわけだ。平日でも暇なんだよ」

少女「へ、へー」

男「幻滅したか?」

少女「いや、むしろ好都合……かな?」

男「……? 何でだ? 学校行ってなかったら色々と世間の目が痛いぞ?」

少女「で、でも。男が学校行ってる間は暇、だから……」

男「まあ……そうだな。友が来るわけでもないし」

男「なんだ、寂しかったのかー?」

少女「ち、ちがう!」

男「あははっ」

少女「笑うなー!」

男(昨日……、というか寝るときから何かが違う気がする)

220: ◆45r8PrbBts 2011/02/19(土) 21:51:01.97 ID:qJlvjWul0
男「さて」

男「これじゃあさ、1日中暇になっちゃうよね」

少女「うん」

男「どする?」

少女「トランプ?」

男「また?」

少女「うん」

男「2人で?」

少女「……うん」

男「本気で言ってる?」

少女「うん」

男「冗談でしょ?」

少女「冗談じゃないよ?」

男「と、見せかけて~?」

少女「冗談じゃないよ?」

男「えー……?」

221: ◆45r8PrbBts 2011/02/19(土) 21:57:26.55 ID:qJlvjWul0
少女「そうだ」

男「ん?」

少女「朝ごはん、作らないと」

男「あー、そうだったな」

少女「あたしもお腹減ったし、準備してくるね」

男「了解したー」

少女「――♪」

男「……さて」

男「いい暇つぶしの方法は無いものか……」

男「うーん……」

男「仕方ないな、俺がいつも勉強してる図書館にでも連れてくか」」

男「あそこなら本もいっぱいあるし、アイツも暇しないだろ」

男「しかし、学校へ行かずに図書館で勉強してるって、なんだかなぁ」

男「ま、いっか」

男「少女、朝飯食い終わったら図書館行くかー?」

少女「んー? うんっ、行きたいっ」

224: ◆45r8PrbBts 2011/02/20(日) 22:20:04.26 ID:jCaE9boj0
男「図書館に着いたら丁度開館時間だったな」

少女「そだね」

男「とりあえず、館内では飲食禁止。あと騒音を出さない。いいな?」

少女「りょうかーい」



男(んー……)

男(隣に居る少女がかなりこっちを見ている)

男(集中できねえ! 助けて!)

男「……おい、少女?」

少女「?」

男「何で見てるんだ?」

少女「……暇だから」

男「あぁ……そう」

男(見るなとも言えねえし……助けて誰か)

少女(男の顔が赤くなってる……仕返しは出来たかな)

228: ◆45r8PrbBts 2011/02/21(月) 22:50:10.01 ID:tug0rhyO0
男「――まったく、少女のせいで勉強に集中出来なかったじゃないか……」

少女「えへへ、ごめんなさい」

男「まあ、いいんだけどな」

男(恥ずかしくて集中できなかった。なんて言えないしな)

少女「お腹減ったねー」

男「ああ、そうだな」

少女「急いで昼ご飯の支度しないと……」

男「いんや、今日は大丈夫だ」

少女「? 何で?」

男「今日の昼食はファストフードで済ませよう」

少女「……うん」

男「ん、嫌だったか?」

少女「男が美味しいって食べてくれるのが嬉しいのに……」

男「!?」

少女「はぁ」

男(不覚にもドキッとしてしまった……危ねぇ危ねぇ)

229: ◆45r8PrbBts 2011/02/21(月) 22:54:50.28 ID:tug0rhyO0
男「ただいまー」

男(結局帰ってきてしまった……。少し休んでもらいたかったんだがな)

少女「ただいまっ」

男「なぁ、少女」

少女「うん?」

男「あんまり無理すんなよ? ちょっと前まで風邪引いてた俺が言えることじゃないが」

男「お前に何かあると色々と心配なんだよ」

少女「気持ちだけ受け取っとくよ。ありがと」

男「ん……そうか」

少女「じゃ、作ってくるね!」

男「おう」

男(……食べ終わったら食器でも洗ってやるか)

少女「――♪」

男(しっかし楽しそうだな……)

230: ◆45r8PrbBts 2011/02/21(月) 23:01:52.60 ID:tug0rhyO0
男「ごちそうさま」

少女「おそまつさまー」

男「あ、食器は俺が洗うよ」

少女「いやいや、いいよ休んでて。勉強で疲れたでしょ?」

男「でもだな……」

少女「いいからいいから」

男「なんか、男として恥ずかしいんだよな……こういうの」

少女「そう……? じゃあ、頼もっかな」



男「終わったぞー」

少女「ありがとね、男」

男「いやいや礼を言うのはこっちだ」

少女「なんで?」

男「水が無茶苦茶冷たい。ビックリした」

少女「ふふ、でもありがと」

男「おう。どういたしまして」

233: ◆45r8PrbBts 2011/02/22(火) 23:32:52.95 ID:BtThJLwz0
少女「ところで」

男「ん?」

少女「男って家のお金どうしてるの?」

男「ああ、それか」

少女「気になってたんだ。バイトしてそうでもないし」

男「親戚が仕送りしてくれてんだ。爺ちゃんと婆ちゃんの関りでな」

少女「へぇ……」

男「別に怪しいことしてるとかじゃないからな?」

少女「疑問が解決して良かった」

男「ん、そうか」

少女「正直、訊き辛かったから」

男「まぁ……そうだろうな。うん」

少女「考えてみればさ」

男「うん」

少女「まだ会って数日だっていうのに、すっかり打ち解けたよね」

男「んー、そうだな。俺は人と話しやすい性格じゃなかったはずなんだが」

234: ◆45r8PrbBts 2011/02/22(火) 23:41:54.70 ID:BtThJLwz0
少女「何て言うか、今更かもしれないけど」

少女「気が合うのかもね」

男「……そうかもな」

少女「うん」

男「この先……3ヶ月くらい」

少女「?」

男「お前と過ごしていくって考えたらさ」

少女「うん」

男「やっぱり学校行かなきゃなぁ。って思うんだよ」

少女「……」

男「俺、高1までは真面目に通ってたんだけどさ」

少女「うん」

男「前にも話した通り、高2でどんどん……な」

少女「そっか」

235: ◆45r8PrbBts 2011/02/22(火) 23:47:02.88 ID:BtThJLwz0
男「単位がヤバイって知ってても……なぁ」

男「周りからあんな目で見られちゃ」

男「行き辛いし、居辛い」

少女「無理しなくていいんだよ」

男「……?」

少女「思い詰めたら簡単には行動出来なくなっちゃう」

男「……」

少女「『今すぐに』って訳じゃないけれど」

少女「自分が『駄目だ』って思ってるんなら、改善しないとだし」

少女「それに向けて自分が何を出来るかって考えるのもいいけど」

少女「無理はしなくていいの。だって」

男「……」

少女「だって、あたしは男の」

少女「少なくとも、男の仲間だから」

男「……!」

236: ◆45r8PrbBts 2011/02/22(火) 23:51:34.25 ID:BtThJLwz0
少女「なんて、柄にも無く言っちゃった……あはは」

男「いや……うん」

少女「?」

男「その、何て言うか。ありがと、な」

少女「いえいえ」

男「そうだよな。無理なんかしなくていいんだよな」

少女「うんうんっ」

男「無理は駄目だけど、無茶は」

少女「ダメ。ゼッタイ」

男「ちょ、最後まで言わせておくれよ!」

少女「えへへ」

男(駄目だな。もう)

男(少女に励まされてるようじゃ駄目だ)

男(いっちょ頑張ってみるか!)

240: ◆45r8PrbBts 2011/02/23(水) 21:53:21.39 ID:SP49L30x0
男「いやぁ、お前のお陰で元気でたよ。ありがとな」

少女「いえいえ」

男「はっはっは。お礼と言っちゃ何なんだが」

男「悩みはないか、少女」

少女「うぇ?」

男「励まされたから、悩みでも愚痴でも何でも聞くぞ?」

少女「うーん……それなら、ある」

男「言ってみ!」

少女「あのね」

男「うん」

少女「男が優しすぎて困ってます」

男「はい?」

少女「男が優しすぎて困ってます」

男「お、俺?」

少女「うん」

242: ◆45r8PrbBts 2011/02/23(水) 22:01:07.28 ID:SP49L30x0
少女「前にも言ったと思うけど、優しすぎ」

少女「もう、よくわからない」

男「あ、ああ。そう……」

男「え?」

男「それが悩み?」

少女「そうだよ! 一番困ってる!」

男「そういうもんか……?」

少女「そういうもんなんです」

男「ああ……そう……。以後気をつけます……」

男(何で俺謝ってるんだろう)

少女「いや……でも冷たくしろとは言ってないからね」

少女「まだ会って数日だってのに、優しくするから」

少女「まあ、色々と……ね」

男「程ほどにしろってことか」

少女「うん」

少女(本当は嬉しいんだけどな。あまり度が過ぎると別れるときに辛くなっちゃう)

247: ◆45r8PrbBts 2011/02/26(土) 21:51:58.63 ID:hL6kPRz50
――少女が寝静まった後

男「もしもし、寝てたか?」

友『いんや、バッチリ起きてたよ。なんだ?』

男「俺さ、明日さ」

友『あぁ』

男「学校行ってみようと思うんだ」

友『……は?』

男「……なんだよその反応」

友『え? いや、だって、冷たい目線が嫌だとかで……』

男「それなんだけどな、少女に諭されちまって」

友『そ、そうか』

男「で、急に行ったら心配だから、一応電話してみたんだ」

友『成る程な、解ったよ。了解した』

男「おう。こんな夜遅くにごめんな」

友『いいっていいって。じゃ、また明日な』

248: ◆45r8PrbBts 2011/02/26(土) 22:00:11.59 ID:hL6kPRz50
男「……さて」

男「歯ぁ磨いて寝るか」



男「ぺっ」

男「……ふぁあ」

男「はぁ……」

男「また俺のベッドで寝てるよコイツ」

少女「すぅ……すぅ……」

男「まったく」

男「明日起きたら事情を説明しないとな」

男「あとは……携帯の番号も教えておかなくちゃな」

男「明日、学校でどんな反応されんのかな」

少女「すぅ……ん」

男(すげぇ温けぇ)

少女「おと……こ……」

男「……なんだよ」

男「おやすみ、少女」

253: ◆45r8PrbBts 2011/02/27(日) 21:44:27.36 ID:Hti9CiGc0
――翌朝

アラーム『ピピピピ ピピピピ ピピッ……』

男「ん、はぁ。ふあぁ……」

男「……」

男(二度寝してる場合じゃねえ、学校行かなきゃだ)

男「おい、少女。起きろ」

少女「んっ……んん?」

男「『んん?』じゃねえよ、起きろ少女」

少女「んぁー……、すぅ……」

男「冬の朝独特の冷気が嫌なのは分かるが、ひとまず起きてくれ!」

少女「や……だ。あったか……」

男「話したいことがあるんだよ!」

少女「すぅ……すぅ……」

男「おぉい!! 起きろ!! イヤ本当に起きてくださいお願いします!!」

254: ◆45r8PrbBts 2011/02/27(日) 21:49:16.94 ID:Hti9CiGc0


男「おはようございます」

少女「おはようございます」

男「俺は大変疲れています」

少女「その点については誠に申し訳ありませんでした」

男「分かって頂ければよいのです」

少女「それで、ご用件とは何でしょうか?」

男「はい。今からお話しします」

男「単刀直入に言います」

少女「どうぞ」

男「……」

少女「……」

男「俺、学校へ行ってみたいと思います」

少女「左様ですか」

男「はい」

255: ◆45r8PrbBts 2011/02/27(日) 21:52:25.46 ID:Hti9CiGc0
少女「えっ?」

男「えっ?」

少女「学校行くの?」

男「うん」

少女「本当に?」

男「うん」

少女「何で急に?」

男「少女が仲間になったから」

少女「あたし?}

男「うん」

少女「無理はしなくていいんだよ?」

男「今日行って、無理かどうか調べてくる」

少女「絶対に行くの?」

男「うん」

262: ◆45r8PrbBts 2011/03/01(火) 21:51:48.04 ID:8KixGfdh0
男「じゃ、行ってくるわ」

少女「うん……分かった」

男「夕方には帰ってこれるからな。んじゃ」

少女「はーい、行ってらっしゃーい……」

少女「……」

少女「ほんとに行っちゃったよ」

少女「うぅ。寒い」

少女「夕方まで何してよっかなぁ」

ドア『ギィイ……』

少女「!」

男「少女。言い忘れてたが」

少女「う、うん」

男「困ったときは直ぐに電話しろよ?」

少女「うん……わかった」

263: ◆45r8PrbBts 2011/03/01(火) 21:58:03.89 ID:8KixGfdh0
少女「はぁ……ビックリした」

少女「急にドアが開いて男が出て来るんだもん」

少女「ドッキリかと思っちゃったよ」

少女「はぁ……改めてどうしよう」

少女「うーん……」

少女「!」

少女「掃除しよう!」

少女「帰ってきたらピカピカでビックリする男……」

少女「よし。そうと決まれば早速――」



少女「まずは窓を拭く!」

少女「新聞紙を使うとインクのお陰で綺麗になるって聞いたことがあるなぁ」

少女「しんぶんしー、しんぶんしー」

266: ◆45r8PrbBts 2011/03/02(水) 21:45:09.25 ID:p2OItykT0
少女「えっと、先にキツく絞った雑巾で拭くんだよね」

少女「……つめたっ」

少女「よっ……っと」

少女「よいしょ、よいしょ」

少女「……よし」

少女「仕上げに新聞紙かな」

少女「両手でぐちゃぐちゃにしてー」

少女「よし」

少女「あ、これはあまり冷たくない」

少女「よっ。よっ。ほっ」

少女「……」

少女「すごい……ピカピカだ」

少女「次は……床?」

少女「床ならみかんの皮かな……ふふふ。みかんはどこだー」

270: ◆45r8PrbBts 2011/03/03(木) 22:02:36.42 ID:ZRJh5twL0
――冷蔵庫前

少女「ふっふっふ」

少女「発見したぞみかん君……!」

少女「今から食してあげるから感謝しろ!」

少女「……」

少女「3個くらいでいいや」

少女「みかんにはコタツが相場なんだけどなー」

少女「この際文句は言えないよね」

少女「……」

少女「ひとーつ」

少女「……」

少女「ふたーつ」

少女「……」

少女「みーっつ」

275: ◆45r8PrbBts 2011/03/04(金) 22:15:40.04 ID:ahaJooa10
――床・台所、その他諸々の掃除を終えた後

少女「ふぅー、疲れた」

少女「えと……12時半」

少女「簡単に昼食作って食べよっと」



少女「いただきまーす」

少女「……」

少女「独りで食べてもあんまり……美味しくないなぁ」

少女「はぁ……」

少女「男は今頃何やってるのかなー」

少女「心配だなー」

少女「そうだ!」

少女「ご飯食べ終わったら電話してみよう!」

279: ◆45r8PrbBts 2011/03/05(土) 22:05:55.88 ID:xKJONX6J0


少女「ふぅ。独りで寂しい昼食でした。ごちそうさま」

少女「さて、電話電話……」

Prrr… Prrr… Prrr…

男『もしもし。少女か?』

少女「うん。男、学校どう?」

男『皆、思ったよりも受け入れてくれたよ』

少女「ほんと!? 良かったね、安心したよ……」

男『はは、ありがとな。友も暇さえあれば話しかけてくれるし』

男『俺が思ってたよりも楽しいところかもしれない』

少女「そっか……。じゃあ、明日からは毎朝行くの?」

男『ああ。いつまでもニート生活してる訳にもいかないからな』

少女(明日から寂しい昼食かぁ……)

280: ◆45r8PrbBts 2011/03/05(土) 22:11:44.34 ID:xKJONX6J0
男『なんだー? もしかして寂しいのか?』

少女「!?」

男『図星かよ!』

少女「ず、図星じゃないよ!」

男『(さ○ぁ~ずかよ! ってツッコンで欲しかったんだが)』

少女「と、とにかく! 頑張ってね!」

男『おう。そろそろ授業始まるから切るぞ?』

少女「わかったー。じゃあね」

男『あいよー』

……ピッ

少女「……男は大丈夫そうだったな」

少女「うーん、どうしよう」

少女「本当にどうしよう」

少女「うーん……うーん……」

281: ◆45r8PrbBts 2011/03/05(土) 22:18:47.81 ID:xKJONX6J0
書いてる俺も展開に困ってる。うーん……。

少女「そういえば」

少女「男は暇なときに1人UNOとか1人将棋とかやってるって言ってったっけ……」

少女「……」

少女「なんか、これをやっちゃうと」

少女「凄く人間として駄目になってしまいそうな気がする」

少女「独りで『ウノ!』とか」

少女「独りで『王手!』とか」

少女「……」

少女「うん。駄目だ」

少女「そうだ」

少女「この辺散歩してみよっと」

少女「何か新しいことを発見するかもしれないしね」

少女「そうと決まれば早速支度だ!」

少女「♪」

282: ◆45r8PrbBts 2011/03/05(土) 22:22:54.77 ID:xKJONX6J0
――外

少女「今日は暖かいなぁ」

少女「陽も出てるし、散歩日和」

少女「ただ……」

少女「道路の状況が……酷い」

少女「まあいっか」

少女「……」

少女「こんな近くに公園あったんだ……どれどれ」

――公園内

少女「流石にこの時間帯に人は居ない……ね」

少女「これでブランコ乗ったら、黄昏てる人じゃん!」

少女「雪が積もってるからこげないけど」

少女「馬鹿馬鹿しい……帰ろ」

285: ◆45r8PrbBts 2011/03/06(日) 20:34:24.62 ID:cTi6RneW0
――家

少女「うぅー。あー。あー」

少女「ひぃぃまぁぁあ……」

少女「仕方ない。最後の手だ!」

少女「お昼寝だ! 寝よう!」

少女「うんうん。それがいい」

少女「労力を消費しないし、暇じゃない!」

少女「よし、物凄い決断力で決まったことだし、男のベッドへ突入だ!」



少女「体動かしたせいか、そこそこ眠くなってきた……」

少女「起きたら男が帰ってきてますように……」

少女「…………」

少女「…………すぅ……」

286: ◆45r8PrbBts 2011/03/06(日) 20:41:23.35 ID:cTi6RneW0
――夕方

男「うぅっ……陽が沈むと一気に冷えてきたな……」

男「ただいまー……」

男「ん? ただいまー」

男「あれ、居ないのかな」

男「靴は……ある。あのときと同じ、ちっちゃい靴だ」

男「少女ー? どこだー?」

━寝室━

男『少女ー? どこだー?』

少女「…………んぅ」

少女(男だ!」

少女「男、おかえり!」

男「え? なんで俺のベッドで寝てたn……」

少女「暇だったから寝てた!」

287: ◆45r8PrbBts 2011/03/06(日) 20:46:10.62 ID:cTi6RneW0

男「そ、そうか。なんか悪かったな」

少女「ほんとだよ!」

少女「暇で暇で暇で暇で仕方なかったよ!」

男「あぁ。ごめん。な。許してくれ」

少女「お昼ご飯も独りで寂しかったよ……」

男「そ、そればっかりはどうにも……」

少女「いつも男と楽しく食べてたから、独りは辛かったよ」

男(罪悪感が水の様に滾々と沸いてくるのが分かる……キツい)

少女「……」

男「……その、なんだ」

男「俺も、出来るだけ寂しい思いはさせたくないんだが」

男「な。分かってくれ……」

288: ◆45r8PrbBts 2011/03/06(日) 20:51:48.31 ID:cTi6RneW0
男(やめて! 涙目になりながらこっちを見ないで!)

少女「……男」

男「は、はい?」

少女「目の前で女の子が泣いてるんだ」

男「お、おう。知ってる」

少女「何かすべきことがあると……思う」

男(つい数日前まで女の子と接したことが無かった俺にどうしろと!?)

男「え、えーっと」

男「そのー……」

男「た、大変申し訳ありませんでした!」

少女「土下座!?」

男「何分、あれだけ少女が仲間だとか仰っていたから」

男「大丈夫かな? とか思ってました! 本当にすいませんでした!」

男「もっと女の子として扱うべきでした!」

少女「そ、そこまでしなくても……」

292: ◆45r8PrbBts 2011/03/07(月) 21:55:01.23 ID:GxvhE2AA0
男「……だけどさ」

少女「う、うん」

男「俺も、高校であんなに受け入れてくれるとは思ってなくってさ」

男「3ヶ月ってのは分かってるけど、さ」

男「あと3ヶ月しか一緒に居られないってのは、分かってるんだ」

少女「男……」

男「でも、俺の人生はこの先何年もある……と思うし」

男「少女のこの先の人生は、俺よりもっとあるけど」

男「どうせ3ヶ月しか居られないんだったら、これからの人生が決まる高校で。って思って……」

男「ははっ……、昨日までウダウダ言ってた奴が何言ってんだろな」

男「自己中心的な考えだよな、本当。ごめんな」

少女「……」

男「これからも寂しい思いさせるかもしれないけどさ」

男「出来るだけ努力するからさ。我慢、してくれるか?」

293: ◆45r8PrbBts 2011/03/07(月) 22:02:16.97 ID:GxvhE2AA0
少女「…………うん」

少女「うん、するよ。我慢」

少女「でも、2つ約束してほしいの」

男「……おう。何だ」

少女「1つ目。あたしは『家族が居る温もり』を届けに来たことを忘れないこと」

男「ああ」

少女「2つ目。その……えっと……」

男「ん? やっぱり言わないとか?」

少女「いや、言うよ。言う……けど」

男「うん」

少女「ふー……。じゃあ、2つ目」

少女「3ヶ月、あたしを他の人より思いやること!」

男「…………」

少女「な、なに」

男「いや、了解した。承った。思いやるだけ思いやってやるよ」

298: ◆45r8PrbBts 2011/03/08(火) 21:53:37.11 ID:gJ6tnRZt0
>>297 ・→?
———-
――晩飯後

男「ふー、ごちそうさま」

少女「あ、お皿は置いといていいよ?」

男「涙目になりながら『思いやること!』って言ったの誰だったかなぁ?」

少女「じゃ、じゃあお皿運んで?」

男「ん。わかった」



男「お前、身長小さいんだな」

少女「なっ」

男「かくれんぼとか得意そうだよな」

少女「男の身長が大きすぎるんだと思うよ……それ」

男「そうか?」

少女「絶対にそう!」

302: ◆45r8PrbBts 2011/03/10(木) 20:51:08.04 ID:G+sXrXby0
――少女就寝後

友『もしもし』

男「おう、どうした?」

友『今日1日、学校に行ってみてどうだった?』

男「思ったよりも皆受け入れてくれてたな。正直楽しかったよ」

友『おお、そうか! ここでトラウマみたいなもんがあると、もう学校行かなさそうな気がしたからな』

男「流石にそこまではねえよ……。初日にトラウマはちょっと堪えるかもしれないけど」

友『はは、まぁ、それだけだ。夜遅くに電話してごめんな?』

男「いや、大丈夫だ。また明日な。おやすみ」

友『あ、そうだ。言い忘れてた』

男「ん?」

友『…………』

男「……?」

友『いや、やっぱり何でも無いわ。気にしないで寝てくれ』

男「……? 分かった、おやすみ」

友『じゃな』

303: ◆45r8PrbBts 2011/03/10(木) 20:56:29.54 ID:G+sXrXby0
男「……何だったんだ?」

男「まあいいか。今はひたすらに眠たい……」



男「慣れって凄いんだな……」

男「今、すぐ横で少女が寝てるってのに全く動揺してないぞ」

男「いや、動揺してたらしてたで色々とマズいか」

男「よし、また明日から頑張るかっ」

男「ひとまずは、お前を悲しませないようにするよ」

男「おやすみ。少女」

少女「すぅ……すぅ……」

男「……」

男「……Zzz」

308: ◆45r8PrbBts 2011/03/11(金) 21:34:22.33 ID:5qYdHlJn0
少女「…………寝た?」

男「Zzz……」

少女「男に掃除したの気づいてもらえなかった……」

少女「いっぱい頑張ったのにな」

少女「はぁ……」

少女「自分から言うと、何か図々しい感じだし」

少女「まぁいっか」

少女「『ひとまずは、お前を悲しませないようにするよ』……」

少女「絶対だからね」

少女「おやすみ。男」



309: ◆45r8PrbBts 2011/03/11(金) 21:37:06.72 ID:5qYdHlJn0
――2週間後の月曜日

男「じゃ、行ってくる」

少女「うん、行ってらっしゃい!」

男「寂しくなったら、授業中以外に電話よこせよ?」

少女「わ、分かってる!」

男「はは。じゃあ、また夕方にな」

少女「頑張ってねー」

男「おう」

少女「……」

少女「……さて」

少女「今日も行っちゃった」

少女「テレビでも見よっと」

310: ◆45r8PrbBts 2011/03/11(金) 21:44:00.71 ID:5qYdHlJn0
テレビ『2月14日は、バレンタインデー!』

少女「……?」

テレビ『想いを寄せるあの人に、手作りチョコレートをプレゼントしてみては?』

少女「想いを寄せるあの人に……」

テレビ『それでは、次の特集です! 地上デジタル放送完全実施まで――』

少女「男に……手作りチョコレートを渡そう」

少女「あと2ヵ月と半月くらい……」

少女「思い出作りにはピッタリかも!」

少女「まって、想いを寄せるってことは……『想い出』?」

少女「い、いやいやいや。男に想いなんて……」

少女「……」

少女「考えるのはよそう……」

少女「今日が2月7日だから、バレンタインまであと……1週間ピッタリ」

少女「よし……絶対に男を喜ばせる!」

311: ◆45r8PrbBts 2011/03/11(金) 21:50:47.85 ID:5qYdHlJn0
少女「普通に渡しても、サプライズに欠けるから……」

少女「渡すチョコレートは良いとして、どう渡そう?」

少女「うーん……」

少女「……」

少女「学校へ届けに行く?」

少女「いやいや、男の迷惑になりそう」

少女「……」

少女「……ドアの前で待ち構えて、帰ってきたところをすかさず渡す?」

少女「ん、これは良いかも」

少女「あとはチョコレート本体かぁ」

少女「やっぱりチョコレート本体も大事だった!」

少女「どうしよう……?」

317: ◆45r8PrbBts 2011/03/13(日) 19:46:17.96 ID:qDkKlqgB0
少女「まず、普通に売ってるチョコとー」

少女「……あれ?」

少女「なんで市販のチョコレートをわざわざ溶かして」

少女「それをわざわざ違う形にして」

少女「冷やして、チョコレートにしなくちゃいけないんだろ……?

少女「……」

少女「? ?? うーん……」

少女「あ、それに」

少女「チョコレートを買うお金が……」

少女「男に不自然な動きを見せたら、勘付かれるかも……」

少女「どうしよ、八方塞がりだー……」

321: ◆45r8PrbBts 2011/03/14(月) 21:58:42.68 ID:vrruJwVy0
少女「チョコチョコチョコチョコ……」

少女「コチョコチョコチョコチョ……あー!」

少女「……!」

少女「友さんにお願いしてみよう!」

少女「でも、どうやって?」

少女「うーん……やっぱり図々しいかな」

少女「とりあえず、後で訊いてみよっと」

少女「男、どんな反応するかなー……」

少女「喜んでくれるかな?」

少女「驚くかな?」

少女「……」

少女「なんで男のことばっかり考えてんだろ」

少女「うぁー……」

325: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:08:41.42 ID:VtcBpQ0W0
――学校

男「……なんだよ。これ」

男「靴が、無い」

男「……う、ぁ」

男「…………だ、大丈夫だ大丈夫」

男「とりあえず後で報告しよう……」

男「しかし、どうするか」

男「来客用のスリッパ借りるしかないか……」

男「そ、そうだ。気にすることなんか無い!」

男「日常茶飯事だこんなの! よくあること!」

男「……はぁ」

男「とりあえずスリッパ借りてくるか」

男「足どりが重い……」

326: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:12:12.62 ID:VtcBpQ0W0


男「理由を訊かれたときは焦ったが……」

男「俺はその場で作り話を考える天才じゃないだろうか」

男「……調子に乗らない方がいいな」

ドア『ガラガラガラ……』

男「はぁ……」

男「友。おはよう」

友「お、今日も来たな? おはよう男」

男「まぁな」

友「……あれ?」

男「ん?」

友「お前、靴はどうした?」

327: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:16:02.14 ID:VtcBpQ0W0
男「あ、あぁ。これか?」

男「いや、実はな」

男「今日、学校来たら無かったんだよ。靴」

友「そ、そうか……」

男「一瞬悪い予感がよぎったんだが、知ってることないか?」

友「……俺は何も知らないぞ? 大丈夫か?」

男「大丈夫だよ。多分」

<おい、何でスリッパなんだアイツ?
<さ、さぁ……。何かあったんじゃないか?
<もしかしてイジメとかぁ?
<登校再開してそれほど経ってないのにイジメとか可愛そうだねぇー

男「あ、あはは……」

男「(平常心……平常心……。負の感情をあまり表に出さないように……)」

友「……」

328: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:18:57.28 ID:VtcBpQ0W0
男「じゃ、じゃあ。授業の準備するわ」

友「ん。じゃな」

男「おう」



男「……?」

男「なんか机が、水滴でいっぱいだ」

男「なんか汚れが混じって……普通の水じゃないぞ」

男「雪融け水か?」

男「何だこの雪が降る地域限定の嫌がらせは……」

男「おかしい。朝から何かおかしい……」

男「(……考えたくねぇけど。もしかして)」

男「い、いや。ないな。ない。うん。安心しろ俺」

329: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:22:14.53 ID:VtcBpQ0W0
――家

少女「んー……」

少女「ねむ」

少女「まだ冬なのに」

少女「なんだこの柔らかい陽射しはぁ……」

少女「睡眠を促すような……」

少女「……ん、ふあぁ」

少女「――はぁ。欠伸が出るとは……体も休息を求めてるってこと?」

少女「いや、ここで寝てしまうと何かがいけない気がする!」

少女「ふわ……ダメだ!」

少女「30分だけ寝よう! 30分だけ!」

少女「さんじっぷん……。さーてぃー みにっつ……ぅ」

少女「…………すぅ」

330: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:26:00.07 ID:VtcBpQ0W0
――数時間後

少女「……ん」

少女「ま、まぶし!」

少女「あれ? あぁ……寝ちゃってた」

少女「!」

少女「お昼ご飯の準備しなきゃ!」

少女「今日は何にしようかなー♪」



少女「ふっ、本日も食べてやったぞ昼ご飯」

少女「何か語呂がいいと思ったら、五七五だ!」

少女「ほんじつも たべてやったぞ ひるごはん 少女、心の俳句」

少女「……心? じゃないよね?」

少女「いや、心から『昼ご飯を食べてやった』と思ってるから心?」

少女「まあいいや」

331: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:29:26.22 ID:VtcBpQ0W0
――学校

男「(朝から変なことが続いてるな……)」

男「(今までに普通に話してくれてた人が、何か素っ気無くなったっていうか)」

男「(距離を置かれてる感じだ)」

男「(良い気持ちは……しないよなぁ)」

男「(俺、何かしたかな)」

男「(もしそうだとしたら……どうするか)」

男「(帰るとき、友に訊いてみるか)」



男「おーい、友!」

友「ん? どうした?」

男「あのさ。俺、クラスの皆に何かしたかな?」

332: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:32:26.25 ID:VtcBpQ0W0
友「……どうしてそう思ったんだ?」

男「靴の件もそうなんだけど、皆が冷たいような……」

友「そんな訳ないだろ?」

男「んー……そうか?」

友「俺が見る限りでは、普段と変わらないぞ」

男「……そうか。この何日かで人が直ぐそばにいる状況に慣れたのかもな」

友「俺はよくわからないが、とりあえず元気出せよ?」

男「おう。悪かったな呼び止めて。じゃな!」

友「またあしたー」

友「……」

~♪

友「ん、携帯か……誰からだ?」

友「男の家から? ……??」

333: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:35:47.15 ID:VtcBpQ0W0
友「もしもし?」

少女『もしもしっ!』

友「なんだ、少女ちゃんか」

少女『友さん、単刀直入に言います!』

友「ん?」

少女『チョコレート買ってください! お願いします!』

友「チョコレート?」

少女『男に渡したくて、でもお金なくて。図々しいのはわかってます。けど……」

友「そういうことか……。もうすぐでバレンタインだもんね」

少女『は、はい』

友「うん。わかった。いつ渡せばいいかな?」

少女『えと、男が居ないときで!』

友「頑張ってみるよ」

334: ◆45r8PrbBts 2011/03/15(火) 21:39:03.57 ID:VtcBpQ0W0
少女『――ほ、本当ですか!』

友「うん」

少女『お、男には言わないで下さいね!』

友「分かってる分かってる」

友「(どんだけ知られたくないんだ)」

少女『じゃあ。頼みました! お願いします!』

友「うん。分かったよ」

少女『ではまた!』

友「……」

友「男。お前、愛されてるよ」

友「……本当に。良い奴なのに」

友「どうしてだろうな。顔も整ってるのに」

友「……帰るか。頑張れよ男」

341: ◆45r8PrbBts 2011/03/17(木) 19:31:13.25 ID:HJEIrmGy0
――家路

男「はぁ……今日も寒いなぁおい」

男「しっかし」

男「あと1週間でバレンタインかぁ……」

男「日本中が甘い匂いと雰囲気で包まれる、最悪の日が来るぞ……」

男「晴天の霹靂っていうオチが来ればいんだかなぁ」

男「こう、『チョコレートまっず!』みたいな」

男「……あれ?」

男「そうだ」

男「俺には少女が居るじゃん!」

男「何だか今年はいけそうな気がするーッ!」

男「……」

男「貰ったら本気で喜んでしまうと思う俺は……少女に何期待してるんだ」

347: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 20:59:27.65 ID:47pkvnv/0
男「それ以前に、俺は道端で何叫んでるんだ……」

男「今の、少女に聞かれてたらヤバかったな」

男「まぁ、期待はしないでおくか」

男「……」

男「そういえば」

男「この前、家を掃除してくれてたのお礼言わなくちゃなぁ」

男「少女は俺に言ってこなかったけど」

男「気づいてない訳じゃなかったからな」



男「ただいまー」

少女「おかえり! 今日もおつかれさまでした」

男「ん、ありがとな」

348: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:03:02.67 ID:47pkvnv/0
男「あ、そうだ」

少女「?」

男「この間は……その、ありがとう」

少女「な、何が?」

男「あれだよ。あの、掃除してくれて」

少女「!」

男「帰ってきたときさ、滅茶苦茶綺麗だったよ」

少女「え? え、え?」

男「あ、床とかがだからな」

少女「え、あ、うん。あぁ。あぁ……」

男「(『か、勘違いするなよ!』って言ってたら完璧にツン……言わないでおこう)」

少女「(そりゃそうか……床だよね)」

男「あ、もちろん少女も綺麗……っていうか、可愛いぞ」

349: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:08:07.17 ID:47pkvnv/0
男「(言ってしまった! 何してんだ俺!)」

少女「!?」

男「え、いや、その……」

少女「(男の口から『可愛い』……って)」

少女「……」

男「(俺の顔は今赤いの!? 青いの!?)」

男「(少女の顔は赤いよ!! 真っ赤!! デジャヴ!!)」

少女「……おとこ」

男「あ、はい」

少女「そのー……」

350: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:13:27.70 ID:47pkvnv/0
少女「ぁ、ありがと」

男「!?」

男「(何だ今の……)}

男「とりあえず少女よ」

少女「な、なに」

男「ご、ご飯にしようか」

少女「あ、……は、はい」

少女「(ダメだ……恥ずかし過ぎて男の顔見れない……!)」

男「(ダメだ……意識し過ぎて少女の顔をまともに見れない……)」



351: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:17:07.13 ID:47pkvnv/0
「さぁって、寝るかー」

少女「うん、そうだね」

男「布団の中も寒いな」

少女「うん、そうだね」

男「寝たかー?」

少女「うん、そうだね」

男「それしか言ってないな」

少女「さ、ささ、寒いからだよ。うんうん」

男「……」

352: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:21:25.13 ID:47pkvnv/0
男「少女」

少女「は、はぃ?」

男「あのな」

男「落ち着け」

少女「あ、ああうん。落ち着いた」

男「早いなおい!」

男「……まあいいか。おやすみ」

少女「お、おおおやすみ」

男「落ち着いてないし……まあいいか。俺は寝るよ」

少女「う、うん」

少女「(緊張しすぎて舌噛むとこだった……)」

男「(冷静気取ってたけど滅茶苦茶ドキドキしてたよ……ヤバイなこれ)」

353: ◆45r8PrbBts 2011/03/18(金) 21:24:37.77 ID:47pkvnv/0


少女「……男、寝た……?」

男「Zzz……Zzz……」

少女「寝ちゃったか」

少女「(うーん……チョコレートどうしよう)」

少女「(男がいないときって……基本友さんもいないんだよなぁ)」

少女「(そうだ)」

少女「(あたしが友さんの家に行けばいいんだ!)」

少女「(友さんの家のドアノブに、袋と一緒にチョコレートを描けてもらおう)」

少女「(男が学校へ行った後、あたしが友さんの家に行けばOK)」

少女「(満場一致で解決! 寝よう!)」

359: ◆45r8PrbBts 2011/03/19(土) 20:06:33.62 ID:pA+vv+9B0
――翌朝 男が家を出た後

Prrr… Prrr…

少女「おはようございます。少女です!」

友『朝から元気だね……おはよう』

少女「何分バレンタインデーが楽しみでして!」

友『うん、分かったから。落ち着いて少女ちゃん』

少女「あの、1つお願いがあるんですが」

友『うん?』

少女「今度チョコレートを買ったら、学校へ行く前にドアノブにかけてもらえませんか?」

友『ああ、チョコレートならもう買ったよ?』

少女「なんと」

友『少女ちゃんが楽しみにしてると思って、ね』

友『(それに、少女ちゃんには男を喜ばせたいっていう気持ちがあるからな)』

360: ◆45r8PrbBts 2011/03/19(土) 20:11:16.08 ID:pA+vv+9B0
少女「えと、じゃあ……」

友『道はもう分かってるはずだけど、ドアノブに掛けて家を出ていいのかな?』

少女「はい。この前送ったときに道も覚えたから大丈夫です!」

友『よし。じゃあ今から学校出るよ』

少女「分かりました! ありがとうございました!」

友『いえいえ。じゃ』

少女「……」

少女「……さて」

少女「準備開始」

少女「あ、そうだ」

少女「何かお礼を……」

少女「友さんの晩ご飯を作ってあげよう!」

361: ◆45r8PrbBts 2011/03/19(土) 20:15:28.46 ID:pA+vv+9B0


少女「えっと、たしかこっち……」

少女「あ、あった」

少女「チョコレートもあった」

少女「よしっ、代わりにご飯を……」

少女「ありがとうございました友さん」

少女「……」

少女「バレンタインまであと6日」

少女「まぁ、余裕かな?」

少女「でも早めに作っちゃうと、男にバレるかもしれない……」

少女「必然的にギリギリに作らなくちゃ、か」

362: ◆45r8PrbBts 2011/03/19(土) 20:21:54.53 ID:pA+vv+9B0
少女「よし、作戦会議おわりー」

少女「帰ろう」



少女「ふぅ、朝ご飯はさっきの余りでいいや」

少女「いただきまーす」

少女「……召し上がれ」

少女「男が『いただきます』って言ったら」

少女「あたしは『召し上がれ』って言って」

少女「あたしが『いただきます』って言ったら」

少女「誰も『召し上がれ』って言ってくれないから……」

少女「ずるいよ。男……」

366: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:06:52.84 ID:vLmPM4EG0
――学校

男「靴は……」

男「あったぁ……」

男「昨日隠したの誰だよ……まったく」

男「……ん」

男「……」

男「靴の中に雪、か」

男「雪が降る地域限定の嫌がらせパート2かよ」

男「次は雪山に靴を埋めるとかか?」

男「……笑えないな。全く」

男「幸い濡れてるのは敷き皮だけか」

男「……何なんだよー」

367: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:10:00.09 ID:vLmPM4EG0


男「友……」

友「ど、どうした男……」

男「今日も靴のイタズラだ」

友「え、あ、え?」

男「おい、友……」

友「なな、なんだ」

男「……なんでもない」

男「(まだイジメと断定するのは早いな……たぶん)」

友「そ、そうか」

友「…………」

368: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:14:03.30 ID:vLmPM4EG0
男「昨日と今日の分だと、机に何か……」

男「『馬鹿、糞、学校来んな、引きこもり、ニート、歩く環境破壊物』」

男「……」

男「とても良かった」

男「水なんかより、こっちの方が断然楽だ」

男「子供過ぎだろ、この陰湿な嫌がらせ……」

男「筆跡からすると……これは女子、だよな」

男「男でこんな丸っこい字を書くのは信じられん」

男「(このクラスの中に……)」

男「(見渡しても、分かる訳ないか)」

男「まあいいか」

男「油性ペンじゃなかったのがせめてもの救いだな」

369: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:17:14.03 ID:vLmPM4EG0


男「(……はぁ)」

男「(嫌がらせに対して、特に憤怒の念は無いとしても)」

男「(誰かが俺に対して良くない印象を抱いてる。っていうのは)」

男「(些か気が滅入るモンだな)」

友「(アイツ……昨日から授業中にボーっとすること多くなった、よな)」

友「(成績に影響出たらマズいよなぁ)」

友「(……決めた)」

友「(後で、もう一度問いただしてみよう)」

370: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:21:02.49 ID:vLmPM4EG0


友「おい」

女子「なーにー?」

友「お前、男のどこが気に入らないんだよ」

女子「だってー、急に学校来だしてさぁ」

女子「調子乗ってるトコがマジムカツクんだよねぇ」

友「あのな」

友「男だって迷って迷って迷いまくって」

友「学校に来ることを決めたんだ」

友「なのに、お前の都合で男が傷付いてるんだよ」

371: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:24:33.90 ID:vLmPM4EG0
女子「ハァ? そんな事情知らないから」

女子「私は調子乗ってる奴が大ッ嫌いなの」

女子「だから、その男っていう糞も嫌い」

女子「それだけぇ」

友「……フザケんじゃねぇよ」

女子「あれぇ? キレちゃったぁ?」

友「あぁ。ブチギレちゃった」

女子「大爆笑しそうなんですけど……ぷぷ」

友「あぁ。大爆笑しそうだな」

友「お前、この嫌がらせが広まって」

友「お前に非があると分かれば、本当に良い笑い者になるぞ」

女子「何かゴチャゴチャ煩いから消えてくんないかなぁ?」

372: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:27:55.73 ID:vLmPM4EG0
友「うん。じゃあな」

女子「もう来んなよー」



友「……男」

男「ん、どうした友」

友「お前さ、靴とか机にイタズラされてるだろ?」

男「あぁ。さっき気づいたがノートも破かれてた」

友「今から大事なこと話すからな?」

男「お、おう」

友「まず、最初に」

友「1人が1人に向けて嫌なことをするのは『嫌がらせ』」

友「多人数が1人に向けて嫌なことをするのが『イジメ』だと俺は思ってる」

373: ◆45r8PrbBts 2011/03/20(日) 21:30:45.28 ID:vLmPM4EG0
友「『嫌なこと』っていう表現は微妙だけどな」

男「そ、それで?」

友「男、一連の仕業の犯人知りたいか?」

男「べ、別に知りたくない」

友「こんなときにツンデレじゃなくていいんだぞ」

男「…………」

友「クーデレを演じたいならデレような」

男「お兄ちゃんどいてそいつ殺せない」

友「病まなくてもいいからな」

男「いや、まあ知りたいけども」

男「知ったところでどうなの? って思わないか?」

友「お前を嫌ってる人を知っておけば、些か気持ちが楽にならないか?」

男「まぁ……そうだな。誰だよ?」

友「女子って奴だ」

男「誰だそれ」

376: ◆45r8PrbBts 2011/03/21(月) 19:58:50.29 ID:JhRGYIUw0
友「ほら……あそこに居る」

男「金髪して化粧して、絡まれたら面倒くさそうなあの?」

友「そうだ。……して、観想は」

男「小物だなぁと思った」

友「そう思えたなら良かったよ」

男「で? 俺はどうすればいいの?」

友「どうすれば、って……怒りはないのか?」

男「なんか複雑な気分だ」

男「俺、もっと大人数でやってきてるのかと思ったよ」

友「ほう」

男「大人数だったら『やめろ』って言いにくいしな」

友「で、アイツに何かするのか?」

男「するよ? 中学校時代のトラウマを思い出すキッカケになったからな」

377: ◆45r8PrbBts 2011/03/21(月) 20:02:47.76 ID:JhRGYIUw0
友「あぁ……あれか」

男「中学校で色々とやられたからな。毎日毎日」

友「うん。それ以上話すとこっちも暗くなっちゃうからやめにしような」

男「よし、決めた」

男「俺はアイツからの嫌がらせと同じことをしよう」

友「そ、そうか。頑張れ」

男「あぁ、そうだ」

友「ん?」

男「このことは最初から知ってたのか?」

友「あぁ。もう女子から放たれる邪念がひしひしと男に向けられてるのを見て」

友「『あぁ、コイツは男が嫌いだな』ってすぐ分かった」

男「友、教えてくれてありがとうな」

友「おう、頑張れよ……その、色々と」

378: ◆45r8PrbBts 2011/03/21(月) 20:06:41.36 ID:JhRGYIUw0
――家

少女「いつごろから作り始めよう……」

少女「何となくで、3日前くらい?」

少女「あと3日かぁ……」

少女「男は喜んでくれるかなぁ」

少女「……」

少女「どうしても昨日のことが頭に……」

少女「うあぁあぁー……」

少女「今考えてみると」

少女「すっごく良い雰囲気だったなぁ」

少女「って」

少女「あたしは男のことなんか……」

少女「…………」

少女「……好き、なわけ」

少女「………………ある、かも。これだけ考えてりゃ……」

少女「うあぁあぁー……もう駄目だぁ……」

383: ◆45r8PrbBts 2011/03/23(水) 21:40:50.39 ID:D0RJ8Hwo0
少女「……まだ決まったわけじゃない」

少女「ちょっと気になってるレベルかもしれない」

少女「だから、まだ確定するのは早い」

少女「これはチョコレートを渡すだけ、だから……」

(――家族でもない奴が『家族が居る温もり』を提供できないと思うぞ? 俺は)

少女「……」

(――だから、紛れも無くお前は家族だ)

少女「……」

(――家族に優しくするのは当たり前だろ?)

少女「……」

(――あ、もちろん少女も綺麗……っていうか、可愛いぞ)

少女「……っ」

384: ◆45r8PrbBts 2011/03/23(水) 21:43:48.78 ID:D0RJ8Hwo0
少女「はは。駄目だなぁ」

少女「……確定しちゃった」

少女「何でだろう。いつからだろう」

少女「やっぱり、あたし男のことが好きだ……」

少女「辛い、って言ったらあれだけど」

少女「そういう境遇で育ってきたのに、家族だーとか、優しくするーだとか」

少女「一生懸命過ぎるよ、男は」

少女「その、時々ずるいけど」

少女「あたしが出来るだけ、悲しまないようにしてる」

少女「気づいてるのに」

少女「バレないようにしてる」

少女「そんな風にされたら、気にしないわけがないよ」

385: ◆45r8PrbBts 2011/03/23(水) 21:46:22.71 ID:D0RJ8Hwo0
少女「うん。決まった」

少女「認めちゃおう」

少女「あたしは男が、そのー、好きっていう状態」

少女「……」

少女「自分で言ってて物凄く恥ずかしい……っ」

少女「でも、まあ」

少女「3ヶ月しか一緒に居られない、からなぁ」

少女「それまでに気持ちを伝えよう」

少女「でも、ひとまずはチョコを渡そう」

少女「そして、好きだってことは言わないでおこう」

少女「少女は堅く誓ったのであった……」

386: ◆45r8PrbBts 2011/03/23(水) 21:49:47.87 ID:D0RJ8Hwo0
少女「何言ってんだあたし」

少女「認めちゃったら、うーん」

少女「何か顔を合わせづらい」

少女「……」

少女「男は、どう思ってくれてるだろう」

少女「普通は迷惑だよね」

少女「家へ帰ってきたら知らない人が居て」

少女「なんだかんだで一緒に住むことになって」

少女「いろんなことをして」

少女「学校へ行くことになって」

少女「嫌い、じゃないといいなぁ」

387: ◆45r8PrbBts 2011/03/23(水) 21:51:55.79 ID:D0RJ8Hwo0
――夕方

男「ただいまー」

少女「ぉ、おかえり、なさーい」

男「……?」

男「何だ、その……ラップ調みたいな挨拶は」

少女「ラップ調じゃあっ……ないよ。うん」

男「うん。とりあえず落ち着け。な?」

少女「う、うん」

男「何かあったのか?」

少女「な、ない!」

男「!?」

少女「あ、えと、ないです」

男「(絶対何かあったな)」

390: ◆45r8PrbBts 2011/03/24(木) 21:50:03.22 ID:dpG07qt50
――3日後 朝

少女「さて、今日は金曜日だよっ」

男「金曜日だな!」

少女「ラストスパートだよ!」

男「ラストスパートだな!」

男「そうだ」

少女「?」

男「今日、学校から帰ってきたら相談あるんだ」

男「いいか?」

少女「(そう、だん……)」

少女「大丈夫だよ」

男「そっか。ありがとな」

391: ◆45r8PrbBts 2011/03/24(木) 21:53:15.98 ID:dpG07qt50


男「じゃ、行ってきまっす」

少女「行ってらっしゃーい」

少女「……」

少女「さて」

少女「チョコ作りを始めるぞ!」

少女「と、その前に」

少女「腹が減っては戦が……っ」

少女「まずはチョコ作りするためのエネルギー補給だっ」

397: ◆45r8PrbBts 2011/03/26(土) 21:29:36.33 ID:15mvXXsr0


少女「エネルギー補給完了」

少女「よしっ、早速手作りチョコ作成に取り掛かろう!」

少女「……」

少女「……まずは、さっきの皿を洗うところからかな?」

少女「忌々しい冷水め……」

少女「っ、冷たっ」

少女「……」

少女「少女の豆知識コーナー♪」

398: ◆45r8PrbBts 2011/03/26(土) 21:33:21.39 ID:15mvXXsr0
少女「皿洗いをした後に勉強をすると」

少女「いつもより勉強がはかどります」

少女「理由は」

少女「『皿を落とさない』ように集中してることと」

少女「『汚れを見落とす』ことのないように集中してることが」

少女「勉強をはかどらせるみたいです」

少女「……」

少女「よしっ」

少女「作ろう! ……っと」

少女「肝心の元々のチョコを忘れてた」

少女「~♪」

399: ◆45r8PrbBts 2011/03/26(土) 21:37:53.94 ID:15mvXXsr0
【勿論>>1は手作りチョコの経験がないので、描写不可です】

【ググっても分かるのですが、やはり経験者が書かないとリアリティがなんたらかんたら】



少女「ふぅー……」

少女「やっぱりお湯を扱うだけあって」

少女「ちょっと暑いなぁ」

少女「それにしても」

少女「冷蔵庫に補完したらバレるかなぁ……」

少女「もしも男が冷蔵庫を開けたら、それこそ計画が台無しになってしまう」

少女「よし」

少女「外だ」

400: ◆45r8PrbBts 2011/03/26(土) 21:40:29.97 ID:15mvXXsr0
少女「さ、寒い」

少女「これだけ寒かったら融けないよ、ね?」

少女「適当に~ここら辺の雪の中に埋めとこう!」

少女「……」

少女「…………よしっ」

少女「あとは3日後のお楽しみ!」

少女「喜んでくれるかな……」

少女「あ、そうだ」

少女「もし暖かくなって雪が融けたら困るから」

少女「もちょっと深いところに……」

少女「……ぃっしょっと」

少女「よし」

401: ◆45r8PrbBts 2011/03/26(土) 21:43:09.11 ID:15mvXXsr0
――学校

男「(この間、ああ言ってみたのは良いんだけど)」

男「(流石に女の子に嫌がらせするというのは)」

男「(些か嫌悪感を覚えるな……)」

男「(あれから、同じようなことが何回も起きてるけど)」

男「(もう、なんていうか……慣れってのは恐ろしい)」

男「(でも、まあ……一応は悪いことをしてるんだし)」

男「(後で注意しておこう)」

男「(他の人から見て、俺が何か悪いことをしてると思わせないように……!)」

男「(クラスの皆は俺のことを認めてくれてるんだ)」

男「(ここで悪い印象を覚えさせたら……)」

男「(悪い噂が立つかもしれない)」

404: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:10:44.71 ID:JuKJBX360


男「……あの」

女子「チッ……。んだよ?」

男「あ、あの。僕に対して嫌がらせ、えっと、その類の行為をしてるのって、えと、知りません……か?」

女子「知らねぇよ。目障りだから消えろ」

男「い、いやー。その、あくまで噂の域を出ないんですが」

男「貴女が僕に対してそのようなことをしてるっていうのを耳にしてー……」

女子「ウゼェな。私がしてたら何なんだよ」

男「もし、ですよ。貴女だったらやめてほしいかなぁ、と」

女子「あっそ。もう分かったから消えてよ」

男「え、いや。ちょっと……」

405: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:34:06.61 ID:JuKJBX360
男「あの、貴女なんですか?」

女子「……あぁ。お前最近調子乗ってるでしょ?」

男「ちょ、調子なんて乗ってな……」

女子「黙れっつの」

男「っ……」

女子「でさ、私は調子乗ってるのが大嫌いなの」

男「……」

女子「分かった? それだけの理由だよ」

男「……そ、ですか」

女子「ということで目障り。どっか行け」

男「……」

406: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:43:08.70 ID:JuKJBX360
男「えっと、じゃあ僕の言い分を」

女子「面倒臭ぇよ。消えろ」

男「貴女が俺に対してどんなイメージを持ってるとかはどうでもいいですが」

男「貴女は陰険かつ卑劣なことをしてるんですよ?」

男「それは自覚できてますか?」

女子「(ウゼェウゼェウゼェウゼェ……)」

男「僕はあまりやり返すのを好んでないので」

男「そういうことはしませんが、もうやめにしませんか……ねぇ」

女子「(んだよコイツ。同学年のクセして説教とか……)」

男「無視するならするで良いですが、これ以上するのをやめて欲しいです正直」

女子「そういうとこがウゼェんだよ!」

女子「この野郎がっ!」

男「!? ……痛ぅ」

407: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:48:09.13 ID:JuKJBX360
<おい……マズくないか?
<女子に絡まれて可愛そうに……
<誰か止めろよ……

女子「……どっか行け」

男「……そうする」



友「おい! 男、大丈夫か!?」

男「いやー、女の子で難しいなぁ。はは」

友「『はは』じゃねぇよ! 今最高に見苦しいぞ!」

男「う……言うなよ」

友「恥ずかしくなかったのか?」

男「いや、まあそこそこ」

408: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:52:58.03 ID:JuKJBX360

男「でも安心してくれ!」

友「何でだよ」

男「アイツは多分、嫌がらせの程度を減らすと思う」

友「……?」

男「少なからずさ、人を殴っておいて何も思わないとか」

男「居ないと思うから」

友「いや、まあ……そうだけれども」

男「だからちょっとは反省したと思うよ?」

友「……まぁお前が良いなら、何も言わないけども」

男「うんそうしといておくれ」

友「おう。じゃな」

409: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 21:55:23.29 ID:JuKJBX360
――男帰宅後

男「ただいまーっと」

少女「おかえり――どうしたのそれ!」

男「どれ? あれ? それ?」

少女「一人で代名詞に埋もれてないで、その傷だよ! 傷!」

男「え……あぁ、これか」

少女「学校で何かあったの?」

男「(どうする……正直に話そうか)」

男「(いや、でも心配させちゃあ悪いしな……)」

男「ちょっと……ぶつかっちゃって」

少女「ぶつかっただけでそんな殴られたような傷が付くの!?」

男「(殴られたってのバレてたーっ!!)

410: ◆45r8PrbBts 2011/03/27(日) 22:03:36.16 ID:JuKJBX360
男「いや、そのだな」

少女「……」

男「(心底心配してる目で俺を見るな!)」

男「(ちょっとウルウルしつつ上目遣いで見るなーっ!!)」

男「そのー」

男「えっと」

男「学校でだな。ちょっとイザコザがあったんだよ」

男「それだけ……かな。ははっ」

少女「カッコつけずに言うと?」

男「理不尽な理由で殴られちゃいました」

少女「待ってね。今救急箱取ってくるから」

男「ごめんなー」

417: ◆45r8PrbBts 2011/03/29(火) 21:45:31.82 ID:IERfx68R0


少女「ちょっと腫れて赤いよ……?」

男「(腫れ以外の赤さもあります。顔が近いです)」

少女「冷やそっか」

男「(顔が近い。熱い)」

少女「……大丈夫?」

男「大丈夫。どれくらい大丈夫かと言うと、某物置に100人乗っても大丈夫なくらい」

少女「……?」

男「いや、うん気にしないでくれ」

少女「……保冷剤持ってくるね?」

男「ん、頼む」

418: ◆45r8PrbBts 2011/03/29(火) 22:01:34.84 ID:IERfx68R0
男「……いやしかし」

男「あれは自覚してやってるのだろうか」

男「それとも無自覚なのか」

男「どちらにせよ、あれはヤバイ」

男「説明できないけど、ヤバイ」

男「あれで平然としていられる男子高校生がいるのか……?」

男「……いないだろな」

男「うーん……」

男「俺は平然としていられなかった、ということか」

男「……」

男「まぁ……。他の男子高校生から比べれば勝ち組……だよな」

男「こんな可愛い女の子が傍にいるんだもんな」

少女「(『ヤバイ』のときから聞いてたけど、男が……っ)」

422: ◆45r8PrbBts 2011/03/30(水) 21:50:30.54 ID:9W7NgkmL0
少女「(これは……もしかして)」

少女「(可能性が出てきた?)」

男「……ん、少女。立ち尽くしてどうしたよ」

男「っていうか待て。いつからそこに居た!?」

少女「え、えーっと」

少女「『ヤバイ』とき、から……?」

男「(ほとんど聞かれてるーっ!)」

少女「……はい、保冷剤」

男「え、その、あ、ありがとう……?」

少女「男は、あたしが居たら嬉しいの?」

男「えっ」

少女「あたしは、男が居て嬉しいよ」

男「えっ」

426: ◆45r8PrbBts 2011/03/31(木) 21:45:21.04 ID:L/o8i+PJ0
少女「男が鬼畜風情だったらどうしようかと……」

男「き、きちくふぜい!?」

少女「男が優しくて、良かった」

男「え、あ、そりゃどうもありがとう」

少女「(さっきの仕返しはそろそろいいかな……)」

少女「(それにしても、狼狽えすぎだよ男……)」

少女「いえいえ。じゃあ保冷剤当てるね」

男「ん……冷てっ」

少女「タオルで巻いて大丈夫?」

男「大丈夫」

少女「って、顔だから巻けないか……」

男「あまりに献身的だったから、本当に巻くかと思ってたよ」

少女「むぅ」

427: ◆45r8PrbBts 2011/03/31(木) 21:51:03.65 ID:L/o8i+PJ0
少女「どうぞ」

男「……寝ろって?」

少女「枕カバーの下に入れたから、そこにほっぺを当てて寝ればいいと思って……」

男「いや、まだ寝るような時間じゃないし。制服だし」

少女「あ……そっか。どうすれば……」

男「これくらいの傷、大丈夫だから。な?」

少女「でもっ……」

男「気持ちだけ有難く頂戴致します」

少女「じゃ、じゃあ気持ちをどうぞ」

男「おう。ありがとう。じゃあ着替えてくるよ」

少女「はぁい」

少女「…………尽くしたいのに……」

男「何か言ったか?」

少女「……何も」

少女「…………はぁ」

428: ◆45r8PrbBts 2011/03/31(木) 21:54:48.62 ID:L/o8i+PJ0



男「いただきます!」

少女「召し上がれ」

男「おう。…………うん」

男「よくこの短期間でこの様な素晴らしい逸品を創るスキルを身につけたな!」

少女「いやぁ、えへへ」」

男「こんな味覚えちゃったら、コンビニの弁当なんて食べられないぞ」

少女「ちょっと、照れるよ」

男「……あと『2ヵ月とちょっと』で食べられなくなるのか。はぁ」

少女「!」

436: ◆45r8PrbBts 2011/04/02(土) 22:06:22.02 ID:HnN8YlnJ0
男「それからはまたコンビニ弁当になっちゃうな」

男「俺も少女みたいに頑張れば、料理作れるようになるか?」

少女「……分かんない」

男「楽しくやればきっと出来るようになるか」

男「今はとりあえず目の前の飯を――」

少女「(そうだ。あと、『2ヶ月とちょっと』なんだ……)」

男「『それまで』には料理作れるように、今度俺に料理のレクチャーを……」

少女「――それ以上悲しいこと言わないで!!」

男「……え?」

少女「確かにあたしは、男に『家族が居る温もり』を提供しに3ヶ月だけお邪魔になってる!」

少女「だから我侭も言えないし、いつも謙虚じゃなきゃ駄目なのに!」

男「お、おい。どうした」

437: ◆45r8PrbBts 2011/04/02(土) 22:11:37.83 ID:HnN8YlnJ0
少女「なのに!! 男はいつも優しくしてくれて!!」

男「な、なに怒って――」

少女「今は話をきいて!!」

男「っ……」

少女「男は無理してる!!」

少女「あたしに心配かけないようにしてるつもりだろうけど」

少女「そういうことされると、逆に心配になるの!! ……うぅっ」

少女「そしてふとしたときに『2ヶ月とちょっと』みたいなこと言って!!」

少女「男と一緒に居たいのに、そんなこと言われたら……ぐずっ」

少女「悲しくなるよぉ!!」

少女「だ、からぁ……もう……」

男「(……あれ? 俺どうすりゃいいの?)」

441: ◆45r8PrbBts 2011/04/05(火) 21:36:49.57 ID:gUVRUnJo0
少女「ぅぅう……っ」

男「(本格的に泣き出しちゃった……どうしよう……)」

少女「……」

少女「…………こ……」

男「え?」

少女「……おとこ」

男「な、なに」

少女「ごめん、ね」

男「…………俺の方こそ」

少女「男は悪くないのにっ……」

男「俺も至らない部分があったと思うから……だから、その、ごめん」

少女「ううぇえ……ん」

442: ◆45r8PrbBts 2011/04/05(火) 21:47:51.26 ID:gUVRUnJo0
男「よしよし」

少女「あ、ありがと……」

少女「って、『よしよし』はないでしょ男」

男「で、ですよねー!」

少女「ぷぷっ、あはっ、はははっ! っはぁ」

男「……?」

少女「ふふ、ありがと男」

男「え? なんで?」

少女「あたしが勝手に怒って泣いちゃったのに、特に言い返さないで慰めてくれたから」

少女「なんかもう、どうでもよくなっちゃった」

男「どうでも、って……まあいいや」

少女「それに」

男「?」

少女「会ったときより、男の喋り方が少し柔らかくなった気がするよ?」

男「あ、あぁ……そういえば。そんな気もする、かな?」

447: ◆45r8PrbBts 2011/04/06(水) 21:41:26.75 ID:EhtdPgIe0
――朝

少女「ぅん……」

少女「ふぁあ……、……!?」

少女「お、おと、おとことてて、手繋いで寝て――!?」

男「ん……おはよう少女……」

少女「て! て!」

男「え? しりとりなんかしてたか?」

少女「ちーがーう! 手! 何で!」

男「え、ああ。昨日寝るときに少女が俺にお願いしたんだろ?」

男「『手繋ごー』って。いやぁ凄く恥ずかしかった……」

少女「え!? そうだっけ……?」

448: ◆45r8PrbBts 2011/04/06(水) 21:44:23.08 ID:EhtdPgIe0
男「少女も滅茶苦茶照れてたぞ」

男「きっと何かしら不安だったんだろうなー。何かしら」

少女「も、もうこの話はやめよう!」

男「えー、でも……」

少女「さーって朝ご飯!」

男「いや、ちょっと……」

少女「何にしよっかなー!」

男「(弱みを握った……これは使える)」

少女「『弱みを握った』とか思わないでね!」

男「(心読まれてたーっ!)」

449: ◆45r8PrbBts 2011/04/06(水) 21:51:56.20 ID:EhtdPgIe0

――2日後(バレンタインデー)

男「はぁぁ………」

男「(バレンタインなんて……)」

少女「ひぃぃ……」

少女「(自分の肺活量をフルに使ってため息してる……)」

男「ふぅぅ……」

男「どうせ黙ってても時間は過ぎていくんだし、学校行こう」

少女「へ?」

少女「(さっきまでの鬱みたいな雰囲気は何だったんだろ)」

男「なぁ」

少女「?」

男「『ほ』って言って欲しいか?」

少女「うん」

男「ほ」

少女「よし」

454: ◆45r8PrbBts 2011/04/07(木) 21:50:35.01 ID:3p+UrKk60


男「じゃ、行ってくる」

少女「なんていうか……頑張って!」

男「その場に居るだけで段々HPが削られていく環境だからな……頑張るよ」

少女「行ってらっしゃい!」

少女「……」

少女「……よし」

少女「どうチョコを渡そう!」

少女「とりあえず、冷蔵庫に入れて自宅待機かな」

少女「融けてませんように……」

少女「行ってきます」

455: ◆45r8PrbBts 2011/04/07(木) 21:53:31.59 ID:3p+UrKk60
少女「えーっと……」

少女「たしか、ここらへんにあるはず」

少女「……」

少女「あれっ」

少女「雪が融けてるから、あんまり深くはないと思うんだけど……」

少女「…………」

少女「…………」

少女「あれえっ!?」

少女「どうしよう」

少女「チョコが迷子になった」

少女「あいにく迷子センターは設えてないし……」

少女「……探すしかないか。はぁ」

456: ◆45r8PrbBts 2011/04/07(木) 21:57:10.19 ID:3p+UrKk60
少女「スコップスコップ~♪」

少女「赤いやつ~♪」

少女「んーと……、あった」

少女「雪かき雪かき~♪」



少女「ふんっ」

少女「おもっ、たい……っ!」

少女「よいしょっ」

少女「ふんっ」

少女「んはぁっ」

少女「はぁ……はぁ……」

少女「恐るべし……はぁっ……雪……!」

459: ◆45r8PrbBts 2011/04/08(金) 21:37:06.53 ID:B/qYuSSM0
――数十分後

少女「はぁ……はぁ……」

少女「み……」

少女「見つけたぁー!!」

少女「おいおい今まで何処へ行ってたんだい? 心配したじゃないかぁ……」

少女「これからはずっと一緒だよ! ……男が食べる予定だけど!」

少女「よし! 発見早々悪いけど冷蔵庫行きだよチョコ!」

少女「えっ、もうこんなに時間経ってたの……?」

少女「朝ご飯作らなきゃっ」

少女「いっそげーっ」

460: ◆45r8PrbBts 2011/04/08(金) 21:40:38.53 ID:B/qYuSSM0


少女「ふぅ、ごちそうさま」

少女「早く帰ってこないかな~? わくわく」

少女「どんな反応するかな?」

少女「喜んでくれると嬉しいな」

少女「……そういえば」

少女「男は学校でもチョコ貰うのかな?」

少女「顔は普通……まあ整ってるから不安かも」

少女「うーん……」

少女「貰っていませんように」

少女「ちゃんと渡せますように」

461: ◆45r8PrbBts 2011/04/08(金) 21:44:40.98 ID:B/qYuSSM0
――学校

友「おとこおとこおとこおとこォー!!」

男「ん……うわっ、お前そんなに足速かったか?」

友「驚くなよ!?」

男「……バレンタインデー関連か?」

友「そう!! 机の中にチョコが入ってました!!」

男「ぐぬぬ……。これでいいか?」

友「もっと驚いてくれよ!! でさ、誰からだと思う!?」

男「驚くなだの驚けだの忙しい奴だな……俺も貰えてるよ多分!」

友「これで貰ってなかったら大爆笑だな」

男「ふんっ。貰えてると信じるよ」

友「無駄なあがきをしおって」

462: ◆45r8PrbBts 2011/04/08(金) 21:47:31.13 ID:B/qYuSSM0


男「……」

友「…………その、なんだ」

男「……いいんだ!」

友「お前……」

男「慰めなんて要らないよ。そうだな、ただ……」

友「ただ?」

男「凄く泣きたい」

友「俺の胸で泣くか?」

男「鳩尾に何かしらのことをしながらでいいか?」

友「その際、俺の身の安全を保障出来るか?」

男「出来るか出来ないかで言うと全然出来ない」

友「やめてくれ」

469: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:48:56.31 ID:0TITr6bR0
――男 帰宅直前

少女「いつもなら、そろそろ帰ってくるはず……」

少女「チョコの用意だっ」

少女「よしっ、形も崩れてない」

少女「まだかなぁ……」

少女「……玄関寒いなぁ」

少女「……そわそわしたって仕方ないか。リビングの方で待――」

男「ただいまー」

少女「つ必要は無かった!! おかえり!!」

男「う、うん。ただいま」

470: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:50:17.50 ID:0TITr6bR0
少女「お、男!」

男「んん?」

少女「こ、ここっ、これ……あげる!!」

男「……」

少女「(どもっちゃった……男は黙っちゃった……)」

男「……おい、これ」

少女「ご、ごめん!!」

男「いや、謝る必要は無いだろ……」

少女「ごめん、なさ……」

男「……まあいいや」

男「それより、これは……その、チョコか?」

少女「うん」

471: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:52:15.51 ID:0TITr6bR0
男「あの、甘くもあり苦くもある青春のような食べ物のチョコだよな?」

少女「その例えは分からないけど……多分そのチョコだよ」

男「暖めると融けちゃうあの雪にも似たチョコでいいんだよな?」

少女「うん」

男「え……チョコ、だよね?」

少女「えっ……チョコだよ?」

男「少女が。俺に。チョコを渡したってこと?」

少女「あたしが。男に。チョコを渡したの」

男「マジで?」

少女「マジで」

男「嘘付いてない?」

少女「これっぽっちもついてない」

男「そうか……」

472: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:54:03.88 ID:0TITr6bR0
男「これ、開封してもいいの?」

少女「開封しないと食べられないよ?」

男「いや、家宝にしようかと」

少女「傷んじゃうよ!!」

男「ナイスツッコミだ。開封します」

少女「どうぞ」

男「…………おぉ……な、なんというか」

少女「へ、変……かな?」

男「いや、凄く美味しそうです……」

少女「そ、その。食べてもいいんだよ?」

男「(誤解しかねる発言でした。本当にありがとうございました)」

男「でも食べてしまうと晩ご飯が食べられなくなってしまうぞ!?」

少女「大丈夫。 ……多分」

473: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:56:07.07 ID:0TITr6bR0
男「では失礼して……もぐ」

少女「どうかな……」

男「ん……美味しい」

少女「ほ、他の言い方は?」

男「いや、他の言い方が見つからないんだ……」

男「え、何? バレンタインに貰うチョコがこんなに美味しいなんて知らなかった」

男「それともあれか? 少女の手作りだからとか!?」

男「いや、でもチョコは元々美味しいし……それとも全部が全部美味しくて少女が上手……あれ?」

少女「男。落ち着こう」

男「とにかく! とても美味しいです!!」

少女「ほんと?」

男「ほんとほんと!」

474: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 21:58:04.23 ID:0TITr6bR0
少女「そ、そっかぁ……よかった……」

男「全部食べてしまいたいところだけど……後で一緒に食べることにしたのでとっときます」

少女「(あとで、いっしょに……)」

男「食べるのが勿体無い……くぅ」

少女「そこまで褒められると照れるよ……えへへ」

男「十数日前まではコンビニ弁当だった俺が、こんなに美味いもんを食べれるなんてなぁ」

少女「さ、さて。晩ご飯の準備しよーっと!」

男「じゃあ俺は着替えてくる」

少女「その前にチョコを冷蔵庫にインしないと」

男「あっ、そうか……じゃあインしよう」

少女「今日は何にしようかな~♪」

475: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 22:00:14.92 ID:0TITr6bR0
――晩ご飯後

男「ふぅ……ご馳走様でした」

少女「……ここからチョコ食べるの?」

男「ちょっとキツいな……」

男「小腹が空いたらにしようか」

少女「うんっ」

少女「それじゃ、お皿洗ってくるね」

男「ん。俺はテーブル拭くか……」

少女「ありがと! お願いするね!」

男「任せとけ! たかがテーブル拭くだけだけどな!」

少女「されどだよっ」

男「ははっ。そうだな」

476: ◆45r8PrbBts 2011/04/10(日) 22:01:56.42 ID:0TITr6bR0
――寝る前

男「なぁ。少女」

少女「?」

男「お腹減ってないか?」

少女「ん……ちょっとだけ」

男「少女が作ったチョコがあるわけだが……」

少女「えっ、でも太っちゃうかも……」

男「安心しろ。少女なら大丈夫だ」

少女「その根拠は?」

男「ない」

少女「えぇ……」

男「チョコには虫歯を予防する効果があるんだぞー?」

少女「じゃあ……食べる」

482: ◆45r8PrbBts 2011/04/12(火) 21:51:55.83 ID:j//qGTZP0
男「んぐ……うん。やっぱり美味しいよ」

少女「自分で言うのもなんだけど……ほんとだね。美味しいっ」

男「今まではバレンタインなんて地獄同然の日だったんだけどな」

男「今年はそうでもないな」

少女「あたしのお陰かな?」

男「うん。全部少女のお陰だよ。ありがとな」

少女「えっ……こんな普通の反応を求めてたわけじゃ……」

男「素直にそう思ったからだぞ? 正直恥ずかしい」

少女「あ、ありがとう……」

男「さて、余りはまた今度食べることにしようか」

少女「え?」

男「大事に大事にちょっとずつ食べていきたいからな」

483: ◆45r8PrbBts 2011/04/12(火) 21:57:37.25 ID:j//qGTZP0
――少女 就寝後

少女「すぅ……すぅ……」

男「今日はありがとうな、少女」

男「お前がそれを望んでいるのかは分からないけど」

男「お礼として頭を撫でてもいいかな」

少女「すぅ……すぅ……」

男「寝息が返事か……まあいいか」

男「今日はありがとう。本当にありがとう」

少女「ん……」

男「よしよし」

男「…………なんだかクセになるな」

男「本当に同じシャンプー使ってる……?」

男「まあいいか。おやすみ」

男「明日からも、またよろしくな。少女」

487: ◆45r8PrbBts 2011/04/13(水) 20:49:25.16 ID:lnuG1OMu0
――翌朝 学校

男「友ー、おはよ……」

男「うわっ……暗っ……」

友「……ぉ……ょぅ……」

男「何言ってるか分からない! 昨日あれだけテンション高かっただろ!?」

友「あれな……ドッキリだったんだよ……」

男「哀れ過ぎる……」

友「今日、ずっとこんな感じだからよろしく……」

男「(面倒臭ぇ……)」

友「さぁ、授業が始まるぞー……?」

男「(本当に今日1日そんな感じでやるつもりだ……)」

男「(……ひとまず座ろう)」

491: ◆45r8PrbBts 2011/04/14(木) 21:28:24.52 ID:p1xWCRyV0
――放課後

男「友ー、気分はどうだー?」

友「幾分か良くなったよ。うん」

男「今度さ、スキーしに行かないか?」

友「す、すき……いかないか……?」

男「頭と心の病気か?」

友「冗談だ冗談」

男「良かった。冗談じゃなかったら友達の縁切ってたぞ」

友「スキーか……気分転換にいいかもしれないな」

男「少女も誘ってさ。どうする?」

友「行こう!」

男「朝とはテンションが大違いだな……」

492: ◆45r8PrbBts 2011/04/14(木) 21:33:55.23 ID:p1xWCRyV0


男「――という訳で、友とスキー行くことになった」

男「少女も来るか?」

少女『行きたい!』

男「そう言うと思ったよ」

男「日時は……うーん……今度の日曜日でいいか?」

少女『混んでないかな?』

男「どうかな……。友も俺も運動神経はイマイチだから、人の居ない場所で滑りたいと思うんだが」

少女『あー……。あたしもスキーはあんまり……』

男「なら丁度いいな。3人で転びまくろうか!」

少女『マイナス思考なんだかプラス思考なんだか……』

493: ◆45r8PrbBts 2011/04/14(木) 21:36:59.06 ID:p1xWCRyV0
男「じゃあ、友にもそう伝えておくよ」

少女『うんっ。楽しみだね、スキー!』

男「ああ。じゃ、電話切るぞー?」

少女『また後でね!』

男「おう」

男「……」

男「……『思い出作り』なんだけどな」

男「少しでも少女を楽しませたいというか……」

男「……うーん。分かんね」

男「スキーをしに行く日は……20日か」

男「大体1ヶ月経つんだな……」

男「早いなぁ」

494: ◆45r8PrbBts 2011/04/14(木) 21:43:32.56 ID:p1xWCRyV0



男「ただいまー」

少女「おかえり!」

男「帰るときに心配になったんだけどさ」

少女「うん?」

男「スキー板、あるか?」

少女「……ない」

男「……まあいっか。小学校のとき使ったのがまだ仕舞ってあったはずだから」

少女「とっといてるの?」

男「何だかんだで捨てられないんだよ。捨てたら駄目な気がする」

少女「……ふぅん」

495: ◆45r8PrbBts 2011/04/14(木) 21:47:55.93 ID:p1xWCRyV0
――少女 就寝後

男「……もしもし」

友『んー? どうしたー?』

男「スキーの件だけどさ。今度の日曜日で大丈夫かな?」

友『今度の日曜は……うん。大丈夫だ』

男「よし。体壊すなよ?」

友『お互い様だろ?』

男「ははっ……まあそうだな」

友『そうだ。少女ちゃんは滑れるのか?』

男「いや、あんまり……らしい」

友『なるほど……』

男「何でだ?」

友『転んじゃって涙目になってる少女ちゃんを想像したらちょっと、な』

男「…………」

友『じゃ、また明日な!』

男「…………」

男「……無視が……効かない、だと……」

499: ◆45r8PrbBts 2011/04/15(金) 21:41:08.88 ID:k0Q0SeSe0
――日曜日

男「酔った……気持ち悪い……」

少女「も、もうすぐで着くから我慢して……」

友「何で酔い止めの薬飲んでこなかったんだよ……」

男「何か、格好悪いと思って、だな……」

友「意味の分からない意地を張りやがって」

少女「外の景色でも見れば収まるよ……多分」

男「そ、そうする。……はぁ」

友「先が思いやられるな。少女ちゃん」

少女「仰る通りです」

男「敬語の少女って何か新鮮だな……」

少女「そ、外見ててよ!」

友「バスの中で大声出すなよ……?」

500: ◆45r8PrbBts 2011/04/15(金) 21:46:01.42 ID:k0Q0SeSe0
――到着

男「おぉー……」

少女「広いねー」

友「寒いっ」

男「厚着してるのにか?」

友「バスの中が暖か過ぎたんだよ」

男「俺はそれどころじゃなかったからな!」

少女「胸張って誇れることじゃないから!」

友「よし。とりあえず荷物を置いて早速滑ろうか!」

男・少女『おー!』

友「……お前ら本当に仲良いよなぁ」

男「そ、そんなわけ」

少女「ないの……?」

男「あります」

501: ◆45r8PrbBts 2011/04/15(金) 21:52:30.23 ID:k0Q0SeSe0


男「(い、板は八の字にしてゆっくりと。転んだら痛いぞ……)」

少女「リフト楽しみだな~」

男「え、えぇ……? 落ちそうで怖くないか?」

少女「ストックとかはたまに落ちてるけど……人が落ちるなんて滅多にないよ?」

男「そ、そうなのか?」

少女「うんうん」

男「…………で、でも不安だぁぁ……」

友「俺もちょっと怖いかな」

男「とか言いながら全然怖そうな素振りを見せない友冷静だな」

友「実際心臓がヤバイ」

少女「ばっくばく?」

友「ばっくんばっくんしてる」

506: ◆45r8PrbBts 2011/04/16(土) 21:37:15.86 ID:ncCcyCeE0


友「さ、リフト俺らの番だぞ?」

係員「この線の上に立って、膝を曲げでお待ち下さいー」

少女「リッフト♪ リッフト♪」

男「来た……! 破滅の道へと繋がるリフトが……!」

友「そんなに怖がるなら、何で来たんだよ!?」

男「なっ、ななな何でって」

少女「来たよ?」

男「うぇ? ……うわっ!?」

友「よいしょ」

507: ◆45r8PrbBts 2011/04/16(土) 21:41:11.90 ID:ncCcyCeE0
男「不意打ちは卑怯だろリフトさんよ……」

少女「男、緊張のせいでキャラ変わってない……?」

男「し、仕方ないだろ……? 高いし……」

友「高所恐怖症ってやつか」

男「恥ずかしながら高所恐怖症なんですね」

少女「高ーい……」

男「や、やめろっ! 足をぶらぶらするなぁ!」

少女「(これはこれで可愛いかも)」

友「本当に高いなぁ」

男「お前も身を乗り出すな! 揺れる!」

友「ビビりすぎだろ」

508: ◆45r8PrbBts 2011/04/16(土) 21:43:54.19 ID:ncCcyCeE0
少女「落ち着いた?」

男「なんとか……」

友「まだ時間があるな。しりとりでもするか?」

男「ん」

少女「いいよー」

友「しりとりの”り”からな。りんご」

少女「”ご……、ゴリラ!」

男「罵倒されたような感じだな……」

友「全国のゴリラたちに謝れ」

男「ごめんなさい全国のゴリラたち」

少女「本当にそれでいいの……?」

509: ◆45r8PrbBts 2011/04/16(土) 21:48:31.02 ID:ncCcyCeE0
男「ラッパ」

友「パセリ」

少女「”り”……りす」

男「スリッパ」

友「パリ」

少女「”り”……また”り”? うーん……理科!」

男「河童」

友「お前も”パ”ばっかりかよ!」

男「ふふふ」

友「んー……パラダイス!」

男「これは流行らないな。『んー……パラダイス!』」

友「いやいや、流行らせようとして言ったわけじゃないから」

510: ◆45r8PrbBts 2011/04/16(土) 21:51:28.03 ID:ncCcyCeE0
友「というか、もうすぐ降りる場所だぞ?」

少女「ああっ、せっかくリフトを満喫してたのに……」

男「あれ、これ左と右とで分かれてるが、どっち行けばいいんだ!?」

友「左が上級者コースで、右が初心者コースだから右だな」

男「よ、よし」

少女「それっ」

男「ぉぉおー……」

友「うん。さすが初心者コースと言ったところだな」

男「練習するにはもってこいだな!」

少女「じゃあ、れっつごー!」

514: ◆45r8PrbBts 2011/04/17(日) 21:52:34.94 ID:OB0OAWTK0
友「……男」

男「ん?」

友「よい、しょ!」

男「うわぁっ!?」

友「あんだけ怖がってたからな! 一番反応が面白そうだったからやってみた!」

少女「あらら……」

男「ちょっ、おいっ、友! 急に押すなあぁぁぁ……」

友「無茶しやがって……」

少女「あれ……、凄く綺麗なS字を描いて滑っていますが」

友「男は本番に強いタイブだから」

少女「へ、へぇ……」

515: ◆45r8PrbBts 2011/04/17(日) 21:55:52.16 ID:OB0OAWTK0


男「テメェ……。死ぬかと思った……」

友「半分反省してる」

少女「でも、綺麗なS字で滑ってたよ?」

男「少女。励まそうとしてるのは分かるが、ツッコむべきところはそこじゃない……はぁ疲れた」

少女「えっ?」

男「ああ……、いや、気にしなくていいよ」

友「さぁ、もう一回リフトだ!」

少女「おー!」

男「ま、待って……休憩させて……あっ、置いてかないで……」

516: ◆45r8PrbBts 2011/04/17(日) 21:59:07.83 ID:OB0OAWTK0
――帰り バス内

男「はぁ……疲れたな」

友「なかなか充実した休日だったよ」

男「一番楽しそうにしてた少女は……」

少女「すぅ……すぅ……」

友「寝てるな」

男「あれだけはしゃげば疲れるだろ」

友「だね」

男「満足そうな寝顔だよ。本当」

友「可愛いなぁ」

男「同感だ」

523: ◆45r8PrbBts 2011/04/19(火) 06:28:27.43 ID:ARh5SNZy0
友「……なぁ、男」

男「ん?」

友「どっから来たんだろうな」

男「……少女のことか」

友「うん」

男「俺もさ、その質問してみたんだよ」

男「どうやら本人にもあまり分からないらしい」

友「……なんだそりゃ」

男「でも、『家族がいる温もり』……だったかな? それを俺に届けにきたとか言ってた」

友「……夢みたいな話だな」

男「覚めてほしくないけどな」

524: ◆45r8PrbBts 2011/04/19(火) 06:36:17.69 ID:ARh5SNZy0
友「さ、この話は終わりだ。どうも暗い空気になる」

男「そだな」

友「……俺も眠たくなってきた」

男「寝ていいぞ」

友「ん。そうする」

男「着いたら教えるから。おやすみ」

友「おやすみ……」

男「…………」

男「…………」

男「(帰ったら寝るか)」

525: ◆45r8PrbBts 2011/04/19(火) 06:44:54.54 ID:ARh5SNZy0


『次は○○前ー。○○前ー。降りる方は――」

男「少女、友、そろそろ着くぞ?」

少女「ん……あれ、いつの間に寝てたんだろ……」

男「バスに乗ったらすぐだったぞ? 疲れてたんだろ」

少女「そっか。おはよ。男」

男「おはよ」

少女「早く家に帰ってお風呂に入りたいな」

男「もうちょっとの辛抱な?」

友「あれ? 俺空気じゃね?」

530: ◆45r8PrbBts 2011/04/20(水) 19:46:25.56 ID:ajNmjY3d0
――帰り道

男「じゃ、また明日なー」

友「じゃな」

男「……ふぅー。疲れたな、少女」

少女「お腹減ったぁー」

男「俺が飯作れなくてごめんな……?」

少女「いやいや、大丈夫だよ?」

男「そっか。手伝えることがあれば何でも言ってくれ。な?」

少女「うんっ」

531: ◆45r8PrbBts 2011/04/20(水) 19:55:59.60 ID:ajNmjY3d0


男「ただいまーっと」

少女「ただいまー」

男「二人で帰ってきたラサ、誰も『おかえり』って言ってくれないよな」

少女「そういえば……」

男「だからさ」

少女「うん?」

男「おかえり。少女」

少女「……ただいま。おかえり、男」

男「ただいま」

少女「ふふ。じゃあ、すぐにご飯作るね!」

男「ん。ありがと」

少女「(……凄く居心地がいい)」

538: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:22:06.43 ID:etqjuDPS0


男「ふぁぁ……ぁ。眠い……」

少女「お風呂入ったらすぐに寝ようね」

男「風呂の中で寝そうだ……」

少女「先に入る?」

男「いや、俺は後でいいよ」

少女「……そっか。じゃ、先に入るね」

男「んー」

男「……目が覚める一言を言ってくれるかと思った俺は死ぬべきだろうか」

539: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:28:28.61 ID:etqjuDPS0
――風呂場

少女「ふぅー……」

少女「いつもよりお風呂が気持ちいい……」

少女「……お風呂で寝る人の気持ちが分かった気がする」

少女「バスの中で寝たから、あたしは寝ないけど」

少女「そういえば、久々に男と外へ出かけたなぁ。友さんもいたけど」

少女「少し早いホワイトデーのお返しかな? ふふっ」

少女「少しでもなかったか」

少女「(……いーち にーぃ さーん――)」

少女「あがろ」

540: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:31:58.39 ID:etqjuDPS0
――リビング

男「Zzz……」

少女『男ー? 出たから準備していいよー?』

男「Zzz……」

少女『男? どしたの?』

男「Zzz……」

少女「おーとーこ!」

少女「うあっ、寝てる……」

男「Zzz……」

少女「まったく、もう……」

少女「男、お風呂入っていいよ。おーとーこー」

男「ん……」

541: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:38:06.65 ID:etqjuDPS0
男「あれ、俺どこで寝て――っておい! 少女! せめて着替えてから……」

少女「えっ、あっ、ご、ごめん! すぐパジャマに着替えるから!」

男「…………不覚にも目が覚めてしまった」

男「え、俺ってロリコンだったのか……」

男「……まぁいいか。あんな可愛い女の子と住んでたら仕方ないということで」

男「仕方ない、よな……?」

男「……風呂入ろ」

男「えーっと、パジャマとパンツ……」

男「……寒っ」

男「早く入らないと」

542: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:43:43.95 ID:etqjuDPS0
男「――っ!?」

少女「……え?」

男「ごっ、ごめん! なさ! すぐ閉めるから!」

少女『えっ、えっ、あの――』

男「しまった……。大失態だ……」

男「俺の部屋に少女の着替えを置いてあるのを忘れてた。うあぁぁ」

男「嫌われてもおかしくないぞ、これ……」

男「……はぁ」

男「今日は寝られるか……?」

少女『(心臓がどきどきしてる……)』

543: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:47:24.74 ID:etqjuDPS0
――風呂場

男「体の汚れと一緒に、さっきの記憶も流れてくれ……!」

男「それが無理なら、『このことは水に流そう』みたいな」

男「……アホか俺は」

男「湯船に使って溢れたお湯と一緒に……って、これはさっきも言ったか」

男「明日から気まずい生活を送るのかなぁ」

男「俺の失敗? だし仕方ないか」

男「(いち に さん――)」

男「出よ」

544: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:52:03.31 ID:etqjuDPS0
男「すぐ寝ようかな」

男「!」

少女「あっ」

男「そ、そのっ、さっきはごめん!」

少女「え、いや。気にしてないよ?」

男「だとしても、謝らないといけないような気がして……」

少女「大丈夫だから」

男「そ、そうか……?」

少女「うんっ」

男「じゃ、じゃあ……ありがとうございます……?」

少女「いえいえ」

545: ◆45r8PrbBts 2011/04/21(木) 06:56:13.64 ID:etqjuDPS0
――就寝時

少女「(今日は色んな出来事があったなぁ)」

少女「(疲れた。いい意味で)」

男「少女、寝たかー?」

少女「ううん。まだ起きてるよ」

男「そっか。俺はそろそろ寝るけどいいか?」

少女「なんで許可をとる必要が……?」

男「なんとなく」

少女「うーん。寝ていいよ?」

男「ありがと。おやすみ」

少女「(あれから約1ヵ月)」

少女「(横で大事な人が寝てる)」

少女「(男の横ではどんな人が寝ようとしてるんだろう)」

少女「……おやすみ。男」

男「Zzz……Zzz……」

549: ◆45r8PrbBts 2011/04/22(金) 06:46:31.52 ID:dohwpI1d0
――翌朝

男「痛ててて……普段から運動しておけばよかった……」

少女「あたしもだよ……いたた」

男「ふっ、ふとももが……! どっかに飛んでく……!」

少女「ふとももじゃなくて、痛いの痛いの飛んでいけばいいのに!」

男「あっ、今のうまい。座布団1枚」

少女「えっ、あっ、どうも……?」

男「さて、学校行く準備をしないと……いてて」

少女「あれ!? 放ったらかし!?」

550: ◆45r8PrbBts 2011/04/22(金) 06:51:48.63 ID:dohwpI1d0
――学校

男「おはよう……って、お前もか」

友「いやぁ、朝起きたら腹筋が痛くて痛くてさ。どっか飛んでいくかと思った」

男「俺と同じこと言ってんじゃねえよ」

友「?」

男「いや……腹筋じゃなくて痛いの痛いの飛んでいけばいいのにな……」

友「! 男それうまいな。座布団1枚」

男「(激しくデジャヴなんですが……)」

男「と、とりあえず俺はふとももがやばい。座る。楽。オーケー?」

友「オーケーオーケー。風呂オー……」

男「じゃな」

友「ケー……って! せめて最後まで聞いてから行って!」

551: ◆45r8PrbBts 2011/04/22(金) 06:59:01.16 ID:dohwpI1d0
――家


少女「ちょっと楽になったら暇になった」

少女「うーん」

少女「テレビでも見よっと」

テレビ『バレンタインデーにチョコをプレゼントしたそこの貴女!』

テレビ『来月14日は、女の子たちの楽しみな日! そう、ホワイトデー!』

少女「!」

557: ◆45r8PrbBts 2011/04/23(土) 08:42:03.44 ID:2nUXEUnm0
テレビ『ホワイトデーは、日本を含む東アジア特有の――』

少女「そ、そういう情報はいらないから!」

テレビ『ここ数年は、ホワイトデーに何も返さない男性が増加している傾向にあり――』

少女「なっ、何も……?」

テレビ『”気持ち”や”真心”で返すという男性も――』

少女「……よしっ。情報は集まった」

少女「でも……男って料理作れなかったよね」

少女「どうするんだろう……?」

558: ◆45r8PrbBts 2011/04/23(土) 08:45:59.31 ID:2nUXEUnm0
――学校

男「お前……まだ痛いのか?」

友「あぁ……痛い」

男「腹筋だったっけ」

友「うん。あと痛いからあんまり喋らせないでくれ」

男「ほー。そうか」

友「ニヤニヤしながら言うな。何企んでる……?」

男「布団がふっとんだ」

友「……くだらないな。ははっ……!?」

男「お腹痛いか?」

友「や、やめろ。下らなくても笑わせるな! ……大声出しても痛い」

男「暇だなぁ」

友「だからニヤニヤするな!」

563: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:28:05.69 ID:MEGUY8RJ0
男「……」

友「……」

男「……」

友「ぷっ……」

男「まだ何も言ってないぞ!?」

友「……ぉぅ」

男「……」

友「……」

男「……パンはパンでも」

友「ふ、ふふふふっ……腹筋痛いぃぃぃ」

男「筋肉痛超怖ぇ……。太ももだけで良かった」

564: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:31:14.22 ID:MEGUY8RJ0
友「てっ、てめっ! 卑怯だぞ!」

男「おっと、あまり大声を出すんじゃねえ。テメェの腹筋がどうなってもしらないぜ?」

友「……!」

男「はははっ、それでいいんだよそれで」

男「いいか。テメェの心臓の鼓動は俺次第なんだよ」

男「それを踏まえた上での言動をしろ。いいな?」

友「…………このノリやめない?」

男「あ? 誰に向かってそんな……」

友「ねぇ」

男「あ。はい。分かりました」

友「あと、声怖いから」

男「ごめんなさいでした」

565: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:38:31.31 ID:MEGUY8RJ0
友「あと、お前太ももが筋肉痛なんだっけ」

男「うん」

友「立ってるのもあれだろ。そろそろ座れよ」

男「ん。そうする」

友「じゃ、また後で」

男「んー」

友「そういえば」

男「?」

友「テストあるって言ってなかったか?」

男「えっ、本当?」

友「俺もさっき知った。小テストらしいから、問題は少ないはずだぞ」

男「把握した。頑張る。頑張れ」

友「あーい」

566: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:43:03.80 ID:MEGUY8RJ0


男「(ここは図書館で勉強したところだ……!)」

男「(……だけど)」

男「(答えが出てこない)」

男「(頭の中で音楽が流れてる……! 誰か止めてくれ!)」

男「(『たーらこー♪ たーらこー♪ たーっぷーりー♪』とか流れないで!)」

男「(駄目だ時間の無駄だ。次行こう)」

男「(『ウ』。『ウ』。『イ』。『ウ』。『ウ』)」

男「(だぁぁぁ! 不安になってきた!)」

567: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:47:05.60 ID:MEGUY8RJ0


友「どうだった?」

男「己の脳を恨んだ」

友「あれ、男って勉強はできたよな?」

男「途中でたらこの歌が流れてな」

友「あぁ……」

男「途中、ウが頻繁に出たところあっただろ?」

友「あったの?」

男「あったよ……多分」

男「で、不安になった」

友「なるほどな。ところで男」

男「?」

友「たーらこー♪ たーらこー♪」

男「や、やめろ! 停止停止!」

568: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:52:20.85 ID:MEGUY8RJ0


男「ということがあってだな」

少女「大変だったね」

男「まったくだ。いただきます」

少女「どうぞ召し上がれ」

男「……うん。今日も美味しいよ」

少女「いつも美味しいって言ってくれるよね? ありがと」

男「だって美味しいからな」

少女「嬉しいっ」

569: ◆45r8PrbBts 2011/04/24(日) 19:59:35.80 ID:MEGUY8RJ0
男「(しかし)」

男「(ホワイトデーどうしようかなぁ)」

男「(キャンディ、マシュマロ、クッキー……)」

少女「……?」

少女「どうしたの、男。おでこのしわが凄いよ?」

男「えっ?」

少女「……今日の晩ご飯、失敗しちゃったかな? ……ごめんね」

男「えっ、いやいや! 違う! 晩ご飯は美味しい! いや少女の作った料理は全部美味しい!」

男「そうじゃなく……。うーん……。今日のテストのこと、だな」

少女「良かった……。嫌われちゃったらどうしようかと思ったよ」

男「嫌わないって」

少女「そう?}

573: ◆45r8PrbBts 2011/04/25(月) 06:36:47.61 ID:GHu4YZVu0
少女「良かった」

男「(しかしホント)」

男「(こんな美少女が何で家に……?)」

男「(まぁ、本人が『家族の居る温もり』を俺に届けにきたって言ってたから)」

男「(理由はそれでいいか)」

男「(2ヵ月後には、この家からは居なくなってるんだし)」

男「(それに、俺はもう十分『家族が居る温もり』を味わえたような気がする)」

男「(朝起きれば横に大切な人が居て、ご飯を作ってくれる大切な人が居て)」

男「(帰ってくれば大切な人が居て、寝るときも……まぁ、大切な人がいて)」

男「(十分過ぎると思うんだがなぁ)」

574: ◆45r8PrbBts 2011/04/25(月) 06:41:12.51 ID:GHu4YZVu0
少女「……」

男「うーん……」

少女「……そんなに勉強のことが心配?」

男「ん? あー。うん。どうも集中できないんだよな」

少女「あれかな? 急な環境の変化のせいとか……」

男「1ヶ月も経ってるんだから、少女は関係ないと思うぞ?」

少女「でも……。もし迷惑をかけてると思うと……」

男「大丈夫だって。なーんも心配することないから」

少女「うん……」

男「心配してくれてありがとな」

少女「無理はしないでね?」

男「無茶はいいか?」

少女「だめっ……!」

男「はははっ」

575: ◆45r8PrbBts 2011/04/25(月) 06:48:11.62 ID:GHu4YZVu0
――2週間後

友「男よ」

男「ん?」

友「知ってるか? 今年のバレンタインデーとホワイトデーは、それぞれが月曜日だ」

男「あー。そういえばそうだな」

友「そのホワイトデーに問題が生じた」

男「どんな」

友「俺は、その……トラウマになったが、ドッキリだっただろ?」

男「ああ……。そんなこともあったな」

友「そんなことっ」

男「あ、ああ。ごめんごめん」

576: ◆45r8PrbBts 2011/04/25(月) 06:51:22.59 ID:GHu4YZVu0
友「で、だ」

友「俺はどうしたらいい?」

男「…………は?」

友「いや。だから俺はどうしたらいい? って訊いてるんだが」

男「えっ? どうしたらってどういうこと?」

友「だからさ、色々あるだろ! ドッキリし返すとか!」

男「あ、じゃあそれでいいんじゃないか?」

友「ドッキリやり返すの?」

男「うん。というか相手は誰だったんだよ」

友「女子」

男「マジか」

友「マジなんですね。これが」

577: ◆45r8PrbBts 2011/04/25(月) 06:54:00.60 ID:GHu4YZVu0
男「えっ、あの俺に嫌がらせっぽいのをしてきた女子?」

友「そう」

男「え? ……えー?」

友「何だよ! 文句あるかよ!」

男「いや、文句はないが……。なんだかなぁ」

友「え、もしかしてお前、女子のこと……」

男「それはない」

友「じゃあ少女ちゃんか?」

男「ばっ、ちっ、違うわ!」

友「狼狽え方が違いすぎるだろ」

585: ◆45r8PrbBts 2011/04/26(火) 06:54:44.56 ID:SFsfI4ce0
友「まぁ、この話は後々よーく話してもらうことにして」

男「自分に都合が良い方向で自己解決しちゃったよこの人」

友「気にするな」

友「話を戻そう」

友「やり返して痛い目見させるってことでいいかな」

男「うん……まあ、いいと思う」

友「よし。ならプランを立てよう」

男「プラン?」

友「ドッキリ番組でも何でも、打ち合わせするだろ?」

男「ん。まぁ」

友「それだよそれ。どんな場所でどんな感じにドッキリを……みたいな」

男「なるほど」

586: ◆45r8PrbBts 2011/04/26(火) 07:00:19.30 ID:SFsfI4ce0


友「おさらいするぞ?」

男「はーい」

友「決行日は3月14日の月曜日。つまりホワイトデーだ」

男「まあ当然だな」

友「ターゲットは、例の女子」

男「うむ」

友「最初はこうだ。男が女子を図書館に呼び出す」

友「男は来ず、代わりに俺が行く」

友「場所を移動して、包装した箱を女子に渡す」

友「開けると」

587: ◆45r8PrbBts 2011/04/26(火) 07:05:31.74 ID:SFsfI4ce0
友「ラヴレターが入っている」

男「ヴ?」

友「ヴ」

男「ヴなの?」

友「うん」

男「あぁ、そう……」

友「で、ハートのシールを剥がし、中身を見ると」

友「『よくも騙してくれたなこの野郎』とか書いた紙が出てくる」

友「終了だ」

友「いいか、これはお前の協力無しじゃ成功しない」

男「ところで」

友「?」

男「何で俺が呼び出すの?」

友「より一層イライラさせる為」

男「おい」

588: ◆45r8PrbBts 2011/04/26(火) 07:11:48.82 ID:SFsfI4ce0
友「楽しみだなぁ。ふふふふふ」

男「……じゃ、俺座るわ」

友「おう。……ふふっ、ふふふふふ」

男「(友が壊れた)」

男「さて、帰るか……ん」

男「! ハートのシールが付いている……手紙!」

男「え? マジで? 誰からだ?」

男へ
悪い、中身だけ違う紙にして、お前が文章書いてくれ!
文章の内容は俺が考えるから!
お願いします字の綺麗な男さん!
友より

男「……アイツかよ」

男「というか何で字が汚いと駄目なんだ」

589: ◆45r8PrbBts 2011/04/26(火) 07:18:47.27 ID:SFsfI4ce0
――数時間後 家

友『じゃあ、今から言うぞ?』

男「んー」

友『よくも騙しやがったなこの野郎』

男「よーくーもー……いいぞ」

友『アンタのせいで俺がどれだけ傷付いたか分かってるのか』

男「…………次」

友『これに懲りて反省しろ! ……こんなもんかな』

男「…………よし。じゃ、明日お前に渡しておくわ」

友『あ、シールは剥がしておけよ? 勘違いされると困る』

男「俺もだ」

友『じゃ、また明日』

男「んー」

男「さて……」

男「友の文章を書いた紙は捨てよう」

593: ◆45r8PrbBts 2011/04/27(水) 07:01:55.89 ID:LVQ8wNTQ0
男「あー……でも捨てるとゴミ出すとき少女にバレそうだな」

男「うーん……」

少女「呼んだ?」

男「!? よ、呼んでない呼んでない」

少女「? そっか」

男「……」

男「よし、作業に戻ろう」

男「友は偽ラブレターを注文してたが、ここは真ラブレターにしてやろう」

男「友から渡された女子は驚き、友も驚く。悪い意味で」

男「友の怒りの矛先が俺に向かないように、ギリギリまで真ラブレターを封筒に入れない」

男「よし完璧!」

594: ◆45r8PrbBts 2011/04/27(水) 07:06:44.43 ID:LVQ8wNTQ0


男「こんなもんかな?」

単刀直入に言います。
僕は、あなたのことが好きです。
あなたが僕のことをどう思っていようが、この気持ちは揺らぎません。
どうか、返事をお願いします

男「……これくらいストレートに書けば伝わるだろ。うん」

男「友の反応が楽しみだ……ふふふ」

少女『男ー、ご飯出来上がったよー!』

男「んー! 今行くー!」

595: ◆45r8PrbBts 2011/04/27(水) 07:11:48.43 ID:LVQ8wNTQ0
男「ごちそうさまでした」

少女「美味しかった?」

男「それはもう。美味でした!」

少女「ふふっ、ありがと♪」

男「!」

男「(最近どうも……少女の笑顔を見てると……)」

少女「あ、お風呂貰っていいかな?」

男「あ、ああ。いいよ」

少女「ありがと! パジャマパジャマ……」

男「……テレビでも見るか」

時間過ぎてますが、書きたい箇所があるので続けます。

596: ◆45r8PrbBts 2011/04/27(水) 07:14:53.25 ID:LVQ8wNTQ0
少女「~♪」

少女「? 何だろこの紙……」

少女「単刀直入に言います」

少女「僕はあなたのことが――!?」

少女「ええっ!?」

少女「これはどう考えても男の字……だよね。うん」

少女「えっ、えっ」

少女「こっ、言葉が出ない……」

少女「男が、ラブレターなんて……」

少女「そんなぁ……」

601: ◆45r8PrbBts 2011/04/28(木) 07:21:13.30 ID:2MOQDYPU0
少女「まあ……当たり前かな」

少女「突然家に転がり込んでるんだもんね」

少女「それに、男には男の付き合いがあるんだし」

少女「……仕方ない、か」

少女「…………仕方ないのに……何で涙なんか……」

少女「上がったよ」

男「ん。じゃあ俺入るわ」

少女「うん……」

男「……?」

602: ◆45r8PrbBts 2011/04/28(木) 07:25:40.45 ID:2MOQDYPU0
少女「そっか。表情とか行動に出したら駄目だ」

少女「この気持ちはずっと気持ちのままでないと」

少女「病も気から来るんだ。気をしっかり持て少女!」

――風呂場

男「さっきの少女の様子……どこかおかしかったよな」

男「調子でも悪いのかな」

男「いや、しかし帰ってきたときは元気だったしな……」

男「まあ、そのうち原因は分かるだろ」

男「分かったら潰していく以外にないしな」

603: ◆45r8PrbBts 2011/04/28(木) 07:30:02.60 ID:2MOQDYPU0


男「少女、そろそろそろそろそろ寝るぞー?」

男「……少女?」

男「居たら『そろが多いよ!』って言ってくれ」

男「……?」

男「もしかしてもう寝てるとか?」

少女「ずずっ……はぁ、すぅ……すぅ……」

男「やっぱりか。というか鼻詰まってるのか?」

男「……っ!」

男「何で……」

男「何で泣いてるんだよ……」

604: ◆45r8PrbBts 2011/04/28(木) 07:36:10.35 ID:2MOQDYPU0
男「何か思い当たる原因……」

男「ううん……」

男「一つあった」



男「やっぱりか」

男「さっき書いた手紙に涙の跡付いてるしな」

男「……明日ちゃんと説明してやろ」

男「そろそろ寝るか」

男「なぁ少女」

男「ごめん。ごめんな」

男「もっと気を配るべきだった」

男「だからさ。手ぇ握るぞ? いいか?」

男「返答を待たずに握ってやったよ」

少女「ぅん……えへ……」

男「途端に笑い出しやがって……可愛いやつめ」

男「まったく…………」

男「……Zzz」

608: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:06:14.01 ID:MnVt6kuw0


男「……んん」

男「……あれ、何時だ……」

男「3時か」

男「……二度寝する前に、ちょっとトイレ行こ」

男「……? そういえば少女が居ない」

男「どこ行ったんだ、こんな時間に」

男「外には行ってないよな。多分」

男「少女、どこにいるー?」

609: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:13:33.07 ID:MnVt6kuw0
男「とりあえずトイレ行ってから探すか……」

男「電気電気……。……ん?」

少女「ひぐっ、ぅぅ……」

男「うわあっ!? ……って、少女かよ。何してるんだ。というか何で泣いてるんだ」

少女「男ぉ……」

男「な、なに」

少女「おーとーこー!」

男「え、ちょ、抱きつくな! パジャマに涙と鼻水が付く!」

少女「おとこおとこおとこおとこぉ……ずずっ」

男「お、落ち着け! 事情を話してくれ! あと俺を離してくれ!」

610: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:21:16.38 ID:MnVt6kuw0
少女「あ、あのね」

男「うん。何だ」

少女「泣いてるのはね、男のせいだよ」

男「何となく気づいてる」

少女「男の人生は男が決めるものだって分かってるのに……」

男「うんうん」

少女「どうしてもね……もう、何言えばいいんだろ」

少女「あと2ヵ月、どう過ごせばいいのか分かんないよぉ……」

男「……おい」

少女「ひっ……ご、ごめんなさっ!」

男「――それは言わない約束だったろ……この馬鹿」

少女「(おっ、男が抱きしめてる……!?)」

611: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:29:56.71 ID:MnVt6kuw0
少女「お、おとこ……?」

男「あの手紙はな、この雰囲気ではあまり言いたくないけど、友のドッキリ用の道具だ」

男「(本当は『友への』だけどな)」

少女「じゃ、じゃああれは……?」

男「全部ウソ」

少女「ウ、ウソ……」

男「そう。英語で言えばライだ」

少女「ふ、ふぁぁぁ……」

男「ずいぶん間抜けな声だなおい……って寝てるし」

男「どんだけ安堵してるんだよ」

男「はぁ、鳩尾と肩が少女の涙と鼻水でびちゃびちゃだ」

男「永久保存したいが……常識的に考えてそれはダメだろ」

男「…………尿意がどっかいっちゃったし」

男「よっこらせっ……って力むほど重くないし」

男「今寝室まで運んでやるからなー」

612: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:39:11.05 ID:MnVt6kuw0
――朝

男「いただきます」

少女「……めしあがれー」

少女「(別の意味で気まずい!)」

男「……なぁ、少女」

少女「な、なに?」

男「あれが偽者って知って、めちゃくちゃ安心したろ」

少女「別にっ!」

男「ふふっ」

少女「な、なにさ」

男「ほんと、可愛いなぁ」

少女「か、かわっ!? ええっ!?」

613: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 18:47:07.98 ID:MnVt6kuw0
――6日後

男「……決戦だな」

男「(俺の)」

友「ああ、決戦だ」

男「(バレたら血戦になるがな)」

友「手紙はあるか?」

男「ああ、バッチリだ。ほれ」

友「…………うむ」

男「それでいいか?」

友「助かった。ありがとう」

男「おう」

友「じゃあ、また放課後に頼むぞ?」

男「俺が呼び出すんだっけか?」

友「うん。任せた」

男「任された」

616: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:07:36.38 ID:MnVt6kuw0
――1限目終了

友「ううっ、トイレトイレ……!」

男「(今だっ!!)」

男「(よし……俺はやってみせた……)」

男「(手紙をすり替えることに成功した!)」

男「(エイドリアーンッ!)」

男「よしっ、次だ」

男「女子さん」

女子「……何だ」

男「今日の放課後、図書館に来てくれませんか?」

女子「あ? 何で……」

男「いや、あの、ちょっとお話をしたいなぁと……」

女子「……アイツも来るか?」

男「アイツ?」

友「ふぃー」

女子「アイツだよ」

男「あぁ、あれか」

友「アイツはいいとして、あれって何だよ! 代名詞は嫌だよ!」

男「そこかよ」

617: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:21:32.38 ID:MnVt6kuw0
男「(どうする……友の中の計画が早くも崩れてきている)」

男「と、友。ちょっと来てくれ」

友「ん」

男「おい、どうする?」

友「仕方がない。最初は二人で行くということにしよう」

男「それしかないな」

女子「おい、何話の途中でどっか行くんだよ」

男「あ、ああ。ごめん」

友「じゃ、女子」

女子「……何だ」

友「放課後、図書館にこい」

女子「……チッ。仕方ねぇ行ってやるよ」

友「ん。サンキュ」

618: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:27:34.57 ID:MnVt6kuw0
男「……なぁ」

友「?」

男「女子って人、前より大人しくなったと思わないか?」

友「この間、髪も黒に戻したしな」

男「何か心情の変化でもあったか?」

友「さぁ。俺には分からん」

男「まぁ当然だな」

男「しかし、よくお前あんな強気で居られるな。怖くないの?」

友「別に?」

男「何で?」

友「幼馴染だから」

男「幼馴染……だと?」

友「そ、そんな不思議なもんか?」

男「幼馴染というポジションにいる人が本当に存在してたとは……」

友「あぁ……何かごめん」

619: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:33:34.02 ID:MnVt6kuw0
――放課後

女子「あれ、男とかいう奴はどうしたよ」

友「急用を思い出したって帰った」

女子「何だその在り来たりな言い訳……」

友「そ、そのだな。これ、やるよ」

女子「? 何だこれ」

友「いいから」

女子「箱と? んなっ、な、な……ハートのシールが付いてる手紙ってどういうことだオイ!」

友「そ、そういうことだっつの」

女子「え、ええー……」

友「何だその反応は!」

女子「よ、読むぞ?」

友「おう」

友「(あれ、俺演技上手くね?)」

女子「……!」

620: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:39:32.00 ID:MnVt6kuw0
女子「お、お前……! 幼馴染だぞ私は!」

友「そんなの関係ねえ! お前のせいだ!」

女子「で、でもだな!」

友「じゃあな! 真摯に受け止めろ!」

女子「お、おい!」

女子「……」

女子「……何なんだよ」

女子「アイツが私を好きだなんて……」

女子「よりによって友のこと気になりだしてたときに……!」

女子「これは、あれか?」

女子「黒髪に戻して、口調とか態度にも気をつけてるからか?」

女子「……気をつけても悪いものは悪いか」

女子「しかし……アイツがなぁ」

女子「ふふ」

621: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:48:41.53 ID:MnVt6kuw0
――夜

男「ただいまー」

少女「おかえり!」

男「ほら、バレンタインのお返しだ。マシュマロ」

少女「やたっ! ありがとう!」

男「りょ、料理作れないから売り物だけどな……」

少女「男がくれたっていう事実と、照れくさそうにしている男が居れば十分だよ♪」

男「て、照れてない!」

少女「あははっ」

男「……まったく」

男「(少女のほっぺがマシュマロみたいだから選んだとは言えない)」

622: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 19:53:08.40 ID:MnVt6kuw0
――翌日の夜

友『なぁ、男よ』

男「何だー?」

友『今日さ、女子の機嫌が明らかに昨日と違った』

男「大成功だな!」

男「(恋愛的な意味で)」

友『いや、それがな。怒ってる様子じゃないんだ』

男「……というと?」

友『なんだろう……ツンデレチックというか』

男「やったじゃん」

友『ま、まぁ顔は整ってるし、幼馴染だから知ってることとかもあるから別にいいんだけどさ』

男「やったねやったね。うん。お疲れ様。おやすみ」

友『えっ、ちょっ、待―-』

男「完全に女子は友に惚れました。本当にありがとうございました」

625: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 20:09:53.19 ID:MnVt6kuw0
――2週間後 夜

友『おい!! 男!! どうしようどうしよう!! ふじこだよふじこ!!』

男「うるっせえ!! もうちょい小さい声で話せ!!」

友『そ、そそっ、そんな場合じゃないんだよぉぉ!!』

男「ああもう声が大きい! 良いたいことは何だ簡潔に話せ!」

友『女子に告白された』

男「……」

友『……』

男「え?」

友『ん?』

男「ごめん、聞こえなかったからもう一回言って?」

友『女子に告白された』

男「……」

友『……』

男「え?」

友『ん?』

男「えええええっ!?」

626: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 20:13:05.46 ID:MnVt6kuw0
男「え、どういうこと?」

友「そのまんま。俺でも驚きだ」

男「へぇ……あの女子がお前に告白とな」

友「そうなんだよ」

男「いやぁ、しかしあの女子がね……」

友「そろそろ反芻はやめろ。俺も恥ずかしい」

男「ちょい、経緯を教えてはくれまいか」

友「いいのか?」

男「ああ」

友「かれこれ48時間は掛かるぞ?」

男「やっぱいいや」

友「冗談だ。話そう」

628: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 20:19:40.97 ID:MnVt6kuw0
友『実はな……』

――同日 学校

女子「お、おい友」

友「ん、なんだ」

女子「きょ、今日の放課後暇か?」

友「まぁ予定ないから暇だな」

女子「この間のお返しをしてやるっ、来いよ!」

友「お、お返し?」

女子「分かったか!?」

友「あ、あぁ……」

女子「絶対だからな!」

友「ドッキリしますって事前に言っていいのか?」

友「まあいいか……放課後行ってみれば分かるだろ」

629: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 20:44:18.81 ID:MnVt6kuw0


友「で、お返しって何だよ?」

女子「そ、そのだな」

友「(ドッキリするのにこんなに緊張するか?)」

女子「とっ、友!」

友「な、なんだよ」

女子「わ、私。お前のこと好きだ!」

友「……ぱーどぅん?」

女子「この間、私を叱ってくれただろう。そのときから……」

友「そ、そんな兆しは無かったぞ!?」

女子「家に帰ってよくよく考えてみたんだ」

友「ええー……」

630: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 20:54:08.12 ID:MnVt6kuw0
女子「とどめはこの間のホワイトデーだ!」

友「……あれか」

女子「あれでもう決まった! 何て言うか決めて、今日言った!」

友「お、おぉ……そりゃお疲れ様でした」

女子「へ、返事聞かせてほしい」

友「(やっぱりドッキリだった!! ドッキリというかドキドキしてるし!!)」

友「(え、いや、でも……。楽しい高校ライフを送るためには彼女とかも必要、だよな。うん)」

友「(それに、前の一件があったとはいえ嫌いではないし……)」

友「(むしろ幼馴染なんて最高じゃねえかおい)」

女子「だ、黙るなよぉ」

友「お、俺も……だ」

友「(言っちゃった。心臓仕事しすぎ)」

女子「そ、そうか! ありがとう! 今からお前は私の彼氏だ!」

631: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 21:01:37.84 ID:MnVt6kuw0
――

友『という訳なんだ』

男「急展開すぎるだろ」

友『なぁ、俺どうすればいい?』

男「デートでもすればいい」

友『で、でもなぁ。なんか恥ずかしいぞ』

男「まぁ、少女にも伝えておくよ」

友『本気か!?』

男「本気本気。ということで初彼女おめでとう。またな」

友『え、あ。おい――』

男「少女ー」

少女「なあに?」

男「友に彼女ができた」

少女「!?」

632: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 21:07:18.49 ID:MnVt6kuw0
少女「本当に?」

男「うん」

少女「お相手は?」

男「前に俺を殴った人居たじゃん」

少女「うん」

男「その人」

少女「女の人だったの!?」

男「うん」

少女「情けない……男として恥ずかしくないの?」

男「恥ずかしかったよ! 全員こっち見てるんだぞ!?」

少女「恥ずかしさの方向が違うよ。っていうか今はその話じゃないか……」

633: ◆45r8PrbBts 2011/04/30(土) 21:14:56.07 ID:MnVt6kuw0
男「あの手紙を読んだら、友に惚れちゃったそうだ」

少女「ってことは、男は恋のキューピット?」

男「信じたくないが、そうなる……」

少女「へぇ……」

男「な、なんだよ?」

少女「ふっふふー、べっつにー?」

男「何が『べっつにー』だよ。教えろよー」

少女「気になって眠れぬ夜を過ごしなさい!」

男「うわっ、それはいやだ……!」

少女「はっはっは! あたしはぬるめのお風呂に入って安眠する!」

男「俺も入るし!」

639: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 14:12:33.60 ID:ZnTff3iC0
――4月1日 朝

少女「おとこおとこっ!」

男「ん?」

少女「今日はいくら嘘をついてもいい日なんだってね!」

男「悪意のある嘘は駄目だけどな」

少女「楽しそうだよね!」

男「もう十数回経験してるしなぁ……嘘の内容なんてたかが知れてるよ」

少女「おとこおとこ」

男「なんだー」

少女「男なんて大ッ嫌い!」

男「!? ……悪意のない程度でどうか頼む」

640: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 14:16:30.65 ID:ZnTff3iC0
男「……待て。今のが嘘ということは、つまり……」

少女「あっ」

男「ほぉ……そうだったのか」

少女「ち、ちがっ」

男「あれ、違うの?」

少女「いや、違くないけど!」

男「なんだ、違わないのか。そうかそうか」

少女「う、うぅ……!」

男「少女、俺もお前が大ッ嫌いだ」

少女「えっ、それって」

男「さて、学校行く準備するか」

少女「逃げるなー!」

641: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 14:22:11.14 ID:ZnTff3iC0
――学校

友「男……」

男「またドッキリか?」

友「ドッキリだと嬉しい。女子の奴に『大ッ嫌い』って言われた……」

男「お前……」

友「俺、なんか嫌われることしたかなぁ……」

男「さぁ。お前も言ってやれよ。『俺も嫌いだ』って」

友「どうして!」

男「友」

男「今日は4月1日。エイプリルフールだ」

友「それがどう――、え、ああ。そういうこと?」

男「そういうこと」

友「え、俺って幸せ者じゃん」

男「うん。お幸せに」

642: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 14:29:53.44 ID:ZnTff3iC0
――その頃 家

少女「へぇ……」

少女「エイプリルフールって、ニュースも嘘つくんだ」

少女「何だか日本全部がふざけてるみたい」

少女「そういうあたしも楽しんでるんだけどね」

少女「男も今頃、学校で嘘ついてるかな?」

少女「それともつかれてたりして」

少女「勘が鋭い男は、適当に流してたりして」

少女「……簡単に想像できるから凄い」

少女「……そういえば男のことばっかり考えてるな」

少女「そっ、そろそろお昼ご飯食べよう」

643: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 14:54:18.69 ID:ZnTff3iC0
――男 帰宅

男「ただいま」

少女「おかえりなさい!」

少女「今日、どうだった?」

男「? どうだったって?」

少女「学校だよ。嘘ついた?」

男「いや、ついてないな……。友はつかれてたけど」

少女「友さんが?」

男「うん。アイツの彼女がお前と同じ嘘ついてたぞ。『大ッ嫌い』って」

少女「あらら……」

男「しかもエイプリルフールってこと忘れてた」

少女「あらららら……」

644: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 15:07:55.75 ID:ZnTff3iC0
男「なぁ」

少女「?」

男「今朝のさ、お前の嘘。あれ、本当にドキッとしたからやめてくれよ?」

少女「そういうこと言われると、やりたくなるのが人間の性だよ?」

男「そういえばそうだったな」

少女「男」

男「覚悟は出来てるぞ?」

少女「でも言う。嫌い」

男「……」

少女「今日はエイプリルフールだから、怒っちゃ駄目だよ?」

男「ちなみに、嘘をついていいのは正午までだ」

少女「えっ」

645: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 15:12:06.47 ID:ZnTff3iC0
男「俺も去年知ったんだけどな」

少女「えっ、つまり……」

男「お前が言った『嫌い』は本当ということになるな」

少女「そ、そんなつもりじゃ!」

男「残念だったな。嘘だと信じたい」

少女「う、嘘嘘! 大嘘!」

男「あれ、嘘だったの?」

少女「うんうんうんうん」

男「そっか、ならいいや。自分から『好き』って言ってるようなもんだからな」

少女「あ、朝に続いてまたまた……」

男「………………相思相愛かよ」

少女「えっ?」

男「何でもない」

649: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:19:05.05 ID:ZnTff3iC0
――2日後 朝

少女「男ー」

男「んんー?」

少女「お昼ご飯の食材買いに行こ?」

男「ん、余り物はないのか?」

少女「ほら、冷蔵庫の中がすっからかん」

男「おぉ……」

少女「ということで、行こう?」

男「んー、分かった。行こっか」

少女「よしっ、出かける準備するね!」

男「俺もしなきゃな」

650: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:24:40.17 ID:ZnTff3iC0


少女「よし、れっつごー!」

男「ごー」

少女「もっと元気良く!」

男「う……、ご、ごー!」

少女「よしっ」

男「4月になったっていうのに、まだ肌寒いな……」

少女「ね、ねえ」

男「ん?」

少女「手!」

男「俺はイヌか?」

少女「そ、そうじゃなくて! 手繋ごうよってこと!」

男「最初からそう言えばいいのにな。ほれ」

少女「♪」

651: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:28:59.97 ID:ZnTff3iC0
少女「(これで周りからは恋人同士として見られてるのかな……?)」

男「(これで知ってる人に会ったらどうするか……)」

少女「(ごつごつしてて大きくて、頼もしい感じ)」

男「(柔らかくて小さい手だ。暖かい)」

少女「(気まずいなぁ……)」

男「(気まずい……)」

少女・男「あのっ」

少女・男「あ、どうぞどうぞ」

男「……」

少女「……」

男「あ、じゃあ俺から話すよ」

男「今日、何買うんだ?」

652: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:37:43.48 ID:ZnTff3iC0
少女「ええと……」

少女「油・卵・牛乳・お野菜。そだ、ミニトマトも買おう。あとお肉とお魚!」

男「なるほど……ミニトマトを買うということは?」

少女「サラダだね」

男「ド、ドレッスィング! ドレッスィングは家にあったかっ!?」

少女「あったあった」

男「よし。いくらでも食べてやろう」

男「もちろん、ドレッシングなんか無くても少女の作ったのなら美味しいけどな」

少女「ありがとっ」

男「そういえばさ」

少女「?」

男「久しぶりに二人きりで出かけたよな」

少女「あー、そういえばそうだね」

男「お荷物お持ちしましょうか」

少女「ああ、たのむ」

男「ぎょいー」

653: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:44:00.19 ID:ZnTff3iC0
――ちょっと前

友「いつの間に家族公認になってたんだが、どういうことだろう?」

友「しかも同棲することになってるし」

友「同年代の男女が同じ屋根の下で過ごすのって大丈夫なんですかね」

女子「ごちゃごちゃ言ってないで、食材買いにいくぞ!」

友「しかも女子が料理を作れるとは……。俺も作れるのに……」

女子「なんとなく私が作ったほうが自然だろう?」

友「まぁ、そうなんだがな……」

女子「友っ! 寒いだろ? 手ぇ繋ぐぞ! 手!」

友「手、手ぇ!?」

女子「ああそうだ!」

友「え、あ、えー……じゃ、失礼します」

友「……あったか」

女子「友の手もあったかいぞ」

654: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 18:49:46.38 ID:ZnTff3iC0
友「(ああ……どうしてこうなった)」

女子「♪」

友「(……まあいいか。嬉しそうだし)」

友「……?」

少女「―、――」

男「――」

友「(あ、あれは男と少女! 見つかったら絶対茶化されるぞ!)」

女子「あ、男とかいう奴じゃんか」

友「うぇ!?」

男「あれ、友……と、女子さん」

少女「おはようございます!」

656: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 19:10:07.90 ID:ZnTff3iC0
女子「なんで男がこんなところに……」

男「あ、ああ買い物ですよ」

男「(やっぱりこの人苦手だ……)」

男「そ、そちらは?」

女子「見ての通り、友とデートむぐっ」

友「かっ、買い物だよ買い物!」

男「なんだ、そっちもか」

友「あれ、男と少女も?」

少女「はい!」

男「しかし、何で買い物に二人で行くんだ?」

女子「同棲してるからだ……察しろ」

男「おおう……ツンツンだな。友に対してもそうなのか? というか同棲だって?」

友「おわた」

657: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 19:19:47.15 ID:ZnTff3iC0
男「え、友と女子さんが同棲?」

友「そうだよ! 気づいたら家族公認だったんだよ!」

男「同年代の男女が同棲とは些か不安を覚えるな……」

友「だよね!? ほら! 男もこう言ってるぞ女子!」

女子「世間の常識にとらわれてたら自分の力を100%発揮できないだろーが」

男「漢ですね」

女子「まあな」

友「もうこの話はやめよう! めでたしめでたし!」

男「え……おめでたなの?」

友「違あああう!」

女子「……ぽ」

友「女子も女子で頬を赤く染めんな! あと口で『ぽ』とか言うな!」

少女・男「盛り上がってきた」

658: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 19:25:51.00 ID:ZnTff3iC0
友「というか、そっちも同棲してるだろ……?」

男「まあな。でも俺には屈強な精神がある」

友「本当か……? なぁ少女。男に変なことされてないか?」

男「おい、友っ」

少女「変なこと?」

少女「うーん……」

友「わくわく」

女子「場合によっては通報だな」

男「してない……と信じたい」

少女「変なことかは分からないけど、あたしが泣いたとき抱きしめてくれた」

男「こ、ここでそれを言うかっ!」

友「女子、通報よろしく」

女子「ん」

男「そして待て!」

少女「イヌ?」

男「ちっがう!」

女子・友「盛り上がってきた」

659: ◆45r8PrbBts 2011/05/01(日) 19:34:40.23 ID:ZnTff3iC0
――帰宅

男「はぁ……買い物ってこんなに疲れるのか。一つ勉強になった」

少女「いや、普通は息が切れるほど疲れないから……」

男「ったく、あの場面であんなこと言う少女も少女だぞ?」

男「かなり友にいじられたし、恥ずかしかったんだからな」

少女「あたしもよく考えればあれは無かったなと思う。反省」

男「まったく……」

男「あ、そうだ」

少女「?」

男「手、握ってくれるか?」

少女「えっ、手?」

男「お前の手って安心するんだよな。頼む」

少女「ん……は、はいどうぞ」

男「ありがとー」

少女「えへへっ」

男「お前もまんざらじゃないだろ?」

少女「まあね♪」

【少女と出かけて友カップルとエンカウント 完】

665: ◆45r8PrbBts 2011/05/02(月) 21:14:59.01 ID:2VkIEpen0
――同日

男「はぁ……」

少女「んー……」

男「なーんもすることないなー……」

少女「そーだねー……」

男「……」

少女「……」

男「こんな休日は駄目だ!」

少女「うわっ!?」

男「友たちの家に行くぞ!」

少女「え、そ、そんないきなり!?」

男「さぁ、外へ出る準備をするんだ!」

少女「え、えーっ!?」

666: ◆45r8PrbBts 2011/05/02(月) 21:21:48.33 ID:2VkIEpen0


男「というわけで、来ちゃいました」

友「お、おまっ、アポ無し訪問かよ!?」

男「暇だったんだ。許してくれよ」

友「え、いや、だけどなぁ」

男「……もしかして、訪問されて都合の悪いことでもしてたのか?」

友「しっ、してないしてない!」

男「今だ少女! 家の中へ潜り込め!」

少女「いえっさー!」

友「しまっ――」

男「ナイスだ少女!」

667: ◆45r8PrbBts 2011/05/02(月) 21:31:55.09 ID:2VkIEpen0
女子「なんだ騒がしい……って何やってる」

男「お邪魔……しようと、してま……っす!」

友「何かお前は家に入れたくなぃぃ……!」

男「よっ」

友「うわっ!?」

女子「男っていう生き物は馬鹿だなぁ」

男「そんな力で押してたら引くしかないだろ」

友「お前、昔っから頭はいいよな男……」

男「……お前は昔っから馬鹿だよな」

少女「あの、そろそろ構ってほしい……」

男「え?」

少女「馬鹿……」

男「あ、あああごめん!」

668: ◆45r8PrbBts 2011/05/02(月) 21:40:30.44 ID:2VkIEpen0

友「……で、何しに来たんだ?」

男「いや、友の同棲生活を拝見しに来たでござる」

友「特に予定は?」

男「ない!」

友「キッパリだな」

女子「少女ちゃん……だっけ? よろしくね」

少女「女子さんよろしくお願いします!」

女子「……私も少女ちゃんも馬鹿な彼氏だからね、共感するところはいっぱいあると思うよ?」

少女「か、かれし!? まだそんな関係じゃ……!」

女子「あれ、違うの?」

少女「ち、違いますよ」

女子「でも好きなんでしょ?」

少女「え、ま、まぁ……」

友「触らぬガールズトークに祟り無し」

男「大人しくしてるしかなさそうだな」

672: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 21:38:03.21 ID:09c0BetB0
男「そういえばさ」

友・女子・少女「?」

男「全員同じ顔してこっち向くな怖いから……」

男「前、少女と二人でトランプしたことあっただろ?」

少女「ああ……そんなこともあったね」

男「四人ならなかなか白熱すると思うんだが」

少女「!」

友「お、久々だなトランプ。持ってくるよ」

男「ん。任せたー」

友「ほい」

男「うっし! 七並べだ!」

少女「おー!」

女子「お、おー」

673: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 21:41:52.47 ID:09c0BetB0


友「……おい、スペードの四止めてるの誰だよ」

男「さぁー? 誰だろうねー?」

少女「ふっふっふ」

女子「惨めだな」

友「何でこんなことで惨め扱いされなきゃならんのだ……」

男「へけっ?」

友「某ハムスターアニメの真似じゃねえよ」

少女「てちてちてち」

友「ツボった」

男・女子「おいテメェ」

男・女子「!」

男・女子「どうやら同じことを考えていたようだ」

少女「……む」

674: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 21:49:43.62 ID:09c0BetB0


友「いつまでスペードの四出さないんだ……Xさん」

女子「やっぱり惨めだな」

友「う……」

男「安心しろ、友」

友「?」

男「俺が止めてるから」

友「だ、出せ! 今すぐ出せ!」

男「そんな理不尽な理由で監獄へぶち込まれた人の真似をしたって無駄だぞ?」

友「そんなマネしてねえよ!」

女子「二人でお笑い芸人にでもなれば?」

友「しないっ!」

少女「キレの良いツッコミ」

友「キレてる友がキレの良いツッコミってか」

少女「……」

676: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 21:54:11.65 ID:09c0BetB0


男「お邪魔しましたー」

友「ん。何だかんだで楽しかったぞー」

男「そうかそうか。また着てやろう」

友「当分はやめてくれ」

男「そんな……」

友「少女ちゃんは良いよ。女子も気に入ったみたいだし」

少女「わーい! ありがとうございます!」

女子「いつでも着てね、少女ちゃん!」

男「わずか数時間にしてこの友情……」

少女「ふふん」

男「うし、少女。帰るぞ?」

少女「うん! またね友さん女子さん!」

友「じゃなー」

女子「またねー」

677: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 22:09:34.36 ID:09c0BetB0
――帰り道

少女「……ねぇ、男」

男「んー?」

少女「友さんと女子さん、付き合ってるんでしょ?」

男「うん」

少女「なんだかね、羨ましいなぁって」

男「……」

少女「……なんか反応してよー」

男「いや、どう反応すればいいかなぁと思ってたところだ」

男「羨ましい……っちゃ羨ましいよなぁ」

少女「やっぱり?」

男「でも、無理にそういう相手を作らないといけない訳でもないからな」

少女「……」

男「そういうの、俺には無縁だったよ。……無縁だった」

678: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 22:13:31.96 ID:09c0BetB0
少女「……!」

男「だけどな、少女が着てから替わり始めた」

男「そもそも、異性の接点が皆無だったから出会いも無かった」

男「まあ強いていえば親戚とコンビニの店員ぐらいか」

男「そこに少女がやってきた」

男「最初は戸惑ったよ」

男「でも、一緒に生活してる内に大切な人になってた」

男「……なぁ」

男「少女」

少女「……なに?」

男「お前は、どうだ?」

男「お前は、少女は、俺は大切な人か?」

少女「……きゅ、急にどうしたの――」

男「さ、家着いたぞ」

少女「!」

男「変な話してごめんな?」

少女「もう……」

679: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 22:19:54.82 ID:09c0BetB0
――夜

男「すまん……、今日は早く寝る」

少女「うん? どうしたの?」

男「ちょっとはしゃぎ過ぎたかな……疲れた」

少女「そっか。おやすみ♪」

男「ぐっなーい」



男「(あと3週間ちょっとで終わる)」

男「(大切な人が居なくなる)」

男「(少女がくるまでは自暴自棄気味に生活してたのに)」

男「(少女が着てからは……毎日が楽しくなってた)」

男「(その少女が、居なくなる)」

男「(悲しい。寂しい。辛い。嫌だ。傍に居て欲しい)」

男「(俺は……少女が好きなのかなぁ)」

680: ◆45r8PrbBts 2011/05/03(火) 22:24:13.04 ID:09c0BetB0
男「(少女が居なくなったら、俺の生活に変化はあるだろうか)」

男「(まず、少女の飯が食べられない)」

男「(少女と会話が出来ない)」

男「(少女と外に出かけることができない)」

男「(少女と一緒に寝られない)」

男「(変化ばっかりじゃねえか。どんだけ影響されてんだよ)」

男「(でも、いつかはそのときが来るんだ)」

男「(その現実をしっかりと受け止めないと)」

男「(しっかりと……受け止めないと)」

男「(しっかり、と…………」

――

少女「失礼しまーっす……」

少女「ん」

少女「あらあら、何か辛いことでもあったのかな。男」

少女「男は簡単に泣かないんだよ……」

少女「何かあったら相談に乗るからね?」

少女「だから、今日は寝るね。おやすみ」

685: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 21:54:08.42 ID:E0Oq8r7f0
………………
…………
……

男『もう、行っちゃうのか? 少女』

少女『うん。時間だからね』

男『そっか』

少女『うん』

男『その……なんだろう』

少女『?』

男『たった3ヶ月だったけど、本当にありがとう』

少女『いえいえ、こちらこそ』

男『……』

少女『……』

686: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 21:58:39.76 ID:E0Oq8r7f0
男『……なぁ』

少女『なに?』

男『少女にとって、この3ヶ月は長かったか? 短かったか?』

少女『うーん……。楽しかった』

男『いや、答えになってないし』

少女『答えなくてもいいと思うよ』

男『? どういうこと?』

少女『長くても、短くても、楽しかったんだから』

男『そっか』

少女『男だってそうでしょ?』

男『まあな。俺も楽しかったよ』

少女『今は悲しいし、これからは寂しくなるけどね』

男『俺もだ。気が合うな』

少女『今更?』

男『いや、前から思ってたよ』

少女『あたしも』

687: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 22:08:28.20 ID:E0Oq8r7f0
少女『じゃ、そろそろ……』

男『ま、待ってくれ』

少女『でも……』

男『そ、そうだよな。男が未練なんてみっともないよな』

少女『未練はあってほしいけどね』

男『……みっともなくてもいいかもしれない』

少女『ふふっ』

少女『じゃ』

少女『……バイバイ』

男『あぁ……ずずずっ』

少女『泣かないでよ……行きづらくなる』

男『すまない……ごめん。ひぐっ……』

少女『未練より男の涙の方がみっともないよ』

男『だよな……うん。分かったよ。泣かない』

少女『じゃあ』

男『おう』

少女『好きだよ。男』

男『俺もお前が――

688: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 22:13:58.62 ID:E0Oq8r7f0
……
…………
………………

男「――っ」

男「(やけにリアルな……夢)」

男「(夢ってことは……俺の深層心理を見たってことか)」

男「(俺は……少女のことが……)」

男「……ん」

男「……手」

男「握られちゃってるよ」

男「(……別に、俺が少女を好きでいいじゃないか)」

男「(何で否定したがる)」

男「(離れたときに辛いからか……?)」

男「……うわ、涙で枕ぐちょぐちょだし」

男「……ひっくり返して……、寝るか」

689: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 22:27:15.36 ID:E0Oq8r7f0
――一週間後 学校

男「……」

男「(最近、時間が経つのが早い)」

男「(気づいてたら夜になって、朝になって)」

男「(生きてる実感が沸かない……)」

友「男、どうした?」

男「……ん?」

友「男が俺の家へ遊びに行った後から、様子がおかしくないか?」

男「え……どんな感じだ?」

友「ボーッとしてるぞ」

男「悪い……気をつける」

友「交通事故とか遭うなよ?」

男「何フラグ立ててんだよ」

友「まあ、男なら無事生還しそうだけどな」

男「? 何でだ」

友「待ってる人がいるからだろ」

男「そうか……そうだよな」

男「ありがとう。お前のお陰で何だか元気が出た……かもしれない」

友「あれ、そんなつもりは無かったんだがな……まあいいか」

690: ◆45r8PrbBts 2011/05/04(水) 22:32:45.49 ID:E0Oq8r7f0
――夕方

男「ただいま!」

少女「おかえり! なんだか今日は元気だね?」

男「まあな」

少女「最近元気無かったから心配してたんだよ?」

男「ごめんなー」

少女「ううん、元気になったらそれでいいの」

男「そうか? 心配してくれてありがとうな」

少女「いえいえ」

男「心配してくれてありがとう」

少女「……? 何で二回言うの?」

男「大事なことだからだ」

少女「大事なことなの?」

男「少なくとも、俺にとってはすごく大事だ」

少女「よく分かんないけど、大事なものは無くさないようにね」

男「……うん。頑張るよ」

男「(あと少しで無くなる……のに、無くならない気もする。何でだろう)」

696: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 16:45:39.41 ID:MGSD5OO10
――また一週間後 学校

男「そういえばさ」

友「うん?」

男「いつの間にか、高三になってたんだな」

友「気づくの遅いよな」

男「最近忙しかったからな……。結構バタバタしてたし」

友「まぁ……それもそうだな」

男「でさ」

男「一週間後、高三最初のテストがある訳よ」

友「うん」

男「やっぱり高三最初のテストだから、躓いたら不安になるだろ?」

友「もっともだ」

男「ということで、勉強会を開こう」

友「お前なら大丈夫だろ。はい終了」

男「お、おい! 皆で勉強するってのが楽しいんじゃないか!?」

友「む……良かろう。女子の奴も誘ってみるよ」

男「頭良いのか?」

友「全然」

男「本当のバカップルじゃねえか」

友「おい」

697: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 17:00:47.80 ID:MGSD5OO10
――夜 家

男「ということで、明日学校終わったら友の家行くから、帰ってくるの遅れる」

少女「えー……」

男「妬いてるのかー?」

少女「べ、別に! ……それより、何時くらいに帰ってくるの?」

男「多分8時くらいになるかな?」

少女「AM?」

男「んなわけあるか!」

少女「20時ってこと?」

男「そう」

少女「……絶対に帰ってきてよ?」

男「あ、ああ」

698: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 17:04:05.53 ID:MGSD5OO10
――翌日 夕方

男「いやぁ、すみませんね。二人の邪魔しちゃって」

女子「そう思ってるなら今すぐ変えれ。即行で帰れ」

友「まあまあ……。男が居ないと勉強会が成り立たないぞ?」

女子「む……仕方ない」

男「あはは……」

女子「何で学校着てなかったのに頭良いんだ?」

男「図書館で勉強してたから……?」

女子「学校で勉強してれば良かったじゃないか」

男「ああ、いや……学校だと居場所が無かったから」

女子「何となく分かるような気がする」

友「俺がいたのにな」

男「あー、ごめん」

699: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 17:07:50.28 ID:MGSD5OO10


男「で、この問題はさっきのを応用して……」

女子「おぉ、そうだったのか!」

男「そっそ」

友「……」

女子「本当に頭良いんだな。ちょっと見直したぞ」

男「あはは……どうも」

友「……」

女子「次の問題だ次の問題! 今なら何だって解けそうな気がする!」

男「はいはい。……えっと、そこの問題は……」

友「……なぁ、男」

男「ん?」

友「お前、わざとか?」

男「? 何がだ?」

友「いや……何でもない。頭良いけど馬鹿だよな」

男「?」

700: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 17:13:12.98 ID:MGSD5OO10
男「……」

友「……」

女子「……」

男「……」

友「……」

女子「……」

友「すみませんでした。会話ないとキツいです」

男「だろ?」

女子「友も馬鹿だな」

友「人のこと言える立場か?」

女子「ここの問題を解けるようになったからな! 男のお陰で!」

友「くっ……男、俺にも教えろ!」

男「ほいほい」

703: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:14:51.12 ID:MGSD5OO10
男「……ということ。分かった?」

友「悔しいが非常に分かりやすかった」

男「そりゃどーも」

女子「男ー、ここの問題わからんー」

男「んー、どこ?」

女子「ほら、ここ」

男「あぁ、そこは……」

友「(また蚊帳の外か……)」

女子「よし分かったぞ男! 感謝する!」

男「いえいえ」

友「仲良くなってるし……」

男「嫉妬か?」

友「嫉妬だ」

男「なんと」

704: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:27:14.49 ID:MGSD5OO10
男「じゃ、そろそろ時間だから帰る」

友「ん、まだ8時じゃねえか」

男「十分遅くないか?」

女子「私はこの時間でも普通に外出だったな。……今はしないが」

男「この時間に女性が外出とか危険だろ……」

女子「特に問題は無かった」

男「そ、そうか……」

男「今日はお疲れ。勉強頑張ってくれ、お二人さん」

友「おう」

男「そいじゃ」

女子「んー」

男「さて、少女が待ってるし急いで帰ろう」

705: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:36:19.22 ID:MGSD5OO10


男「ただいまー」

少女「おかえりっ」

男「7時58分……ギリギリセーフだな」

少女「よろしい」

男「さて、早速勉強に取り掛かるか……」

少女「ま、待って」

男「んん?」

少女「晩ご飯は?」

男「ああ、そういえば……忘れてたよ。食べる食べる」

少女「もー、しっかりしてよね?」

男「テスト近いからな……。のんびりしてらんないんだ」

少女「うー、のんびりしようよー」

男「うー、ごめんな?」

少女「うー」

706: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:40:33.97 ID:MGSD5OO10
男「ご馳走様。今日も美味しかった!」

少女「すぐ勉強するの?」

男「んー、どっちがいい?」

少女「うーん……。男と一緒に居たいけど、テストならしょうがないっか」

男「ん、寝るときは言ってくれ」

少女「りょーかい」

男「……」

男「……ふあぁ」

男「今何時だ……」

男「じゅ、12時半!?」

男「あいつまだ起きてるのか!?」

707: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:44:49.61 ID:MGSD5OO10
男「おい少女!」

少女「すぅ……すぅ……」

男「そ、ソファで寝とる……! それは俺の役目だろ!」

男「おい、少女。少女。起きろ」

少女「ん……あれ、男どうしたの……?」

男「どうしたのって、12時半だぞ!?」

少女「ん……」

男「寝るときは言ってくれって言っただろ?」

少女「そういえばそうだった……。急いでお風呂入らなきゃ」

男「絶対風呂の中で寝るだろ!」

少女「……そうかも」

少女「どうする?」

男「どうする? って、俺も一緒に――じゃない! 違う! クレイジーなことを思いついた俺は風呂で溺れろ!」

少女「夜なんだから静かにね……?」

男「お、おう。そうだったよ」

708: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:50:23.57 ID:MGSD5OO10


男「少女ー」

少女「はーい」

男「少女ー」

少女「いえーい」

男「(少女が寝ないように、俺が呼びかけるっていうことにしたが……)」

男「(まあ、これなら大丈夫か)」

少女「……すぅ……」

男「わ、忘れてた! 少女! 少女!」

少女「あ……はい」

男「……はぁ」

709: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 20:57:22.91 ID:MGSD5OO10
男「ほら、ちゃんと頭拭かないと駄目だぞ?」

少女「おとこふいてー……」

男「う……よし。いいだろう拭いてやる」

少女「ありがとー」

男「うわ……さらさらだな」

少女「まいったかー」

男「……半分寝ぼけてるだろ」

少女「ねぼけてないよー」

男「ああそうかい。いつもより喋り方が幼いぞ」

少女「そんなことないー」

男「……ほい。拭き終わった」

少女「ん、ありがとー」

男「いえいえどういたしまして」

少女「男のもふいてあげるよ」

男「まだ俺は風呂に入ってない。お前は直ちに寝ろ」

少女「えぇ……」

男「露骨に嫌な顔するなよ……。リビングで待ってろ。上がったら呼ぶから」

少女「ん」

710: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:08:09.57 ID:MGSD5OO10


男「上がったぞー」

少女「服着たー?」

男「当たり前だ!」

少女「どれどれ……よし、しゃがんで」

男「ん」

男「(うわ、しゃがんだら目の前に少女の腹がっ)」

男「(……目瞑ろう)」

少女「あれ、目瞑ってどうしたの?」

男「あ、いや、水滴がな」

少女「あぁそっか」

男「(やっぱ慣れない)」

711: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:20:08.12 ID:MGSD5OO10
少女「はい、こんなもんかな」

男「ふぅ、ありがとう」

少女「いえいえ。じゃ、歯磨いて寝ますか」

男「だな」

――寝室

少女「くんくん……シャンプーの匂いだね男」

男「ちょっ、嗅ぐな!」

少女「えー、なんでー?」

男「な、なんでって……。恥ずかしいからだよ……!」

少女「くんくん」

男「だーかーらー、嗅ぐなって! 犬か!」

少女「犬でいいよ」

男「こいつ……。はぁ。まあいいか。俺は寝る。嗅ぎたきゃ嗅いでくれ」

少女「あたしも眠いし寝るよ」

男「……そうか。おやすみ」

少女「おやすみー」

男「(少し残念がってる俺が居るんだが)」

712: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:31:48.12 ID:MGSD5OO10
――5日後 夜

少女「テスト、明日だっけ?」

男「うん」

少女「そろそろ休憩しようよ。体壊しちゃうよ……?」

男「ん。大丈夫だってこのくらい」

少女「そう……?」

少女「はい。ココア」

男「うおー、ありがとう」

少女「いえいえ」

少女「男、寒くない?」

男「なぁ、少女」

少女「ふぇ?」

男「心配してくれてありがとな。だけど俺は大丈夫だよ」

少女「そ、そう?」

男「うん」

少女「じゃ、じゃあ。ここで勉強してるところ見る!」

男「……なんも面白くないぞ?」

少女「でも!」

男「それでもいいならいいよ。どうぞご覧あれ」

少女「はい!」

713: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:36:43.89 ID:MGSD5OO10
男「……」

少女「……」

男「……」

少女「……」

男「……」

少女「……」

男「……暇か?」

少女「いや、楽しいよ?」

男「……よく分からないな。人の勉強してる姿って面白いか?」

少女「男だから面白いんだよ。なんだかかっこいい」

男「……かっこよくねえよ」

少女「照れてるー」

男「照れてない!」

少女「ほら、お勉強!」

男「うぐ……少女! 今日は早く寝るぞ!」

少女「何で?」

男「体調を崩さないようにだ!」

少女「なるほど! 了解!」

714: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:40:11.27 ID:MGSD5OO10
――翌日 学校

男「(あ、ここゼミでやったところだ!)」

男「(なんて、アホか俺は)」

男「(あれだけ少女が見守ってくれてたんだ)」

男「(ファイトだ俺)」

男「(よし、目の前の問題に集中しろ……!)」

715: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:45:14.90 ID:MGSD5OO10
――テスト終了後

友「終わったぁー!」

男「今日はテスト1日目。まだ明日があるぞ」

友「思い出させるなよぉぉぉ……」

男「……まぁ、確かにテストは疲れるよな」

友「まったくだ」

男「掃除のとき気づくが、ストレスが原因の抜け毛が一杯だ」

友「うわ……えげつな……」

男「あれは出来るだけ見たくない」

友「同感だ」

男「さて、明日も頑張るぞ?」

友「お、おう……」

女子「私を忘れてるだろ」

男「女子さんも、明日頑張りますよ」

女子「おうー」

716: ◆45r8PrbBts 2011/05/05(木) 21:52:02.78 ID:MGSD5OO10
――翌日 同じ頃

友「終わったぁぁぁー!」

男「昨日・今日とよく耐えたな」

友「もう駄目だしばらく勉強しない!」

男「本当にいいのかそれで……」

友「困ったときはお前に教えてもらう!」

男「これまた図々しい……」

友「へへっ。そんなに褒めるなよ」

男「褒めてないし」

友「ところでさ、男」

男「うん?」

友「そろそろ、少女ちゃんが居なくなる日だったか?」

男「!」

723: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 21:36:46.86 ID:qQxDZq2f0
男「そうだ……!」

男「あさってだ! あさって!」

友「あさってか……。俺もちょいと悲しいな」

男「ヤバイ、早く家へ帰らねえと!」

友「テスト終わって浮かれてるのは分かるが、ちょっと待ちたまえ男」

男「何でだよ!」

友「まだ下校時間じゃない」

男「下校時間じゃないと帰られないのか!」

友「うん」

男「早く帰らないと早く帰らないと……」

友「これが世界の理です」

724: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 21:42:36.24 ID:qQxDZq2f0


日直「規律。礼。さようならー」

男「さようならぁぁぁあ!」

友「早っ! 足の筋肉どうなってるよアイツ!?」

男「(多分少女も気づいてる筈だ! あさってだってこと!)」

男「くっ……靴が! 履けない! 畜生!」

男「ぐぐ……履けた! 走れオトコぉぉぉ!」

男「うっ、ごほっ、普段から運動してりゃ良かった!」



725: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 21:46:57.03 ID:qQxDZq2f0
男「たぁっ、ただいま!」

少女「あれ、今日は早いね?」

男「長距離走を少々やってたもんでな……はぁっ、はぁっ」

少女「お、お疲れ様……?」

男「おう……」

少女「なんか飲む?」

男「麦茶を頼む」

少女「承知。ちょっと待っててねー?」

男「助かる……、ありがとう」

少女「そこで座って休んでて」

男「ああ、すまん……」

726: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 21:50:11.74 ID:qQxDZq2f0
少女「はいっ、どうぞ♪」

男「お、おう。ありがとう」

男「んぐっ……ごくっ……」

男「まずい! もう一杯!」

少女「りょ、了解!」

少女「お持ちしました!」

男「サンキュ。………………ふぅ。生き返った」

少女「それはそれは……」

男「いやあ助かった。ありがとう」

少女「いえいえ。ところで」

男「?」

少女「なんで走ってきたの?」

男「だって、あさってじゃないか」

少女「あさって? ……なんかあったっけ?」

727: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 21:54:52.87 ID:qQxDZq2f0
男「……結構大事な話だからリビング行くぞ」

少女「えっ?」

男「いいから早く!」

少女「えっ、ちょ、待って!」

男「お前、いつ俺の家に来たか覚えてるよな?」

少女「今が4月の下旬だからー、えっと、大体3ヶ月……あ」

男「気づいてくれたか」

少女「ど、どどどうしよう!? もう男とお別れなの!?」

男「ま、まだだから! あさってだから!」

少女「で、でももう全然じゃん!」

男「そうだ! だから急いで帰ってきたんだ!」

728: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:00:13.19 ID:qQxDZq2f0
男「まだ話は終わってない」

少女「ま、まだ何か……?」

男「3ヶ月前、俺が帰ってきたところに少女がいた」

男「つまり、あさって俺が帰ってきたら少女はいない。ということだ」

少女「そ、それじゃああさっての朝までってこと?」

男「多分そういうこと」

少女「や。嫌だよ男……。離れたくないよ……」

男「俺だって離れたくないけど、俺は十分『家族が居る温もり』を貰った」

少女「そんなっ」

男「ということで、俺は明日学校を休む」

少女「え、でも学校はちゃんと行かないと!」

729: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:03:53.70 ID:qQxDZq2f0
男「テストで疲れたからな。1日くらい大丈夫だ」

少女「でも……」

男「これは俺だけの休みじゃない」

少女「え?」

男「俺と少女との、最後の休みの日だ」

少女「最後の……」

男「だから、明日は好きなことを目一杯する」

少女「好きなこと、かぁ」

男「そうだ。俺は好きなだけ練るけど」

少女「じゃああたしも好きなだけ男と寝る!」

男「そう来ると思った。限界まで寝るぞ?」

少女「うん!」

730: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:10:04.48 ID:qQxDZq2f0
――夜

少女「ど、どうしよう。悲しいのと恥ずかしいのと緊張が混ざって眠れない……」

男「そうか? 俺は大丈夫だけどな」

男「(とか言ってるけど、実は俺もそんな感じだ……落ち着け俺)」

少女「嘘だよ、男の心臓すごいドキドキしてるもん」

男「う、うわぁ!?」

少女「あ、これいいかも」

男「ちょ、離れろ色々とそれはマズイ!」

少女「ゴツゴツした体だねー。運動してたっけ?」

男「感想とか知らない! 男はゴツゴツしてるもんだ多分!」

少女「こうやってうずめてると何だか安心するよ……」

男「(誰か助けてくれませんか……!)」

731: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:17:00.08 ID:qQxDZq2f0
――数分後

少女「っふぅ……。すぅ……はぁ……」

男「本当に寝ちゃったよ。しっかりと服掴んでるし」

男「しかもいつもより寝息荒いし」

男「ああたぶん俺も鼻息荒いんだろうなぁ……」

男「落ち着け俺。深呼吸だ深呼吸」

男「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」

男「寝ながらだと効率悪いな。やっぱり」

男「…………まぁ、でも少し落ち着いたか」

男「ん、段々眠く……」

少女「ん、ふぅ。おとこ……」

男「なるわけが無い」

733: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:21:16.04 ID:qQxDZq2f0
――翌日

男「ん……」

少女「おはよう。男」

男「ぐっもーにん……今何時?」

少女「11時半」

男「いい感じに寝たな」

少女「そだね。あたしもさっき起きたばっかりだよ」

男「そっか」

男「さて、何するか」

少女「お昼ご飯を食べて、その後お昼寝!」

男「また寝るのかよ」

少女「男が腕枕してね!」

男「任せろ。って……しまった」

少女「男に二言はないね! よし決まり! お昼寝ばんざーい!」

男「ああもうどうにでもなれ! ばんざーい!」

734: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:24:34.96 ID:qQxDZq2f0
――食後

男「食べてすぐ横になると牛になるぞ?」

少女「もぉ~」

男「はいはい可愛い可愛い」

少女「むっ……」

男「寝不足も体に悪いが、寝過ぎも体に悪いんだぞ?」

少女「男と一緒なら大丈夫」

男「何を根拠に……。まあいいか。ほれ腕」

少女「では失礼して……んしょ」

男「……頭だけとはいえ軽いな」

少女「えへへ」

735: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:30:44.91 ID:qQxDZq2f0
――夕方

女子「友、一緒に帰るぞ?」

友「悪い。今日男のとこに用事があるんだ。先帰っててくれるか?」

女子「ん、そうか……。それなら仕方ない。待ってるからな」

友「おう」

友「正直に言うと、最後に少女ちゃんの顔を見にいくんだがな」

友「ほとんど最後の日に、あいつらは何やってるだろうか……」



インターホン『ピンポーン』

友「……」

友「出ないな。居ないのか?」

友「庭に回ってみるか……」

友「よっと」

友「うわっ」

友「抱きしめ合いながら寝てるよ……あついあつい」

友「……帰るか」

736: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:36:09.62 ID:qQxDZq2f0
男「ん……」

少女「すぅ……すぅ……」

男「うわあっ、俺も抱きしめちゃってるよ!」

少女「ん、あ……おはよう、男」

男「お、おおおはよう少女」

少女「?」

男「! ごめん。友から電話だ」

少女「んー」

友『おはよう男。ハグし合いながらのお昼寝はどうだった?』

男「……チッ、用件はそれだけか。じゃあなまったく」

友『待――』

男「……ったく」

737: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:41:40.02 ID:qQxDZq2f0
少女「なんてー?」

男「あ、ああ。今日学校休んでたけど大丈夫か? って」

少女「そっか」

少女「そろそろ晩ご飯の準備始めるね!」

男「ん」

男「(しかし……今日は寝てばっかりだったな)」

男「(最後の日がこれでいいのだろうか)」

男「まあ明日の朝もあるんだけどさ)」

男「(少女も機嫌よさそうだし、いいってことにしとこう。うん)」

男「(明日。俺の気持ちを伝えよう)」

男「(俺は。少女が。好きだ)」

738: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:48:01.78 ID:qQxDZq2f0
――就寝時

少女「ねぇ男」

男「うんー」

少女「今まで、本当にありがとね」

男「俺の台詞だこの野郎」

少女「そう? あたしはお互いの台詞だと思うなぁ」

男「……そうだな」

少女「ねぇ。男」

男「なんだー?」

少女「プレゼントあげようか」

男「プレゼント? なんだ?」

少女「これだよ」

男「どれ――んむっ……!?」

少女「――」

男「……ぷはっ、お、お前。これ、せ、接吻……!」

少女「キスって言ってよ……。ごちそうさま」

739: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:51:23.31 ID:qQxDZq2f0
――翌朝

男「気づいたら朝だったんですが」

少女「あたしも」

男「昨日の夜、何がどうしてああなったんだろう」

少女「あたしが男のことを好きだからしたんだよ」

男「そ、そうか……」

少女「男の気持ちも、きかせてほしいな」

男「う……」

少女「あたしは言ったからね。男のことが好きって」

男「お、俺も……。少女のことが好き、だよ。うん」

少女「女々しいなぁ……。もっとハッキリ!」

男「お、俺は少女が好きだ!」

少女「それで……いいんだよ」

男「な、お前なんで泣いて……」

少女「男だって泣いてるでしょ」

男「え? あ、あれ……マジだ」

740: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:53:06.93 ID:qQxDZq2f0


男「じゃ、そろそろ学校行くよ」

少女「うん。これが多分最後のいってらっしゃいだね」

男「ああ。俺も多分最後のいってきますだ」

男「少女」

少女「?」

男「今まで、本当にありがとう」

少女「いえいえ。あたしこそありがとう」

男「……じゃ」

少女「……うん」

男「少女」

少女「男」

男・少女「好きだよ」

741: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 22:55:20.98 ID:qQxDZq2f0
――夕方

男「ただいまー……」

男「……」

男「やっぱり。居ないよな」

男「はぁ」

男「またつまんなくなるなぁ」

男「少女が居ないだけで、こんなに寂しいなんてな」

男「なんだか家も広い気がするし」

男「このテーブルも、向こう側にはいつも……ん?」

男「置手紙」

男へ

742: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 23:00:17.23 ID:qQxDZq2f0
男へ

3ヶ月間 本当にありがとう。
あたしは男に『家族が居る温もり』をちゃんと渡せたかな?
多分、渡せてたと思うよ。

最初の頃の男は、なんとなく抜け殻みたいな感じだった。
でも、今朝の男はすごく……なんというか、凄く頼もしかった。
そんな男を好きになれてよかった。
そんな男があたしを好きだって分かってよかった。
男に出会えてよかった。

また会えるかな?
会いたいなぁ。

少女より

744: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 23:03:19.13 ID:qQxDZq2f0
男「……」

男「うぐっ……」

男「少女……」

男「俺も会いてえよ!」

男「今朝居たのに今はいない! これからもいない!」

男「なんで置手紙なんか残すんだよ!」

男「馬鹿野郎……!」

男「……少女ぉ……」

男「少女ぉぉぉぉおっっ!!!!」

………………
…………
……

746: ◆45r8PrbBts 2011/05/06(金) 23:10:44.91 ID:qQxDZq2f0
――数ヶ月経って 冬

男「もうすこしで大学受験か……親戚にはホント感謝だな」

男「しかし、今年も寒いな……」

男「そういえば、前に少女が来たときもこのくらい寒かったっけ」

男「コタツが買えなかったんだよな」

男「あれからバイトして、コタツも買えたし」

男「寒さに困ることもないな」

男「少女が居ないと、寒いな。帰ってきてくれないかな」

男「体は暖かくても、心は寒いっつの」

男「本当、寒いな」

男「……ふぅ、ただいま。おかえり」

男「虚しい。だが慣れた。……これ、去年もやったな」

男「……?」

男「何で玄関に靴が一人分あるんだよ」

男「……」

少女「……」

男「コタツの調子はどうだ?」

少女「すっごく暖かいよ」

男「まったく」

男「暖かいな……」

少女「ねっ♪」

【男「寒いな……」】
<完>

764: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:16:56.43 ID:3F2Jq+1k0
男「いや、暖かいのは幸せだから良いんだよ?」

男「何でいるの? 数ヶ月前の感動の別れはどうなったの?」

少女「また男が寂しそうだったからだよ」

少女「去年も同じ感じの雰囲気かもし出してたから、来ちゃいました」

男「……いや、まぁ去年と同じこと言ってたしそうなんだろう。だけど」

少女「?」

男「また『家族が居る温もり』か?」

少女「いや?」

男「……? 違うの?」

少女「心の底から男に会いたいと思って来たの」

男「……ああそう」

少女「あれ? 迷惑だった……?」

男「いや、いずれ帰るんだろ? それが嫌だなぁと」

765: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:21:21.48 ID:3F2Jq+1k0
少女「大丈夫。帰らないよ」

男「……あんだって?」

少女「男が帰れって言うなら帰るけどね」

男「……少女って、どっから来たの?」

少女「『心が空っぽの男性をお助けする隊』からやってきました」

男「へ、へぇ……そんなのあったんだ」

少女「うん」

男「あれ、でもその心が空っぽの……なんちゃら隊に帰らなくていいのか?}

少女「大丈夫。ちなみに『心が空っぽの男性をお助けする隊』なんて無いよ」

男「嘘かよ! どれくらい人数が居るんだろうとかどこにあるんだろうとか、少し興味持っちゃったじゃねえか!」

少女「抑えて抑えて」

男「う、ぐ……」

766: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:27:21.03 ID:3F2Jq+1k0
男「しかし……。グッドタイミングだったよ少女」

少女「?」

男「明日はクリスマスだ」

少女「それが何でグッドタイミングなの?」

男「クリスマスの夜に外を見てみろ」

男「どこを見てもカップル。カップル。カップル……とにかく、ひたすらカップルが出歩いてる」

男「それを見るのは非常に辛い」

少女「つまり?」

男「クリスマスに独りは寂しいので、少女様が帰ってきてくれて非常に嬉しいです」

少女「クリスマスだから?」

男「クリスマスじゃなくても!」

767: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:34:18.32 ID:3F2Jq+1k0
男「ということで、明日はパーティーを開こう」

友『ちょっと待てよ』

男「?」

友『少女ちゃんが帰ってきたってどういうこと?』

男「俺もよく知らない」

友『知らないって……。ちゃんとそれは本人なのか?』

男「バッチリ本人でした」

友『まあ、男がそう言うならいいか。どこで開くんだ?』

男「マイホーム」

友『了解した。何時くらいからだ?』

男「7時くらいからでいいかな」

友『おう。分かった』

男「じゃ、また明日」

768: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:38:27.32 ID:3F2Jq+1k0
男「……ということで、明日はクリスマスパーティーだ!」

少女「いえーい! 具体的にはどんなことを!」

男「決めてない! 楽しけりゃいいよねー!」

少女「その通りだね! でも準備は必要だおと思うのー!」

男「……」

少女「……え、何この沈黙」

男「俺だって折り紙くらいあるさ」

少女「え? 折り紙?」

男「あれを作ろう」

男「あの、折り紙を切ってくっつけて輪にして繋げる。つくってわくわくするやつだ!」

少女「おお! 早速作業に取り掛かりましょう!」

769: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:40:49.60 ID:3F2Jq+1k0
男「……」

少女「……」

男「……」

少女「……」

男「……ふふんふふ~ん♪」

少女「……」

男「ふふんふふふ~んふふふん♪」

少女「……お静かに」

男「えっ、あっ、はい。すいませんでした……」

少女「……」

男「(滅茶苦茶集中しとる……!)」

770: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:46:44.91 ID:3F2Jq+1k0


少女「あれ、折り紙無くなっちゃった」

男「一旦伸ばしてみるか」

少女「どれどれ……おお。結構長い!」

男「こんだけあれば十分だな」

少女「だね!」

男「首と肩痛え……」

少女「ぷ。じじくさ」

男「ほっとけ。休憩入りますよーっと……」

少女「あたしも休憩ー」

771: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:50:17.35 ID:3F2Jq+1k0
――就寝時

男「も、もちょいそっち行けよ」

少女「こ、これ以上行けない……!」

男「身長伸びたから仕方ないっちゃあ仕方ないか……」

少女「男も少し大きくなったでしょ」

男「まあな」

男「そもそも、シングルベッドに二人で寝るっていうのがおかしいんだ」

少女「気にしない気にしない」

男「……だな。落ちるなよ?」

少女「うん。……こうやって一緒に寝るのも久しぶりだね」

男「だな」

772: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 14:56:37.58 ID:3F2Jq+1k0
――翌日 夕方

男「ケーキの準備おっけーだ」

少女「お肉もおっけー」

男「プレゼントは大丈夫か?」

少女「もちろん!」

インターホン『ピンポーン』

男「ん。着やがったなアイツ」

男「はいはーい。どうぞあがってくれ」

友「お邪魔しますよー」

女子「ふむ……友の部屋より格段に綺麗だな」

友「そこかよ」

773: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 15:02:44.22 ID:3F2Jq+1k0


男「せーの」

友・女子・男・少女『いただきます!』

女子「しっかし、これ全部少女ちゃんが?」

少女「ま、まあそんなところですね。口に合えばいいんですが……あはは」

友「ん。凄く美味いぞ」

少女「ありがとうございます! ……えへへ」

女子「……私より美味いかもしれない」

少女「そ、そんなこと」

男「お前、また料理上達してないか……?」

少女「まーね。男に食べさせるために頑張ったから!」

友「献身的だな」

男「嬉しい限りだ」

774: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 15:10:08.29 ID:3F2Jq+1k0
男「プレゼント交換の時間がやってきました」

友「またありがちな……」

女子「まあまあ、いいじゃないか。何だかんだで友も持ってきてるだろ」

友「まあそうなんだが」

少女「わくわく」

男「よし、全員プレゼントを手に持って……音楽スタート!」

きぃぃみぃがぁぁよぉぉぉおはぁぁ……

友「何で日本国歌なんだよっ!?」

男「君が代いい曲だろ!」

友「リズム取りづらいわ!」

女子「~♪」

男「ほら、お前の彼女も鼻歌歌ってる」

友「マジかよ」

775: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 15:22:07.64 ID:3F2Jq+1k0
男「ストップ! 今手に持ってるのがプレゼントだ」

女子「どれ……。おぉ、暖かそうな手袋だな。誰のだ?」

少女「あ、それあたしのです!」

男「料理だけじゃなく裁縫も出来るのか……才色兼備だな」

女子「えへへ……」

友「俺のは……。何でこれ、筆箱?」

男「それ俺。見た目はコンパクトだが、実はかなりの量が入る。イチオシの筆箱だ!」

友「あ、ああそう……。ちょっと嬉しいかもしれない」

男「次は俺か……。ん。手袋だ。手袋の汎用性凄いな」

女子「友に渡す手はずだったのに……」

男「いや、ありがたく使わせてもらうよ」

女子「当然だ! ……もう」

776: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 15:26:09.48 ID:3F2Jq+1k0
少女「最後はあたしか。消去法で友さんのだね」

友「ささ、開けてみんしゃい」

少女「おー! ニット帽だ!」

友「裁縫できないから、買ったやつだけどな」

男「ちょっと被ってみようか」

少女「うん。……どう?」

友・女子・男『おぉ……』

男「かなり似合ってるぞ!」

友「俺のセンスは間違ってなかったな」

女子「可愛いよ少女ちゃん!」

少女「て、照れるなぁ……ありがとう……♪」

777: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 15:35:51.74 ID:3F2Jq+1k0


友「いやー、今日はなかなか楽しかった!」

女子「だな。またね少女ちゃん」

少女「おやすみなさいー」

友「じゃな」

男「おう」

男「パーティーどうだった?」

少女「すっごく楽しかった!」

男「そっか。良かったな」

少女「うん!」

782: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 16:49:46.61 ID:3F2Jq+1k0
――12月31日 夜

男「おい! 今年もあと1分ちょいで終わりだぞどうする!?」

少女「落ち着いて男……。新年がやってきたところで生活に劇的な変化は訪れないから」

男「ま、まあそうだな……うん。少女の言うとおりだ」

少女「……みかん食べる?」

男「ん。食べる食べる」

少女「何個?」

男「2個」

少女「ん。待っててね」

男「ありがとー」

783: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 16:53:04.41 ID:3F2Jq+1k0
男「……すっぱ! これすっぱ!」

少女「大当たりだね」

男「今年は酸っぱい年だったのか……」

少女「……甘いの足してみて?」

男「甘いの?」

男「えっと、甘酸っぱい」

少女「そういうこと」

男「……なるほど。納得した」

少女「ん……あ、甘い」

男「ってことは、俺とお前で」

男・少女『甘酸っぱい』

男「こういうこと」

少女「だね」

784: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 16:56:18.43 ID:3F2Jq+1k0
男「ところで」

少女「?」

男「いつもよりテンション低くないか?」

少女「いつもは寝てる時間だからね……。眠いの」

男「ん。そうか……お、カウントダウンも終盤だ」

男「10! 9! 8!」

少女「9! 10! 11!」

男「増えてるよ! 4! 3! 2! 1!」

男「ハッピーニューイヤァァ!!」

少女「最後の『イヤァァ!!』が悲鳴みたいだね」

男「俺も思った。裏声になっちゃったし」

785: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 17:00:41.73 ID:3F2Jq+1k0
――朝

男「どうだった?」

少女「大吉。好きな人と一緒に居られますだってさ。良かったね男♪」

男「これで俺が大吉じゃなかったらどうするんだよオイ……」

男「どれ……小吉」

少女「また絶妙なところを……」

男「なになに。俺も好きな人と一緒に居られるんだと」

少女「当然だよっ」

男「勉強の方も申し分無し。ただ……」

少女「ただ?」

男「怪我には気をつけろだって」

少女「気をつけて帰ろうか」

男「うん」

786: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 17:03:41.34 ID:3F2Jq+1k0
男「手ぇ繋ぐか」

少女「うんっ」

男「……」

少女「……」

男「前にも話したが、横断歩道の白いとこはマジでヤバイ。マリオカートのバナナくらい滑る」

少女「そぉーっと……」

男「そう。それくらいゆっくり――っ!?」

少女「ちょ、おと――!」

男「……」

少女「……」

運転手「大丈夫かい、そこの二人ー?」

男「あ、はい大丈夫です……」

787: ◆45r8PrbBts 2011/05/07(土) 17:11:02.90 ID:3F2Jq+1k0
少女「もう……なんで男が転ぶのさ!」

男「い、いや……少女が心配、だったから?」

少女「む……優しいのはいいけど、自分の体も心配しないと危ないよ?」

男「う……悪い」

少女「……」

男「……」

少女「……」

男「……何だかんだでお前も心配してくれてるじゃんか」

少女「……まあ、好きな人だし?」

男「少女。ほっぺが赤いが寒さのせいか? 照れのせいか?」

少女「……照れ」

男「……!」

少女「男も赤いよ? 寒さ? 照れ?」

男「照り焼きになりそうだ」

少女「あたしもだよ」

男「ただいま」
少女「ただいまっ」

【男「寒いな……」 番外編】
<完>

http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1294/12942/1294218325.html

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